7/23(木) 掛川・曇時々雨

 昨日は日食だったが,あいにく梅雨真っ最中の空模様で,雲間からちらちら見える程度だったようだ。本日も昨日に引き続き曇天ドンテン。いつになったら梅雨が明けるのかのう? このままでは冷夏になってしまうぞ。
 投稿論文,「直ってないぞ~!」という怒りの査読者からの指摘があって再々投稿を求められた。慌ててチェックしてみたら全部ちゃんと直してある。さてはupload時に間違えたかと思ったが,「何度も確認したはずだがなぁ・・・」と納得いかない。ともかく,「こちらはチャンと直してある。もうあのuploadしたファイルの確認も出来ない

は使いたくないので,このメールに添付して修正原稿を送るので,査読者にはあんじょうよろしくお願いしまっせ」というメールを送る。ふ~,もう切れそうだけど,査読者の方も同じだろう。「バカなんじゃないかこいつ」という呆れたような指摘があったけど,まぁ否定はしない。しないけどさぁ,やっぱりuploadしたファイルの確認も出来ない

には納得いかないよねぇ。・・・え,そんな糞味噌に書いていいのかって? なーに,JSIAMの偉いさん達が

こんなblogを読んでいるはずがない

ので心配することはないのである。わははははははは。
 ION + Atom 330(以下,ION 330と略記)のMPFR性能をはかるべく
mpfrbench-spec.png
というようなスペックのマシンで計算時間を比較してみた。使ったプログラムはこれである。
 で結果。ION 330マシンの計算時間を1としたときの速度向上率をプロットした。1以上がION330より性能が上であることを示している。
mpfrbench.png
 総合してみると
 1. Core i7 (64bit)
 2. Pentium D (64bit)
 3. Pentium IV (32bit)
 4. ION (Atom) 330 (64bit)
 5. Pentium III (32bit)
という結果になる。ま,順当ですな。こうしてみると,やっぱりCore i7ってのはさすが性能が良いなぁ~と感心させられる。ION 330マシンの約5~6倍速いんだもんなぁ。こっちのベンチマーク結果と比較すると,一世代前のXeonよりCore i7の方が速いんだもんね。周波数だけでは分らないIntelの地道な努力に脱帽である。
 IONマシンは現行のPentium III(まだ現役なのよ,うちでは)のリプレースを狙っての導入を予定しているのだが,ま,CPU性能だけなら十分説得力があるな。コスト的にはCore i7マシンを1台とION 330マシン2台では良い勝負だろう(電気代も含めると)から,さてどっちにすべきかは議論がありそう。
 ただ,ION 330マシン,Google Earthがばっちりストレスなく動くのはいいとして,CentOS 5.3 x86_64だと,アプリケーションの起動がやたらめったら遅いのが困りもの。ターミナルを起動しようとすると数十秒待たされる。もちろんnVidiaの純正ディスプレイドライバを突っ込んだ状態でもこうなるのだ。つーか,純正ドライバを入れない方が速かったような・・・?
 ま,暫く様子見をするとしよう。ちなみにon boardのethernetはこちらの掲示板にある通り,kmod-forthdepth(x86_64用)を突っ込むと使えるようになります。NetPIPEのベンチマークとかはまたこれから。8月に入ってからじゃないと暇がない~・・・って,8月もめいっぱいですがな。しかしなんとかいじくり倒したいなぁ~。
 さて

のことも書いたし,計算計算,と。

7/20(月・祝) 掛川・?

