環境「依存」か環境「構築」か?

 最近はとんと新言語というものが登場しなくなった。いや,草の根レベルでは色々考案されているのだろうけど,ある程度のマスを惹きつける流行現象を伴うパワーを持ったものは早々現れなくなってきているな~と感じる。良くも悪くもITが巷にはびこり,そこここで既存のプログラム資産が増えてきて身動きが取りづらくなっているという事情も大きいと思われる。かつては「この言語を使えば生産性が△△アップ!」なんて胡散臭いあおり文句もそれなりに効力を発揮していたモンだが,ワシみたいなヘッポコプログラマだって,自分が書いた数MBものコードをオジャンにしてまで新しい言語に乗り換える気にはならない。大体,それを極力しなくていいようにANSI Cの範疇でコードをシコシコ書くようにしているので,Cとリンクできないような新言語というものは今時皆無であろうから,まあ完全にコード資産がパーになることは当分ないのである。さすがに近頃はCの偏狭さにいらだってきているので,少しC++にシフトしているが,完全に移行するにはあと数年はかかりそうである。
 それでも今後,大流行する新言語が登場しないとも限らない。さてその時にワシはどうするか?C資産とのジョイントを計りつつ,どの程度そこに自分の欲する環境を「構築」できるかどうか,慎重に見極めることになるであろう。
 そう,結局は,自分がやりたいことが出来る環境がそこに「ある」のか,もしくは「作れる」のか,それにかかっているのだ。
 先日,TAをお願いしているシャチョーT君と喋っていて思ったのだが,今のIT状況ってのは複雑なものがありすぎて,一つに集約できなくなっているのである。いや,もちろん1990年代後半のInternetブームでプロトコルはTCP/IP一辺倒になってきたし,ハードウェアアーキテクチャはPC/AT compatibleの発展形に落ち着きつつあるし,コンパイラ言語はC/C++, COBOL, (Visual) BASIC, Java, C#, Fortran,スクリプト言語はPerl, PHP, Ruby, Python,特殊用途としてLISP等に集約されてきたし,OSはUNIX陣営(Linux, *BSD, Solaris, HP-UXなど)とWindows(TM)に2分されてきたし,WebサーバはApacheとIISに,データベースはMySQL, PostgreSQL, Oracle, SQL Serverぐらい,仮想化技術はVMwareに幾つかのベンダーが戦いを挑んでいる・・・というように,技術競争を勝ち残ってきたものはそんなに沢山ある訳ではない・・・訳ではないが,これはカテゴリー毎に見ればそうなのであって,問題はこれらを組み合わせないとITにならない,というところにある。つまり,それぞれのカテゴリーにおける選択肢は少数であっても,それらの組み合わせを取ると一気に増えてしまうのである。
 例えばWebプログラミングを行おうとすると,OSはWindowsかLinuxか,言語はJavaかPerlかPHPかC#かHTML+JavaScriptだけか,WebサーバはApacheかIISか・・・となって,この時点で選択肢が2×5×2=20になってしまっている。これにデータベースも組み合わせると一気に選択肢が4倍になり・・・際限がないのである。しかも,これらの選択肢にそれぞれコード資産を蓄えたユーザがぶら下がっているのだから事情は更に面倒だ。資本主義の論理で少数派を踏みつぶしたくとも,有力サイトを運営するサイトがバックに付いていたりするとそれも不可能になる。・・・こうしてIT環境は雁字搦めになり,保守的になり,ドラスティックな動きが封じられるようになるのである。
 してみれば,人は天から与えられた環境より,自らの手で構築してきた環境を尊ぶモノなのである。寄らば大樹,というのも一つの考え方だが,そればっかりではフラストレーションが溜まる。大樹自ら動いてしまうという危険が常につきまとい,寄っているつもりがある日肩すかしを食ってひっくり返ってしまうことだってあり得るのだ。それがイヤさに,小さなダムを造るビーバーのように,人は自分の手で環境,つまり小さな縄張りを作り上げるのである。齢四十路を迎えつつあるワシは老化が進んでいるので,このような縄張りは大変居心地がいい。というより,縄張りがないと仕事に勤しむこともできやしないのである。
 もちろんこれも,勝ち残ってきたITパーツという大樹の土台の上に成り立っている縄張りであるから,全面的に自分が作り上げたモノではない。ではないが,ちょっとばかりの大樹の移動程度は耐えられるであろう・・・というのは楽観的すぎるかなぁ?
 大樹的な環境に「依存」しつつ,そこに小さな自分の環境を「構築」するという営みの中で我々のITは成立している。ここしばらくは,各ITカテゴリのパーツの緩やかな変化に目配せしつつ,作り上げた縄張りの中で精一杯遊んでいればいいようである。楽と言えば楽だけど,なーんかこー,つまんないよーな気がしないでもない。しかしこれも1990年代から2000年代初頭の大変革を見てきたオッサンの愚痴に過ぎないんだろうなぁ。

