3/13(火) 掛川・?

 ふー,本日は会議day。まーもっとも学科会議だけだから,役職者の方々に比べると楽ですけどね。後10年は下っ端のままでいたいな。
 げ,今年のSWoPPは旭川か。なつかしーな,中学2年から高校2年まで居たところだから,えーと,20年ぶりぐらいになるのか。何とか行きたいものだが,暇があるのかなぁ。
 小生御大から,GLADE 2008なるConference兼Workshopへのリンクを依頼される。来年のものだし,これからは一年に一回ぐらいは海外に行きたいからとIndication of Interest(興味はあるよん,という表明ぐらいの意味かな)したら,ご丁寧な返事が来て,早速リストに追加される。うーむ,ワシ程度の中学生並みの英語力の奴がのこのこ出かけていいものかどうか。でもAucklandはいいところだったから,もう一度行きたいな~,とは思う。さーて,どーしよーかな。今やってる仕事が一段落して,まともなネタになりそうなら真剣に考えようっと。って,その前にSciCADE07のネタをちゃんと作らなきゃぁ。
 さて,そろそろ次年度の予算の使い道を考える時期である。もうPCは売るほどあるので,古いマシンのreplace以外はソフトウェアの購入に充てたい。VistaはMSDNがあるのでもう十分,となると,まずはOffice 2007か。あの奇天烈なメニューに早く慣れないとな。他には,ポスターセッションに出る機会が増えてきたので,Adobe Creative Suiteか。これ買っときゃ,大概の用事は足りるよな。問題はIllustratorやらPhotoshopやらを使いこなせるかどうかだが・・・勉強しなきゃ。
 数少ないreplace用マシン候補として,以前はQuad-coreマシンを希望していたのだが,今の時点ではまだCPUが高いので,しばらく待つ必要がありそう。後藤さんの記事によれば,Core 2 Quadは今の半分ぐらいの値段まで落ちる可能性が高いようだし。
 年度初め最初に買わなきゃならんのは,仕事用のメインマシンだが,これはCore 2 Duoで我慢しよう(贅沢になったワシ)。小さい筐体がいいので,以前GF800にしようと言っていたが,SO-DIMMは1GBのものしかないみたいで,動画編集もVMwareもバリバリこなしたいワシにとっては物足りない。32bit OSとはいえ2GBは欲しいので,LS800あたりに落ち着くか。・・・って,これ夢にまで見た(大げさ)IntelのGbE chip搭載じゃん! 2台揃えてCore 2 Duo Clusterを(これ以上買ってどないすんじゃ)。
 夢見るために寝ます。

3/9(金) 掛川・晴

 昨日・本日とも企業セミナーが職場で開催され,80社以上の人事担当者の方々をお迎えすると同時に,企業の方が鎮座するテーブルへと奥ゆかしい3年生を引っ張り込んだりしていた。うーしんど。しかし,すっかり企業慣れしたOBとも挨拶を交わしていると,何だか嬉しくなってくるものであるな。・・・と同時に,老けたな(ワシが)とも感じるのだが。
 昨日は銀行のことだけ書いて終わってしまったが,その前に警察へ1時間の講習を受けに行ったのであった。竹刀を構えた体育会系デカが仁王立ちして「前科者のテメェら,これからみっちり制裁を食らわせてやるから覚悟しやがれ」と脅かされるのかと思っていたら,初老の背広紳士がゆっくりした口調で「ゴールド免許一歩手前の皆様方におかれましては,是非とも安全運転をお願いします」という非常にご丁寧な挨拶をされ拍子抜けする。武田広さんのナレーター付ビデオを30分ほど見せられた後,背広紳士が慣れた口調でここ数年間に行われた道路交通法改正のポイントを20分ほど解説してくれた。話術が結構うまくて感心する。聴衆はワシも含めて20人ほどだったが,皆真面目に聞いていたようである。
 終了後はブルーになってしまった免許を貰って,例の銀行へ出かけたわけである(以下,昨日のblog記事に続く)。
 疲れたので寝ます。

