3/9(日) 駿府・晴

 ここんとこ気温が急上昇,朝晩はまだ薄手のヒートテックと上っ張りがが必要だが,日中は室内に居る限り暖かい,どころかちっと暑いぐらい。早咲きの桜はほぼ満開なので,真打ちソメイヨシノの開花も近そうである。入学式には散り始めて残っているかどうか。

 つーことで春めいてくると新年度の始まりが刻一刻と近づいてくるわけで,日曜日のサザエさん症候群ならぬ,教員特有の桜症候群という鬱症状が出てくるのである。最もワシは鬱などと言っていられず,「多倍長数値計算入門(仮)」の最終版仕上げと,「Python数値計算入門(仮)」のプログラムネタの仕込みにかかりきり・・・といきたいところだが,次年度のメンドクサイ引き継ぎ事項があれこれ挿入されて,合間合間に執筆&プログラミングに勤しむ次第。新年度が始まるとこれがさらに加速されそうである。ちなみに前者について4月以降,お知り合いとこちらが勝手に認定した方々に「内容チェックして~」メールが行きますので,お気が向いたら眺めて下さいまし。

 そーいや,先日,のこのこ某学会の研究集会に参加したら,某・元帝大教授の先生が60代で亡くなられていたことを知った。正直言って近寄りたくない帝大エリート臭プンプンと評判の方だったので,直接言葉を交わしたことはなかったのだが,一つだけ感心していたのは,弟子筋の超優秀な若手を抜擢して教授に昇進させ,自身は早々に定年前に身を引いて私立大学に席を移していたことである。

 吉田豪の名言に「自分に自信がある奴はチンコがデカい」というものがある。チンコでも漫湖(あえて誤字)でも研究の才能でもいいんだけど,自身の存在価値をがっちり固定させる何かがあれば,人間どっしり構えていられるという世間知を表現している訳だが,エリート臭プンプンってのは,その点自信がなく,逆にコンプレックスに対する防御反応であるとも言える(ので,たまに突っつくと面白い)。この元帝大教授の先生は,なるほど批評眼はあるし理解力は凄いけれど,論文を量産する才能には欠けていたようで,弟子との連名で書かれたものを読む限り,あんまし内容に貢献したとは正直思えず,はっきり言って,才能ある弟子にぶら下がっていた感がある。もちろん研究室主宰として,それは普通にあることだし,若手の優秀さを引っ張り出してきた手腕こそ,大学という組織内では求められる能力である。が,やっぱり研究者一個人としての能力にはコンプレックスがあったのかなぁと勝手に想像しているのだが,それ故に,自分の席をかなり早い時期に後進に譲ったのは見事な引き際だったと,ワシは感心しているのである。

 次年度鬱と言えば,うっかり情報処理学会ACS論文誌の編集委員を次年度から引き受けることになりました。誰だか存じませんが,ワシを推薦した方がいらっしゃったようで,一言言ってほしいよなぁと思わんでもありませんが,Journal編集委員退任後の最期のご奉公だと思って勤めますよん。だから投稿して下さい!よろしく!

 つーことをつらつら考えながら,原稿を書く今日この頃であります。