坂田明「ミジンコ 静かなる宇宙」テレコムスタッフ

[ Amazon ] \3990(税込)

 新聞サイトのベタ記事にこのDVDが紹介されていたので,速攻買い。価格は映画のDVDに比べるとちょっと高く感じるが,そんなに数が出るとも思えないので,妥当なところであろう。
 Jazzサックス奏者・坂田明のミジンコ好きはタモリの宣伝も手伝って,かなり有名である。しかしどの程度の趣味なのか,ということについて詳しく知る人はそれほどいなかったのではないか。当然ワシもその一人で,せいぜい金魚と隣り合わせの水槽にミジンコを飼っているだけなのだろうと思っていた。
 しかしそれは完全な誤りであった。坂田明はミジンコ学者なのである。自宅の一室に研究室並みのVTR付き顕微鏡を据え,微に入り細に入り,水滴に閉じ込められた一匹のミジンコを観察しつくすのである。坂田は水産学部を出ており,機器の扱いにある程度通じているとはいえ,ここまでミジンコに入れ込むとは尋常ではない。これは学者の仕事である。
 このDVDは,坂田による学術的なミジンコの解説が主軸となっているが,時間的にはミジンコの物言わぬ映像が多いように思える。これがNHKのドキュメントであれば,3DCGでわかりやすい図解をするところを,全てミジンコの顕微鏡映像を淡々と流すだけである。静かなアルトサックスが奏でる音楽と合わせると環境映像のようであるが,むしろ「分かりやすい解説」,いや,「分からせてやる的な解説」に慣れすぎている我々は,このような本物の映像のみが語り得る情報を,自分の頭をフル回転させて想像し,受け取るべきなのではないか。
 例えば,ミジンコには殻があり,二枚貝のような形状をしている,ということを説明するには,3DCGを作り,それをグルグル回転させればよい。それに対し,この坂田のDVDでは,殻の裂け目からチラチラ動く足が良く見えるよう,縦になったミジンコの顕微鏡映像しか見せてくれない。しかし,我々はそこで想像するべきなのである。いや,かつては想像していたのだ。教師は自分勝手に自分の価値観を押し付けるだけの教育をしていた時代,TVでも字幕スーパーが要所要所に現れたりしなかった時代には,学生は一定の「努力」の末に学問を修め,視聴者は自らの「想像力」の働きによって番組の流すメッセージを受け取ることができたのである。
 このDVDを面白がれるかどうかは,自然科学に対する興味の有無のみならず,昨今では薄れてしまった真の映像が発する情報を想像力を持って理解することができるかどうか,そこにかかっている。それができなければ,単なる透明な生物と坂田の奏でるミジンコ音楽によって構成された環境映像にしかなり得ない。心して視聴して頂きたい。

12/29(木) 掛川・晴

 快晴だが風は全くない,冬には珍しい穏やかな天気。この時とばかりに布団を干す。明日も快晴のようなら,もう一組の布団も干さなきゃ。
 昨日は寝室の床を埋め尽くした本だの雑誌だのをまとめただけで疲れ果て,その後はずっとおうちクラスタ構築に費やす。Fedora Coreになってから数値計算ライブラリやMPI関連のソフトウェアの充実がすごい。LAMLapackScalapackatlasまで全部”yum install ほにゃらら”でインストールできてしまう。ワシのBNCpackもLAMで問題なく動作することを確認し,ベンチマークのための下準備を行う。・・・うーむ,やっぱりAMDは良いな,但しCPUだけだが。GbEは,最高性能こそIntel 955Xに匹敵するものの,通信が安定しない。実際,GbEだけでなく,nForce4の他の機能でも問題が多いようだ。この辺りに企業体力の違いが現れている。次のDual Core CPUのリリースではIntelがAMDを凌駕するかもしれないな。
 LAMは使い勝手が優れているんだなぁと感心。学生さん向けにはこれを使ったほうがいいかな?
 今日はお掃除の神様が少しだけ手助けをして下さったようで,台所の上だけは午前中に終了した。これから溜まりに溜まった本の収納場所を作るべく,カラーボックスを買いに行く予定。んでは。
 ただいま。予定通りカラーボックスを3つ買い込み,ギチギチだった既存の書棚に空間を確保する。お掃除はごみの取りまとめと風呂掃除を行って本日分を終了。明日は洗濯と掃除機がけ,不燃粗大ごみの取りまとめの予定。これで掃除は全て終了となる予定であるが,はてさて。
 一年ぶりにカセットコンロを持ち出して,ささやかな水炊き。薄味だが,これが一番うまい。ゼミの忘年会ではチゲ鍋が出て,思いの外うまかった。が,家でやるとなると躊躇してしまう。後始末が面倒だし。で,いつもの水炊きになってしまうのである。正月明けまでにあと2回はやっておきたいな。どーせこの時期しかできないんだし。
 風呂入って,ぷちめれ書いてから寝ます。