本秀康「アーノルド」河出文庫

[ BK1 | Amazon ] ISBN 978-4-309-40834-7, \560

アーノルド
アーノルド

posted with 簡単リンクくん at 2007. 3. 8
本 秀康著
河出書房新社 (2007.2)
通常24時間以内に発送します。

 先日,浜松で開催された立川流家元・立川談志の独演会に行ってきた。チケットは数ヶ月前に入手していたが,独演会当日まで,実は少し不安であった。
 家元はまだ元気だとはいえ,御年70を越えている。家元の落語を最後に聞いたのは2002年3月だったが,その時は「五人回し」を一通りやった後で,自分の落語の講評を始めたのに面食らったものだ。最近の家元の落語は抽象絵画のようだ,というのは唐沢俊一の評だが,この独特のスタイルは確かに「芸術」の域に達していると言えると同時に,ワシのような素朴かつ保守的な,ふつうのスタイルの落語を聞きたい客にとっては難解な「抽象絵画」のようなものになっているとも言えるのである。
 今回聞いた家元の落語は,更に抽象絵画に近づいていた・・・いや,もうこれは「抽象」そのものである。中入りを挟んで二席やったのだが,一席目は先頃引退を表明した圓楽の批評をした後で,世界のジョーク,それもかなりキツイのからハイブロウなものまでをマシンガンのように乱射する。二席目は少し短めの「らくだ」だったが,割とふつうに演じているな・・・と安心していたら,下げの後,また落語の批評が始まったのである。それはいいのだが,家元が尊敬する志ん生のイリュージョン的くすぐり,「へびが何でへびって言うかというと,なんてこたぁない,あれは昔,「へ」といったんですな。「へ」ですから,「びっ」ていう・・・だから「へび」」,で大爆笑を取ったかと思う間もなく,切々とした人情を語り出す。笑いの天井から悲しみの谷底へ突き落とされるような感覚に陥って戸惑い,自分の反応の鈍さをつくづく思い知らされた。「俺は年寄りの慰み者みたいな芸人とは違うからな」という言の通り,確かに「今」を感じさせるものになってはいるものの,家元が褒めちぎる弟子・志の輔のオーソドックスな感情表現とは正反対の難解さは,ワシにとってはちょっと縁遠いものかな・・・と,独演会開催前に抱いていた不安の一部が的中し,複雑な思いで独演会の会場を後にしたのであった。
 何故長々と落語の話をしたのかというと,本職イラストレータ,たまーに漫画家の本秀康の傑作を集めたこの「アーノルド」を読了し,家元の落語を聞いた後と似た感想を持ってしまったからなのである。
 本(もと)のマンガ,特に本書に収められた短編は,いずれも同じ特徴を持っている。
 まず,作品の舞台やキャラクターは,乱暴に言うと「ガロ系」,これは杉浦茂のキッチュさと共通するものがある。脳が6個ある六頭博士や,金星人の金子君や伝吉,50人の息子がいる岡田幸介・・・等々。奇妙奇天烈な奴らばかりが登場する。
 しかし,ストーリーで展開されるのは,とてもベタな感情表現だ。自分が作ったロボット・アーノルドに愛情を抱く六頭博士と,とてもいい奴なアーノルドとの心の交流の切なさ,岡田幸介が50人の息子を持つに至った経緯,山田ハカセの作ったロボット・R-1号がスクラップにされるまでの心の揺れ・・・,キッチュなキャラクターたちがいるために誤魔化されるが,一昔前のストーリーマンガには当たり前にあった「感動」がそこにあるのだ。
 じゃあ,感動ものとして読むことが出来る作品なのかというとさにあらず。最後のどんでん返しは見事であり,シニカルでもある。杉浦茂をもっと緩くしたような可愛い素朴な絵柄であっても,大人の鑑賞に十分堪えうるものに仕上っているのだ。
 しかし,やはりマンガに対しても保守的なワシは,笑うべきキッチュさと,感動すべき表現とが混在したこれらの作品に対して,どのような感情を抱くべきなのかがよく分からないのである。面白いのは確かだし,ストーリーや場面作りは今風だから,間違いなく「今」の作品なのである。なのであるが,もしかすると先を行きすぎているのかも知れないのだ。そう,この方向で進化していくと,家元落語に通じる「抽象」性が強まってしまうのである。今でもワシにはその香りが感じられるが,本書レベルであれば,まだ純粋に感動マンガとして,当方が幾分か努力すれば,楽しめるのである。
 うーん,ワシも年だな,と思うと同時に,本のようなマンガが広まっていくことで,日本のマンガも変わっていくのだろうな,と少しセンチメンタルになってしまうのであった。

