生暖かい日。これで雨降りでなければもっとよかったのだが,世の中早々うまくはいかない。なんか年明け以降暖かい日が多いような気がするのだが,暖冬なのかな?
卒研,何とか全員概要と卒論が上がった。後はデモシステムの完成と,発表練習のみ。まー発表当日どうなってもワシは見ないふり聞かないふりをするので,頑張って質疑応答終了までこぎつけて頂きたいものである。
筑摩書房の広報誌「ちくま」2月号に気になる記事があった。不動産投資の本らしいのだが,その著者がこう書いている。
私の不動産投資の資金の大半は借金で,その総額は5億円にもなります。でも,ここまでやってきたなかで,投資のために「借金をすること」自体にサラリーマンが資産を増やす鍵があると気づいたのです。「金持ちになる借金とはなにか」「そのためのポイントはなにか」について自分の考えをまとめてみました。借金というとマイナスのイメージですが,そうではない借金もあるのだということに気づいていただけたらと思っています。(P.19)
この主張はまともな投資の本のものではないことを指摘しておく。「まともな投資の本」とは,投資の本質が,元本保証のない博打であることを最初に述べ,投資は余裕資金で行えと説くものである(たとえばソニー銀行の広告マンガとかね)。借金して投資するというのは,レバレッジを効かせるためなんだろうが,それで失敗して破たんしまくったのはどこの金融業者でしたっけねぇ?
いや,そりゃ,うまく時期を見計らってすり抜けた奴もいるんだろうさ。不動産投資でもたんまり儲ける奴がいるのも当然だろう。しかし,失敗した時の傷の深さは,余裕資金でやっていた場合と,借金して回していた場合でどれだけ違ってくるか,まともな思考ができる奴なら理解できるはずだ。
つーても,人間そうそういつもまともでいられるとも限らず,つげ義春が「カメラを売る」で描いたように全てをつぎ込んで大コケすることも,ままある。端的に言っちゃえば「業」という奴なんだろうが,この資本主義が浸透しまくった世の中,ある程度は業に取りつかれた人間もいないと回っていかないのも事実である。その結果,成功した人間はいいとして,失敗した人間をどう「救済」していくのか,今求められているのはその方策だ。今のところワシはいい手を思いつかないのだが,少なくとも,失敗した人間がこのつげ作品が収められたちくま文庫を読めば,いい具合にシミジミできる筈である。
・・・はっ,そうか,筑摩書房は不動産投資に真面目なサラリーマンを引きずり込んで,成功した奴には「金持ち父さん」を,失敗した奴には「つげ義春コレクション」を買わせるつもりなのだ! 何という,何という見事なマッチポンプ的営業活動であろうか。愚かなワシは,ちっぽけな正義感で借金による不動産投資本に嫌味を言ってしまったが,晋遊舎と同じ周到なビジネス戦略の一環であることに,今の今まで気がつかなかったのだ。恐るべし,筑摩書房! 伊達に一度倒産してないよな。
事実無根であることを祈りますが,事実だったらその旨お知らせください。>筑摩書房様