当たり前のこと四か条

 以前,サーチエンジンの検索結果の履歴をよく観察した結果,Webページのアクセス数を増やすことができたというコラム記事を書いた。あれを書いたのは去年(2007年)だが,今年(2008年)に入ってからはさすがに一時期のSEO/SEMブームという乱痴気騒ぎも落ち着いたようで,考えてみれば社会活動のすべてをWeb上で展開している一部の企業や人ならともかく,普通の人はせいぜい一日に数回メールチェックをするか,暇つぶしにWebを眺めるかというぐらいであるから,サーチエンジンの検索結果が多少上下しようと日々の活動にはあまり影響はないのであるからして,至極当然のことである。
 それでもやっぱり世界中の万人から閲覧することの出来るメディアを持っている以上,ある程度は目立ちたい,注目されたいと思うのは人情である。blogの世界でもアルファだのベータだのガンマだのと格付けされたbloggerが出てきたようだが,彼らとて,記事を書く以上は他人から全く無視してほしいなどとは思っていないだろう。ホントにそう思うなら,SNS内で閉じて遊んでいればいいわけだし。
 そしてワシもアルファには遠く及ばず,せいぜいカイ(χ)bloggerってところだが,やっぱり自分の書いた記事がどう他人に読まれているかは気になるのである。とはいえ,今更track backやcommentを求めるのも面倒だし管理もしたくないし,せいぜいサーチエンジンで検索して,どのぐらいの順位にワシの記事が出るかをチェックするぐらいが関の山だ。すると,さすがにエントリが1000も超えるとチラホラとワシの記事に言及したり非難したり賞賛したりしている記事が見つかったりして嬉しかったりするのである。褒められることはもちろん嬉しいが,非難されることも同じぐらい嬉しかったりするのが不思議だが,コミュニケーションが取れているという点ではどちらも同じ,いやむしろちゃんと読んでくれているからこそ非難できる訳だから,後者の方がありがたかったりする場合もあるのである。
 そんな訳で,暇にあかせて,あるいは現実逃避(こっちの方がずっと多い)の一環として,チマチマと検索しては喜んでいるワシなのであるが,そういうことを繰り返していると,経験からしか学べない下位じゃないχブロガー(どっちにしろ同じことだが)も,少しは常識というものが蓄積されてくるのである。
 で,書いてみたのが下の四か条であるが・・・,こうしてみると「当たり前じゃん」と言われるようなことばっかりなのだが,この世の中はいかに当たり前ののことをしっかりやるかで評価というものが全然違ってくるものなのであるからして,当たり前のことを何度も再確認しておくことは大事なのである。
 つーことで,経験則から得た「当たり前のこと」をつらつらと書いてみたい。
1. blogの更新はマメにやるべし
 何を今更だが,やっぱり今も昔もマメさは重要度ナンバーワン。サーチエンジンにデータをせっせと蓄えてくれるWeb robotの来訪間隔は,平均blog更新頻度で決まる。従って,毎日更新されるblogと,数年もほったらかしの静的HTMLサイトでは,更新してもそれが反映されるまでの時間は全く違う。最新情報を掲載しても,それが一月後にようやっと検索に引っかかるようでは全く役に立たない。
2. 書きたいことを書くべし
 あなたが秋元康並みに流行に対する感度が高いというなら別だが,普通の市井人の知恵など,笑止千万,ましてや未来予測などできっこない。注目されたいと思うが故に好きでもない流行物に振り回されるぐらいなら,どっしり構えて書きたいことを書くべし。この世の中,いろんな趣味嗜好の人間がいるのだから,どっかに照準を合わせて・・・なんてやってられない。見えない不特定多数相手には我を通すのが一番ストレスが溜まらないやり方である。
 ま,我を通したら世間から猛反発を食らうって方もいらっしゃるようだが,それはblogとは別の次元の問題である。
3. 思いついたことはなるべく早く書き残すべし
 どっかの団塊親父みたいに,文章はじっくり煮詰めて万人に恥ずかしくない内容にしてから公表する・・・なんてのは,あーた,馬鹿げている。質の向上は量をこなした先に訪れるのである。論文だって文学的美文だって,まずは練習しなきゃ書けるわきゃない。ましてや森林資源の無駄遣いには直結しないblogである。書いて書いて書きまくるのである。そして,間違った!失敗した!と思ったら,後から書き直せば良いのである。書き直しはみっともない? バカモン! みっともなさこそbloggerの醍醐味である。多いに楽しむべし。
 そして,書いたことをすぐに公開すると,1で述べたように,更新頻度が上がり,サーチエンジンへの登録時間が短くなり,同じような内容を書いた記事が少ないうちに人の目に触れる確率が増えるのである。χ bloggerの書いた記事など,あっという間にもっと上位のbloggerの記事に押しやられるのがオチ。どーせ流されちゃうのなら,競争率が少ないうちに書いてしまえ!検索に引っかけちまえ!
4.書いた記事はURIを変えずに長期に渡って保存すべし
 1と矛盾するようだが,一度書いた記事をずーっと保ち続けるというのは,実は3と同じ効用が期待できるのだ。
 Webサイトは案外URIの寿命が短い。人気というは訳の分からんもんで,ことにWebしか見ていない輩は視野狭窄になりがちであり,ちょっと気に入らないことがあると総スカンで非難したりして,あっという間に人気サイトが落ち目になったりする。ことにWeb以外の社会活動をしていないbloggerほど転落は早い。下手に人気のあった自分のサイトがそういう目に遭うと人間そう強くないもんで,早々に撤退してしまったりする。人気のないサイトならなおさらそうで,ちょっとデータは古いが,一月ぐらいで半分以上の人が更新をやめてしまうという話もある。もちろん続ける人もそれなりにはいるが,それとて一年,二年・・・と経つうちに,どんどん淘汰が進むのである。
 で,最初は検索しても全然出てこなかった記事が,数年経つとあら不思議,いつの間にやら上位に出てきたりするのである。ま,所詮は古い記事であるから,眺める人の数もそれほど期待できないが,こういう古典記事の「チリ積」的効用は侮れないものがある。そして古典記事となればなるほど,そのうちどんなものが良く閲覧されるようになるかなんて,流行予測より更に分からない。だからこそ,2で述べたように,書きたいことを書いておくのがベストなのである。後悔しない上に,そーゆーものが「掘り起こされる」という喜びは何者にも代え難いものがあるのだ。
 ・・・とゆーことで,コミュニティ機能を果たしていないblogを長く続けるために心がけるべき「当たり前のこと」を四つ,書いてみた。結局は「人に見てもらう→嬉しい→嬉しいからまた書く→更新が頻繁になって,長く書き続けることが出来る」というモチベーション維持が出来るシステムを作り上げるってことに尽きる訳だが,それすなわち最高のSEO/SEMってことになるんじゃないのかなぁ。してみれば,SEO/SEMなんて,当たり前のことを如何にちゃんとやるかっていう,これもまた世間的な常識の範囲の話に過ぎないのであろう。乱痴気騒ぎが落ち着いたのも,結局は当たり前のことをするだけっていうことに皆が気がついたってことも一因なんだろうな,きっと。

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