3/8(木) 掛川・晴

 急に寒くなる。もう灯油は要らないな,と備蓄ゼロになってからこの有様。今燃やしているストーブに入っているタンクの分がなくなったら,凍え死ぬしかない(大げさ)。
 今日はS銀行K支店で久々に怒鳴り声を上げてしまった。先ほど,その騒動が収まったところである。冷静になった頭で,なんでそんなことになったかをまとめてみよう。
 事の起こりは2月にさかのぼる。住宅ローンを借りる事前相談をした際に,借りるための条件を二つが提示されたのである。
 (1) S銀クレジットカード(兼キャッシュカード)に入会すること
 (2) 給与振替口座をS銀行にすること(当時はSR銀行だった)
 で,(2)の条件はクリアしたので,(1)の条件を満たすべく,窓口で申し込んだら,「ステートメント型口座にしませんか?」というお誘いがあったのだ。めんどくせぇ,これ以上書類を書かせるなよ,と断ったら(実際,そーゆーヤクザまがいの言葉遣いであった。ワシは利害関係のない相手には大変居丈高な態度を平気で取る野郎なのである),「クレジットカードの利用代金支払い口座をステートメント型口座に設定してもらえれば,2年目以降もクレジットカードの年会費がタダになります」というではないか。更に「ステートメント型口座は毎月210円の口座管理手数料が必要ですが,あと15万円口座に入れてくれれば,それもタダになる」というのである。ほほう,それなら渡りに船,早速それも申しませて頂きましょう,とその翌日に,現普通口座をステートメント型に切り替え,定期預金も15万円分作ったのである。これが2月の話。
 ところで「ステートメント型口座」とは何かというと,通帳が不要になるタイプのもので,取引の一覧表が毎月一回郵送されてくるのみで,口座残額のチェックや振り込みはATMや電話,Web経由で行うことになるシステムである。と,ここがくせ者で,通帳がないから,銀行のATMでは出来ないことがあるのだ。それが定期預金の作成なのである。・・・と,ここまで予備知識を確認してもらった上で,今日の話題に入る。
 さて,今週になって,S銀行の必要でないクレジットカードが送られてきた。それに同封されていたパンフレットを見て仰天したのである。なんと,ステートメント型口座は口座管理手数料なるものが必要で,毎月210円取られるというのである。・・・いやいや待て待て,これは15万円の定期預金でチャラになる筈なんだよな・・・とドキドキする(ワシは毎月数百円の手数料程度で動揺する小心者なのである)心を抑えて更に説明文を読み進めた。そこには小さい注意書きで「ステートメント型口座の預金残額が30万円以上ある場合」はタダになる,と書いてある。何だとこのガキャ,15万円でいいっつったのはありゃウソかい騙されたぁ,と怒る頭で届いたばかりの2月分の明細を見たら,あの時点では普通口座に15万円入っていて,これに定期の15万を加えると確かに30万円以上になるから,あの窓口の若いあんちゃんの説明はウソではなかったことになる。・・・うーむ仕方がない,これはちゃんと確認しなかったワシも悪い。
 しかし,普通口座の残額は既に数万円になっている。この口座のお金は生活用資金であるから,毎月確実に15万円残しておくことは,ワシの生活態度からいって不可能である。ここはメンドクサイが,更に15万5千円を定期預金にして,毎月確実に合計30万5千円の残高になるようにしておこうと,本日,S銀行K支店に出向いた訳なのである。・・・あー長かった。ここから本題である。こころして聞かれよ。
 さて,ATMで定期預金口座を作って・・・としたはいいが,「通帳を入れろ」という要求がある。あそっか,ステートメント型にしたんだから,ATMでは定期は作れないのだな,と気がつき,窓口で定期預金を作ってくれるように用紙を書いて渡したところ,
ここでは出来ないと言うではないか。
 「だってここはS銀行K支店でしょ? ワシの口座はS銀行K支店にあるんだが」
 「ステートメント型口座の場合は,テレフォンバンキングでのみ定期口座が作れる仕組みになっておりまして・・・」
 さらに追い打ちをかけるように,こんなことを言うのである。
 「ステートメント型口座の残高は10万円で結構です」
 「何だと,クレジットカードに同封されていたパンフレットには30万円って書いてあるぜ?」
 「いやそれは変更になったのです」
