September 6, 2008

Webがメインメディアになる日

 うは~,ここのサイトへのアクセスが一本調子に増えている↓

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 このアクセス集計データをよく見ると,来訪者数は増えておらず,「延べ」のアクセス数が増えているということが分かる。つまりは「お得意様」がチマチマとマメに来ているってことらしい。実は昨年夏までの傾向では減っていく一方だったのだ。それから一転,過去最高のアクセスを更新し続けるまでの好調ぶり・・・正直言って更新はここのblogを除けば頻繁じゃないし,今どき手打ちのトップページを何年も掲げているという「骨董Web」であるし,ワシ自身は無名の人間であるし,職場も(以下検閲削除)なので,この好調ぶりは外部的な要因によるものという他ない。

 Webのアクセスログを眺めたことのある方なら,「ホントに人間が見に来ているの? Robotじゃないの?」と思われるだろう。確かにこのサイトを開設して暫くは殆どWeb robot,特にGoogleが多かったし,今でも1/3ぐらいはRobotによるものという感じである。しかし昨年からのアクセス数の伸びは明らかに人間の来訪者数が増えたために起っているのである。
 たとえばこれは2008年8月,先月分のアクセス数トップ30URIリストである。ここのblogへのアクセスが多いのははてなのブクマ等で定期的にチェックされているせいであるが,一番特徴的なのは,最後の30位に特定のBlogエントリが登場していることである。

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 実はこれ,この書評の著者名でググると最初の一ページ目に登場するのだ。なぜトップに登場するのか,理由は不明だが,結構知名度の高いマンガ家さんなのに,真面目に言及した記事が少ないというところが大きいと思われる。他にもちょっとマイナー系の方々の記事はググると結構上位に登場したりするので,トップ30には出てこないけど,アクセス数の「底上げ」には寄与しているらしいのである。

 ・・・とまぁ,自分のサイトに「微風」が来ましたよ,という報告なのだが,これ,実は結構な「台風」襲来の影響なのではないか,とワシは思っているのである。結論から言えば,「台風」とは,既存メディア,特に広告収入から成立してきたTVや雑誌というメディアからWebへの広告出稿大移動のことで,様々な方々がその台風襲来「予想」を述べていたことが現実になったかな,とワシは感じているのである。

 紙媒体や電波メディアが退潮しているって指摘は,実はInternetが普及する前,パソコン通信の時代から言われていたことで,まったく新しくない。しかし実際に部数減が起き,大手出版社も本腰入れて経営への影響を考えるようになった,ということは,例えば竹熊健太郎さんのまとめ記事(「いろいろもう死んでいる」「いろいろもう死んでいる<雑誌編>」に詳しいが,21世紀に入ってからの動きである。
 今年は日本も含めて世界全体の景気が下向きになっているようだが,景気悪化→広告収入減とは単純に結びつくことはない。むしろ,売り上げを伸ばす手段として広告を派手に打つ動きが活発化するので,効果が上がりそうな所をシビアに見極めるクライアントが増えるということはあっても,広告出稿自体が減るかどうか,疑問である。今起こっているのはこの,広告出稿先を「シビアに見極める」というクライアントの増加と,不景気に伴うコスト削減圧力がもたらすメディア(媒体)の絞り込みという二つの要因が絡み合っていると言える。
 メディアの絞り込みとは,端的に言えば,紙媒体&TVからPC,そしてケータイへというムーブメントである。雑誌や新聞のように,嵩張るばかりで読むところの少ない,そしてごみ収集システムがめんどくさくなって始末に困るものを一般家庭が維持しようと思う訳がない。TVだって,夜七時のゴールデンタイムにゆっくりTVの前に座って晩酌・・・なんてできる稼ぎ手が今,どれほどいるというのか? 録画したとしても,確実にCMはすっとばして観るし,大体は見もせずに消去するのがオチである。HDDレコーダーになって,CM飛ばしも消去も簡単にできるようになり,リアルタイム放映されるTV番組の効能は確実に落ちている。
 何より,収入が減っている上に物価高の昨今,生活にかかるコストを減らさねばならない。となれば,ケータイは手放せない,PCも不可欠・・・となれば,紙媒体とTVが削減対象物となってくる。TVを家庭から排除するのは躊躇するけど,どーせ地デジ化で今のTVはチューナーなしでは使えなくなるので,その時には雪崩を打って排除の動きが,「TVの買い替えをしない」という消極的活動のせいで,活発化するかもしれない。

 ケータイの方も,すっかりPCの機能の代替物として着々と地力をつけつつある。ワシはAUのユーザだが,メール機能(AU One)の実態はGoogleのGMailであるし,トップページの検索はGoogleが提供している。ワシのサイトへの来訪者も,EZ Web経由の方々が増えている。Full Browserをサポートするケータイが増えているから,閲覧にはさほど困らないようだ。ま,ワシのサイトは文字しかないし。iPhone 3Gの登場で,ますますPCは不要なもの,ビジネスやオタクの道具となり下がる可能性が高い。しかし,Webは・・・ますますメディアとしての地位を固めつつあるのだ。不景気の結果として。

 日本のInternet回線網は,若ハゲ親父の恫喝をきっかけとして,NTTの資本力&技術力を基盤に世界的にも稀有な品質と安さを誇るものになった。結果,既存メディアはコスト的にも太刀打ちできないものに成り下がってしまい,現実には広告減という動きに苛まれている。いつまでも続くものではないとはいえ,メインメディアの地位は確実にWebへと移りつつあるのだ。知りたい情報はググって求め,まとまった情報が欲しいときにのみ,薄い新書を手に取る(かもしれない)。日本におけるWeb 2.0がこのような形で定着したのが世界的な現象の先取りなのか,独自の進化を遂げた「ガラパゴス化」に過ぎないのかはまだ分からないが,少なくともその動きを捕えることができるところまでワシのサイトが運営できたことはちょっと誇っていかかな,と思っているのである。・・・あ,これからもしぶとく続けますんで,またごひいきによろしゅーに>お得意様

Posted by tkouya at September 6, 2008 1:09 PM