 昨日から一日中ウツラウツラ。ひたすらダラダラ時間を浪費する連休最終日である。疲れてんのかなぁ~? 全ては今野先生の新刊が悪い。あれがワシのエネルギーを全て奪っていったのである。ま,面白いからいいけどね。
 毎週Video Newsを見ているせいで,ワシの口調から思想まですっかり宮台真司に影響されているようだが,おかげで「日本の難点」はすっかり「それ,Video Newsで聞いた」ものばっかりになって面白くない。町山智浩さんの本も,面白いっちゃ面白いんだが,Podcastで流れているものとのネタかぶりが多くてちょっと白けるところがある。まぁ,北杜夫並に「そのネタはもう数十回以上書いているぞ」というレベルになれば,一種の味ということで許容できたりするんだけど。継続は力なり(違)。
 で,先週のVideo Newsで神保哲夫さんがネタにしていた,The World Smallest Political Quizにチャレンジしてみた。結果は下記の通り。
my_political_attitude20090720.png
 予想通りというか,当たり前というか,右よりの保守中道という結果となった。2次元座標で維持決めをするので,Vote Matchと併用するともっと精度の高いものが作れそうである。
 8月にはまたぞろWebプログラミングの実験講座をしなきゃならんのだが,作って面白いと思ってもらえるネタというと
 ・Vote MatchかPolitical Quiz(の変形版)
 ・Web Chat
 ・Postal Code DB(定番過ぎ?)
 ・Digital and Analog Clock(GD利用)
あたりかなぁと思案中。ま,グラフィックス使う方が良いかと思うんで,最後の奴になるんだろうけど,他のものもネタとして作っておくべきかなぁ。あーもーやんなきゃならんことが多すぎて手が追いつかねぇぜ。
 ボチボチ寝ます。

