1/5(月) 掛川・?

 仕事始め。卒論初めでもあるが,まだ完成したものなし。ん~・・・(以下1MB削除)。
 職場で使っていたプロジェクタ,修理から戻ってきたものの,画面に天の川のような白い点が出るようになってしまった。
dots_through_my_repaired_projector20090105.JPG
 こーんな荒っぽい画像でもはっきり見えるぐらいだと,修理した意味ないじゃん! 修理センターに連絡して「わりゃぁ,どこ見て作業しとるんじゃぁ,こんな有様では金は払えん! どーにかせぇやぁ!」(意訳)と冷静に交渉した結果,再度送りなおすことに。またぞろ余計な金がかかるようなら面倒な交渉をせにゃならん。くそぉ,新年早々ついてねぇ。
 先方の話を聞くと,「修理完了時にはそのようなドット落ちは見られなかった(昨年末)」とのこと。どうやら相当手荒い扱いをされたらしく,それは先方も承知しており,「内部の光学系に損傷があるやもしれず,予想外の異常が発生するかも」という断り書きは入っていた。
 まー,本格的に使いだしてからドット落ちがドカドカ発生するよりは事前に分かってよかったかなぁとは思うが,しかし面倒なことだわい。どーなることやら。
 メーカーに電話で怒鳴りこんだ(心理的描写)後,いきなりメールで「査読報告書,はよupせんかいワレェ!」という督促が届く。うひゃぁ,さっそく罰があたったぁ~,そーいやrevised paperの査読期限は1/3だったぁ~,忘れてたぁ~。
 慌ててチェックするも,昨年のうちに「あ,こりゃ大丈夫だ」という判断は下していたので,原稿を再確認してOKの返事を出す。ふぅ~,悪いことはできないもんですねぇ。
 あ,そーいやスケジュール更新し忘れていたわい。つーことで本日更新。今年はまだ予定が立ちませぬぅ~。HPC研究会もボコボコ入るんだったよなぁ。非常勤がなくなった分,ちゃんと参加してタダ飯を食うようにせねば。がんばりまっしょう。ダイエット後には人間ドックの予定も入れなきゃねぇ。4月までにちょっとやせる努力はしないとねぇ。
 さて,山のように昨年から持ち越された締切仕事をこなしますか。まずは来週末締め切りの情報処理学会の講演予稿をなんとかせねばぁ~。

西原理恵子「この世でいちばん大事な「カネ」の話」理論社

[ Amazon ] ISBN 978-4-652-07840-2, \1300
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 我ながらよくもまぁこれだけ西原りえぞうに金つぎ込むよなぁ,と呆れてしまう。恐らく我が家で一番銭をかけて収集しているのが奴の出版物ということになるだろう。最近は出す本出す本殆どベストセラーになるし(本書も2008-01-04現在,Amazonで第8位だよ),本人はNHKに出まくっているしで今更ここで紹介する必要もないだろうと思い,あまり取り上げないようにしているのだ。しかし・・・,本日朝ぼらけの中,これを読み始めたら止まらず一気読み。最後は感動してホロっときてしまったのだ。ああまたやられちまった,と内心舌打ちしたものの,時すでに遅し。よって新年一発目はりえぞう先生から行くことにしたのである。この後,しばらく辛気臭いもの(筑摩書房がいろいろ文庫で出しやがるもんだから・・・)が続きそうだしね。
 さて,「カネ」の話,なのにワシが感動したのはなぜなのか?
 いや,サイバラの稼ぎの凄さにジェラ心を抱いたからではない。そんなものは「できるかな?」で税務署にガチしかけた時から知っている。
 実は本書,サイバラの語り下ろし自伝なのである。
 「カネ」の話がついて回るのは,「貧乏」からの脱却ツールとして,「自立」維持のための必要不可欠な要素として,そして人間が「堕落」する原因として,一番重要なものだからだ。西原理恵子がムサビに入学するまでの経緯は「上京ものがたり」や「女の子ものがたり」にも描かれているが,ここまで不安定な家庭だっとは意外だった。それをこうして力強い断言口調で語られると黙って拝聴せざるを得ない迫力が生まれるのである。
 そしてその迫力ある言葉によって,サイバラの真っ当な精神がどこから来たのかが明らかとなる。ユリイカのサイバラ特集でも複数の書き手がその真っ当さをを指摘していたが,その源泉は,ひどい家庭環境でも子供を育て上げた母親の踏ん張りによるものであることが明らかとなるのだ。
 感動のポイントはそれだけではない。予備校からムサビ入学後,西原は自身の絵画能力のなさに劣等感を覚え続けるが,絵を書いて生活していくという希望は捨てなかった。その諦めの悪さによって,「「自分はどうやって稼ぐのか?」を本気で考え出したら,やりたいことが現実に,どんどん,近づいてきた」(P.94)ことを知る。教員の一人としては,大学という教育機関が一種の選別機能を担っている社会的意義を,この一文で再認識させられた。
 そしてもう一つ,とても気持ちのいいセリフを引用しておこう(P.176)。

 カネのハナシは下品だという「教え」が生んだもので「ちょっと待て,いい加減にしろ!」って言いたくなることは,まだ,ある。
 「人間はお金がすべてじゃない」「しあわせは,お金なんかでは買えないんだ」っていう,アレ。
 そう言う人は,いったい何を根拠にして,そう言い切れるんだろう?

