8/16(水) 掛川・晴

 太陽は出ているものの,昨日とは違って雲が薄くたなびいている。昨日電話をくれたK先生によれば,ワシは台風を呼ぶ男なんだそうで,実際台風10号が太平洋上をふらふらしているようだ。しかしどうやら四国から九州へと向かうようで,ちょうどK先生が宮崎にいらっしゃるのと同時らしい。台風に好かれているのはどっちなのか,よく考えていただきたいものである。
 夏野菜がすっかりグズグズになったカレーを食し,TVニュースを見ながらこれを書いている。
 Amazonに発注してあったC++プライマー 第4版が届く。暑いさなかにお届けありがとうございます>宅配便やさん
 先日,東京で見かけたのだが,あまりの分厚さにAmazon送りにしたのである。送料もタダだったしな。
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 分厚いよなぁ(953ページ)。でも参考書としてはTemplate,特にSTLの説明がきちんとしてある奴が一つぐらいないとね。次年度はTemplateベースのライブラリの本が書けるといいなぁ。
 C++ Object指向の欠点は,
 1. プログラミングの経験値がないとその価値がよくわからない
 2. アホが作ったclassはソースを見ないと使いこなせない
 3. 基本的には整理技術なので,アルゴリズムレベルの高速化には役に立たない
 4. 組み込み系ではC以上の機能は必要とされていない
ってところか。研究者レベルだと,本は書けるが論文は書けないって感じかなぁ。最近だと
 5. WebではPerl/RubyのScript言語,Javaだけで用が足りる(最近ではSQLも少し)
という状況も手伝って,C++じゃなきゃ,っていう要求は減っているように思う。GUIベースのアプリ開発ぐらいかしらん。
 今日もぼちぼち人生を過ごします。

吾妻ひでお「うつうつひでお日記」角川書店

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-04-853977-9, \980

うつうつひでお日記
吾妻 ひでお〔画〕
角川書店 (2006.7)
通常24時間以内に発送します。

 一言で言えば,Making of “失踪日記“と読書日記。Comic 新現実で連載が始まった時には,「何で2004年から始めるの?」と疑問に思ったのだが,意図したのかどうかはともかく,原稿がコアマガジンからイーストプレスへ渡って「失踪日記」が発売される直前,2005年2月まででぴたりと記述が終わっている。出版社の意図としては失踪日記に便乗する形で売り上げを伸ばしたいと思ってのことだろうが,B6版のオレンジ装丁,しかもタイトルよりも「吾妻ひでお」の文字がやたらにでかい所なんぞは,あざとさの極みというべきであり,あきれるよりも笑ってしまう。この先も同様の尻馬本が出版されるようで,著者も自身のWebページで「オレンジの本を何冊出すんでしょう」と自嘲気味に語っている。
 これで思い出したのが,「寅さん」として生涯を終えた俳優,渥美清のことである。小林信彦の「おかしな男 渥美清」では,寅さんのイメージ一色になってしまったことを悔いているようなニュアンスが強かったが,実際はそれだけでもないようで,先日放映されたNHK-BSのドキュメントでは,寅さんのイメージを崩すことを恐れて,盟友の早坂暁の脚本によるTVドラマの主演をドタキャンした,というエピソードが紹介されていた。松竹の意向も強かっただろうが,本人としては,映画会社の大黒柱を支える当たり役を勤めることに対して,違和感と共に誇りも感じていたというのが実情だったのではないか,と思えるのである。
 古くからの吾妻マニア(何せ「ビッグ・マイナー」だからな)にとっては「失踪日記の吾妻ひでお」になることは耐え難いかもしれないが,当の本人はどう思っているのだろうか。今後の吾妻ひでおの活動を占うのは,充電期間中に読み込んだ作品群の蓄積と,そのあたりの心持ちにかかっているように思えてならない。

8/15(火) 掛川・?