今野浩「すべて僕に任せてください 東工大モーレツ天才助教授の悲劇」新潮社

[ Amazon ] ISBN 978-4-10-314761-9, \1500
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 本書が世に出ちまって,東工大がひっくり返ってないかどうか,ワシはマジに心配しているのである。いや,本書が単なる「暴露本」なら,無視すればいい話なのだが,本書はそういうよくあるタイプのゴシップ集ではない。白川浩という,夭折したサブタイトル通りの「モーレツ天才助教授」(ただし,晩年は教授に昇進している)へのはなむけとしてのノンフィクション読み物なのである。しかも執筆者は「カーマーカー特許とソフトウェア」でワシを虜にした,数理計画法&金融工学(本人は「理財」工学と呼んでいるが,ここは通りのいい名前を使わせて頂く)の権威・今野浩。その今野がストレートな大学・学会・文科省とのやりとりといった内部事情を何のてらいもなく書きまくっているのだ。このドライブ感溢れる文章からは,「全てを正直に語らねばならぬ」という白川の執念が乗り移ったかのような情熱がほとばしっており,ワシは秋葉原から新幹線で掛川へ移動するまでの間,本書から一時も目を離すことができなかった。
 結論を言おう。
 本書は大傑作である。
 まるでエンターテイメントと見まごうばかりの「読ませる」文章の見事さ,そして,大学や学界に接したことがある人間なら誰しも知っている,建前に覆われた真の人間関係とシステムをぐうの音も出ないほど正確に描いた恐ろしいほどの誠実さは,本書が歴史に残る快著であることをイヤというほど知らしめてくれる。応用数理(応用「数学」でないことがポイント)学会やオペレーションズリサーチ学会の関係者なら,本書を苦笑や苦痛,そして白川という人物への同情なしに読むことは出来ない筈である。
 他の分野はよく知らないが,ワシが依拠する応用数理&情報処理の分野の,ことに一流どころの研究者という人たちは例外なくよく働いている。働きすぎて過労死じゃないのと思われるような夭折な方々も結構な頻度で見聞する程である。
 ワシがよく知る方は,ホントに死ぬんじゃないかというほど論文を書きまくり講演をしまくり研究会の座長だのなんだのと引き受けまくっていた。たまたま研究会で同じエレベーターに乗ったときに「そんなに仕事して倒れないんですか?」と聞いたら,「あ~,そろそろダメになるかもね~」といつもの調子で淡々と述べられたので呆れたことがある。幸いその方はまもなく定常状態で落ち着いたようで,日本の数値解析研究の先行きに暗雲が立ちこめることなく済んだのだが,ワシが見る限り,ホントに死ぬほど働いている方々は例外なく,頭もさることながら性格がイイ。図抜けて良い,というべきか。この世界のことだから,まぁ,頭の良い人間はザラにいる。しかし,本書でも今野が再三強調しているように,性格が良い人間はそうはいないのである。ワシのように,教授が研究室に訪ねてこようモンならあからさまにイヤな顔をして,「何の用ですか?」と地獄の底からにじみ出るような声で応答する人間が普通なのだ(いいすぎ?)。まぁ,そういう奴にはそんなに「雑用」は回ってこない。
 しかし前述した方や,白川浩のような「イヤと言えないいい人」のところには大量の仕事が回ってくる。研究会の幹事だの科研費プロジェクトのとりまとめだのという仕事の場合,その人しか勤められないというケースが多い。自身の研究もそこに載っかって進められていくことになれば,高い評価を受けるようになればなるほど仕事が仕事を呼ぶことになってしまう。結果として,評価の高い人間的にも優れた研究者には「体力」が必須のアイテムとなるのである。
 白川は東工大の助手時代,確率論を駆使した難解な金融工学の理論をドカドカと吸収し,世界の一流どころから認められる論文を書くまでに成長する。そして最期は東工大の金融工学研究の中心となるセンターの中核となって馬車馬のように働き,40代早々に経営システム工学科の教授になるのだが,既にそのときには病魔が本人の体をむしばんでいた。将来有望な白川だったが,業績の「量」という点ではイマイチだったのは,彼のキャリアにおいて多数の人間が白川の面倒見の良さにつけ込んであれこれ仕事を押しつけたことと,本人が生真面目すぎて仕事を一人で抱え込んでしまうということが原因だったようだ。研究テーマを与えて学生が仕上げた卒論や修論をベースに論文を書くことすら「搾取だ!」と拒否し続けていたというぐらい潔癖だった白川は,その純真さが徒となって,元々丈夫でなかった肉体を毀損することになってしまったのだ。今野はこのような白川の歩いてきたキャリアを,その才能に幾分かのジェラ心を抱きつつも,愛情を持って語っている。
 資金提供者にも上司に当たる教授にもアケスケな物言いをする白川に対しては軋轢も多かったが,一度懐に入ってしまえば悪意がないということが理解できるようで,友人や指導を受けた学生からは好かれていたようだ。その悪意のないストレートな意見を吐いてきた白川の人生を語る際に,教員採用基準はあくまで公募による公明正大なものだとか,論文査読はどのような研究者に対しても平等に開かれているとか,政府予算の配分は平等に行われるだのといった,誰しもそんなものは建前に過ぎないと分っている物言いを使うことは決して許されることではないし,建前で塗り固めてしまえば,そもそもなぜ前途有望な若手研究者が志し半ばで物故せねばならなかったかの説明が不可能になる。今野の文章に鬼気迫るストレートさが貫かれているのは,それこそが白川という人物を語る上では欠かせないアイテムだからなのだろう。
 それ故に,本書は一研究者の伝記という以上に,日本の,いや,世界の研究者世界というものがどのような人間くさいダイナミズムを抱えているのかを雄弁に物語っているのだ。物語りすぎて,ワシみたいな三流どころの研究者には耳の痛い文章も多いが,そこがまた本書の語りの「誠実さ」の証拠でもある。山口昌哉とか伊理正夫とか森口繁一といった,ワシにはなじみ深い大御所の名前がたくさん出ていることもさることながら,本書前半には,今野が筑波大から東工大へ異動した際に属した人文・社会学系の話も登場する。いや,大体知っては居たけど,教官のポストって,こんなに厳格に決まっているモンなんだなぁと,正直呆れる程である。何だか言いたいことが多すぎてうまくまとまらなくなってしまったが,兎にも角にも,本書は,「理工系研究者の世界ってこんなモンだよ」と説明するにはうってつけの真実の書であることは断言しておきたい。この方面の知識が皆無な読者にも,晦渋な技術の解説が皆無な本書は面白い読み物となる筈だ。
 だから東工大の皆様,本書に対してはご寛容かつ冷静な態度を取って頂きたく,切にお願い申し上げる次第であります。