 うーん,カッコいい。そっか,ホリエモンが登場した時にワシが感じた清々しさはこれだったんだなぁと,思い出した。イマドキ粉飾決算で上げ足とられてヒルズからブタ箱へ放り込まれようとしている奴を取り上げるのも恥ずかしいし,サイバラも「一緒にするなぁ!」と怒るかもしらんが,普段御大層なことを言っているくせにイザとなったら高々数万程度の金でケチケチする大学教授を見てきたワシにとっては,こっちのセリフの方に真実味を感じるのである。
 とはいえ西原母さん,金の重要性を言いつのるだけではなく,最後は母親としての矜持も見せている。そのあたりは本書の後半部にとっぷり書いてあるので,是非とも買って読んで頂きたい。
 カネの話といえば,一昔前は邱永漢だった。本書P.172のカットのセリフ

お金はさびしがりやです。友達の多い方にすぐ行ってしまいます。

ってのも,彼の文章である。ワシはちくまプリマーブックスの一冊「お金持ちになれる人」を読み,金持ちであり続けるためには「徳」が必要,という主張に大いに頷いたが,サイバラの主張もよく似ている。両者とも,少数の成功と多大な失敗の果てに得た経験則を土台にしているからだろう。その意味では,どちらを読んでも地に足のついたカネの話が身に付くこと間違いない。そーいやこの二人,日本だけでなく,世界的視野で物事を見る目を持っているところも共通しているよなぁ。
 従って,本書は
 ・西原理恵子の愛読者
 ・大金じゃなく小金を稼いで維持することの社会的・実存的意味を知りたい人
 ・世界的見地から日本の豊かさとそこから生じる日本独自の社会問題を認識したい人
にお勧めということになる。全部に当てはまる人は勿論,どれか一つでも当てはまるようなら,とりあえず1300円支払ってサイバラの被ったFXのロスカット分を補填してあげてもいいんじゃないか,とワシは思うのである。

1/3(土) 掛川・晴

 結局この年末から正月三が日にかけてはピーカン晴れが続いたなぁ。あの予報は何だったんだか。

 これほどTVを見なかった正月も珍しい。ワシの中では落語ブームも終焉を迎えたので,寄席番組も見る気が起きなかった。当分寄席通いも浜松での独演会通いもしないつもり。だって飽きちゃったんだもん。あ,談志の特番は録画しておいたので見るけどね。

 唯一見ていたのが箱根駅伝。優勝候補の駒澤大が大崩れしてシード落ちしたのは,投資の失敗と連動しているようで興味深い。何があったのかなあ。

 さて,今朝の雑煮を最後に,おせちの季節は終了。あんなに大量に作った旨煮は昨日のうちに食いつくし,残るは黒豆ときんぴらごぼうのみ。ちょうどいい機会なので,これから買い出しをした後,カレーを作って平常の食生活に戻るのである。

今年の抱負

 料理のレパートリーを増やし,

冷蔵庫の中のものを腐らせないための最適化技法を学ぶ

1/1(木・祝) 掛川・快晴

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。


 元旦からblogの更新をしているというのもいかがなものかと思うが,習慣だから仕方がない。本日はいい天気。今年の年末から正月にかけての天候はよろしくないという予報だったが,東北から東海までの太平洋側ではいい方に外れたようだ。日本海側はドカ雪で大変そうだが,被害がそっちに集中しているおかげでこっちの晴天がもたらされているかと思うと,公共事業費を裏日本に回すのも当然という気がしてくる。田中角栄が尊敬されるわけだ。
 本年も初詣は近場で済ます。腹ごなしの散歩をしているとこんな看板が。
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 必殺仕置人なら金取るんじゃなくってタイヤをパンクさせるとか運転手の首を一刺しするとか,もうちょっと粋な計らいをしてほしいものである。
 年賀状,返信のみに切り替えてから年々減ってくる。きっぱりやめるというのも手なんだが,年賀状だけのお付き合いという人もいるし,ちゃんと出してくれる相手は大事にしておかないと罰があたりそうな気がしてまだ決断がつかない。で,ダラダラ今年も返事のみ書く予定。三日には出しますのでしばしお待ち下さいませ>下さった方々
 本日届いたのはお幸せそうな妻帯者の方々ばかり。明日以降届く妻帯者の方々は,昨年24日までに年賀状を書くことができないほど不幸な方々なのだろう。まことに気の毒な家庭生活を送っているのであるなぁとご同情申し上げることにして遠ざけ,本日届いたお幸せな妻帯者の方々にのみあやかるべくしっかり読ませていただくことにする。
 あー,SciCADE09のAbstract Submissionが始まったのかぁ。まだなーんにも手がけてないからなぁ。明日明後日のうちにちょろっとでもネタの確認をしておかないとなぁ。
 本日は作りすぎたお節料理をせっせと消化します。

