6/21(木) 掛川・?

 ふー,あっついあっつい。職場では節電を呼びかけるメールが流れる季節となった。PCが電気を食うようになり,外に吹き出す熱風も強烈になっているから,IT化によって地球温暖化がより進行するようになったとも言える。痛し痒し。
 ふーん,また日本ビジュアル著作権協会が行動を起こしたのか。弱いものイジメという声もあるようだが,教科書と入試問題以外の問題集に掲載する際には許諾が必要になるのだから,まあかなり合法的に行動しているよな。作家の名前を全面に押し立てて弁護士達が策動しているという印象が強くて,ワシはあまり良い印象を持っていないのだが,BSAの訴訟乱発戦術もかなり日本のライセンス遵法意識を高めるのには成功しちまったから,ビジュアル著作権協会(この「ビジュアル」ってどういう意味なんだか)のこの行動も最終的には「良きもの」として歴史に残る・・・のかなぁ。
 実習室に,教師用マシンのバックアップを設置。使わなくなったP4 1.7GHzマシンにCentOS 5とVMwareを仕込んだだけだが,以前このマシンの上で作ってあったWindow XPのイメージと,メインマシンで使っていたVine Linuxのイメージをそっくりコピーしたので,ちょっと動作は遅いが,十分説明用マシンとしては使えるものに仕上がった。しかもVMはコピーしただけで面倒なインストール作業は一切なし。Windows XPは再Activationも必要なし(同じマシンだし,同じVM環境だし)。あー楽チン楽チン。
 GPUスパコンというべきものなのかな。Teslaってのはやっぱりニコラ・テスラ由来かな。
 速いのはいいとして,今の潮流はアプリケーション,特に具体的なシミュレーション対象が存在しているものをいかに高速に計算し,その意義を主張できるかってところにあるので,このTeslaも既存のシミュレーションソフトウェアとどこまでリンクできるかどうかでビジネスが決まりそう。汎用化を狙いすぎるとIntelのMany-coreと競合するし(多分負けるし),特殊化しすぎると台数が出ない。最適化を図ってどの辺に着地するかが見物である。ま,ワシには関係なさそうな代物であることは間違いない。
 ふーん,Windows Steady Stateか。こーゆーことをやってくれるサードパーティ製品は幾つかあったはずだが,M$がタダで出しちゃうとこれが定着するのかしらね。早速8月の講習で活用してみようっと。
 そろそろサーチエンジン向けのDBサーバ部材を選択しなきゃいかんのだが,SSDが注目されるようになってきたので,ちょっと迷っている。10万以内で32GBも取れるのなら,計算用テーブルとかSwap領域をここに取るという手も使えそうである。うーん・・・まだ予算が確定しないので,それまでは悩んでおこう。こうして悩み事は指数関数的に増えるのであった。
 寝ます。

