「できない」とはどういうことか?(1)

 日々「できない」と格闘しているのがワシの現在の状況である。

 「できない」とはどういうことか? 齢40にもなれば「できない」ことだらけであることは悟っており,その中から「できない」を克服して,あるいは回避して,「できる」ことだけをやって人生過ごしていくことになる。

 「できない」は自分のことだけではない。ワシの場合,教師という仕事柄,学生の「できない」にも日々お付き合いしているのである。その結果,「できない」学生との付き合いを通じて,絶望の谷と歓喜の山の間を乱気流にもまれながらキリキリ舞いさせられている訳である。で,そーゆー状況の中で20年以上もお付き合いしてると,割とそういうのにも慣れてきて肩の力が抜けてきている。

 つーことで,自分の「できない」と,学生の「できない」の両方を割と客観視して見られるようになったかなぁ,と思う今日この頃であるので,折に触れてその諸々の「できない」を綴っていこうと思っているのである。

 つづく・・・かな?

5/31(金) 駿府・晴

 朝方に雨が降ったようだが,出勤時には曇り空,職場についた時には良い天気。暑い日でございました。
 暑い暑いと言いつつ,出張前に確保しておいたGTX780カードを購入
zotac780.JPG
gt620_gtx780.JPG
今ンとこ一番マシなマシンにぶっこんでみる。
inserted_gtx780card.JPG
 Scientific Linux x86_64 6.4の場合,CUDA toolkit 5.5RCをドライバ込みでインストールした後に,もう一回,NVIDIA提供の最新ドライバを入れ直す必要がある。そうしないと,OpenGLライブラリ等が入らないようなのである。二度手間でめんどくさい。
 つーことで,手持ちのTesla C2070,GTX680SLIと今回のGTX780との比較を,cublasとmagma 1.3.0を使って行ってみる。行列ベクトル積と行列積の結果は下記の通り。
sdgemm.png
 う~む,単精度とはいえ3TFってのは凄いな・・・しかもこれ,約9万円のカードである。なんなんだったんだ,かつてPentium3マシンを使ってMPIクラスタを作った苦労はと愚痴の一つも言いたくなる。しかしTeslaってあん摩し早くないな。性能は安定しているところはさすがと思うが,大枚はたいたのにもう廉価版に負けちゃうってのは,ICT業界ではよくあることだけど諸行無常を感じさせる。
 直接法での結果も載せておこう。
direct_method.png
 やっぱり倍精度計算ではイマイチで,実用的かつ高精度な計算をしたければ高いカードを買うべきだという当然の結論になるなぁ。
 9万円のカードで遊んだので寝ます。

Benchmarking on AMD FX-8350(2)

 つーことで,前回に引き続き,FX-8350のベンチマークである。今回は倍精度浮動小数点演算の行列積計算でGflops値を計測。詳細はIntelの解説でも読んでくれたまえ。環境は前回同様,Intel Core i7-3930マシンとFX-8350マシンを用いる。環境は

  • Scientific Linux 6.3 x86_64 (Kernel 2.6.32-279)
  • Intel icc 13.0.1
  • Intel Math Kernel 11.0.1

である。比較検討のため,Intel Math KernelのDGEMMルーチンを用いた場合と,単純な三重ループを用いた場合のGflops値を載せる。
matrix_multiplication.png
 DGEMMの場合,i7-3930が25.5Gflops,FX-3850が21.3Gflopsと大体2割引きぐらい。三重ループの場合は変動が激しいので一概には言えないが,次元数が大きくなると5割引きぐらいで落ち着く。もちろん,1 threadでの計算なので,並列化するとまた違ってくるのだろうが,整数演算同様,価格の割にはがんばってるなぁというのが正直な感想である。
 最近は大規模な線型計算をGPGPUするのが普通になりつつあるので,GTXあたりを乗っけてCPUはフォロー計算程度にする,ということなら高いIntel CPUを使わずにAMDで頑張る,というのもコストダウンのためにはいいことかも。
 さて,並列計算させたらどうなるのか? というあたりはまた年明けに~。

Benchmarking on AMD FX-8350(1)

 AMD主催の勉強会に出席してきたのである。
DSC_1578.JPG
 何でもFX-8350とM/B+弁当をくれるという。で,先週の水曜日,いそいそと東京駅傍の森地上げ屋ビルに引越したてのAMD日本支社に出かけていたという次第である。

 タダでハードを提供してやる代わりに↑これを埋め込んだ記事を書かないと逆さ貼り付けの上,市中引き回しになるとのことである。
 つーことでさっそく組み立てて水枕を組み込んだのである。これが先週末までのお話。
DSC_1585.JPG
DSC_1597.png
 まずはてっとり早く,手持ちのパーツをくみ上げて,16GBのRAMに32GBのUSB 2.0メモリを突っ込んでScientific Linux 6.3 x86_64をインストールした。ブート時にFirmware Bugと表示されるんで肝を冷やしたが,動作そのものには影響がないようである。あとでBIOS updatesしてみよう。

