10/11(水) 掛川・雨後曇

 久々にぷちめれを書いていたら,いつの間にやら日を越してしまった。ので,簡単に。北の方では何かあったようだが,まあどうでもいいニュースである。つーか,一個人が心配してもどーにかなる問題ではないしな。
 11月上旬に出張のため大学院の講義を休む必要があり,その補講を今日行ったため,3,4コマと連続で初歩のUNIXプログラミングからMPIの同期通信まで一気に実習を行う。MPIを使い始めて数年,講義実験のためのノウハウも溜まってきたのであっさり終わる。あまり順調では詰まらないので,次以降は難しい課題を増やす予定。院生諸君と話していると,自分の技術レベルが再確認できて楽しい。
 同時進行で,先週休んだI君の補習ゼミを行うものの,VMwareのbridged networkがうまく動かず,ネットワーク校正に悩む羽目になる。原因は,Host OSの設定がeth0ではなく,eth1から外に出るようになっていたことと判明。当然と言えば当然であるが,VMnetはeth0に直結するものなのであった。つーことで,eth0を外側に,eth1を内部用として設定し直して,予定通りvmnet0から外側へ出ることが出来るようになった。これで一安心。またちょっと賢くなった。
 終わった後は学科会議。よせばいいのに,またぞろ今月末のK高校への出張講義を引き受けてしまう。だってさー,引き受け手がいないから断るとか言っているんだぜぇ~。昨今,大学からの営業にはホトホトウンザリしている高校側から来てくれと言っているんだから,断る手はないでしょ。慣れない純粋営業で神経をすり減らすぐらいなら,得意の講義(どこがだ)で営業をかける方がずっと楽である。引き受けるついでに,いかにワシが純粋営業を嫌っているかを力説しておくことも忘れない。機会を逃さず,パーパー言いたいことを言っておかないと,後々禍根を残すことになるからな。
 お約束通りぷちめれも書いたので寝ます。あ,著者からクレームが付いたらこのぷちめれはすぐ消しますから,読みたい方は今のうち読んでおくよーに。
 いよいよせっぱ詰まって,延び延びになっていたテキスト執筆に着手,頭の三章分をupする。明日中にはプログラムの総チェックをして完成一歩手前までたどり着きたいものである。
 管理しているMLが糞詰まりになる。以前投稿されたmailにMIME encode指定がおかしな物があったらしく,一ヶ月ばかりエラーが出まくっていたのをほったらかしにした報いが来たらしい。unshuntディレクトリにゴマンとメールが溜まりまくっていた。unshuntコマンドを使うもダメで,仕方がないのでまとめ読みモードを使用不可にし,エラーを完全に消去する。すると出るわ出るわ,エラーが帰ってきていた不通アドレスはあっという間に自動で配送不可になり,昨日投稿されていた小生御大のメールも無事配送された。どーせ一月に一つか二つしかメールが届かないMLなんだから,さっさとまとめ読みモードなんぞ捨てるべきだったな。
 寝ます。