6/20(水) 掛川・晴時々曇

 気象庁が梅雨入り宣言をした途端に,夏到来?というぐらいの気温と天気が続く。といっても高気圧ガールが鳴り響くほどの「夏さ」はないので,やっぱりまだ季節は梅雨,なのである。
 Amazonの新機能,「商品プレビュー」を追加してみた。うむ,なかなか便利だが,タダでさえ少ないBK1利用者が更に減りそうである。
 「臭いものに蓋」という慣用句がある。蓋をしたい気持ちはよく分かるし,ワシもいろいろと「蓋」をしてきたものだが,「臭いもの」になるという経験はあまりなかった。で,実際になってみると,臭いもの自身にもいろいろと考えるところがあり,「何故臭いのか?」「臭くならない方法はなかったか?」「この染みついた臭いを取り去る方法は?」という疑問から,「臭いのは自分だけが原因ではない」という自己弁護まで,全てがない交ぜになった複雑な気持ちになるものなのである。まあしかし「臭いもの」が自己主張するとかえって臭気が増すので,ここは黙って蓋をされるのがbetterなのであろうと,ムリヤリ自分を納得させてしまったりする。で,一言「臭くてごめんなさい」と言って蓋をされた後は,自分の責任をちゃんと考えるべく,暗くて狭いところで反省するしかないのであるな。
 唐沢俊一さんの引用問題(でしかないよな,これ),話し合いは当事者と出版社の弁護士との間で続いているようだ。この場合,臭いのは唐沢さん自身だが,既に「臭くてごめんなさい」という謝罪はなされており,臭いもの自身としては黙って頭を垂れるほかなく,そのほかの問題解決のためには,出版物の責任者である幻冬舎(の代理人)と話し合う必要があるということなんだろう。決着が付くことを祈るのみ。ワシの予想では,絶版措置までは至らず,本文の該当部分の改訂と謝罪広告(Webのみもあり)で収まるのではないかな。漫棚通信さんも大人の対応を取っているから,この辺りが無難な線かと思う。示談金?,んなもん,あったとしてもお互い黙っておくのが普通でしょ。
 今回の騒動でむしろ面白かったのは,唐沢俊一さんは沢山敵を作ってきたのだなぁということが分かった,ということである。ワシが見る限り,別段,悪いことはしていないと思うのだが(談志の影響で偽悪的な所はあるけど),雑学という他人のデータを収集しなければならないジャンルの仕事をしつつ,メディアへの露出が多くなってきた上に,美人の奥さんを貰って(ほんと,ソルボンヌK子さんは美人である),毎日うまいもの食ったり飲んだりしていることを日記で公言していると,なるほど世間のジェラ心を煽って反発を招くのであるなぁとつくづく思い知らされた。イヤミを言いたい気持ちは分かるが(ワシも書いているけど),合理的に考えると,あんまし怒る側には理屈が通っておらず,感情的なものが大部分というのが正直なところではないかな。いわゆる揮発性の雑音に過ぎない。
 それはそれとして,「新・UFO入門」は面白いと思いますぜ。今回の件があったので急いで買ってきて今読んでいるところだが,やっぱり唐沢俊一は面白いと,ワシは思います。
 では行ってきます。
 ただいま。
 先週すっ飛ばしてしまったX window + GNOMEの環境は試行錯誤した挙げ句,nVidiaのドライバを再インストールすることですんなり解決した。VMwareで3つのVMを同時に動かし,そのうち一つでシビアな複数プロセス動作,しかもMySQLへの書き込みが頻繁に発せする奴を動かしていたせいでXがおかしくなってしまったのは確かだが(GNOMEを起動して何かGUIアプリを動かすとXがCPUを100%食ってfreezeしてしまう),どこで元々入れてあったnVidiaドライバが飛んでしまったのか,訳がワカラン。
 まあ動いたからよしとするか。しかし・・・やっぱりLinuxの維持管理にはある程度の年期が必要ですな。
 SD誌がMySQLの特集を組んでいたので,久しぶりに購入した。ふーん,SennaとかMeCabなんてのがあるんだ。勉強は常に必要ですな。
 ちょっと計算して寝ます。

6/17(日) 掛川・?

 わーははははは。さすがいしかわじゅんこのキャラ,カマちゃんには大爆笑。チョイキモ系狙いかなぁとも感じるのだが,若い衆はいかように判断するのだろうか。
 さすがにこれは,いかにみうらじゅんと言えども「ゆるキャラ」とはカテゴライズしまい。限界キャラ?・・・なのかな。何にしろ,人目に付くことは間違いなく,いしかわじゅの造形力,恐るべし,である。
 ふー,本日もボンヤリ過ごしてしまった。うご~,いい加減,フランス行きのための論文を書き始めないとイカンのだが,ついつい作りかけのサーチエンジンにかまけてしまう。順位付けってのは考え始めると結構奥が深い話で,「ワシの前にひれ伏すのだ」などという気分はあっという間にすっ飛んでしまう。結局,全体を統計的に眺めた上でないと何ともはっきりしない代物であることは間違いない。・・・これテーマにしたら,新書が一冊書けそうだなぁ。分野としてはORかなぁと思うが,誰かやりませんかね?
 ・・・あっ,大変なことを思い出した。フランス行きの前に,Japan local songをアカペラで歌えるように練習しておく必要があったのだ。どわーっ,何を歌えばいいのやら。にわかナイアガラーとしては大滝師匠の曲でも歌いたいところだが,前回の名古屋では「熱き心に」を中国の人に取られてしまったという苦い思い出がある。国際的にバッティングしないような曲にせねば・・・何を言っているんだワシは。
 そーいや,岡田さんの新刊は早くも3刷に入ったようである。そーだよなぁ,テーマがいいもんね。誰しも少しは持っている自尊心の解明に繋がる良書なので,今時らき☆すたなんぞ見ているおっさんこそ読んで頂きたいものである。
 おや,気が付くと,OBのA君作成のQuick sort解説ビデオが4000 views突破。うちのボスにも使わせてくれと言われたから,やっぱり分かりやすいのかしらね。

