夏目房之介「おじさん入門」イーストプレス

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-87257-577-6, \1200

おじさん入門
おじさん入門

posted with 簡単リンクくん at 2005. 8.18
夏目/房之介??著
イースト・プレス (2005.8)
通常24時間以内に発送します。

 夏目房之介という人をどう捕らえていいのか,少し前まではちょっと迷っていたところがある。
 ワシはしょーもない(ホメ言葉です為念)漫画が好きである。「しょーもない漫画」とは,メジャー志向ではないショートギャグ漫画で,メッセージ性皆無,脱力系ギャクが満載で,作者本人は楽しんで描いているものの,一般的人気は取れそうもないな・・・という,ワシが勝手にカテゴライズしたジャンルである。横山えいじ竜巻竜次がしょーもない漫画の2大作家であり,ワシはこの二人の作品が大好きで単行本が出るたびに買っているのだが,困ったことに人気がないのでなかなか出版されず,店頭にも並ばないから入手しづらいというファン泣かせのジャンルなのである。ワシにとっての夏目房之介像の一つは,このしょーもない漫画を長く描いていた作家,というものであった。多分,純粋漫画作品としては「偉人でんがく」が最後だったと思うのだが,ワシはこの掲載誌を休刊になるまで購読していたので,そーゆーイメージを持っていたのである。
 しかし,ワシが最初に嵌った夏目房之介作品は「手塚治虫はどこにいる」という,シリアスな漫画家評論集だったのだ。これに感動したワシは次から次へと漫画評論集を読むようになって,自分のblogで読了した本の感想文を書き連ねるパンピーになってしまったのであるが,ワシにとっての夏目房之介像もこれによって完全に分裂して今に至ってしまったのである。文章が硬く,論理的な説明を丁寧に積み重ねた評論と,しょーもない漫画とのギャップが激しすぎて,ワシの脳内では同一人物としての一致を見ていないのである。
 本書は前著「これから」に続くエッセイ集であり,文に添えられているカットを本人が描いているという体裁も版形も,老化していく自身やその周囲を観察し恬淡と思ったこと書いているという内容も全く同じで,違うのは出版社だけである。
 ワシは現在三十路半ばを過ぎた人間ドックおじさんであるが,そのぐらいの年齢になってくると,世間と自分との折り合いのつけ方は当に心得てしまっているので,本書で述べられている考え方は「まあ,そんなところだろう」と全面肯定できる。逆に言えば,意外な考え方が示されているわけではないので,あんまし年を取ってから読むものではない本かもしれない。社会に飛び込んだばかりの二十歳代ぐらいに読んでおくと,世間との軋轢に悩んだ時には参考になることが多いんじゃないかなぁ。そう考えると,今は難しいだろうが,熟年離婚に至った経緯と理由を語ってほしい,というのが無責任な第三者の正直な感想である。
 しかし一番面白かったのは,ワシが抱いている2重の夏目像が,硬い文章と,説明過多のしょーもない漫画タッチのカットのそれぞれに重なったことである。おかげで,カットはカット,文章は文章で別個に眺めることで2回しゃぶることが出来る,ワシにとってはお得な本になっているのである。

8/17(水) 掛川・晴

 でれでれしながらも,数値計算テキスト改定作業をすすめる。何とかあと二日で一通りの仕上げをしなければならないのだが,意図していたところまでは進みそうも無い。まあでも昨年度に学生さんからイチャモンがついたところは改定できるだろう。問題は全部で200ページを越えそうな分量になるってところだな・・・。
 今年の夏は過ごしやすくてよい。これが「平年並みの夏」という奴なんだな。朝方と夕方は気温がぐっと下がって,冷房はoffにしていても,扇風機をかけっぱなしにしておくと結構涼しい。良いことである。
 選挙報道が喧しい。まあ選挙が面白くなるのは良いことである。ホリエモンまで出馬か(朝日新聞)。なーんか顔ぶれが派手だな>自民党 人材の無駄遣いという声もあるようだが,折角面白い候補者を集めたのだから,せいぜい当選させてやって欲しいものである。
 どーんより過ごしている間に,HDDレコーダに溜まった番組のDVDへのダビングと整理を済ませてしまった。保存した映画は「幕末太陽伝」「Blues Brothers」「Blues Brothers 2000」「ベルリン天使の詩」。なーんか,ふつーのハリウッド映画を鑑賞できない人間になっちまったって感じ。まあ年より臭くてそれもよし。
 ふーん,Dual core Xeon前倒しか(PC Web)。IntelはNetBurstと共にHyper-Threadingを捨てるようだし(PC Watch),Core数でCPU能力を量るようになっちまうんですかねぇ。だったら早いとこ,せめて同一Node内だけでもOpenMPだのMPIだの使わなくても自動データ転送ぐらい,Compilerで面倒見て欲しいものである。
 風呂入って寝ます。

