November 28, 2004

西原理恵子「上京ものがたり」小学館

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-09-179274-X, \781

 昨日,仕事帰りに立ち寄った三省堂名古屋駅支店で新刊出たてほやほやのこれを,何の思考も挟まず条件反射で手に取ってレジへ持っていったのであった。

 帰りの新幹線でこれを読む。

 うっ・・・。泣きはしなかったが,ワシもサイバラも伊藤理佐が定義するところの「田舎を捨てた人間」であり(「ハチの子リサちゃん」は必読),しかも「みっともない青春はらくちんであっとゆう間で」過ごしてしまった「何でもないただ者」であった者として,共感なんて生易しいものではないドキドキ感を持って,最後まで一気に読み切ってしまった。ここここっ,ここには昔のワシが描かれているぅ~(絶叫)。

 「私がちょっとでもきれいに楽しそうに見えるように,ずっと気にしてビールを飲んだ。」若者が,ある転機を経て,「あんたが つまんないからわるいんだよ。」「このくやしいの,今度上手にかいてごらんよ。」と内心嘯く,バリッとした稼ぎ人になるまでの,そのような時期を過ごした三十路過ぎの人間にはキリキリと刺しこんでくるような物語を,とくとご賞味して頂きたい。仕事で疲れた後で読むと,そりゃぁもぉ,元気になります。なりますとも,ええ。

 なったもん,ワシ。

Posted by tkouya at November 28, 2004 07:33 PM