内澤旬子「おやじがき 絶滅危惧種 中年男性図鑑」にんげん出版

[ Amazon ] ISBN 978-4-931344-22-8, \1300
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 毎週風呂掃除するたびに,人間というのはよくもまあこれだけ「だし」が出るもんだなぁと,バスタブ壁面のザラザラをふき取りながら思うのである。純然たる一人暮らしのワシんちですらこれだから,4人家族できれい好き,なんてご家庭はさぞかし大量の皮脂が垂れ流されているんだろうなぁ。
 加えて,よくもまぁこれだけ毛が抜けるもんだと,シャワーでバスタブの底に沈殿している体毛のなれの果てを洗い落としながら呆れてしまう。純然たる一人暮らしのワシんちですらこれだから,4人家族できれい好き,年頃の娘さんなぞいようもんなら,「パパ,きったな~い」とゴキブリの如く嫌われること間違いないであろう。加えて髪の毛が喪失する分,顎だの腋だの胸だの脛だの,あってもなくてもどーでもいいところのヘアばっかり増えて,バスタブの底に沈殿したり,湯面に浮いたりして衛生的によろしくない事態を招来している。まことに肉体の老化というものは「こ汚い」ものばかり排出するものである。
 しかしそのこ汚さには「個性」が宿る。清潔さという方向性は一点に集約させるものだが,汚れ方は千差万別だ。これだけ個人の個性がもてはやされるようになったのだからさぞかしこ汚い中高年はアイドルに・・・なるはずがない,と誰もが思っていたのだ。個性は大事,しかしそれは清潔なものでなければならないのだ。矛盾である。つまり個性個性とはやし立てていたものは,かなり限定されたものでしかなく,小ぎれいで流行に沿ったものであって・・・つまりは多数決的に望まれていたものでしかなかったのである。
 内澤旬子はこ汚いが故に真に個性的な物体,すなわち「おやじ」,を発見し,2008年末の日本に文化的な貢献を行った。それが本書である。一ページに一オヤジが基本で計71オヤジ。やけに生々しい内澤のイラストと的確な短いコメントが添えられている。
 おやじの特徴は,前述した二つの要素から成る。一つは皮脂,即ち,脂肪である。日本政府はおやじの腹周りを85cm未満に抑えようと躍起になっているが,なかなか脂肪は落ちないもので,例えば頬周りにくっついたり(P.12, 23),腹にくっついたまま(ほとんど全部)なのである。
 もう一つは毛だ。禿オヤジがすだれ頭を形成するに至るまでにはそれ相応の歴史というものがあり,大多数は若いころから流していた髪の毛を薄くなってもまだその方向に生やしている,というだけのことなのである。それがいつしか嘲笑の種になってしまうのはやむを得ない。もういちいちページ数は挙げないが,おやじの個性の源泉は薄くなった髪の毛と,それをフォローすべく無駄な努力を重ねられた工夫,そして濃くなった体毛に集約されるようなのである。
 本書は,編集した南陀楼綾繁氏の献身的な努力によって,すべての漢字にルビが振られており,父親のこ汚さに目覚めて毛嫌い始めた小学生の娘さんでも読めるようになっている。しかし,その努力は徒労に終わるであろう。なぜなら本書は,全82ページ1300円という,ほとんど同人誌並みにコストパフォーマンスの悪いものとなっており,ガキのこづかいではおいそれと買えないものになっている。本書をためらいなく買って読んで楽しんで,さてぷちめれでも書こうかという段階になって初めてこの定価を知ることになった,そんなボケているけどいいものは躊躇なく「大人買い」できる稼ぎを得たワシみたいなオヤジしか,気軽に購入できないのである。
 オヤジを描いたオヤジの娯楽のためのマスターベーションのような本をこの年の瀬に送り出すというのは,日本の出版界の度量の現れなのか苦しみの果てのヤケクソなのかは不明だが,少なくとも,オヤジの持つこ汚い「個性」が商品になるかどうかの試金石になっていることは確かだ。ワシは商品として大いに評価するのだが,さて,これを日本の人口の半分を占める,内澤旬子以外の「オバハン」はどう判断するのか,その結果を楽しみに待ちたい。
 つーことで,一年の最後を「オヤジ」で飾ってみました。ワシもますますオヤジ化して,髪の毛は白くなりつつあり,説教は長くなりつつあり,来年は四捨五入なし四十路突入でありますが,ますます嫌なオヤジになるよう,頑張ってこ汚くなる予定であります。

 本年頂いた皆様からのご愛顧に感謝しつつ,
 来年もよろしくお願い致します。