[ Amazon ] ISBN978-4-627-84881-8, \2600 + TAX
データ出た出たやっとデータ。悪戦苦闘したと見せかけつつ怠惰に過ごしたこの2年,毎回怒涛の如く押し寄せる編集担当Fさんの問い合わせ要求にきりきり舞いさせられながらもとうとう完成致しました。未完成の原稿を押し付けられて辟易させられた諸先生におかれましてはお詫び申し上げますと共に要らないといっても献本送り付け差し上げますのでどうぞ当方になり替わりまして恨みつらみ晴らして頂きたくいかようにもお使い下さいませませ。薄いから普通の五寸釘で打ち込めると思います。
しかし出来上がってみればA5版で135ページ足らずのうっすいテキストなのに定価2600円(+消費税)とは暴利ではないかと訝しむそこのあなた! これでも安くしたのですよ,なにせ初版部数を売り切れるとはとても保証いたしかねる代物だし,弱小理工系出版社としては誠にリスキーな物件であるからして3000円でもどーだろーという線を何とか踏みとどまって頂いてこの価格に抑えたのですよこれでも! いーじゃない紙だけデカくて分厚くて開きづらいどっかのICTマニュアル本に比べれば,LAPACKEとCBLASとIntel Math Kernel Libraryと疎行列とMAGMAとcuBLASの解説に加えてOpenMPやPthreadまで言及しちゃってるんだから勘弁して下さいよ旦那。テキスト本体は薄くても,こっちゃどんだけしんどい思いして大量(でもないか)のプログラムを書いたとお思いか!
まぁ,前書きにも書いたけど,この本,Web情報だけでスラスラLAPACKE, CBLASを使いこなしてプログラムをジャカジャカ書けるよーなパワフルな人向けには一切書いてませんので,読むだけ無駄,買うだけ無駄。とっととGoogleってBingってお仕事に邁進して下さいな,こちとら「行優先ってなーに?」「LU分解って酵素パワーみたいだけど洗剤?」「GPUってお絵かきのどーぐ?」ってなド素人向けに商売しようってんでぇこのすっとこどっこい。連立一次方程式と固有値問題とBLAS活用だけに話題を絞ってどんだけのことができるかっていうHPC業界と数値解析業界からは蝙蝠野郎と白い目見られそーな類書がないテキストなんでいっ。お手本がないテキスト書くってホントしんどいもんなんだよ全く,迷路みたいで精神的に参った参った。人様が積み上げたライブラリにすがってプログラムと解説書くだけでこんだけしんどいのに,全く漫画家さんとか小説家さんは偉いよなぁ,毎回読者を引き込むストーリーをスクラッチから考えなきゃいかんのだから全く頭が下がります。
つーことで,章立てとかバグ情報とかプログラム一覧はサポートページを見て下さいな。「あの膨大なLAPACK/BLASの全解説?」ってんなわきゃねーだろっての目次見て目次。詐欺だといわれないよーに予防線張っておきますんでその辺誤解のないように一つヨロシク。まぁ学部2~4年生辺りでCは触ったことあるけどボチボチ高速な線型計算を使わないとダメなんだけど自分で書くのはシンドイという状況にある学生さんにとっては導入用としてはそこそこお役に立つのでは?ってな内容でございます。書店や図書館で見かけたらお手に取ってご覧くださいませ。で,間違いあったらお知らせ下さいませ。
で,心は既に「多倍長数値解析入門(希望的タイトル)」に飛んでたりするんで,もちっと本格的なLAPACK/BLAS本をお望みでしたらちゃんとした線型計算・HPC屋さんにご依頼して下さいまし。なにせこの界隈の方々が立派な解説書書かないからこっちにお鉢が回ってきちゃったんだからねっ!