12/31(月) 駿府・晴

 ふ~,何とか毎年年末恒例のうま煮を鍋いっぱい作って人心地ついているところである。今年は神さんとバトンタッチして,年越しソバと雑煮の汁は神さんにお任せ。どういうものができるか,楽しみなような怖いような。
 冬に入って青葉公園はライトアップされている。
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 総選挙投票日直前の土曜日に,ここで日本維新の会の橋下徹とそのまんま東が街頭演説をしたのだが,その直前にこの派手なライトが点灯して聴衆がちょっと盛り上がった。そん時の候補者は,小選挙区では落選したが,比例代表でも救済されなかったようである。ライトの効用もなかったか。それより得票数の少なかったみんなの党の候補者は比例代表で当選していたのが選挙制度の不思議なところ。
 さて,怒涛のごときこの一年,マンション売却に始まって引っ越し,入籍,結婚式,新婚旅行。並行して仕事はしていたが,イマイチだったなぁ。結婚して腑抜けになったといわれないよう,来年は気合い入れて仕上げの仕事せねばなあ。
 つーことで恒例のごあいさつ。

 本年は色々ありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。

ハイソンヤギ「真田と浜子」1巻,徳間書店

[ Amazon ] ISBN 978-4-19-950319-1, \619
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 本作が初めて「コミックリュウ」2012年8月号に掲載された時,編集部は気が狂ったのかと思ったものである。編集部も編集部なら描く方も描く方だ。二人揃って何を考えているのか,と思いつつ,妙な魅力に導かれて一気に読んでしまったのだから不思議という他ない。そうかこういう視点もあったのか,と感心したのもつかの間,いつやら読み切り連載が始まって2012年のどん詰まりに単行本として全国の書店に配本されてしまったのである。徳間書店の愚挙なのか英断なのかはまだ分からないが,少なくともワシは日本初(?)となる「倦怠期の恋愛漫画」の登場を寿ぎたく,本年の最後に取り上げる作品として本書を選んだのである。・・・バカはワシか。
 ハイソンヤギ(どういう由来のネーミングなんだか)が描く本作の魅力のポイントは二つある。
 まず画風。デッサン狂いなんてもんじゃないレベルのきついデフォルメの効いた絵は,妙にシャープで,ドライブ感に溢れている。黒咲練導は歪んだ画風で退廃的なエロスを醸し出しているが,ハイソンヤギにも一種のエロスが感じられる。が,それ以上にシャープさが際立っていて読みやすい。こういう画風は狙って構築できるものなんだろうか? ちと不思議である。
 もう一つが,「倦怠期の恋愛」というテーマだ。基本的にはデブのサラリーマン・真田(男)と,非正規雇用で食い繋ぐガリの浜子との関西漫才のような,ボヤキとドツキの混じった会話を楽しむ作品なのだが,この二人がSEXをやり尽して退屈している倦怠期のカップル,というところがミソなのである。退屈しつつも何とか真田に構ってほしい浜子が,時々いじらしく描かれており,そこが本作をして「恋愛漫画」たらしめている。「恋愛の倦怠期」というよりも「倦怠期の恋愛」と呼ぶべき作品になっているのはそのためである。意図的かどうかは知らねど,ハイソンヤギの独自の視点がここにあるのだ。
 どの読み切りも同じテイストで貫かれているので,どれでもいいのだが,とりあえず「独自の視点」が分かりやすい例として第5話「ゾクッと盗撮」を取り上げよう。
 出だしはSEX終了直後の二人の会話から。真田が「早い」という話から食い物の話題になり,腹減ったから「メシ食おう」となって食事となる。この間の,慣れ親しみすぎて色気ゼロな会話がベッドの上でなされるのだが,その取りとめのなさ加減がヒドい。しかし面白い。この辺りが意図せぬ名人芸的関西漫才に似ている所以なのであろう。結局最後は両者の盗撮写真を巡ってのグダグダ会話となる。・・・どうやったらこういうコンテが切れるのか,編集者と著者が相談しながら決めているとすれば二人揃ってバカなんじゃないかとしか言いようがない。それでいて読者を引き込むドライブ感,繰り返しになるが,いや全く不思議な作風である。
 幸い(なのか?),本作はまだまだコミックリュウで続くようだ。書き慣れていくにつれて,浜子が可愛くなっていくのがちと気がかりだが,恋する浜子を魅力的にしたいと思うのは止むを得ない。しかし,ごく当たり前のエロス的描写に堕することなく,倦怠期恋愛漫才漫画を今後も綴ってほしいものである。

Benchmarking on AMD FX-8350(2)

 つーことで,前回に引き続き,FX-8350のベンチマークである。今回は倍精度浮動小数点演算の行列積計算でGflops値を計測。詳細はIntelの解説でも読んでくれたまえ。環境は前回同様,Intel Core i7-3930マシンとFX-8350マシンを用いる。環境は

  • Scientific Linux 6.3 x86_64 (Kernel 2.6.32-279)
  • Intel icc 13.0.1
  • Intel Math Kernel 11.0.1

