2/24(木) 掛川・曇

 いやぁ,やってしまったのである。Twitterでも報告した通り,教師生活17年目にして,追再試験をすっぽかすという大ミスをやってしまったのである。講義を忘れたのは前の職場で2回あったのだが,今の職場ではせいぜい試験監督を1回忘れるぐらい・・・って,よく忘れるよな,ワシ。それでも自分の試験を忘れることはなかったのだが,とうとうやらかしてしまったのである。
 関係者各位に平謝りに謝って,午後に追再試験の追再試験を実施したのだが,当然すっぽかされた学生さんにも謝る・・・ほどワシは素直ではなく,逆ギレしてお説教をしてしまったのである。いけないワシである。人間が出来ていないにもほどがある。今度すっぽかしたときには素直に謝れる人間になっているといいな。すっぽかさないという誓い? 人間出来ない約束はしないのである(ぉい)。
 ま,再試験受験者は全員合格してますので,一つご勘弁を(って,特段配慮したわけではない為念)。
 Windows 7 SP1,ワシの身の回りのマシンは全部インストール終了。
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Windows Updateに頼るといつまで経っても終わらないので,直接ファイルをダウンロードしてインストール。これが一番速かった。なにが良くなるんだかよく分からんし,あんまし変わった感じもしないのだが(これ書いている自宅マシンも特段変化なし),まぁM$様のOSを使い続けている限り,M$様の仰せには従わなければイカンのである。しかし17台は多かった・・・。
 情報数学のテキスト第2稿チェック,第一段階は終了。ふ~疲れた~。しかしよく書いたね>
ワシ。それを逐一チェックして文言を手直ししてくれるM出版のK編集さんもすごいけど。優しく書こうとしてかえってめんどくさい説明が増えてしまったのはどうなのかと思うが,まぁ先方の要望に従っただけだよ~ん・・・とゆーことにしておこう。それにしても初版1500部って・・・10年は在庫が残ること決定。まぁワシの知ったことではないが,そんなに刷って大丈夫なんだろうか? M出版がつぶれてもワシのせいではないぞ。
 blogの更新が滞っているけど,別段Twitterにかまけているから,とゆーより,夜にスポーツクラブにまじめに通っているせいが大きい。午後9時30分に到着してストレッチを一通り済ませて15分ほど水泳→ジャグジーで汗を流して帰宅,とゆー生活を続けていると,家に戻るとバタンキューなのであるな。今日はさすがに疲れたのでストレートに帰宅したのだが,そーするとこうしてきちんと更新できる。ダイエットの目的は達したし,Mさんもこれ以上痩せなくていいと言ってくれているから,そろそろ程々にしようかな。一日おき,週4日程度で十分,とゆーことにしよう。晩飯抜きしていれば,体重維持は何とかなりそうだし。
 研究ネタ,久々に思いついた。来週末に紀要原稿の締め切りが控えているのだが,通り一遍の詰まらんベンチマークテスト結果を載せてもなぁ・・・と躊躇していたところだったので,明日から大至急でY博士論文を読み込んでプログラミングして結果出して木曜日には原稿アップ,金曜日に校正して提出というスケジュールで頑張ってみよう。いい加減,論文書かないとイカンし,来月末締め切りのJSIAMの依頼原稿にもネタを盛り込みたいし。・・・Y博士文書,いつになったら書けるかな?
 とりあえず今日はもう寝ます。