神谷淳ほか「理工系のための解く!微分積分」講談社

[ Amazon ] ISBN 4-06-155766-1, \2400
 本書は献本で著者のお一人から頂いた物である。年のせいか,最近はこーゆー形で頂く本が増えてきてありがたいやら,(中略),なのだ。それ故に,なかなかreviewしづらいのがこの「献本」という奴なのである。
 まず,「タダ」で貰ったという負い目があって,reviewするにも切っ先が鈍りがちになる上に,著者が顔見知りであるが故の献本なのだから,どーも見知った人が書いた物に対しては,(中略)などは書きづらい。ってすでにもう(中略)を2回も使用していることがわかる通り,ワシが感じたままを書きまくることが難しいのである。
 と言って,この先,献本については全く何にも書かないのも,Google様からPageRank 6を賜っているWebページの主の沽券にかかわる。とゆーわけで,当たり障りのない範囲で好きなことを書きまくることにする。
 本書は理工系の微分積分で扱う範囲をカバーしたテキストであるが,微分積分に関する入門書と言えば,もう腐るほど出版されており,正直言って,個人的にはこれ以上森林資源を無駄にするのは止めた方がいいと思っている。とはいえ,大学教員とゆーのは研究者であると同時に,自らの担当科目に関してはテキストライターになってしまう宿命を背負っている。他人の書いたテキストを使って講義をしたとしても,「この著者はこんなことを書いているが,これはどーでもいい」とか「教科書には書いていないが,こーゆーこともある」とか,随所に批判しながら進めるのが常だ。そーゆー批判を差し挟んだノートを作ると,あら不思議,それはもう別のテキストになってしまうのである。従って,出版されている微分積分の教科書は氷山の一角であって,日本の大学には大学のセンセーの数だけ教科書が存在することになる。逆に言えば,同じ教科書を使っていても,センセーが違えば中身ががらっと変わってしまうのが,大学の講義という奴なのである。
 特に,もしワシが本書を使って講義をしたとすれば,そこに記述されていない,下記のようなことを延々と喋ることになるに違いないのである。
 1. 自然数から複素数まで「集合」と「代数系」としての数の体系
 2. 何故,実数は「直線」なのか?(有理数の隙間を埋める無理数)
 3. ε-δ論法による数列の収束,関数の極限値との関係
 4. 関数の連続性=実数の連続性
 5. (sin x)’ = cos xが弧度法(ラジアン)でしか成立しない訳
 6. 至る所微分不可能な高木関数
 7. 原始関数が表現できない積分の例(楕円積分など)
 8. 曲面積は曲線の延長にあらず(発散してしまう曲面積の定義例)
これで14回の講義のうち半分以上は潰れてしまい,「役に立たないことばかり教えるダメ教師」のレッテルを貼られること間違いない。ただ,ワシは最近,「大学でしか教えてくれそうもない知識」を無理矢理にでも受講生に押し込むこともある程度は必要ではないか,というへそ曲がり的心境になっていて,それ故に「理論体系としての微分積分学」の一端を見せることができるのだ,と開き直りたい欲求が抑えられないのである。
 逆に言えば,本書の記述通りに進めていくことで「役に立つことだけをきちんと教えてくれる良い講義」を作り上げることが出来るのである。例題は穴埋め式で,高校までの数学をきちんとこなしてきた学生さんには無理なく理解できる程度になっているし,長たらしい定理の証明なども皆無,図形による説明は豊富なので,本書で理解できないようなら,大学教養の微分積分の習得は難しいと言わざるを得ない。説明が親切な分,最後はがっちり重積分まで習得できるようになっているから,もし自分の講義で使用している教科書が難しいとか,上記1~8のような晦渋な理論を振り回すバカ教師の講義に四苦八苦している学生さんにとっては良き参考書になることは間違いない。
 ・・・とゆーことはよーく分かっているつもりなのだが,どーもワシは「バカ教師」になる欲求を捨てきれないのだ。いやむしろ,この先定年まで,クビにならない程度に「よく分からない講義」をしていきたいとすら,思っているのだ。それは多分,「よく分からないこと」を相手にすることにしか愉悦を覚えない,どーしようもない性から来ているのであろう。そして,「よく分かる講義」のための技術の習得に「飽きてしまった」(極めた,という意味ではない)のあろう。
 教師としてははなはだ宜しくない態度であり,言語道断ではあろうけれど,そーゆー人間でもクビにならない(今のところは,ね),というのが大学とゆーところの本質を物語っている。そして学生さんたちには,そーゆー言語道断な教師がのさばっていられる理由を,多分卒業後に身を持って知ることになるはずで,そこにこそ,「大学」という教育機関の本当の強みが発揮される・・・と詭弁を弄したい今日この頃なのである。
 最後に,「教師にイヤな質問を浴びせることを趣味としてきた陰険な学生」だったワシが,現在進行形で陰険な学生たらんとしている諸君に,アドバイスを一つ進呈したい。
 本書を使って講義をしている教師には是非とも次の質問をして頂きたい。

まえがきに書いてある「Mathematica」って何ですか?

