10/28(月) 駿府→東京→駿府・晴

 富士山初冠雪以来,定番的な姿が定着したようだ。ようやく,秋らしい気温になり,朝晩は厚手の上着がないと寒さを感じる。

 本日は土日の出勤日の振替休日につき,久々に東京をブラブラしてくるのである。時間に余裕のあるプライベートなお出かけには,旅費節約のため,高速バスを利用する。JRの普通電車を乗り継いでも料金も時間も大差ないのだが,高速バスなら,途中,足柄SAで休憩する以外はノンストップで,ぐっすり寝られるのがよろしい。こういう富士山のベストショットも狙えるのがまたよろしい。

けふの富士山,ベストショット

 午前11時過ぎにバスタ新宿に到着。末廣亭でいの一番から昼席を聞く。今日のトリ,林家木久扇師匠を目当てに来たのである。

主なお顔付け一覧。夜席のメンバーは古典落語をじっくり聞きたい向きにはたまらんだろうな。

 昭和こいる師匠がピンで出ていたのを聞けたのがラッキーであった。お目当ても相変わらずの彦六師匠ネタで爆笑させていたのはさすが。今日のバージョンは談志モノマネが多く混入していたが,こういう声色をさせたら立川流の誰よりもうまいんじゃないのかな。

 昼席がハネたら,情報処理学会の編集委員会に出席。生出席したのは6名,スカイプ参加10名であった。次年度からこのビルが大規模修繕に入るそうで,そうなったときの会議場所の確保が心配とのこと。金満大学のサテライトキャンパスか,都内の大学でも借りれるといいんだけど。しかし情報処理学会の事務局はどこに移転するのやら。以前は田町にあったハズで,あれは東芝だかNECだかの好意によるものだったのかしらん?

本日は本来お休みだそうで,会議はこの一件のみ。

 会議終了後,秋葉ヨドバシを散策してUSB Type-Cケーブルを一本購入。行きの高速バスにはUSB Type-Aのコネクタしかなく,スマホはいいのだが,Note PCの充電ができなかったのである。ということで購入したのだが,帰りのバスには普通の電源コンセントが備えられていて,このUSBケーブルの出番がなかった。世の中そーゆーモンである。

 帰りの足柄SA,めっきり寒くなって吐く息が白くなった。このあたりも雪の季節が近づいているのであろうなぁ。

足柄SA下りの看板

 さて,Python3本であるが,無理矢理でも今年前期に作ったスクリプトをぶっ込んでいこうと作業したものの,創刊単位はいきそうにない。つか,ベースとなっているワシのテキストの記述が,スクリプトにそぐわないところが多く,かなり書き直しが必要だなぁということが改めて分かった。
 つーことで,前半4章分については何とかなりそうであるが,それ以降は,スクリプトに即しての解説に改める必要がある。また,アルゴリズムをそのままスクリプト化しているところはいいとして,NumPyやSciPyの関数をそのまま使っているところはどうするか。チと思案のしどころである。とりあえずのリミットは年内,手直しが年明けといったところか。まずは身内用のテキストとして仕上げてしまう所存。しばしおまち下さい(こればっか)。

 ・・・と書き終えたところで清水ICを越えた。20分遅れで静岡駅到着らしい。帰ったらさっさと寝て明日に備えます。

春日太一(聴き手・構成)「黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄」文藝春秋

春日太一(聴き手・構成)「黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄」文藝春秋

[ Amazon ] ISBN 978-4-16-391108-3, ¥1900 + TAX

 いやぁ,他ならぬ春日太一の著作だし期待外れになることはない,とは思っていたけれど,書店で手にとって驚いたのはその分厚さ。本文419ページ! もちろん,全く映画ファンではない一般ピーポーであるワシでも「奥山和由」という名前は知っていたし,著者がまえがきで述べているように,その電撃的な松竹からの解任劇についても,TVや新聞を通じての報道はワシもリアルタイムで見聞きはしていたが,そこに至るまでの狂気的な映画への奉仕者・プロデューサーとしての仕事っぷりがこれほど凄まじいものだとは,想像の範囲を超えていたのである。分厚いことは分厚いが,その熱量と読みやすさに当てられて,即位礼の儀を横目に一日で読んでしまったぜよ。しかしまぁ,解任される直前に自分から辞めることを考えていたというのは本書を通じて初めて知り,そこまで思い悩むまでの入れ込み具合が放逐される原因なんだろうなぁと,奥山の主観に満ち溢れた本書の記述を通じてボンヤリ浮かんでくるあたりが,聴き手・構成を通じてしっかり春日太一の著作になっているという証にもなっているのである。