7/17(金) 掛川->東京・雨後曇

 夏の朝の雨降りは最悪か最高のどちらかにしかならない。ずーっと一日中降り続けていれば,気温の上昇が抑えられて過ごしやすくなる。最悪なのは朝にちょろっと降って止んでしまうという奴。湿気だけが残り,気温の上昇と共に不快指数を指数級数的に増やすことになる。本日はこの最悪のパターンで,もう蒸し暑くて仕方がない。職場内の廊下を移動するだけで汗が噴き出す。うがぁ,これから東京行きだというのに,どうなることやら。
 論文再々投稿完了。今度こそこれで仕舞いになりますよーに。って,悪いのはミスったワシなのだが。今年度中にもう一本投稿できたらいいなぁ(願望かよ)。
 IONで遊んでいる。いや,ショッピングセンターで買い物を楽しんでいるのではない・・・というベタベタなダジャレは日本国内限定仕様。
 購入したのはASRockのボードを積んだVALORE ION 330
valore_ion_330.JPG
こいつに2GB×2のメモリを乗っけてCenOS 5.3 X86_64をインストールしてみた。今は快調に動いているが,昨日,自宅のUSB Keyboard(Filco FKB108M/JW)を突っ込んでみたら,OSが起動するまで全くキーに反応しない。USB Legacyが有効になっていないのならBIOSの設定を変えるだけなのだが,そもそもBIOSセットアップ画面が出た時点ではキーボードが反応しないのだから,変更のしようがない。フラストレーションを貯めまくってふて寝したのだが,本日,PS2 -> USB変換コネクタを使ってPS2 Keyboard + PS2 Mouseを繋いでみたら,あっさり認識しやがってBIOSセットアップも難なく可能になる。拍子抜け。何だったんだ昨日のアレは。
 BIOS画面を探してみたが,USB Legacyサポートなんぞという項目は見あたらず。結局,相性問題なのか? よーわからんが,何はともあれ,動いたことはめでたい。さて,計算がてら,ベンチマークをやってみようーっと。
 おお,ボチボチ新幹線の時間である。ではひとまずこれにて。続きは東京から。

7/15(水) 掛川・?

 九州北部から東海地方を飛び越して,いきなり関東甲信(越は入ってない?)が梅雨明け。まぁ,天気図を見る限り,前線を引き連れた低気圧が過ぎ去った後に,残った地方は梅雨明けとなるのであろう。それにしても暑くなってきた。電気代が気になる季節である。
 夏目房之介さんのblogにいきなりこんな記事が載ってびっくりしてたら,ことの顛末がJ-CASTにまとめられていた。Wikipediaには騒動の中心人物の記事まであってそのスピードに驚く。新宿区は早速「財団とは無関係」である旨,告知するし,何だか当分はこの騒動,収まりそうもない。
 個人的心情としては房之介さんに全面的に賛成である。財団の方はページを見る限り,

事業概要:
 1 夏目漱石に関する人格権、肖像権、商標権、意匠権その他無体財産権の管理
 2 夏目漱石賞の選考及び授与に関する事業
 3 文化、文明及び文芸に関するフォーラムの開催事業
 4 夏目漱石記念館(仮称)の設立、維持、運営、管理に関する事業
 5 夏目漱石の愛用品をはじめ、夏目漱石ゆかりの品の管理に関する事業
 6 その他この法人の目的を達成するために必要な事業

を行うことが目的らしい。1さえなければ有志の会なんだろうと現状でも大して問題にもならんかったと思うんだが,死後これだけ年数が経っていて,親族間の合意も取れておらず,財団の構成員も不明(Webサイトには記述がない)となると,うーん・・・なんかちょっと変,という気がする。第三者からすれば,もっと根回しをきっちりやって賛同者を増やしてから立ち上げれば良かったのに,と感じる。長谷川町子美術館のように故人の知的財産権の管理もやっている所はあるわけだから,それ自体が目的でも親族の合意が取れていればこんな騒動になることもなかったろう。
 そーいや,松本清張に関しては,記念館とは別に,有志の会みたいのがあって,小倉の旧居の保存を巡って遺族ともめているようだ(産経新聞)。有名人の死後にはいろんな人がいろんな活動をするモンだと,そういうものとは縁のない一市民としては感心するほかない。
 計算,進んでません・・・うう。頑張ります~。ああ,今週末にJSIAMの締め切りだ・・・どうしよう。