[Firmware Bug]: cpu 0, invalid threshold interrupt offset 0 for bank 4, block 0 (MSR00000413=0xc010000001000000)
[Firmware Bug]: cpu 0, invalid threshold interrupt offset 0 for bank 4, block 1 (MSRC0000408=0xc010000001000000)
[Firmware Bug]: cpu 0, invalid threshold interrupt offset 0 for bank 4, block 2 (MSRC0000409=0xc010000001000000)

 さて,ワシの目的はもちろん多倍長計算のベンチマークテストである。倍精度FPについてはあとでLAPACKベンチを行って確認する予定である。
 いつもの通り,MPFRのベンチマークをやってみる。比較用としてワシの環境下では最速のCore i7-3930Kの実行結果を使ってみるとこんな感じ。
mpfr-bench-fx8350vsCorei7-3930K.png
 AMDの方は,Core i7じゃなくてi5対抗の製品と考えてほしいと言っていたが,結構いいところまで行っているように感じる。勿論i7のほうが高速で,100桁~10000桁計算ではFXの0.97~1.24倍高速になっており,概ね1.1倍といったところ。しかしまぁ価格を見ると(kakaku.com参照)

FX-8350 ¥17,270~¥20,050
Core i7-3930K ¥42,600~¥60,636

ってなもんだから,i7を欲しがる人には,少なくともGMPのMNPカーネルの速度に関してはFXは十分お買い得といえるのではないかな。まぁ,これは整数演算ベースのベンチマークなので,倍精度FPをぶん回したい人に向いているかどうかはまだ不明。
 とりあえず今日の報告はこの辺で。次はマルチスレッド並列性能について比較してみよう。これも結構期待できそうな数値が出ているから,一応,8 coresを謳うだけのことはあるようだ。

iTunesアカウント乗っ取られる

 みっともない話だが,ワシが使っていたiTunesアカウントが乗っ取られて不正利用されてしまった。折角の機会なので,その顛末をここに期しておく(自戒を込めて)。
 本日午前中,家でうだうだしていたワシに,Appleからこんなメールが届いたのだ。
message_said_cracked_account_was_used.png
 iTunesから買い物をするとメールが届く・・・んだっけ? と思って文面をよく見たらワシの名前じゃない! ドイツ人? 何人だこれ? というもの。とはいえ,確かにワシのメールアドレス宛にメールが届いているところを見ると,ワシのアカウントで買ったことは間違いない。Appleからは「いつも使っている環境とは違うところから使われているようだが」という警告メールが届いたのである。
 で、慌ててしばらく使ってなかったiTunesのアカウントを見ると見事に書き換わっている!こんな感じ↓
cracked_account_information.PNG
 ・・・わはは,完全にドイッチェである。等と笑っている場合ではない。名前の所だけがワシの名前になっているのは,パスワード変更してアカウント情報を書き直しつつある過程にあるものだからである。だもんで,最初見た時はぜーんぶドイツ語。何が何だかさっぱり分からん。しかし紛れもないワシのiTunesアカウントなのである。うわぁ~,どしよっ!
 幸いにもクレジット情報まで書き換わっていて(なんで?),ワシの持っているカード情報とは別物になっていた。セキュリティコードは保存しないようになっているので,再利用しようにも出来なかったのかしら? 兎も角,金銭的な実害は出ないと知って一安心である。
 実際,不正利用した奴が買ったのはこの訳の分からん二品のみ。有料なのはSnail Bobとかいうゲームだけで,0.79€なんだそーである。まぁ100円程度であるな。ちなみに「前回までの購入」は全部ワシ自身が購入したもの。ま,年と指向がばれてしまうが,全然今までも履歴と違うものを買ってしまっていることはよく分かるであろうから,ここにプライバシーと共に公開してしまうことにするのである。
bought_items_from_cracked_account.png
 上の「問題を報告」の部分をクリックしてiTunesの事務局に「不正利用だ!止めてくれ!(実害ないけど)」と報告し,パスワードを再度書き換えてアカウント情報を全部書き直し,クレジット情報も消去して,今のところは落ち着いている。
 クラックされたのはやっぱり以前から使っているメールアドレスをアカウントにしていたことと,長いパスワードにしていたとはいえ,辞書攻撃には弱いものになっていたということが原因だろう。相手が誰かは分からないが,まぁツールを使っているscript kiddyってところじゃないかと。
 全く池田信夫を笑えないなぁ,気をつけないとなぁ・・・と自戒中のワシなのである。