最近は体力がなくなったせいか,晩飯後に一眠りしてしまうことが増えた。クーラーつけっぱなし状態になるので,体調にもよろしくないのだが,どーもいかん。我が家には未だソファなるものがないので,ちょっと楽な姿勢で本でも読もうか,となるとベッドにごろ寝するほかなく,そうすると必然的に睡眠してしまうのである。困ったものであるが,中年親父としてはスタンダードな行いとも言えるので,無理せずこのままでいいか,と半ば諦めている今日この頃なのである。
出勤したら,外の階段にアブラゼミが黙々と止まっていた。
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鳴いていないということは雌か,雌を求めること諦めた雄のどちらか。後者だとすると昆虫如きに共感しそうになるので,前者だということにしておく。
昨日は職場の夏期閉鎖日。次週火曜日までは機械警備に切り替わってしまうので,本日中にあれこれとたまった用事を済ませて・・・とはならず,休暇もお仕事モードとなりそうな予感。つーても,休んじゃうんだけどね。
閉鎖日当日の習慣として,帰りにでかいショッピングセンターへ立ち寄るというものがあるのだが,昨年までは浜松のジャスコに出かけていた。しかし今年からは,ららぽーと磐田が出来たので,そちらに向かう。ETC処女童貞だったので,東名に袋井ICから乗って,遠州豊田PAのスマートICから降りてみた。すげー,自動扉みたい~。さすが文明の利器(っていつの人間だワシは)。
晩飯はフードコートでラーメンというメタボ親父には禁断の実のような代物。久々だったので汁まで飲み干したら
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感謝されてしまった。禁断に実を食った後で,そそのかした蛇にありがとうと言われた気分。痩せなきゃ。
上り線は袋井ICから静岡ICまでは通行止めだったので,行きは袋井ICから国一バイパスへ向かう渋滞の列を横目で見ながら東名に乗ったが,帰り道でそれに巻き込まれるのはイヤだったので,下道を通ってゆるゆると掛川に戻る。勝手知ったる地元道なので,カーナビの指示を無視しまくっていたのだが,その度に最善のルートを検索し直すのには感心した。いいけど,従順すぎという気もする。とり・みきのマンガにあるように,タマには道を間違えた運転手を罵倒したっていいように思う。ま,気分の悪いときにはぶち壊したくなりそうだが。
今回の地震,まだ命名されてないようだが,東海地震じゃないというから,どういう名前になるのやら。それはともかく,今の時点では,今回の地震で唯一の死者が本に押しつぶされた女性(産経新聞)ということになるようだ。NHKラジオの朝のニュースでは相当な高さまで平積みにしていたのが原因と言っていたが,人ごとではないというオタクは全国に大勢いそうだ。何にせよ,寝床のある場所から離れたところに収集物は積んでおきましょう。
今後こそチャンと寝ます。
西炯子「ひとりで生きるモン!」3巻,徳間書店
[ Amazon ] ISBN 978-4-19-960412-6, \657
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数年単位でチマチマとまとめられてきた本書,出る度にごくごく短い感想とも言えないつぶやきを書いてきたが,今年もまた,同じように自虐ネタを書くことになった。それは最後に取っておくとして,まずは,本書のタイトル「ひとりで生きるモン!」という,ひとりもの(=負け犬)が強がって叫んでいるような文句は,果たして平成の奇書(by 林真理子)・酒井順子の「負け犬の遠吠え」より先に出来たのかどうかを検証した結果をご報告したい。
結論を簡潔に言うと,圧倒的に「ひとりで生きるモン!」の方が,「負け犬の遠吠え」より時期が早い。小学館パレット文庫しおりに「魂の叫び」の如き4コママンガが印刷されるようになったのは1997年11月から,単行本1巻が徳間書店から出版されたのは2003年1月(販売は2002年12月かも)。酒井順子がひとりものとしての生き方を肯定的かつ自虐的にIN☆POCKET誌上で描き始めたのは2002年1月号から,単行本にまとまって出版されたのが2003年10月,ちなみに文庫化されたのは2006年になってからである。
つーことで,「負け犬」というひとりものの新たな概念提示より5年も前に,西炯子は「ひとりで生きるモン!」と強がりつつ,肩で風を切っていたのである。ひとりものの強がりをエンターテイメントにした先駆者として,大いに称揚しようではないか,負け犬諸君!