 ワシは大変下世話な性格なので,成功者の自慢話より挫折経験者の失敗談の方を好む。組織に馴染めず辞めてしまったり,放逐されたりした経験が自分にとって一番身になる知識だと感じているのである。奥山和由という人の絶頂期,バブルの勃興期から崩壊して失われた数十年に入りかけのプロデュースした映画の本数は60本を超えているが,直接見た映画は少ないにもかかわらず,恐らくはTVを通じてだろうが,そのタイトルは結構覚えている。TV番組にも露出するし,派手なプロデューサーだなという印象は持っていたが,その分,世間,というより松竹という古い体質を持つ大会社内部からの風当たりは相当強かったようで,アゲンストの風に向かいながらグングン上昇していく凧のような存在だったのだろう。才能はあってもそれ以上に癖の強い映画監督や俳優と議論したり宥めすかしたりしつつ,身内からの足の引っ張り合いにも揉まれながら,それらのゴタゴタをエネルギーに変換して疾走する様は凄まじいの一言に尽きる。語りっぷりに熱がこもっているのはもちろんだが,どのぐらい春日の手が入って整理されているのかは定かではないけれど,かなり映画に対する審美眼が一貫していて,作品の善し悪しを客観的に評価しているし,それでいて興行師としての仕事もおろそかにしておらず,ヒットを飛ばすことでしか,やりたい仕事ができないということも「ハチ公物語」の大当たりを通じて学んでいる。ワシはこういう体験を通じての学習というものしか信用していないので,毀誉褒貶はあるにしても,この奥山和由の経験談はかなりワシ自身の身になるものになると確信しているのである。

 ・・・という本書の語りの面白さはピカイチで申し分ないけれど,ワシの下衆根性は奥山の松竹放逐の原因にやっぱり興味があり,その辺りをズバリ知りたい向きには不満が残るのかなぁと感じる。奥山当人はあまりに変わらない松竹の体質に嫌気が差して放逐される前に辞めることも考えていたようだが,さて額面通り取っていいものかどうか。組織人として生きていれば,辞めたいと考えることは当然ありがちではあるし,父親が最初から重役として,最後は社長として君臨している会社で,自分も重役として引き立てられている立場であったことを考えると,その立場を生かしての活躍ができているメリットも大いにあったわけで,何となく言い訳めいているとも感じる。しかしその点を追求することは本書の目的ではない。組織人であれば,放逐する方もされる方もそれぞれ言い分があり,片方が一方的に悪いというキレイな話にはならないということも承知していることである。そんなことより,奥山という稀代のプロデューサーの持つ危うさと熱量,そしてその疾走してきた歩みを本人に語らせることで生きた日本の映画史を読者に提示することにあり,映画のプロデュース業というものの過酷さと面白さが生み出すダイナミズムを体感させることにある。ワシはすっかり本書に当てられ,この浮かれた休日に熱くなってしまったのである。

10/6(日) 駿府・晴後曇

 10月超えてもまだ日中の気温が30℃を超える日が続く。台風は19号が発生し,次週の三連休には九州・沖縄近海に近づいてきて,その影響が出てくるという予報。最近は週末引きこもっているので,世間的な休日が荒れようがどうしようがどうでもいいが,収穫期に入った米などの農作物に被害が出るのは困る。全世界的に温暖化がじわじわ進んで16歳の少女まで大演説を国連でブッこく時代,ワシが死ぬまでにどんだけ強力なモンスター台風が発生するのか,楽しみでもあり,怖いようでもあり。せめて自宅リビングのガラスに保護シートでも貼らなきゃなぁとツラツラ思う。

 「多倍長精度数値計算」(森北出版),Amazonにページができてた。

 画像の背景のプログラムが本文で説明しているものと違うなどというツッコミは聞かなかったことにする。10月発売予定と言いまくっていたのだが,消費税増税前の駆け込み需要で印刷所が混んでおり,11月22日発売に遅延してしまったのは当方の不徳の致すところではないので謝らないよ。しかし8%に据え置かれた新聞じゃないので10%の消費税丸かぶりで¥4620っつーのは高いよなぁ。まぁGNU MPの一部とQDとMPFRとfloat128リファレンス込の,部数の見込めない本なので致し方ないところです。草稿送りつけた多倍長精度関係者には問答無用でお配りしたいところではありますが,何せ部数が部数なもので(って聞いてないけどせいぜいコミケ島角サークルの新刊ぐらいと想像),届かなかったらすいません。サポートページはすでに作ってあるんだけど,発売日と同時にリンク貼って公開予定。・・・しかしシンドかったので,MPACKの解説が欲しかったとか抜かすと丑の刻参りするぞコラ。無い物ねだりするより自分で書いてみてはと言っておく。ご本人の英語解説はこっちにあるので買うとよろしい。

 Pythonプログラム,ぼちぼち追加しつつあり,Autogradパッケージを使って遊んでみた。額縁ょ〜などというものの宿命で,あれこれ余計な事務作業と書類作業が無限に割り込んでくるので,Jacobi行列で遊ぶまでには至ってないけど,接線引きまくって元の関数をイメージするグラフを書くところまではたどり着いた。

 次は多段法・・・など言い出したら全然終わらないので,先に偏微分方程式の計算事例を2,3積み重ねてケリにしたい。10月いっぱいの予定,忘れてませんのでしばしお待ち下さい・・・って何度目だこの言い訳。

 さて,神さんから委託されている明日の朝ごはんの準備をしよう。