 冗談じゃない,じゃあ何のためにワシは今日ここに来たんだ? と思いながらも,いい機会だから定期預金口座は作っておくかと思い直し,それをお願いしたのである。で,この辺から怒りが湧いてきているので,冷静な思考ができなくなりつつあった。
 「でさ,テレフォンバンキング? どうやってやるの? そんな説明受けてないよ」
 「ダイレクトバンキング用のこういうカードが届いているはずですが・・・」
 「んなもん知らん。クレジットカードならこうして届いているけど」
 「既にお送りしたとなっておりますが・・・」
 「知らんもんは知らん。どうすりゃいいわけ? 定期は作れないの?」
 「では現金で頂ければお作りできますので・・・」
 だったら最初からそうしろよ! とぶりぶり怒りながらATMで15万5千円おろして差し出すと,窓口の女性はこうのたまうのである。
 「ダイレクトバンキングカードの再送付の手続きを致しますので,これを記入して頂きます。そのためにはテレフォンバンキング用のパスワードを教えて頂きませんと・・・」
 ここでとうとう我慢していた怒りが爆発したのである。
 「だからぁ,届いていないものをどうやって書けというわけ? あ? めんどくせぇ,こんなめんどくせぇ思いをするためにステートメント型口座にしたんじゃねぇぞ! 解約だ,解約してくれ! 解約用紙を出せ! 解約だ! 解約! 解約させろ!」
 ・・・いやー,銀行中の視線の痛かったこと。ただ,こういう経験は初めてではないので(酷い奴だ),視線にたじろいで怒りを収めると自分が惨めになるだけであるから,カッカしながら解約用紙をむしり取って銀行を出たのであった。
 さて,帰宅してから冷静になってみると,ワシは昨年からインターネットバンキングはやっていたのである。もしはあのときの封筒に?・・・と引き出しを捜したら出てきましたよ。ダイレクトバンキングのカードが。ああ,あのオバサンが送ったと言っていたのは,一年前に契約していたこのカードのことだったのか,とやっと合点がいったのである。
 で,無駄に死蔵してあった定期預金を解約すべく,初テレフォンバンキングサービスを使ってオペレータの方と直接話すことが出来たのである。そこで上記のいきさつを話し,もつれにもつれた糸をほぐすべく,最初の疑問への解答を迫った。
 「まずですな,頂いたパンフレットには残高が30万円以上あれば口座管理手数料が不要となっていますが,これは10万円になったのですか?」
 「そうです,2月末に変更になりました」
 「それはどこで周知されているのですか? このパンフレットは今週届いたものですが,30万円のままになっています」
 聞くと全く周知されていないと言う。今確認したら,Webページの方は10万円になっていた。つまりワシは変更直前に変更前の説明を受け,変更直後に変更前の説明のままになっているパンフレットを読んでいた,ということになるわけだ。しっかり周知してくれよとぶりぶり文句をたれて,最初のハテナは解消した。
 次の疑問を解消すべく,更にオペレータの方を問いつめる。
 「ダイレクトバンキングのカードとは,これに繋ぐために使ったこのカードのことですよね?」
 「そうです」
 「ステートメント型口座切り替え時に,「改めて」ダイレクトバンキングのカードが届くというわけではないのですね?」
 「そうです」
 つまり,切り替え前にダイレクトバンキング(テレフォンバンキング+インターネットバンキング)サービスの契約をしていた場合は,それが継続して使える,というだけの話だった訳だ。ワシは完全に誤解をしていて,「ステートメントに切り替えたのにそんなカードは来てないぞ」と喚いたことになる。ワシが冷静であれば「既にあるこのダイレクトバンキングカードのことか?」と確認できたであろうし,窓口のオバサンも「昨年届いているはずです」と「昨年」を強調してくれれば,ワシも気がついたであろう。どうも不幸なすれ違い(とワシは思いこみたいのである)らしい。そーゆーことなら,既存のダイレクトバンキングの契約はステートメントに切り替えても有効です,とか,ステートメント切り替え時に,定期預金はテレフォンバンキングのみで作成・解約するようになります,と説明するとかして欲しいと念押しして,全ての疑問は解消,定期預金も解約され,ワシの怒りも消えたのである。
 とゆー訳で,本日はS銀行のK支店の窓口のオバサンと,テレフォンバンキングのオペレータの方のお二人に怒鳴り,疑問をねちっこく問いつめた一日であった。あー疲れた・・・が,ワシの悩みはこれで消えたので満足している。
 満足したので寝ます。