・・・ということで,本書に納められてるエキセントリックな4コマの紹介を兼ねて,ちみっとアレンジした4コママンガのシナリオをお届けする。適宜,西炯子の華麗なる描線を脳内に思い描きながら読んで頂きたい。
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「BLアプローチ大作戦」
(1コマ目) ベッドにて,男子高校生がぼんやり考え事をしている。
モノローグ:「彼女にアプローチするためには」「共通の趣味を見つけること・・・」
(2コマ目) 授業中の教室にて。隣には彼女の座席がある。
男子高校生:「・・・」
(3コマ目) 同。
男子高校生:「年上は受に決まっているよね」(ボソッと)
(4コマ目) 同。
両人,力強く握手。
モノローグ:「やった!」「・・・のか?」
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「私の彼はムダマン」
(1コマ目) ムダマン!(「ドギャーン!」という派手な擬音と共に決めポーズ)
(2コマ目) 高校生のT.Kouyaが授業中に考え事をしている。
モノローグ:「・・・・人生の目標・・・・」
(3コマ目) 同。
モノローグ:「・・・・安らかに過ごせる有料老人ホームに入ること・・・・」(←事実)
(4コマ目) ムダマン!(「ズドーン!」)
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「life is beautiful」
(1コマ目) 仕事中のT.Kouya。
モノローグ:「酒もタバコもやらないし」「自炊の飯が一番うまい」
(2コマ目) Web画面を見ながら和むT.Kouya。
モノローグ:「本音のところ,彼女も必要ないし」「仕事してれば特に不満もない」「本当の癒しは女子ビーチバレー試合中の選手の写真」(「はぁ,いやされるぅ~」という台詞付き)
(3コマ目) 天真爛漫な表情の学生のアップ。
学生:「先生は,何が楽しくてそんな人生を過ごしているんですかぁ?」
(4コマ目) コンパ中の一コマ,俯瞰で。
モノローグ:「そんなことを無邪気に言いつつ」「全然単位が揃わないお前の×××を××することだよ」「と,言いたいが言わないよ」「大人になるってこういうことかも,T.Kouya,教師生活16年目」
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「何が面白いのか全然分らない」という方は,本書を買って実物と触れることで理解をして頂きたい。
「とても笑った。」という方は,本書を買ってもっと客観的な視点を作品から得て,更に爆笑して頂きたい。
「T.Kouyaの人間性に疑問を持った」という方は,本書を買う以前に人間を観察する目を養って頂きたい。その上で本書を買って研鑽を深めて頂きたいものである。
8/11(火)掛川・震度5~6弱
うひぃ~,ベッドから落っこちるかと思ったぁ~(気象庁の震度情報)。でも新築マンションのおかげか,今んところ本棚から本がバラバラ落っこちた程度で済んでます~。
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掛川市内は倒壊した家も火事も停電もなく,ゆっくりと犬を散歩する人がいたりして,震度6の地震があったとは思えないほど平穏無事。ま,おおごとにはならんでしょう。
とりあえず,職場の状況を見てきます。・・・稼働しっぱなしのマシンがすっ飛んだぐらいは覚悟しないと駄目かも・・・頭イタ・・・。
ただいま~(AM7時),とりあえず職場のマシンは無事でした。サーバマシンも今んとこ無事稼働中。HDDのトラブルはこれから出るのかもしれないが,バックアップを取っておけばまぁ当分は大丈夫でしょう。
え~,こんなでかい地震でも東海地震そのものじゃないんだ・・・どーせなら早く来てくれと思う今回の地震でありました。
なかせよしみ「でもくらちゃん」リュウコミックス
[ Amazon ] ISBN 978-4-19-950136-4, \571
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先日,友人から「お前はしぶとい」と言われた。
最初は意味が分らなかったが,言われてみれば,確かにワシは結構しぶといかもしれない,と今更ながら思い当たった。24歳で就職し能登半島に飛ばされつつ仕事と平行してDr.取って6年,それから間もなく静岡の方に転職して10年,合計16年もの間,何だかんだ言ってもコンスタントにダメダメなものとはいえ,アカデミックキャリアを積み重ねてきたのだから,自分の能力に比して,まぁよくやってきた方だよなぁと,自分の書き散らしてきたものを眺めながらシミジミしてしまうのである。大体このblogにしたって,自分用のメモ代わりの日記であって,まさか人様から多数閲覧してもらうようになり,批判までして頂けるようになるとはついぞ思ったこともなかった。ましてや,顔見知りの方から「blog読んだよ!」と面と向かって言われて肩身の狭い思いをするなんて,想像の外である。・・・そっか,ワシは案外「しぶとい」人間なんだと,四十路を迎えてようやく会得したのである。
しかし,世の中上には上がいる。ワシより5歳も年長,四十路後半にしてComicリュウの新人発掘コンテスト「第4回龍神賞」に応募し,見事審査員の一人である安彦良和の推薦を得て銅龍賞を獲得した,なかせよしみである。