 終戦記念日。正確には敗戦記念日(残念日?)か。東京の九段あたりが騒がしいが,何か予想していたより静かだったな。織り込み済みということか。
 昼飯はカレー。ナスとブロッコリーをにんじんとジャガイモの代理として投入した夏野菜カレーとしゃれ込んだのだが,煮込みすぎて歯ごたえゼロ。次回は湯通ししたものを食う直前に入れることにしたい。それでも食いすぎて腹がきつい。
 大師匠からお電話を頂き,投稿論文の最終校正をして郵便局に投函。一仕事終了感が漂い,スポーツクラブで軽く運動した後は何もする気が起きずにだらだらと昼寝したり,ボーっと録画してあった番組を眺めたりして過ごす。ああ書き物が進まない,と。
Definition of “専門家”
 自分の意見を代弁してくれる,社会的肩書き付きの便利屋。どんなトンデモな論でも,探せば一人ぐらいはそれを持ち上げてくれる専門家は見つかるものである。欧米(USAと西ヨーロッパ)圏の人間であればなお箔がつく。
Definition of “迷う”
 ゴールを設定したがために,そこに辿りつけない状況をこのように呼ぶ。ゴールがなければ,単なる「ぶらり旅」であり,ウロウロと徘徊することそのものがゴールとなる。
 ほほう,/.Jで吉川潮が話題になるとは。しかし/.Jerの大部分は著作を読んだことがないらしい。まあ当然か。
 半ズボンがみっともないってのは,塩野七生もエッセイで書いてた,ベッド以外での毛脛がみっともないって話と通じるよな。
 ほぼ日でハゲについての対談が載っていたけど,そこでハゲの当事者,呉智英さんがこんなことを言っている。
 「西洋人の場合、見た目的にもゲーハーがあまりみっともなくないんだよね。もともと髪の毛が金髪とかプラチナブロンドだったり、茶色でも色が薄いから、髪の毛と肌の色とあまり違わなくて、ハゲても目立たない。
 日本人は地肌の色が白っぽくて、髪の毛が黒いでしょう。だから滅び行く草原状態がどんどんハッキリしてくるんだ。」
 東洋系の毛深いおっさん達の毛脛もハゲと同じ状況にあるから,多人種より目立つことは間違いなさそうである。半ズボンみっともない論の源泉はこのあたりにありそうだ。
 ボチボチ寝ます。

8/14(月) 掛川・快晴

 真っ青な空に雲がちらほら。上空の風が強いせいか,結構な速さで窓の左から右へと流れている。セミも盛んに鳴いている。
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 昨日は結局自室でヒッキー生活。何もせず,飯を3回食って糞を1回ひり出しただけである。人間所詮糞袋ってのは誰の言葉だったっけか。今のワシはまさしくそれである。今日はさすがに仕事を進めねば。
 東京都内から千葉で大規模な停電があったようだ。事情はよく分からんが,ゆりかもめや東京メトロも止まっているらしい。電力消費に配電網がついていけなかったのか,事故なのか,その辺がはっきりするのは明日辺りかな。
 どうやら事故らしい。江戸川を横断している送電線にクレーンが接触したとのこと。うーん,損害賠償額はいかほどになるんだろうか。
Definition of “利権”
 国や地方自治体が主体となって行う事業から派生するビジネスチャンスのこと。その意味で「利権の構造」とは,民間企業主体の経済活動の構造と同じものだが,使用される資金が,「不当に巻き上げられている」と認知されている「税金」であるため,「納税者」からは常に批判の目に晒されている。
 これが民間企業主体の事業に対して,「自らの意思で」支払った資金であれば,「債権者」は,多少(この場合,”多”にウェイトがかかっている)の不正行為があっても,利得があれば黙っているか,時によっては擁護したりもする。
 静岡は平和。セミの声しか聞こえない。

二階堂正宏「のりこ」新潮社

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-10-3015520-7, \950

のりこ
のりこ

posted with 簡単リンクくん at 2006. 8.13
二階堂 正宏著
新潮社 (2006.6)
通常2-3日以内に発送します。

 前作の極楽町一丁目シリーズで主役を張っていた,のりこさんと旦那さんの母親との闘争劇を更に「過激に」した,書き下ろし単行本・・・なのだが,正直,不満である。いや,のりこさんは前作より色気が増しているし,意味もなく胸をはだけたり全裸になったり,いわゆる読者サービスはたっぷりあるし,少なくとも前作よりは面白い。しかし,基本的にはナンセンス漫画であって,その枠をぶち壊すほどの過激さは感じられない。まあ,旧世代の大人漫画家にそこまで期待する方が無理ということは分かっているが,本書中で過激さを自己宣伝しまくっているために,その割には大したことないな,と思ってしまうのである。
 のりこさんがどれだけ残虐にお舅さんをいたぶろうと,最後は生き返ってしまうのでは,どうやってもナンセンスの枠にとどまってしまうに決まっている。大体,介護すべき親を殺してしまうなんていうレベルの過激さだったら,とっくに山科けいすけが漫画にしている。一番の問題は,この程度のナンセンス漫画をすぐに没にするマスコミの脆弱さにあり,それ故に著者や編集者が作品のレベルを過大評価してしまうのだろう。
 そんな程度の漫画であるから,現在老人介護の真っ最中でストレスを溜めまくっている方も,介護される側の方も,安心して読んで頂ける筈である。え? 実際に事件が起きたらどうするのかって? 大丈夫,介護する側もされる側も,望んでいるのは合法的な安らかな死であって,この作品にあるような舅殺しなんて面倒な犯罪は所詮,ナンセンスに過ぎないのだ。つまり,当事者にとっては2重に意味でナンセンスな,安全安心な作品なのである。
 本書で物足りない方には,ヘルプマン!をお勧めする次第である。