岸本佐知子「ねにもつタイプ」筑摩書房

[ BK1 | Amazon ] ISBN 978-4-480-81484-5, \1500

ねにもつタイプ
ねにもつタイプ

posted with 簡単リンクくん at 2007. 3. 7
岸本 佐知子著
筑摩書房 (2007.1)
通常24時間以内に発送します。

 今日はCD-Rを243枚焼いた。
 自慢するわけではないが,私の勤務するこの職場で,CD-Rを焼ける光学ドライブを持ったPCを12台所持している研究室はウチだけのはずだ(違ったらごめんなさい)。もちろん,これらのPCはCD-Rを焼くために揃えたものではない。全ては研究のため,高性能計算という崇高な仕事を遂行するための機械である。高性能なPCが必要であったために,光学ドライブまで「たまたま」高性能になってしまっただけのことである。
 その貴重なPCを,CD-Rの大量焼きのために利用しようと言うのだから,当然,彼らの怒りといったら尋常ではない。
 「なんてことを」
 「計算なら2スレッドまでバリバリに2.8GHzの性能を出せるのに」
 「そんな円盤にレーザーを照射するために俺たちはここにいるんじゃない」
 「PC権侵害だ」
 「無体な」
 「DVD-Rならまだしも」
 彼らの叫びは当然ではあるが,当方にも都合というものがある。ここは電源管理者の特権を振りかざして押さえつけねばならない。
 「うるさい,Intelが失敗作と烙印を押したCPUを載っけているくせに,人間並みに喚くんじゃない。ぐずぐず言うと,電源ケーブル引っこ抜くぞ」
 540MBのISOイメージをGbE経由で奴らのローカルハードディスクに転送し,CD-R焼き作業を開始する。それでも彼らは黙っていない。
 「熱い熱い熱い」
 「たかだか7千円のドライブのために身を粉にして働かされるなんて」
 「せっかくのデュアルコアCPUなのに,それが全く生かせない仕事をさせるとは」
 「ドライブが逝かれたら交換してくれるんだろうな」
 「PC権侵害PC権侵害」
 「エロDVDならまだしも」
 6台のPCをほぼ切れ目なく使いこなして3時間後,ようやく243枚のCD-R焼き作業は完了した。うち1枚はエラーが出て読み取りできない失敗作となった。まあ0.4%程度のエラー率は仕方がない。彼らのせめてもの反逆心なのだろうし。
 「よくやったな,おまえたち」
 お褒めの言葉にも反応しない,6台のPCが静かに電源ファンの回転音のみを響かせて,鎮座している。
 ・・・というのが,所謂「妄想系」と呼ばれるエッセイらしい。三浦しおんのそれは絶対BL由来のものだろうが,端正な(見たことないけど)知性の持ち主の翻訳家・岸本佐知子の「妄想癖」はどこから来たものなのだろうか? トイレットペーパーに何かトラウマでもあるのだろうか? そもそも「べぼや橋」とはどこにあるのか?
 読めば読むほど疑問が渦巻く謎なエッセイである。第一弾も面白かったが,「ちくま」連載のこれも負けず劣らず素敵である。
 ところで,現在も連載中の本エッセイのタイトルは「ネにもつタイプ」である。「ネ」から「ね」への変更に,どのような意味があるのだろうか? ・・・と,疑問は尽きない。