6/8(日) 掛川・曇後晴

 順調に現実逃避中。・・・頑張ります。
 ほぼ日10周年企画NHKとのコラボレーションで,糸井重里が飛行船に乗って東海道沿いを進んでいる。今夕には東京に到着予定らしい。
 で,掛川は14時ちょうどに到着。
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 足早に中心市街地を駆け抜けていった。飛行船って,のんびりぷかぷか浮いているというイメージだったが,さすが最新型は速い。
 ・・・で,同時刻に,沼津でレンタカーを借りて秋葉原に向かい,そのまま秋葉のホコ天に突っ込んで人々を無差別に刺して現行犯逮捕された若い男がいた。原因は不明なれど,あの辺はワシもよくブラブラするので,他人ごとではない。地下鉄サリン事件の時も,日大理工学部のある千代田線・新御茶ノ水駅はよく利用するし,あの頃はDrコース入りたての時で,事件の数日前にも来訪していたから,ますます他人ごととは思えなかったモンである。
 しかしまぁ,同時刻に東海道を飛行船で平和に移動する人々あり,かたや,レンタカーをぶっ飛ばしながら訳の分らぬ感情を高ぶらせて無辜の民を殺傷する者あり,考えさせられるものがある。って,考えたって,通り魔の心境なんて分かりっこないけどな。願わくば,ワシは通り魔におびえて逃げ惑う側で一生を終えたいものだ。
 10周年と言えば,ワシのこのWebページも,開設以来,とうに10年超えていたのであった。blogだって,この8月で丸5年。よくもまぁ仕事でもないのに続けてきたものである。ま,これからもボチボチやってきます。
 逃避しすぎたので何とかします。しなけりゃなりません,はい。

6/7(土) 掛川・曇

 梅雨らしく,からりとした晴天とはいかず,曇り空のまま。外を歩くと少し汗ばむが,風が強いので,窓を開け放った室内にいる限り快適な気温である。
 ずぼらなワシは必要な家事を週一回,土曜日に行うようにしている。風呂掃除→洗濯→掃除の順。締めは掃除機にたまったゴミ捨てで,これを(金曜日が収集日だから)新しい燃えるゴミ袋に収納する。その際にはサインペンで名前を書いておかねばならない。これを怠るとゴミ収集してくれないのである。掛川の掟っちゅー奴ですな。やっていない地区もあるようだが。
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 プライバシー保護に厳しい都市部では考えられない措置かもしれないが,横浜市が分別のいい加減なゴミを出す輩を探し出して罰金を課すぐらいだから,このぐらいやらないと徹底しないのかもしれないなぁ。気分のイイもんじゃないんだが,税金が上がるのがイヤならこのぐらいは協力しないと・・・というのは建前で,ワシ個人としては,何をぶち込んでも構わないが3倍高い有料ゴミ袋があったら是非使いたいと念願するものである。有料ゴミ袋を使わせるんだったら,そのぐらいの知恵を出して,真面目に分別して節約したい人と,分別なんてめんどぉくせぇことしたくないからその分金を出すという人,それぞれにメリットが感じられる制度を作ればいいのになぁ。
 なんだとぅ~,氷室冴子さん死去だとぉ~(読売新聞)。51歳かぁ,まだ若いのに。最近とんとお見かけしなくなっていたが,病気だったのかなぁ。小説作品を愛読したことはないんだけど,最近また復活した漫画版「なんて素敵にジャパネスク」は大好きでした。合掌。
 2月の研究会で小生御大が言っていた,ICIAM2015招致運動,成功するといいですなぁ・・・北京オリンピックの結果も影響しそうだよね。
 順調に現実逃避中でございます。計算はどしたぁ~?

