11/15(日) 駿府・?

 昨日は雨がそぼ降る日だったが,本日午前中まで続くらしい。

 ニュースサイトではフランスのパリで起きたISによる連続テロの報道で持ちきりだが,テロの土壌となった,移民に対する差別的待遇が続くようではしばらくごたつくこと間違いない。とはいえ,ナントの勅令が出た国だし,そのうちどこかでムスリムとクリスチャンとの現代的ナントの勅令っぽいものが熟成されてくるのかなとも思う。ごたごたを恐れて少子高齢化の止まらない滅亡的状況の日本よりは活力が維持されているのは正直羨ましい。テロが起こらずスムーズな移民導入策ってないもんなのかな。

 うちの部署では本年度一気に3人,次年度以降も2人の定年退職者が出るので今後のカリキュラム維持がめんどくさいことになってきている。とりあえず話し合いの結果,次年度はワシともうお一人で1コマ+α分の負担増加で収めることになったが,その先は更に面倒でカリキュラム自体の変更も織り込んだ予定をこれから決めることになる。メンドクサイことこの上ないが,新人の方が入ってこその活力維持策,フランスじゃないけどゴタゴタも一興・・・と割り切っていきたいところ。

 神さんに付き合って夕方うとうとしてたらぐっすり寝込んでしまって起きたらまだ午後11時。その後眠れず(神さんは余裕で就寝中。タフだ),つらつら次年度の新規担当講義のことを考えている。後期だからまだ時間はあるんだけど,シラバス執筆は11月中に〆切だから内容の粗筋は決めておかないといかんのである。つーことで多倍長数値計算をやろうと思って色々調べているのだが,統合的にQD, MPFR/GMPを扱えてパフォーマンスにも優れ,OpenMPもスカスカ動くFreeで使いやすいWindowsでも動作可能な多倍長数値計算環境って全然ない,皆目ない,まぁないからこそワシな自分で書いている訳だが,この時代にワシ流儀のアセンブラコードみたいなANSI Cオンリーなプログラミングをやらせるのもど―かなと思い,せめてC++でと思っているのだが,BoostはQDが入ってないし,MPACKが一番理想的だし当然紹介するんだけど内部まで踏み込んで解説するとマニアックすぎるし,exflibだとユーザ数が少ないし,表層的に全体を眺めるためにはQDのC++クラスとMPFR++を使うのが楽なのかなと。Pythonのgmpyを使うのも現代的なのかもしれんが,QDとGMPのlow level解説は外せないから,あまり抽象度が高い便利すぎるツールよりかは個人的に好ましいと思うのであります。
 学部の講義は少なからず講師の個人的好みが反映されるのは致し方ないし,そういうコダワリの集積が現代技術の土台だからある程度は許容されるとしても,できうる限り現代的でスタンダードなものを提示する努力は必要と考えている。・・・ま,多倍長計算がスタンダードなものかという議論はありそうだけど,こんだけ使う人が増えたんだからボチボチよろしかろうて。

 ぷちめれを立ち上げるほどじゃないけど,吉村昭の「戦艦武蔵ノート」(岩波現代文庫)から気に入った記述があったので以下抜粋。(P.236 – 237)

 「(注:小説「戦艦武蔵」を書きあげた直後)その頃,長崎放送から,数年前,「武蔵」の建造を中心としたルポルタージュの放送テープが残っているが,きいてみてはどうか・・・・・・という話が,同局の川尻氏というひとからあった。
 (中略)
  ただその中で,元技師の某氏の言葉が私の神経を刺した。その人は,
 「「武蔵」は,平和をねがって建造されたもので,この巨艦さえあればアメリカも手は出せないだろうなと思っていた。いわば私は,平和のために「武蔵」建造に従事したのです」と言う。
 馬鹿を言うな,と思った。「武蔵」は,純然たる兵器である。多くの人々を艦船とともに巨大な砲艦で飛散させようという目的でつくられた殺戮の具である。それを「平和のために」というのは,現在の時点に立った考え方で,こうした浅薄な妄言が戦争の実態をぼやかし,戦争のもつ残酷さを薄めてさせてしまっているのである。核兵器保有が平和のため・・・・・・という大国の愚劣な言葉とまったく同一で,私は不快感を通りこして憤りをおぼえた。」

 吉村昭らしい意見である。

 寝る。