白井恵理子「STOP劉備くん!」メディアファクトリー

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-8401-1337-8, \514

STOP!劉備くん! 1
白井 恵理子
メディアファクトリー (2005.11)
通常2-3日以内に発送します。

 ワシは自分の意思が薄い人間が大嫌いである。もちろん,意思がありすぎる人間も嫌いであるが,意思がないよりはマシである。世の中,自分の思い通りにならないことが多いのは当然であるが,時間と暇と住む場所さえ確保できているのであれば,自分次第でどうにでもなることも多少は残っている。自己表現という奴はその代表的なものであって,文章を書いたり漫画を描いたりアニメを作ったり(これはちと大変だが)することは,自分の意思さえしっかりしていれば何とでもなるものである。それが商売となると売れなかったり酷評されたりと,思い通りに金銭を得,評価されることは難しいが,表現を捨てるかどうかは自分次第である。
 本書のウダウダしたあとがきを読んでいて猛烈に腹が立ってきたのは,著者の愚痴っぽさもさることながら,コツコツと積み上げ高めてきた表現能力をしょーもない理由で捨ててしまったことを知ったからである。もちろん,白井は白井なりに熟慮の結果なのであろうが,本書を編む土台となった角川あすかコミックス版3冊(1991年刊, 1994年刊, 1997年刊),及び希望コミックス版三冊(「GOGO玄徳くん!!」 2001年刊, 2002年10月刊, 2002年11月刊)を後生大事に抱えていた愛読者としては,「漫画家を辞めただぁ,ふざけんな!」と憤ってしまうのである。
 申し訳ないが,デビュー当時の白井の絵は見られたものではなかったと記憶する。人物はゆがんでおり,シリアスものとなればどーにも不恰好で,人には薦められたものの,あすかコミックスから刊行されていた黒の李氷シリーズなどはどーにも読む気になれなかった。しかし,絵が下手,ということはギャグ漫画にはむしろプラスに転化する。とり・みきが言うように,絵が多少ゆがんでいたとしても,それがギャグの勢いを生かすことに繋がったりする。4コマではあるが,この「STOP!劉備くん」シリーズは,時事ネタをうまく三国志のキャラクターに嵌め込んで,しょーもないネタを笑える漫画に昇華させることに成功している。未だに復刻を望む読者が多く,それ故に今回新たに新作も加えて編みなおされたのは,白井の才能が一定のレベルに達しているという証である。
 しかし,このシリーズをちまちまと続けつつも,白井は表現のレベルを更に上げていったのである。その成果は1997年に刊行された「賢治と水晶機関車」(あすかコミックスDX)に結実した。ワシは書店でこれを新刊書のコーナーで見かけて手に取り,どれだけ下手か(我ながらヒドイ)を確認しようとしたのであるが,一見して驚愕し,迷わずレジに持っていったのである。
 書名から分かるとおり,これはは宮沢賢治の物語世界を下敷きにした短編を収録したものであるが,宮沢賢治の原作をなぞったものではない。主人公には中学生の宮沢賢治と友人の銀茂を据えた,賢治テイストではあるがオリジナルの物語である。この作品の絵のレベルは,デビュー当時のへたっぴぃなものと比べると,とてつもなく上がっている。勿論,絵に加えて物語の構成も優れたものになっている。ワシは「STOP!劉備くん」とは異なる世界を展開させつつある白井に驚愕したのであった。
 その白井がだよ,体調が悪いならともかく,回復しつつあるというのに筆を折って看護師になるだとか,そのために予備校に通って楽しかったとか,面接を受けたけど(本人曰く)年のせいで落っこちたとか,ウダウダウダウダ・・・と本書のあとがきに書いているじゃねーかよ。
 ふざけるんじゃない!
 ワシは期待していたのだ。
 「STOP!劉備くん」の続編が出るのを。「賢治と水晶機関車」で見せた表現能力の更なる高みを。その期待を裏切られたのである。一読者の勝手な言い分ではあるが,勝手なので勝手に言わせてもらう。まだまだワシは待っているのである。
 本書はごく一部を除き,ほとんどが既刊の6冊の編みなおしである(おかげで絵柄がまちまち)が,待ち続けてくたびれ果てた読者としては,ないよりマシ,ではある。故に,ワシは名古屋にて迷わず本書をレジに持って行ったのである。これは期待を込めたエールである。
 白井は,また描きはじめるようである。しかし油断はならない。またいつ筆を投げるやもしれぬ。そうならないよう,メディアファクトリーから今後刊行される白井の単行本は,どんなに絵が下手な作品であっても,買い続けねばならないのである。怨念を込めてワシは買ってやる。
 白井よ,今度こそ漫画家人生を全うしてくれまいか。