6/6(金) 掛川->浜松->掛川・?

 晴れてたんじゃないかと思うのだが,曇っていたかどうか忘れてしまった。ちょっと暑いかな?という感じの気温。薄い長袖シャツ一枚で汗ばんだぐらいだし。
 シャツで思い出したが,最近少し腹回りが減ったせいか,ジーパンのウェストが緩くしてしかたがない。嬉しいことだが,歩きづらいことこの上なし。先ほどベルトの穴を増設したので,少しはマシになるかな。それでもまだメタボ判定ラインを越えているので,もっと痩せる必要があるなぁ。どうしよ。
 Cardano法,やっぱり無茶だった。と,やってから反省しても遅いんだが。言い出しっぺなので,根性据えてExcelシートで作ってみますけどね,もうこのレベルになるとプログラミングの世界だなぁ。・・・ってもうとっくに作ってあったりしますけどね。アタックが酷くなったら即座に停止予定でございます。
 平野法,何とか動いているらしい。明日明後日で実験データを取る予定。最初はC++を使ってgmpfrxxで何とか実装しようとしたのだが,complexクラスとのリンケージがうまくいかないところがあって断念。結局,ワシのBNCpackを拡張して凌ぐことになった。
 C++クラスってので重要なのは,全ての機能を自分で作っちゃうんじゃなくって,他の標準クラス,最低でもSTLとのリンケージを取れるようにすることじゃないか,とワシは思っている。もちろん,腕に覚えのある人なら「ワシが全部作っちゃるっ」っと張り切るのだろうが,神様じゃあるまいし,一生かけても他人が必要とする全機能を作ることは無理である。だから,既存のクラスとのリンクが取りやすいように作る方が重要なのであるけれど,どーもそーゆーワシみたいな協調平和派ってのは少数らしく,みんな勝手にてんでバラバラに作ってしまう。皆さん,C++に理想郷を作るって夢は持ってないんだろうな。
 ぐずっていても仕方ないので,平野法に必要な複素関数やアクセサリは全部ANSI Cの範囲で作ってしまった。GMPには標準でgmpxxクラスがあるのでまだC++ユーザがいそうだが,MPFRerは全員人間アセンブラーになっちゃったので(ワシもその一人),どんな複雑な数式が現れても脳内に出来上がったパーサが即座に二項演算に分解構成できてしまう。だもんで,まー,プログラムが長くなること長くなること。今回作った平野法だけで1000行越えてしまったよ。多分,ワシ以外の人間にはメンテできないだろうな。
 明日から仕事モードに入るので,今日はもう寝ます。

6/3(火) 掛川・雨後曇

 梅雨なのでじとじと。カビが~,生える~,頭に~,脳ミソに~,ウジも~(以下公衆衛生に反するので検閲削除)。
 2月ぐらいから引きずっていたODBC問題,先日とうとうワシはぶち切れて,「繋がらんぞぉ,ワレェ,ぐだぐだ言わんと,てめぇんとこで繋いで見せろやぁ」と,当方の無知を神棚に奉って先方にごねまくっていたら,本日「てめぇんとこで繋いで見せ」てくれる手はずだったのが,「すいませぇん,こっちでも繋げませんでした・・・」というお返事が届く。うーむ,タマには(いつもか?)ごねてみるもんであるな。つーことで,ODBC接続は先方の設定チェック待ちということになったのであった。訳のわからん話ですいません。このぐらいボカしておかないといかん話なもんでねぇ。
 梅雨のせいではないだろうが,5月に入ってから鬱気味。3月に引っ越して,4月に支払いを済ませて,5月に残りのこまごましたものを完済したので,気が抜けてしまったっつーこともあるんだろうな。家なんか買うもんじゃありません。もう今後10年は借金の形に取られでもしない限り,ぜぇったい引っ越しなんかしないっ。絶対しないっのでありますっ!
 鬱の時には西原様の精気あふるるお言葉が身に染みる~。染みたところで寝ます。