「Mathematicaって奴を使うと本書の問題は全部解けちゃうんですか?」「Mathematicaがあれば微分積分はとても楽に勉強できるんですか?」「格子状になっている2,3次元図形はどうやって描いたんですか?」という質問でもよかろう。事前にMathematica数式処理Maple, MuPAD, Maxima, Risa/Asirという単語をググっておき,先手を打って予備知識を仕入れておくのもbetterだ。
 おそらく大抵の教師なら,”Mathematica”についての解説や,どうやったらそれを使うことが出来るのか(情報センターのマシンには入っている,とか)を親切に答えてくれるはずだ。そして同時に本書の解説にあるような「手計算」(つーか,理論の方かな)の大切さも同時に解説するはず・・・ですよね?>みゃー先生(とプレッシャーをかけておこう) 特にS岡大学にはとても”Mathematica”には良い環境があると聞いているので,是非とも使って頂きたいものである。

10/5(木) 掛川・雨後曇

 雨が降ったり止んだりの,どっちかにせい的な天気。今年の秋の長雨は長続きせず,曇天ばかりである。このまま冬に突入かしらん?
 今日は予定していた待ち人に逃げられる日らしい。まあおかげでテキスト執筆が少しは進んだけどさ。風邪引いたと診断書を直接持ってきて,そのままゼミを受講せずに帰宅する学生さんは初めてである。あきれて何も言わなかったけど。
 で思い出したのが,みなもと太郎さんのエッセイ漫画。デビューしたての頃に手塚治虫と初めてパーティ会場で会い,みなもとの作品について語り合おうと手塚から言い出したのに,その直後別の二人の客に手塚が捕まり,河岸を移した先でも延々その客と手塚との話し合いのみを見物させられた,というエピソードだった。別段,手塚を非難するわけではなく,「そーゆーこともあった」という程度の思い出話なのだが,確かに,人付き合いの悪いワシなんかからすれば,別次元に住んでいるんだなぁ,というタイプの人たちの行動は,腹が立つという段階を越えて,面白い見せ物になってしまうのである。ま,学生さんの場合はまた別の対応を取らねばならないのだが。
教訓: 世の中には,自分には全く理解が及ばない人が大勢存在する。
 明日は非常勤で半年ぶりの静大なのだが,あの態度のでかい警備員は更に増長しているのであろうか。またバトルしなけりゃならんのかなぁ,と思うと気が重い。今後のことを考えると静大さんとは付き合っておいた方が明らかに得策なのだが,こう面倒が増えるようでは考え直した方がいいのかもしれんなぁ。
 気が重いので寝ます。

10/4(水) 掛川・?

 気が抜けたせいか,先方から向かってくる仕事のみ片づけるモード。それでも,朝っぱらから偉い様がお尋ね下さったため,某進行中の○○に巻き込まれることになった。まあありがたい話ではある。未来の計画にcommitできるとあれば,××になる危険性は減るわけだしな。
 現実逃避がてら,MPICH2-1.0.4p1Vine Linux clusterとFedora Core clusterにインストールしてみる。前者にはconfigureの途中でエラーになってコンパイルできず。場当たりパッチを当てれば動きそうではあるが,試しにMPICH-1.2.7p1NetPIPEベンチをやってみたら現状より通信性能が良いことが判明。それではと,旧来のch_p4(rshベース)に戻してしまう。
 Fecora Core clusterにはあっさりインストールできたので,早速NetPIPEベンチ(ワンパターン)。やっぱりLAMとほとんど差がない。通信自体は安定してそうな感じであるが,わざわざLAMを押しのけてまで使う価値はなさそうである。とゆーわけで,インストールだけして放置プレイ。
 ぼちぼちやって寝ます。