12/28(水) 掛川・快晴

 朝方寒く,太陽が昇ってくると室内や車内は一気に初夏の陽気となる。何とかならんかこの気温差。
 今年の正月こそ筑前煮(実家では「うま煮」と称しているもの)を食すべく,まずは出しの取り方から学びなおすことにする。ふむふむ,昆布は水の状態から入れて沸騰する直前に取り出す,と。削り節は昆布と交代でさっとぶっこんですぐに取り出す,か。早速予習を兼ねてやってみる。おお,なかなか上品な味わい。では今日の昼飯はかけ蕎麦にしようと,取ったばかりのだし汁を使って蕎麦汁を作る。しょうゆとみりんと日本酒を同量,薄味に仕上げてみる。・・・まあ上品な味にはなったな。これに砂糖をちょっと加えると,いつも使用している桃屋のたれになるのだが,甘くない方が好みなのでこれで蕎麦汁完成とする。残った蕎麦汁で大根を炊く。風呂吹き大根というにはちょっと色がつきすぎかな。ま,うまそうだからいいか。
 買ったまま積んであったDVDを消火する作業にかかる。・・・ううむ,なかなか味わい深いものもあるな。今週のレビューで全部紹介しちまおう。
 今日は料理と掃除三昧と行くことにしよう。それが終わったら温泉に行ってゆっくりする予定。では。

12/27(火) 掛川->浜松->掛川・晴

 ピーカン晴れ。日本海側の大雪がいかに凄いかという証でもある。とうとう特急列車まで脱線する始末。札幌の実家を出て以来,日本海側にいたのは6年だけだが,もう雪のある生活はしたくない。年中夏タイヤを履きっぱなしで良い生活は人間を自堕落にさせるのである。
 午前中は学科会議。久々に演説をしてしまい,満場のため息を誘う。次年度は臨時に(ホントか?)統計解析を担当することが決定。3年生相手なので,Excel操作は・・・大丈夫だろうなぁ? 無事12時には終了するが,今日は有給休暇を取っていたのを急遽出席したのである。ワシの休みを返せぇ戻せぇ~。
 午後からは久々に浜松までドライブ。浜松市野のJUSCOで昼飯を食い,買い逃していたShakatakを買う。ついでに付近のカーマと接客日本一を未だに目指しているらしいPCショップにて,目覚まし時計と安物GbE Switchを買う。帰りはまだ残っているハイウェイカードを消費すべく,磐田I.C.から東名を使って帰宅。まだ千円近く残っているな。今度は静岡市方面に出撃してみるか。
 帰宅後,睡魔に襲われてこれも久々の昼寝をし,目が覚めたら午後7時。買ってきたばかりのShakatakをかけつつ,つらつらとこのblogを書いているという次第。
 ぼちぼち寝ます。あ,風呂入ってからね。