 シリーズ化して,「ビデオで見るアルゴリズム」シリーズなんていいかもしんない。ワシの教材にもなるし,プログラム嫌いの○○にも何とか引き受けて貰えそうなテーマだしね。
 今日はサッサと寝て,明日に備えます。

岡田斗司夫「「世界征服」は可能か?」ちくまプリマー新書

[ BK1 | Amazon ] ISBN 978-4-480-68762-3, \760

「世界征服」は可能か?
岡田 斗司夫著
筑摩書房 (2007.6)
通常24時間以内に発送します。

 仕事の一環で,サーチエンジンを作っている。いわゆるランキング機能つきのものなので,極小サイズのGoogleもどきみたいなもんである。
 作っているとは言っても,主要部分は全て外注,つまりワシの研究室のOBに作ってもらったもので,ワシ自身は「こんなの作ってくれない?」という言いだしっぺ役と,ランキング機能を付加したに過ぎない。まあたくさんの共著者を連ねた論文に「名前だけ」載る偉い先生よりは働いたと思うのだが,昔に比べて馬力も時間もなくなってしまったワシとしては,自分一人でこれを作り上げられなかったことを素直に反省する次第である。力不足でごめんなさい。
 それはともかく,このランキング機能と言う奴,作るのがとーーーっても楽しかったのである。内容は馬場さんの解説ページにある奴を素直に実装しただけだが(疎行列向けの最適化はがりがりと行ったが),それに基づいて10段階にランク付け,つまりURIに「成績」をつけるのだが,これがすーーーっごく楽しいのである。もちろんプログラムを作るのも楽しかったのだが,それ以上に,このワシが,普段は静岡西部で孤独にシコシコと○○な○○を相手にロクでもない日々送っているこのワシ自身が他人のWebページに「成績」をつける,というこの超生意気な作業がワシの脳内に巣食う邪悪な欲望に火をつけてしまったようなのだ。

わーははははははは,貴様らはワシの成績の前にひれ伏すのだ!

と,どっかの安っぽいTVアニメか特撮映画の悪役のような気分になってしまったのである。
 どーも,ワシも含めたオタクという人種の多くに「世界を自分の前にひれ伏させたい」,言い換えると,「自分が一番偉い,偉くなりたい」,という欲望が隠されているのではないか。このゆがんだ自尊心を抱えているために,自分の世界を作って引き籠ってしまうという行動に出るのではないか。本書を読み進むにつれて,ふーんなるほどなぁと感心すると共に,「世界征服」ってのはオタク人種自身に巣食うこの欲望の反映なんだな,とつくづく思い知らされたのである。
 岡田斗司夫の分析力と話術はさすがだなぁと常々思っているのだが,本となるとイマイチ感心できないものもある。フロンやプチクリもちらりと書店店頭で眺めて,こりゃ合わないなと感じて購入しなかった。しかし,本書はちょうどワシがWeb世界の征服者気分を味わっていた時に出たものであったので,唐沢俊一の新刊と共に迷わずgetしたのである。
 そしてその読みは正しかった。本書はワシの高揚した「世界征服」気分をちゃんと代弁してくれる内容であり,エンターテインメント世界に登場する多数の征服者や現実のモンゴル,ローマ帝国,USA等を例示して分析し,「世界征服」の目的,手法,意義を明快に述べている。その内容については高々200ページ程度の本書を読了してくれれば,すぐにご理解いただける筈である。
 「街場の中国論」において,内田樹は日本は中国に対してもUSAに対しても小国,つまり属国的な対応しか取れない国であることを主張している。してみれば,この「世界征服」という奴,特に日本のエンターテインメント作品に登場してそれを目指す輩は,ワシ同様,卑小な自我を支える欲望の象徴なのかもしれない。