藤臣柊子「日本一 食べまくり&遊びまくり編」幻冬舎

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-344-00792-1, \1400

日本一 食べまくり&遊びまくり篇
藤臣柊子著
幻冬舎 (2005.6)
通常24時間以内に発送します。

 初めて読んだグルメ本は「恨ミシュラン(上)」である。フジオミの新刊である本書を読んだ時,「何故,ワシは,恨ミシュランではなく,これを最初に読まなかったのだろう」と後悔したものである。それぐらい,恨ミシュランは強烈であったのだ。
 それまでにも食を扱う漫画は読んでいた。「クッキングパパ」はたまーに荒岩一家の近況を知りたくて買ったりするし,歯医者の待合室に置いてある「美味しんぼ」に手が伸びたりするし,子供の頃に読んだ「包丁人味平」は結構ドキドキしながらラーメン対決を読んでいたりしたものである。これらの作品に登場するキャラクター達は,料理に対して真剣に取り組んでいたものである。うまいものはうまいと言い,まずいものはまずいと言う,真面目な求道者を扱った作品群である。
 恨ミシュランには,その名の通り,高級品に対する恨み,怨念こそあれ,食を極めるなどという高尚さはまるでない。「へー,あんたがたこーんなまずいモンをこーんな高い金取ってるわけ?いーショーバイしてんねー」ってな感じで,少なくとも客としてそれなりにきちんと遇されたであろう取材先の店を,気に入らない時には容赦なくコテンパンにけなしまくるのである。この著作以後,西原理恵子は税金をめぐって国に喧嘩を売るぐらいの大家となり,神足裕司はマイルドに物事を語る評論家としてブラウン管(この表現も通じなくなるな)の中から見事な頭部のテカリをお茶の間にお届けするようになった。いわば出世作なのであるが,さてグルメ本としてはいかがなものであったか。
 何せ,池袋のスナックランドが高評価なのである。対して神田の老舗がケチョンケチョンの低評価。まあ確かにスナックランドは安いしそこそこ食えるし,老舗の時代がかった対応は癇に障るかもしれない。しかしそこにはどー見ても,恨みというバイアスが掛かっているように思えて仕方がないのである。作品としては最高であったが,アンチグルメ本と捉えるべき本であろう。
 本書は「恨み」の全くない,スタンダードなB級グルメ・観光ガイド兼用のエッセイ漫画である。これは別段,著者が訪問先に対して気遣っているわけではない。気に入らないところはそう書いてあるし,しょぼいものはしょぼいと言う。しかし,サイバラとは異なり,フジオミには世間に対するルサンチマンというものがまるでなく,目を皿のようにして「まず貶してやろう」という姿勢は全く見られない。折角出かけるのだから,精一杯楽しんでやろうという至極善人的な観光者として,フジオミは大方,ポジティブに面白がっているのである。
 まっすぐな観光を楽しみたい向きには本書をお勧めする。
 「けっ,構造改革だか郵政解散だかしらねーが,むしゃくしゃするっ」という向きには,是非とも「恨ミシュラン」を読んで,「人が良かれと過ごしている所にやってきてクソたれる」(by パッポン博報堂さん)快感を味わって頂きたい。