10/2(月) 掛川・曇後雨

 南から湿った空気が秋雨前線に流れ込んで,夜は驟雨になる。じっとりした空気が服にまとわりついてベトベトである。しかし,これからカラッとした寒風吹きすさぶ季節になることを思えば,貴重な湿度であるとも言える。ベトベトもまたいとおし。
 後期講義開始。今年もぼちぼちやるしかないのである。で,ぼちぼちやって,二コマをこなす。この調子で連続12回講義がクリスマスまで続くのである。あのHappy Monday法案とかいうバブリーな語感の奴が通過してしまったために,やたらめったら月曜日が休みになってしまうので,講義日が確保しづらくなっているのである。従って,年末仕事納めギリギリまで講義が続いてしまうのであるな。講義期間中の祝祭日はすべて無視して講義を行い,長期休みにまとめてしまったらどうか,という意見も合理性を持ちつつあるが,さて実現となるとどうなるやら。
 今年の3年生向けゼミが始まる。今年から並列数値計算一本にテーマを絞ったので,まずはVMwareを使ってのVine Linuxのインストールから。Fedora CoreをHost OSにしているせいか,インストール途中でX windowの設定時にフルスクリーンにすると戻ってこないことがあり,閉口する。それでもなんとか全員インストールができ,無事ネットワークもつながった。次回以降,残りの環境設定を済ませて,プログラミングという運びになる。今度こそテキストを完成させねば。
 ゼミ終了後に広島の研究集会向けの予稿を完成させる。最近は大体どこでもPDF入稿なのだが,これがかなりのくせ者で,特殊なFontが足りなかったり,標準のWindowsフォントで代用するとレイアウトが崩れてしまったりと,トラブル満載だったりする。それに懲りたのか,先方はずいぶんと厳格なPDF/PSファイルチェッカーを導入したようで,いつものようにAdobeの小塚明朝・ゴシックとTeXの欧文フォント(一部)のみを埋め込んだPDFを投稿するとエラーが出てはじかれてしまう。MS標準フォントに変えても駄目。先方で取り込めないfontがあるらしい。
 仕方がないので,dvipdfmx -f kozembedwin.map -f dlbase14.map でフォントを埋め込んで生成したPDFを更にAcrobat PDFプリンタドライバにかませてPDFファイルを作ってみる。おお,これならおっけ。あっさり通過したぜ。やっぱり日本語フォントは小塚フォントだな。MSフォントなんぞ,ショボクていかん。
 とゆーわけで,今週末まで引きずるかと思われた仕事は一つ完了。それよか,来月初旬の研究集会のネタに重大な欠陥を発見しつつあり,そっちの解決の方に力を注ぐ必要があり,一安心,という心境にはない。うう,どうじよう。早まってアブストラクト提出するんじゃなかったなぁ。ま,できるところまで頑張ろうっと。
 そーいや,Acrobat 8がアナウンスされてたんだっけ。それはいいけど,Windows XP x64対応はいつになるんじゃい。Vista対応とか言うんだったら,x64版にもきちんと対応して欲しいものだが,このあたりの詳細がよーわからん。誰がレビューしてくれんかのう。
 久しくご無沙汰だが,コミケ代表の米澤嘉博氏死去。享年53歳ってのは早いよなぁ。イワエモンさんの時もびっくりしたが,コミケ混雑対策・システム管理の開祖が身罷られたと思ったら,代表まで。直接の面識はないのだが,ご冥福をお祈り致します。
 人望が厚い人格者ってのは早死にするモンなんすかね。その伝でいけば,ワシは間違いなく長生きするな(ふっ)。
 あ,トップページが,久々のPageRank 6をマークしたぞ。
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 だからと言って,何か変わる訳じゃないんだがな。やることやるまでさぁ~。
 うだうだやってから寝ます。