である。比較検討のため,Intel Math KernelのDGEMMルーチンを用いた場合と,単純な三重ループを用いた場合のGflops値を載せる。
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 DGEMMの場合,i7-3930が25.5Gflops,FX-3850が21.3Gflopsと大体2割引きぐらい。三重ループの場合は変動が激しいので一概には言えないが,次元数が大きくなると5割引きぐらいで落ち着く。もちろん,1 threadでの計算なので,並列化するとまた違ってくるのだろうが,整数演算同様,価格の割にはがんばってるなぁというのが正直な感想である。
 最近は大規模な線型計算をGPGPUするのが普通になりつつあるので,GTXあたりを乗っけてCPUはフォロー計算程度にする,ということなら高いIntel CPUを使わずにAMDで頑張る,というのもコストダウンのためにはいいことかも。
 さて,並列計算させたらどうなるのか? というあたりはまた年明けに~。

西UKO「Collectors(コレクターズ) 1」白泉社,大沢あまね「彼女×彼女(カノカノ)」新書館

「Collectors 1」[ Amazon ] ISBN 978-4-592-71047-9, \838
「彼女×彼女」[ Amazon ] ISBN 978-4-403-67133-3, \950
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 百合というジャンルは正直よく分かっていない。いや,今やBLと称するやおい漫画(死語か?)も把握し切れていないので,つまりは同性愛ファンタジー分野全般が分かっていない。
 従って,印象論でしかないのだが,BL分野は竹宮惠子が切り開いてから既に40年近い年月を経て様式化が進んでしまい,差別化のために敢えてエロ漫画化することで顧客を引き付けようというのが最近のトレンドなのかなぁ,という気がしている。性描写にうるさい向きがBLっぽいイラストに反応して図書館での閲覧に抗議が寄せられたりするのも無理もないと思う昨今なのである。
 反面,いくつか読んだ百合漫画はそこまでエロくない。つーか,全然エロさのかけらもなく,単なる女の友情漫画なのでは?,と思ってしまう作品が多かった。ま,ワシの好みで選んだものがたまたまそーだっただけで,もっと過激なエロ化が百合でも進んでたりするのかもしれないが,ワシの印象としてはそうなのである。
 にしても,BLに引きずられる形ではあるが,一ジャンルとして商業的にも定着してきた分,この先どういう方向に向かうのか,ちと楽しみである。飯の食えるジャンルは新人作家の苗床として機能するので,この分野からも,BL同様よしながふみのような才能が育ってくることを期待できるのだから。
 とはいえ,ちと首をかしげる作品が多かったのは事実。面白いものが出ないなー,と思っていたら,今年になってようやくお勧めできる作家が現れた。それが,西UKOと大沢あまねである。
 まずは西UKO「Collectors」から。白泉社のムック「楽園」第一号から連載が続いている四コマ形式の短い漫画をまとめたものである。主人公は本を買いまくる大学院生・仁藤忍と,着道楽の関埼貴子のカップル。繊細かつ優美な絵柄で,結構リアリティのある忍の研究生活と,貴子のおシャレっぷりが軽やかなギャグを交えて描かれている。本書では世話焼きの忍の友人,大江(結婚後は志賀)直巳が紡いだ二人の馴れ初めエピソードも収録されており,重層的なキャラクターの描写が心地よい。ちなみに西UKOは人物作画担当で,絵コンテは北条KOZが担当しているとのこと。インテリっぽい上質な作風は,百合漫画というジャンルとは無縁の読者も掴むこと間違いない。短い作品なので,単行本に纏まるには相当の時間が必要であるが,2巻が出る3年後(?)を楽しみに待ちたい。
 次は大沢あまね「彼女×彼女(カノカノ)」。これもまた四コマ漫画である。主として新書館の媒体に掲載された作品を纏めたもので,シチュエーションは様々。共通しているのは百合漫画,ということだけである。
 しかし,大沢の画風は艶めかしい肉感的なもので,「裸でベタベタ」なところが多い。それでいて上品さを保っているところが素晴らしい。言い方は悪いが,女の子は大概「大根足,鳩胸」の,いわゆる「ぼんきゅっぼん」である(昭和テイストな言い方)。失恋あり,成就した恋ありで,ストーリー漫画を四コマで区切ってあるだけの,いわゆる「いしいひさいち形式」。西の作品といい,この大沢の作品といい,この形式は今の「面白い」百合漫画には多いんだろうか? この辺り,識者(いるのか?)の意見を伺いたいものである。
 どちらも百合かどうかということは抜きにして,魅力的な絵と面白いギャグ,そしてしんみりした恋愛感情の描写に優れた良作である。百合漫画ジャンルはこういう才能育成の土壌として,しっかり機能して貰いたいものである。

12/29 (土) 駿府・曇

 昨日は夕方から土砂降り。忘年会帰りの神さんを迎えに車を清水まで出したが,往復の道がちょっと怖いぐらい見づらく,ちと怖かった。何分,能登半島と掛川の田舎道しか走っていなかったから,街灯だらけの都会の幹線道は,雨が降るとテカって車線が見えなくなる。早く慣れるべきなんだろうが,慣れるより先に事故って死ぬか,運転をあきらめることになりそうである。
 職場からロックアウトされているので,自宅からはSSHかTeamViewerでLinuxマシンに接続している。
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 便利ではあるが,セキュリティなんて技術的な観点からだけでは所掌できるもんじゃないなと,使っていて思う。Firewallも内部から手引きされては意味がない。結局,手続きは面倒くさくなり,人間不信の代償としてガチガチの契約を結ばせるしか方法がないのかしらねぇ。
 しかしMTの画像upload時の遅さは何とかならないのかな。データベースならまだやりようはあるけど,Perlがらみの原因だとすればPHPに乗り換えるぐらいしか手がない。さてどーすべーか。
 今日は神さん共々ダラダラしつつ洗濯掃除買い物をする予定。ではまた明日~。