9/30(火) 掛川・晴

 月曜日の日記を書こうとしたら,もう日が変わっていた。ちぇっ。
 Linux Conference 2003のプログラムが公開された。むぅ,11/1(土)は最終日で,しかも基調講演なしかあ。こりゃ人が少なそうである。とりあえず,Closing Sessionまでお付き合いしてみることにしよう。あああ,原稿がまだ出来てない~。
 寝ます(久々だな,このフレーズ)。
 起きました(これは初めてではないか?)。
 出勤前に,Intel Fortran Compiler for Linuxをインストールしてみる。サポートなしでNonprofit use onlyであるが,期限なしで使えるのはありがたい。もっともAcademic価格なら大した額にはならないのだが。
 おお,これは簡単。install scriptはよくできている。自宅のPIII 800 MHZ + RedHat Linux 9.0にすんなりインストールできた。では,懸案のFMLIBをコンパイルして試してみようぞ・・・と始めたら,FM.f90のコンパイルが30分以上経っても終わらない。さすがFortran界の多倍長の雄であるわい。・・・などと感心している暇もなく出勤時間となり,そのまま自宅を出る。
 cat /proc/meminfoしてみると,
[user@homemachine user]$ cat /proc/meminfo
total: used: free: shared: buffers: cached:
Mem: 260354048 256819200 3534848 0 1527808 201031680
Swap: 534634496 267313152 267321344
MemTotal: 254252 kB
MemFree: 3452 kB
MemShared: 0 kB
Buffers: 1492 kB
Cached: 14860 kB
SwapCached: 181460 kB
Active: 204448 kB
ActiveAnon: 191552 kB
ActiveCache: 12896 kB
Inact_dirty: 12208 kB
Inact_laundry: 8048 kB
Inact_clean: 4520 kB
Inact_target: 45844 kB
HighTotal: 0 kB
HighFree: 0 kB
LowTotal: 254252 kB
LowFree: 3452 kB
SwapTotal: 522104 kB
SwapFree: 261056 kB
となって,どうやら256MBのメインメモリでは足りないらしく,Swapを引き起こしているのが分かる。どーりでHDDがやかましい訳だ。
教訓: 性能の良いコンパイラを使う時には,ハードウェアにもそれなりの投資をしましょう。
 んが,悪いことに,glibcとの不整合があって,コンパイルしようとすると
[user@home user]$ ifc test.f
main program
7 Lines Compiled
/opt/intel/compiler70/ia32/lib/libIEPCF90.a(f90fioerr.o)
(.text+0x4d3): In function `f_f77ioerr’:
: undefined reference to `__ctype_b’
となって,Executable fileが生成されない。どうやらFAQのようである。ちょうど,linux-users MLでも話題になっていた。
 glibcをダウングレードするか,ダウングレードしたものをstatic linkして使う他ないのかなあ・・・とIntelのSupport Forumを読んでいたら,ctype.cなるソースを作って下さった奇特な方がおられたので,試したらおっけーでした。うーむ感謝感謝。
 久々に,Fortran90と戯れてみるかなぁ。むっかし書いたソースがまだ残っているから,あれこれ弄ってみるもの一興か。

小林よしのり責任編集「わしズム Vol.8」幻冬舎

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-344-00390-X, \952
 戦争論3が出版されて,編集長の漫画二編が無事帰ってきた。これが一番の目当てなんだから,休まれては困る。後の連載は後回し。
 んが,ボチボチ主張が固まってきたこともあって,繰り返しが多くなってきた。故に,読者としてはちと飽きてくる。今は中断している仏教論をまとめて一冊にしてくれないものか。
 戦争論3出版後のよしりんは相変わらず忙しく全国を飛び回っているようだ。金沢の護国神社へ行ったと思えば,新装開店して大にぎわいのJR札幌駅隣接のホテル日航に一泊し,洞爺湖のウィンザーホテルに宿泊したとのこと。
 それはいいのだが,洞爺湖の豪華ホテル,拓銀破綻を知るものとしては複雑な感慨を持ってしまう。カブトデコムに膨大な資金融資を行った結果,取り返しの付かない不良債権を背負ってしまったのが直接の原因なのだが,その投資先の一つがこのホテルなのである。
 今は普通に運営されているようで喜ばしいが,その豪華さの裏には札幌に本店があった唯一の都市銀行の倒産劇があったのだ。それを思うと,今回のゴーマニズム宣言EXTRAを素直に楽しめないのである。ま,よしりんに罪はないのだけれど・・・ね。