[映画]「毎日かあさん」監督・小林聖太郞/主演・小泉今日子

[ 公式ページ ]
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 正直言って,全然期待していなかった。どーせベタベタの人情くさい演出のファミリー映画なんだろうと高をくくって観に行ったのである。
 そしたら全然裏切られてしまったのだ。ベタベタどころかウェットに描くべき所もさらりと流し,淡泊な引きの画面にサイバラブルーの海を重ね,静かに情景を描写するのだ。そう,だから,文芸映画っぽいなぁ,というのが第一印象。もちろん,ストーリー自体は4コマ漫画が原作の「がんばれ!!タブチくん!!」「ホーホケキョとなりの山田くん」同様,細かいエピソードは原作から拝借してちりばめつつ進んでいく型を踏襲しているのだが,ギャグを強烈にアピールするような演出は一切なし。クスッと笑ってもらう程度のおとなしい,平板なものになっているのだ。
 それ故に,原作の第4巻のエピソードを中心に,アルコール依存症になってしまった,永瀬正敏演じる鴨志田氏のダメっぷりと,自身のダメさ加減にうんざりしながらも家族を想い続ける様子が印象に残るのだ。
 脇を固める俳優陣が結構豪華で芸達者なのに(柴田理恵,鈴木砂羽,大森南朋,古田新太),はっちゃけた演技はさせていない。主演の小泉今日子と永瀬一家のの営む日常の風景の中に自然と溶け込んでいて,かえってこの監督の個性が光っているなぁと感じられたものである。
 西原家の長男/長女を演じる子役の二人の舌っ足らずさだけが唯一ベタさを加えていたが,あまり嫌みさを感じさせないのも良し。
 しかし,ジャージ姿の小泉今日子をはじめとする中年女優陣,みんな色っぽかったなぁ・・・。着飾った化粧べたべたの女性よりよっぽど魅力的に見えたのは,監督の演出のせい,というより,ワシ個人の好みなんでしょうけどね。
 原作を漫画に頼るTV資本の作品ばかり蔓延る昨今の邦画界の風潮にはあまりいい感じがしなかったのだが,観ずに批判するのは良くないな,と反省させられた佳作であった。原作には描かれていないリアルなアルコール依存症の描写,治療の風景も挿入されているから,アルコール依存ぽい家族がいる人にも参考になる点が多いだろう。その点もよく練られた作品と言える。二重丸。

2/19(土) 掛川・?

 ぶふぅ~,一昨日ようやく卒研発表会が終わり,昨日卒業判定会議が終わり,粗大ゴミを捨て,掃除をし,やたらにヤンキー&サブカル成分の高い焼き肉食い放題のお店で打ち上げを行い,スポーツクラブでいつものメニューをこなして帰宅してこれを書いている。
 ようやく一段落である。・・・今回は長かったな~。どーゆー訳か。ちと鬱気味で調子が悪い,というのはいつものことなのだが,さらに情報数学基礎のテキストのゲラチェック&UNIXテキスト(実質Webプログラミング)の改訂作業(ほとんど書き下ろしに近いが)が重なったという事情が大きい。やるもんじゃないですな,本の執筆並列処理なんて,赤間世紀先輩じゃあるまいし,無理! 以後は年に一冊ペースでチマチマやっていくことにします。年寄りだし。
 で,ぼちぼち自分の研究を・・・と思ったら,原稿依頼が届いてびっくり。いや,一応聞かされてたんだけど,もっと先だと思ってた~。確かに3月下旬以降を希望したけどさ,それを逆手にとって締め切りが3/31ってのは酷くないか? え~ん,この原稿準備のためにまたお仕事が増えた~。ど~なるんだろうこの先。まぁシコシコ仕事を進めるほかないな。特にこの2月中にアレとこれは完了しておかないとな。頑張ろうっと。
 明日,じゃない,今日は映画「毎日かあさん」を見る予定・・・今更ながら,「ソーシャル・ネットワーク」の方がよかったかな,と。まぁしかしキョンキョンの演技を見るのは楽しみではあるが,しかし映画のできとしては後者の方がずっと高いし・・・ま,お付き合いお付き合い(つーたら張り倒されそうだな)。
 ボツボツやって寝ます。

