生ぬるい空気の中,京都で大御所の講演を聴き,帰宅。色々と写真やらビデオやらを撮ったのだが,公開すると出演料を取るとか言うA先生のような方がいらっしゃるので止めておく(ウソです)。
京都行きの間に
などというWeb資料を作る。こういう懇切丁寧な資料を作ってマニュアル的に教育するってのはどうかと思うんだが,近頃の○○○○は○○なのでこの手のモノは案外喜んでくれる。しかしそれって結局○○の○を○○○いるだけなんだがな。それをヌケヌケとやってしまうワシもワシだが(以下略)。
次週からこれを使ってMPI clusterをVMware上に作ってもらう予定。一通り済んだら公開します。
上記資料を作るのにあたって,いい機会だからとW3Cが提供しているAmayaのWindows版をインストールして使ってみたが,訳の分からんところで落ちるわ,カーソルの移動がまごつくわで,商用のAuthoringツールと比べると相当使い勝手は落ちると言う印象を持った。
仕方ないので,久々に秀丸エディタを使ってHTMLを手打ちする。定型的な箇条書き分ばっかりの内容なので,結果的にはこの方が早くできた(様な気がする)。
あ,MPFRが2.2.1にマイナーVer.up。ワシの翻訳もそのままリンクが残っている。”not much differnce”だそうな。それよか,まともなC++ classを出せよな。
寝ます。
池田清彦「科学はどこまでいくのか」ちくま文庫
[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-480-42281-1, \640
筑摩書房 (2006.11)
通常24時間以内に発送します。
内田樹の著作から「構造主義」という現代思想を知り,橋爪大三郎によってそれが現代代数学の考え方の影響を強く受けているということを知らされ,ちょうどタイムリーに山下正男の「思想の中の数学的構造」が文庫化されたので,ちょっと深くその辺りの事柄が分かるのかな,と期待しているところに本書もまた文庫化されたのである。池田清彦の文章のうまさは既に知っていたので,早速入手して読んでみた。
池田が標榜する「構造主義的生物学」とやらがどんなものなのか,その片鱗でも分かるのかな,と期待していたのだが,その期待は裏切られた。しかし,ちくまプリマーブックスの一冊として書き下ろされただけあって,やっぱり文章は面白く,適度な性格の悪さがスパイスとなって,ピリ辛の現代科学技術論に仕上がっている。但し,部分的な突っ込みの鋭さには感心させられつつ,著者の導く結論がことごとく科学技術悲観論に到着するだけで,その具体的な回避策も解決策も提示されずに,未来を放り出しているのは頂けない。
科学技術万能論というものが色褪せて,今や先進諸国では理工系大学への希望者が減りつつあるのは本書でも述べられているように事実であり,そのことを嘆くつもりはワシにはない。まあ個人的には自分の職場の未来が明るくない,ということは困ったことではあるが,今の日本社会がどれだけ科学技術に従事する人間を求め,そいつらが生み出す成果に見合う待遇をしてくれるのか,となると,かなり疑問であるので,いわゆる「理系離れ」現象は自然なことであると納得しているのである。
逆に言えば,それだけ世間が科学技術研究者に対しては,成果を期待しつつも,一定の「うさんくささ」を持って見ている訳である。科学技術が軍事と密接に結びついて発展してきたということが周知の事実となって久しい上に,研究者も人間であって,性格の悪い奴らもいるし(平均値より悪いように思う),金や名誉に転びやすい性質も備えていることも,各種のニュースでいやんなるほど知らされ続けているのである。そりゃ,「あいつらを野放図にしておけば,軍事機密の技術だって転売しかねないし,何に使うか分かったモンじゃないぜ」と思われるのは当然であり,昨今聞かれる「研究がやりづらくなった」という研究者間の愚痴は,その世間の風潮の現れが原因の一端ではないかと推察されるのである。
さらにここで逆に考えてみれば,そのような世間の監視が厳しくなったことで,野放図な科学技術の発展というものに一定のブレーキがかかってきたと言えるのである。もちろん,今後も人権を無視した科学技術の乱用や犯罪が根絶されることはないだろうし,池田が指摘するように政治と科学技術の蜜月は進んでいくであろうが,それが全面的なカタストロフィーへとなだれ込んでいく前触れであるかのような言説というものは,どうも信用しがたいのである。つーか,池田センセーは悲観的な要素だけを選択的に取り上げるのがお上手なのである。本書に述べられている事はかなりの部分当たっているのであるけれど,現実というものはもっと巨大で果てしがないものなのだよ,ということは,少なくともプリマーブックスの対象読者である中高生の諸君に伝えておく必要があろう。
だいたい,本人は東大出て山梨大学の教授になり,いまや早稲田大の教授であるにも関わらず,何がおちこぼれ学者なものか,エリート路線まっしぐらの癖にちゃんちゃらおかしい。確かに政府の審議会に呼ばれるような特権的エリートではないのかもしれないが,人文系の方々にはない生物学の専門知識を売り物にして思想界に切り込んでいく著作を数多くモノにしている売れっ子(印税はたかが知れているかもしれないけどさ)ライター学者として確固たる地位を占めているのである。そーゆー影響力のある学者の著作,しかも一般向けの文庫本に,悲観的見通しだけを書き連ね,それを食い止める方策の提言もなしでは,無責任といわれても仕方ない。
あ,もしかして提言が出来るほどの能力がないから「おちこぼれ」なのかしらん?