6/15(金) 掛川・晴時々曇

 昨日,関東甲信越地方以南が梅雨入りしたと気象庁が宣言。ふー,やっと宣言してくれたか,やれやれ,という感じ。どーもワシは典型的な付和雷同日本人であるらしく,お上があれこれ指示してくれないと安心できないようなのだ。ま,これで安眠できそうで何よりです・・・不思議。
 唐沢俊一さんの新刊について,盗作疑惑が持ち上がっている・・・らしいが,本人は素直に認めているし,まあこの一件だけなら単なる引用ミスということなんだろうと思っていたが,他にもあるという指摘が出てきた。まあこの二つだけなら引用ミスということなんだろうと思っていたが,三つ目もあるという指摘が・・・出ないことを祈る。
 ついでに。阪大医学部の某(記事には名前も出ていますが,一応ね)教授の論文を取り下げろと教授会が要請とのこと。信用ならない内容である,ということらしい。
 以前,NHKで東大で起こった論文ねつ造問題の当事者達のやりとりを流していたが,淡々としたやりとりでありながら異常な緊迫感が出ていて,見ていて冷や汗たらたらモンでしたな。
 どうも唐沢さんの件も含めて,これらの事件ってのは,自分の地位保全,社会的ステータスを維持しようとするあまり,一時的な悪評を引き受けることを恐れすぎて,合理的な判断ができずに誤った方向に走ってしまったという共通項があるように思える。大体,ちゃんとした本と書くとか,レベルの高い雑誌向けに査読論文を書くとかという仕事が,そうそう短期間で乱造できれば苦労しない訳で,それができる一握りの人を一流と呼ぶのだ。大多数の二流レベルの人間にはそれをするだけの体力も知力も,どこかしら欠けているから,それなりのまとまった仕事をしようとすれば,どうしたって準備期間がいる。その期間は,「あいつは怠けている」「給料を下げてしまえ」「昔は良い仕事していたのに,今はおとなしくなったねぇ」などと言われる。ことに,生意気な態度で世の中を渡ってきた人間はことにそう言われてしまうので(例・ワシ),それはまさしく「自己責任」として引き受けるしかないものなのである。そこを無理して不正に走ると,まあタチドコロに転落する人生が待っている,と,こうなる訳だ。・・・これは自戒を込めて言っている。ま,ワシもそうなるとも限らないので,まあ転落したら笑って下さいませ。
 唐沢さんのケースはそんなに無茶しなくても良かったのでは,と思うし(忙しすぎた?),阪大や東大のケースも,たぶん研究業績へのプレッシャーがかなりあったのかなぁ(もちろん責任者の資質も大きいのだろうが)と思うが,そうはいっても多少サボったところですぐにクビになるような立場ではないだろうから(転籍は求められるかもしらんが),多少の悪評があったところで恬淡とやり過ごすことはできたはずである。なんで不正してまで論文稼ぎをする必要があったのかなぁ,とそーゆーエリートな仕事場を知らない三流研究者のワシとしては不思議で仕方がない。ワシが知る限り,不正してまで論文を稼げ,などという標語を掲げている大学・研究所は,少なくとも日本の公的な所ではないはずだ(あったらお知らせ下さいませ)。
 うろ覚えだが,確か慶応の富田先生の所だったと思うのだが(違ったらすいません),研究分野を変更した初期の頃,ある研究会のポスターセッションで,別の研究者からボロカスに研究内容を批判され,説明役の院生さんが泣いてしまったという。
 これは辛い。そういう研究の指導を行った教師としては立つ瀬がない。院生は教師の指導通りに一生懸命プログラムを作りきれいなポスターを作り,おそらくは事前に説明の練習もして臨んだはずだ(そうでなければ泣くほど悔しい思いをするもんか)。プレゼンテーションではなく,内容に関しての批判は,院生より教師が責任を負わなくてはならず,まー富田先生とすれば胃が痛いどころではなかったと思う。
 しかしそれで撤退することなく現在の業績を作ってきたのだから,やはりこれは批判を受けることに対して逃げてはいけない,ということに他ならない。受けた時には腹も立つし言った奴をぶっ殺してやろうかとも思うが,しかしそこに自分の過失が全くないということは案外少ないのではないか。一瞬ムカツイタとしても,時間をおいて冷静になった後は真面目に反省する態度,これは世間に対してお役に立とうという立場の人間にとっては絶対に必要なものなのだ。・・・ま,それがワシにできているかと言われれば,内心忸怩たるものがありますが,そーゆー態度を身につけるべく精進中です,ということにさせて頂きたい(あっ,逃げた)。
 でまあよく言われることですが,こーゆー事件を見るたびに,自分は大丈夫か?と振り返る姿勢は大事ですな。いやホント。ネットだから何でも書けるけど,安全な批判者の立場に「逃げ込んで」,やいのやいのと多勢に回るのは,たまーにやりたくなるけど(実際やっているけど),なるべく控えるべきですなぁ。そう思う今日この頃であります。