2/10(木) 掛川・晴

 先週から胃の調子が悪くて鈍痛が取れない。朝飯食ったら胃液が逆流するようなむかつきを覚えるし,こりゃ十二指腸潰瘍が8年ぶりに再発したか?・・・と,慌てて病院に駆け込む。で,胃カメラで確認してもらったら,潰瘍は胃にも十二指腸にも見当たらず,胃との接合部に近い食道に炎症があることから,逆流性食道炎の疑いが強いとのこと。詳細はエーザイのページを。お茶の水博士とアトムが解説してて驚いた。
 まぁ深刻ではないけど,加齢によるもの,と言われると,寄る年波を感じる。そもそも食道と胃の境にある噴門がきっちり閉まっていれば胃液の逆流なんて起こらない。そこが加齢のせいで緩んでしまうというのが原因・・・と言われれば,納得はするけど,自分じゃどうしようもないことだし,噴門を鍛える体操なんてのもないから,医療に頼るしかないわけで。長い付き合いになりそうだなぁ。まぁそれでも潰瘍じゃなくて良かった良かった。
 厚労省発表の年金額の訂正(毎日新聞)。公式発表はこちら。でも数値があわんなぁ。0.4%きっちりじゃなくて0.403~6%の引き下げ額。切り上げにしては端数が大きいような。どういう計算しているんだろ?
 寝ます。