9/27(土) 掛川・晴

 まだ夜中なので,天気不明。天候が安定しない典型的な秋の気候が続く。台風シーズンは終わりのようだが,でかい地震が今年は頻発している。釧路地方で震度6とのこと。義弟(なんだよなあ,実感湧かないけど)の実家は大丈夫かしらん?
 Google Toolbar Version 2をインストールする。PageRankの数字が明確に表示できて,わかりやすさに磨きがかかった。んで,わしのWebページのPageRankはというと5/10とのこと。証拠はこれ。わしの職場のメインページと同じランクやんけ。どうやらわしのページ内リンクがそのままカウントされてしまっているようである。まあ,トップ以下のページでも独自にリンクされているところ(BNCpackとか)があるからなんだろうけど,客観的に見てどうなのかしらね?
 今学期から,数学関連科目を多数引き受けることになった。それはいいのだけれど,さーて何をやろうか,となるとかなり迷う。わし自身は応用系の人間であるから,理論屋さんから見ればヘタレ人種である。しかし,世の中,立派な人間よりもヘタレの方がずっと多いのであるから,大衆迎合的に考えれば,わしみたいなのが教えるというのはそれなりに価値のあることなのである。
 藤原正彦の「遥かなるケンブリッジ」には,著者があるカレッジのチューター(個人教授)となる経験が描かれている。数名の学生に対して家庭教師のように濃密なゼミを持つのであるが,そこでスポーツマンタイプの学生が,親しくなった藤原にこんなことを漏らす。カレッジの教授陣は,理論系より応用数学系の方向へ学生を導きたがっている。応用なら理論を適用するだけなので良い成績をとりやすいから・・・と。これは一面の真実を突いている。「良い成績」が「良い学問」に繋がるかどうかは首をかしげるけど,ね。
 純粋数学の専門書は,ものすごく密度が高いので,読みこなそうとすると時間がかかる。しかも,馬車馬のように高度な次元へと一直線に誘うものだから,んなもんいらないこの程度でいい,と感じるヘタレにとっては敷居が高すぎて,目標意識を持つことが難しい。その点,応用系だと,解決すべき具体的な問題が提示されているから,こういう問題の前提に対してはこの理論を使えばいい,この手法を適用すればいい,という道筋がとりやすい。特にコンピュータの馬力に任せた試行錯誤的シミュレーションができれば,考えるための材料も得やすい。
 わしが悩むのは,最初っから応用系を目指す人たちに必要な理論をどのように学習してもらうのか,ということである。理論系を目指して「挫折」しちゃった人たちは,そこに至るまでの理論的蓄積が期待できるから,まだいい。それが全くない場合は,目標意識を保つことができる程度に演習を行い,そこで使う理論を最低限提示し,しかも完璧な証明まで至らないまでも,その理論が正しいことを納得してもらうぐらいの「説明」を行う,という形を取ることになる。このバランスをどうするか,で悩むのである。
 ま,悩んだところで,結果として「いい授業」が可能かどうかは怪しいのであるが,こーゆーことに少ない灰色の脳細胞を使うのは嫌いではないので,今日も,うじうじと結論の出るような出ないような思考に時間を費やしているのである。

9/24(水) 掛川・曇時々雨

 風が強い上に,昼からは雨までぱらついてくる,いやんな天気。明日はちっとはマシになるようである。
 12月まで研究集会もなし,などと書いたら,本日,Linux Conference 2003採用通知が届く。11月1日(土)講演とのこと。前日から泊まり込んで,大阪でもぶらついてきますかねぇ。
 つーことで,10月3日までに原稿を出せとのこと。あーもーまた仕事が増えた~・・・と自分から申し込んでおいて,贅沢なことをぬかす私。
 e-Learning学会に入会すべく,書類を書く。これでえーと・・・日本応用数理学会,日本数学会,情報処理学会,SIAM,日本Linux協会,e-learning学会・・・6学会か。銭ばっかりかかるわい。仕事上の投資みたいなモンだから,いいんだけどさ。

桂米朝×筒井康隆「対談 笑いの世界」朝日選書

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-02-259835-2 \1200
 人間国宝&文化功労者の噺家と,シュバリエ賞&紫綬褒章作家との対談をまとめたもの。筒井によれば,新聞に掲載されたのはこれのダイジェスト版で,「限られた紙面」であったために「面白い部分は大きく割愛」されたものだったそうである。4時間に渡る長丁場の対談にしては「朝日の謝礼というのは失礼ながら恐るべき低額」なので,本にすべきと筒井は主張し,もう一度対談を重ねて本書が出版されるに至った。
 米朝という人は,私がものごころついた時には既に上方落語のの大御所で,オーソドックスな噺家というイメージがあった。が,噺を聞いてみると,マクラでは時事ネタを織り込んで観客を引きつけるだけの現代性を持っており,伝統芸能としての落語をタダ語るだけの人ではない,ということが段々と分かってきた。「大物」というのはこーゆー人のことなのであるな。小松左京と親交があるだけあって,SFを含めて本をよく読んでいるよなあ,と感心する。本職の落語に至っては,ちくま文庫から自身の解説付きの選集が発行されているが,まあ底知れない知識があって,弟子のざこばに言わせると「広うて深うてむちゃくちゃやしね」となる。
 といっても,それだけ深いと自らその知識を披露するにも限界があり,引っ張り出すだけの力量を持った相手が必要である。本書の対談は,勿論,大御所同士のタッグを見せる目的で設定されたものであろうが,さすがに筒井は一歩引いて,米朝の底知れぬ知識を読者に開陳するべく,楽しみつつも奮闘しているように感じた。
 んで,読んでいる方と言えば,古典芸能には全くもって暗い上,大阪の知識が皆無であるから,脚注は充実しているとはいえ,よく分からない部分が多い。それでも,語られるエピソードの多くに感心したりにやりとしたりさせられ,一気読みしてしまった。「分からない部分もあるけど,そこも含めて面白い」という楽しみ方が出来れば,なおよし,という本である。