名前と自画像(の長く伸びた後ろ髪)から女性だとばっかり思っていたら,受賞コメントに「家内が喜びました」とあって,ありゃ男性だったか,と知ったのである。どーりでコミティア50thプレミアムブックに堂々と生年月日が書いてある訳だ。応募当時で44歳,現在は45歳になる「新人」は,しかし正確に言うと既に1999年にデビューして現在も連載も持っており,その意味から言えば立派なプロである。リュウ・大野編集長はコミティアでなかせの同人誌も継続してウオッチしていたようで,期待が高いせいか,応募作については「評価は余り高くない」「線・構図などが,この段階で固まってしまっていいのか,という気持ちがある」と述べている。もう一人の審査員,吾妻ひでおの評価も「SFとしてはありがち」と,「水準以上ではあるけど,もっとオリジナリティというか,この作家特有のクセみたいなものを見せてほしい」とあまり高くない。
再(再々か?)デビュー作「うっちー3LDK」はComicリュウ2009年4月号に掲載されているが,ワシが読んだ限りは,安彦良和の意見も,大野編集長・吾妻ひでおの意見もそれぞれ正しいところを言い当てているように思える。多分,多数決を取ったら大野・吾妻の評価を支持する方が多いだろう。しかし,少数派かもしれないが,安彦のように,なかせ作品がツボにはまる読者が必ずいると思われるのだ。このあたりの機微を大野がすくい取ったのか,それとも本人に発破をかけるつもりなのかは知らねど,昔から同人誌・商業誌で書き継いできたシリーズをまとめた単行本を先駆け的に出版したのである。それが本作,「でもくらちゃん」である。
昭和20年の終戦直後に出茂倉(でもくら)家には双子が生まれ,昭和42年にその双子がそれぞれまた双子を生み,この4人から平成に入って3人ずつの娘が生まれた。つまり,1×2×2×3 = 12ということで,ちょうど1ダースの,個別認識が本人達にもヘアバンドの力を借りなければ出来ない娘の集団ができたというのが本作の基本シチュエーションである。で,画面に12人の子供がわらわらとゴキブリのように這い回る・・・というと気持ち悪そうだが,かわいさもプラスされているから,雰囲気は異様なれど,まぁ,普通のシチュエーションコメディとして読むことは出来る。この1ダースの娘集団の謎は,単行本の最後当たりで明かされるのだが,このきちんとした「オチ」のつけかたは,とり・みきの単行本とよく似ている。長期間にわたってあっちこっちの媒体に掲載されたバラバラの短編を編んでみて,足りなそうな所を書き下ろしで埋めたら,うまい具合にまとまりがでた,そんな感じのウェルメイド単行本なのである。これは結構マニアックなツボを刺激しているように思えるので,アリの集団に萌えるタチの方にはお奨めしておきたい。
個人的には本作より,今シリーズ連作になっている「うっちー3LDK」が単行本としてまとまる方が楽しみなのだが,果たして大野編集長は,せめて原稿が一冊分溜まるまでなかせよしみをComicリュウ誌上で泳がせてくれるのであろうか? ワシ同様,細いながらもしぶとく商業漫画界に踏みとどまってきたなかせに,ワシは共感を覚えずにはいられないのである。
水島新司「野球傑作選1 くそ暑い夏」ヤングジャンプコミックス
[ Amazon ] ISBN 978-4-08-877651-4, \562
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水島新司のマンガを購入して読むのは久しぶりだ。実家には叔母から譲り受けた「ドカベン」(チャンピオンコミックス)が揃っているが,読み返すことは余りない。大体頭に入っているし,読み出したら止まらなくなることが分っているからである。特に不気味な高知代表(土佐なんとか高校だったか)との死闘は一番心に残っているもので,あの憎たらしい笑い方をするチビが最後の最後でボールを取るところなぞは,思わず頑張れと心中で叫んでしまう・・・ああ,かように読むどころか語り出しても止まらなくなってしまうのである。
加えて,近頃ようやく引退が決まった「あぶさん」(ビッグコミックス)なら,たいていどこのラーメン屋でも床屋でも病院の待合室でも揃っていたりするから,わざわざ購入して読む必要もない。どこから読み始めても,「ああ,あぶさんも歳だなぁ」とか,「ハゲチャビン親父がマンガに出てくれたら面白いのになぁ」(もう出ているかな?)などと思いながら楽しい時間を過ごすことが出来るのである。
そう,水島新司のマンガは,日本人の親父ならなら誰しも一度は目にしたことのある普遍的な共有物であり,いつ読んでも期待を裏切られることのない希有なものなのである。
久しぶりに読んでみようかとワシが手に取った本作は,ビジネスジャンプに連載されている短編シリーズである。共通するのは夏の甲子園球場で活躍する高校球児が主人公というのみ。一作ごとに異なるキャラクター達が,さわやかな活躍を見せてくれる。それでいて,老練なストーリー展開と描写力によって,一作一作が短編とは思えない程の読み応えがあるのだ。「短編小説とは人生の断面を切り取って提示するものである」ってのはどっかの作家が言ったことらしいが,水島のこの短編シリーズはまさしくそのお手本と言うべき,若い高校生達のみならず,周囲の大人達の人生の切り口も提示して豊かな世界を築き上げているのである。
本作には,鈍くさいけどチームの要になる奴,心に負い目を持ったかつての剛速球投手,力量ではピカイチだが運や人間的魅力に欠ける奴,ちょっと間が抜けているけど巧みに試合を運んでいく奴等々が登場する。彼らが紡ぐ物語はとても魅力的で,そして唸るほど巧みに編まれている。今は日本各地にマンガを教える大学や専門学校があちこちにあるようだが,本作は実作の教科書として,すぐには到達し得ないけど目標とすべきものを次世代の作家達に提示してくれるものとワシは確信しているのである。