P.B.MacIntyre, 長尾高弘・訳,PHP –The Good Parts–, O’Reilly Japan

[ Amazon ] ISBN 978-4-87311-478-1, \1800
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 UNIXのテキストを書き直している。まだ作業途中ではあるが,まぁ型は決まってきたのでとりあえず公開してある。これから更に2章分追加して全体を整えて,最終締め切りが2週間後,2/18(金)なので,そこまでギリギリと作業を行うつもりである。
 UNIXテキストとか言いながら,実質はC/PHPプログラミングのワークブックであって,演習のための最低限のCUI操作を教えたあとは,文法なんか後回し,とりあえずこう書けばこう動く!,分かったらちみっとカスタマイズしてこういう動作をするようにしてごらん,という調子で自学自習ができるようになっている。・・・というのが謳い文句だが,正直言ってこういう作りのワークブックを大学のテキストとして用意するってのはどーなんだと思わなくはない。
 高校までの数学を単なる計算演習だと思い込んで疑わない層に,定理の証明を考えて次の定理を導く手がかりにし,理論体系の構築まで理解させる,とゆー本来の数学を教えることは至難の業である。プログラミングも同様で,文法を教えてサンプルプログラムを実行してその動作を理解し,言葉だけで書いてある演習問題を自力で解かせる,とゆーごく普通の「学習」が可能なのは結構まともなレベルなのである。試行錯誤を自分で行えない,つまり,躓いたら起き上がれない状態の子供に,「自分で立て!」とスパルタ教育をしたところで虐待,下手すりゃアカハラになる。「昔はこうやって鍛えられたもんだ」などという世迷言は通用しない。職のない優秀な若いDr.はゴマンといるんだから,昔を懐かしむだけの馬鹿ジジイはさっさと引退して席を作ってやれ。
 今求められているのは,学生個々人のレベルに合わせた学習であって,逆に言えば,学習の「結果の平等」は二の次でいい,ということでもある。受講生の満足が第一なのだから,満足した結果が世間的にまるで通用しないレベルであってもそれは「自己責任」。ただし,世間並みの知識は与えましたよ,拾わなかった(or 拾えなかった)のはそちらの責任でしょ?,という説明責任を果たすぐらいのことは教師の最低限のモラルである。安くない学費を貰っているんだから,当然である。
 だから,このスタイルのワークブックが,現時点でワシが考えるベストな形なのである。とりあえず書いてある通りに打ち込めばコマンドもプログラムもスクリプトも動く。でも,打ち込みながら「どういう原理なんだろう?」という「学習意識」が働かなければ,単なるキーパンチャーとして半期の講義を終えることになる。逆に,きちんと理屈の理解ができていれば,文法理解は荒っぽいけど,「こーゆーことができるんだ!」という,それなりに有用な経験として作用するはずである。この学習効果の差を,逐次レポートや提出課題を出させて確認し,成績を付ける。キーパンチャーでも真面目にやっていればC,そこそこ理解できていればB,完璧に理解して少し抽象度を上げた課題もこなせるようならA,という感じである。・・・ま,そーゆー講義ができているか,この評価基準がしっかり守られているかと言われれば,マダマダ,なのであるけれど,理想はそんな感じ。それを実現するためのテキストが自作のワークブックなのである。
 しかしながら,本来のプログラミング教育ってこんな安易なモンじゃないだろう,という割り切れない気分はまだ残っている。本書は,O’Reillyのプログラミングテキストとしてはかなり薄手ながら,ワシが未だに未練を残している「本来のプログラミング教育」を実現したものとして,折に触れて読み返したい「スタイル」を持ったお手本なのである。
 PHPのテキストと言えば,同じくO’Reillyから出ているPHP本が筆頭であろうが,これをテキストとして使うのは,少なくとも日本の2流以下大学では無理である。せいぜい参考書として紹介し,その中から適切な解説を抜粋して講義のネタに使うぐらいが関の山だ。O’Reillyに限らないが,邦書のPHP本でも講義テキストとして使える適度な厚みを持ったものは殆どない,とゆーのがワシの実感である。分厚すぎるのである。
 その点,本書は理想的だ。本文は158ページしかないが,PHPの文法の解説からデータベースプログラミング,クラスの例示,JpGraphによるグラフ作成からPHP 5.3の新機能の解説まで,短いが要点を踏まえた文章で綴っている。欧米人の書いたものってホント分厚くて嫌になることが多いんだけど,これは真逆。まぁ,「言いたいことはコードに書いてあるから読み取って」とゆーことなんだろーな。具体的な例を次々に”Good Parts”として紹介していくのはコギミ良くて素敵だ。
 何よりいいのは,ちゃんと解説文を読み解いて「機能」を頭の中で咀嚼して進んでいかないと,まるで学習ができない,という点である。打ち込めば動作するコードが書いてはあるのだが,文章による解説の補完という程度のものが多く,それらのコードの動作を理解するためにはそれ以前の記述をきちんと頭に入れておかないと理解不能という構造になっている。普通のプログラミングのテキストってこーだったよな,と思い起こさせてくれるスタイルの入門書なのだ。
 PHPに限らないが,オープンソースな開発環境はリファレンスを必要なときにオンラインで参照するのが普通だ。検索するのは当たり前だし,PHPなら公式マニュアルを使わない開発者は皆無だろう。だから分厚い解説書はもはや不要・・・とは思わない。むしろ,きちんとした解説をしたいと思うのなら,ますます分厚いICT本にならざるを得ないのだ。
 それは,断片的な知識を探すことが容易になった今だからこそ,それらを有機的につなげる糊としての解説がますます重要性を増しているからに他ならない。誰でも容易に入手して使えるパーツがゴマンとあるからこそ,それらの組み合わせの数は膨大なものになるのだ。どれをどう組み合わせてどういうことができるのか?・・・初心者であればあるほど,自身にあったレベルの入門書が,このインターネットに散らばる知識の集め方と使い方を例示してくれる最初の羅針盤として不可欠なのだ。羅針盤としての入門書としては,しかし,薄いに越したことはない。・・・このあたりのサジ加減が難しい。
 ワシが書いているワークブックは最底辺層を掬い上げて,情報社会に飛び込むための助走をさせる程度を目指している。しかしそれでは「やりがい」を見出せない,学習の甲斐がない,というちょっと意欲のある向きが最初にPHPに取り組むための入門書として,良いパーツ(The Good Parts)を手際よく解説している本書はお勧めのものと言えるだろう。