8/13(土) 掛川・曇

 どんよりムシムシ,という日。本日から次週日曜日まで職場は完全閉鎖である。仕事は順調に停滞中(ぉい)。
 完全閉鎖の直前,ごみ捨てなどに勤しんでいると,最後のDual Core PC2台が到着する。くっそー,この忙しいのに~,といいつつ,全てに優先する割り込みが入ってしまっていそいそとセットアップする。いやぁ,ごっついごっつい。
dualcorepc-back.jpg
 ケーブルもごしゃごしゃ。まあ卒研終了時まではこのまま行くしかないな。メモリテストも問題なくクリア。わーいラッキー。・・・当たり前のことなんだが,メモリがらみのトラブルに今年は2回もぶち当たっているので,神経質になっているのだな。
 しかし,電源が500Wとは・・・。4台で2KW。cs-pccluster2を全部こいつに入れ替えると,12台で6KW。100Vだと60A・・・ご家庭で気楽に使えるという代物ではない。そろそろ実験室の制限容量も越えそうである。今のうちに調べてもらわないといかんなぁ。
 さて,ちょーどいい具合にWindows Vistaのbeta 1も入手できたので,テストがてら64bit版をインストールしてみよう。ちなみに32bit版は,160GB HDDを1 partitionとして認識できずにインストール断念。ま,使わないからいいけどね。
 さて,DVDから起動して・・・
longhorn-beta1-boot.jpg
 おおっ。なんて地味なモノクロ画面だ。さて,セットアップは・・・
longhorn-beta1-install.jpg
 へー,マシン名とインストール先のpartitionだけ指定すればいいのか。らくちんだなぁ。
 さて,使い勝手は・・・
longhorn-beta1-main.jpg
 むー,XP SP2と全く変わらんぞ。画面デザインはともかく。まあ,beta1にして安心して使えるレベルになっているってのは,現時点ではその程度のminor updateってことなんだろうけど。UPnP機器(うちの場合はWireless LAN Switch)もスカッと見つけてくれるし,DHCPなら全く設定いらず。楽なもんですわ,ホント。
 個人的に気になっていたMeiryoフォントだが,これは地味な改良だが大したもので,すっごく時が小さくて読みづらかった教祖様のblogがすっきり読めたりするのである。・・・気のせいかな?
 さって,頑張って仕事しましょーかねぇ。

8/8(月) 掛川・晴

 昨日は,はだびずでぐしょぐしょ,だみごえごさごさで我がcs-pccluster2の説明を午前に4回,午後に3回こなしてOpen Campusを乗り切った。本日も状況変わらず,多少軽くなったものの,朝起きたら頭痛に悩まされ,職場に着いてからバファリン様2錠にすがってようやく仕事に復帰できたのであった。うう夏風邪ってしんどいもんですなぁ。
 喫緊の課題が過ぎ去ったので,S先生を二ヶ月以上お待たせした課題をシャカシャかとこなして「できましたぜ,後は先生の責任で何とかしてね」という無責任なメールを送り,溜まっていた書類仕事をてきぱきとこなし,いよいよ自分の論文書きモードに突入するのであった。SWoPPの際に,やはり予想してた突込みをされてしまったので,そちらの論文はとりあえず後回しにして,乗りかかった船になった論文の方から片付けることに方針転換。グローバルスタンダードな例題を片っ端からDLして纏め上げて本日の職場におけるお仕事は終了である。
 その間,衆議院は解散されてしまったようである。公示が8/30,投票が9/11だそーな(読売新聞)。やれやれ,こちらが実験講座に汗をかいている間に選挙カーがうるさく駆けずり回る事態は避けられそうである。さて,小泉さんの命運や如何に? 某政治やほいの大家はさぞかし萌えていることでありましょう。あー,無事仕事が上がったら,久々にComitiaでも行ってこようかな。コミケ? あーた,そんな暇,今年は全くございません。
 ということで,自宅に戻って,今度こそ「ソフトウェアとしての数値計算」リニューアル原稿の総仕上げである。今週中に下書き完成,来週一杯で打ち込み完了,再来週に最終チェックして8月末に入稿予定である。暇なんかないっ。絶対にないっ。
 従って,今年の夏は仕事仕事で終わる予定。・・・といっても出来たためしは無かったのであるが。さて,今年はどんなんかなー(誰の持ちネタだったけ?)。
 ということで小泉さんの記者会見を見たら寝ます。