11/25(土) 広島->西条->掛川・?
ふひー,何とか講演とポスターセッションを終えて無事帰宅しました。
ああシンドぉ~。これで次週の京都行きを終えれば死のロードも終了である。もーこれであと2週間はどっこも行かないぞ。自宅と職場と浜松の往復だけで平穏無事に過ごすのだ。
今回の情報教育研究集会の会場は広島大学東広島キャンパス。広島市から近いのかと思ったら,最寄り駅は西条。広島駅から普通電車で30分以上もかかる。その上,西条駅からバスで20分ほど走ったところにある山の中なのである。
金沢大学もそうだったが,老朽化した建物群を修繕するのではなく,キャンパス丸ごと郊外へ移転というパターンのようだ。旧帝大のように歴史としがらみがあって,図体がでかいと,そうそう引っ越しはできないが,そうでない国立大学は政治の都合でホイホイと移転させられちゃうんだろうなぁ。建物が新しいのは結構だが,こう遠いと・・・ねぇ。
風呂入って寝ます。
11/24(金) 掛川->浜松->広島・?
広島の小ぎれいなビジネスホテルでこれを書いている。できて間もない新築らしく,フロントから部屋の中に至るまで全てピカピカ。最近のはやりなのか,大浴場(人工カルシウム温泉だそうな)があったので,ざぶんと浸かり,ヒトゴゴチついてこれを書いている。
最近はどこのホテルにも無線・有線LANが整備されているが,OCNがやたらに多いような。このホテルもOCNだし,先日の函館で泊まったホテルもOCNだった。まあワシもOCN会員だから帰ってありがたいぐらいだが,インターネット勃興期にはあれほど乱立していたISPも,大手の寡占化が進んじゃったのだなぁ,と時代の流れをつくづく感じてしまう。
何とかポスターを印刷し,PPT資料を名古屋から広島まで乗ったのぞみ車中でっち上げた。しかしPPT資料はスカスカのいい加減なもの。明日の講演までに少しはブラッシュアップしなきゃなぁ。
広島までの往復乗車券を買ったら,広島エリアは特定都区市内エリアの設定がされていることに気がつく。山陽本線岡山方面では瀬野駅がその一番端にあたるようだ。会場は西条からバスなので,帰りの切符は瀬の駅まで買えばいいわけね(ケチくさ)。
お,イグノーベル賞候補研究。是非とも日本の科学技術研究に足りないギャグ成分を若人に培っていただきたいものである。
さっさと寝て英気を養います。
11/22(水) 掛川・?
わーっ,査読締め切り忘れてた~・・・訳ではなくって,ずーっとここ一週間ほど間欠的に悩んでいたのである。だーかーらー,ワシにボーダーライン上の論文査読させるんじゃないっ。決断力がないんだからさー,グズグズと時間だけが過ぎていくんだってばさ。
ボーダーラインってのは2種類あって
A) 面白い提案だが,論拠が不十分
B) 面白くも何ともない提案だが,論文の書き方はバッチリ
のケースに限られる。大部分の論文はBにカテゴライズされ(ワシのものも含むがね),まーよっぽど人の剽窃っぽいものじゃなければ,rejectする理由がないので,グダグダ難癖は付けつつも,大概オッケー(条件付き採録)となる。
問題はAのケース。今回のはそれだった。面白さの基準ってのは美術評論とかSEXの相性みたいなモンなので,個人差が非常にでかい。だから,査読者によっては評価がまっぷたつに分かれることも珍しくない。「面白くない」と評価されればボーダー外で即rejectだが,「面白い」となれば,後は論拠の不十分さがどの程度かで判断することになる。全面書き直しが必要だなぁ,となれば惜しいけどreject,部分的な追加や修正で何とかなりそうなら条件付き採録となる。
とゆー訳で,今回のワシの判断は「全面書き直しが必要」ってことで,残念ながらreject。数値計算法としては難点がいっぱいありそうだけど,提案そのものは弄くりがいがありそうなので,もったいないとは思うものの,まだ数値例での検証が不十分で,解法が正しいかどうか判断しかねる,この次を期待します,ってことですね。
しかし判断は分かれそうだなぁ。理論屋さんは条件付き採録と判断するかもしれないし,最終判断がどうなるかはメタレビューアのS先生次第だなぁ。ま,やることはやったので(締め切り過ぎたけど),後はよろしくお願いします。
ぐわー,今日の午後はポスターセッション用のポスターの印刷だった。まだポスターの影も形もデータもないぞ。ってことで早速出勤して頑張ります。