元々は,山本直樹の漫画「レッド」(2008-12-28現在,1,2巻が発売中)に手を出したのがきっかけである。連合赤軍事件について興味を持ったのは。
詳しくは「レッド」のぷちめれに記す予定であるが,実はこれを読んだとき,内容に魅了されたのはいいとして,同時に,少し違和感を覚えたのである。ホントにこんな「ノリ」で赤城の山に籠ったのか?
ということで,いくつか連合赤軍事件を扱った映画とか本を読んでみようとは思っていたのだが,警察側からあさま山荘事件を扱った「突入せよ!「あさま山荘」事件」は,どーもあんまし面白くなさそう・・・つーか,どういう内容になるか予想できているというところがあって,視点は共感できそうだがどーにも食指が動かなかった。まだ若松孝二の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」の方が,青臭そうだけど泥臭い感情を突き動かしてくれそうなところがあったので見ようかな~・・・と思っていたら全然上映日程がワシと合わず,DVDが届くまでお預け状態となっている。「光の雨」?・・・ん~,立松和平は読む気にならんので映画も原作もパスです。
つーことで,映画は未見,本はというと,あれこれ読もうかな・・・と思って最初の一冊,「死へのイデオロギー」を読んだらもう他のものに手を出す気が失せてしまったのである。その感激は・・・,まあしばしお待ちいただくとして(これから書くのよ),現時点では,ワシにとっての「連合赤軍」というものはこの一冊で尽きていると言っていい。あとは「レッド」に描かれる予定の乾いた描線による「地獄めぐり」の様相をエンターテイメントとして楽しみに(悪趣味だが)待つだけとなってしまった。
以上,何でノンポリかつ癒しウヨクなワシが「連合赤軍」なぞに興味を持ったか,その言い訳を述べてみた。現在の社会状況と重ね合わせてどーのこーのと根拠なくべしゃることはなんぼでもできるが,あえてそれはやらないことにする。何せ今はグローバルスタンダードが体液として全世界に染み渡っているし,ワシ自身もそれをよしとしている。そんな状況において,1970年代の時代の風を今に持ち込むことの意味は全く見出せないからだ。そーゆーことは,これから年金をもらいながら政府の悪口をブーブー述べ垂れるだけの馬鹿老人どもにやらせておけばよい・・・そんな風に,ワシは冷やかに年寄りどもの甘えっぷりを横目で眺めている。「連合赤軍」関連のものに少し触れることは,そのような馬鹿老人どもを育てた時代状況を理解する一助にはなるかもしれない。
12/28(日) 掛川・晴
西高東低冬型の気圧配置な日。東京往復した時からずーっと続いているようで,日本海側は多く雪のようだ。逆に太平洋側はピーカン晴れの下を空っ風が吹きすさぶ。おかげで富士山はきれいでした。
あ,松本零士がマッキー牧原を訴えていた裁判,[まだ続いていたのか](http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20081226-OYT1T00646.htm)(読売新聞)。まあ当然の判決ですな。しかし「[パクリ・盗作スキャンダル事件史](http://www.amazon.co.jp/gp/product/4796668160?ie=UTF8&tag=pasnet-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4796668160)」ではこの事件,11月の段階で和解に入っており「事の真相についてはうやむやになっている」(P.98)としているが,急転直下で判決を求める方向に変わったのか?
この事件,ワンフレーズだけで訴えること自体異常だし,たとえ松本ワールドにどっぷり浸かって育った世代がそこに出てきたセリフやモノローグを意識的にせよ無意識的にせよ使うようになっているということを,著者としては喜ぶべきなんじゃないの?・・・とワシは思うけどね。
後藤さんの本年最後(たぶん)の[記事](http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1226/kaigai483.htm)(PC Watch)。ん~,メモリの進化の方向は結局Intelが主導することになるのか。ますますアーキテクチャ的にはめんどくさい方向に進化(退化?)していくのかなぁ。
東京行の間に,[HOKKE2009](http://www.hpcc.jp/sigarc/hokke09/online-appl/)の落選通知が届く。
> この度はHOKKE2009へのご発表申込みを頂き、誠にありがとうございました。
> ご提出頂いたアブストラクトとHOKKE発表の意義の内容をHPC/ARC研究会主査なら
> びに幹事団で協議させて頂きました。その結果、お申し込み頂いたアブストラク
> トからは、「なぜこの研究発表が HOKKEの場で、両研究会参加者の間で議論され
> るべきか」が十分明確には説明されていないため、HOKKE開催方針に沿っている
> とはみなされない、という結論に至りました。
まあ,これじゃ落ちるかなとは思ってたけど,そう言われるとやっぱり気分はよろしくない。ん~,そうはいっても嘘八百並べてできてもいないことをズラズラ書き連ねるのはもっと気分がよろしくないので,今回は敗北をきちんと受け入れることにしよう。負けるかもしれない,恥をかくかもしれないという場に常に身を置くことでしか,今の時代は自分の主張を世に届けることはできないわけだし。つーことで,これからもワシはHPCの場で負け続けることを選択するのである。
久々の純然たる趣味の東京行だったので,大量の本を購入。往復の間に連合赤軍のお勉強をしておりましたので,頭の中が萌えと総括でゴチャゴチャになっちゃった。その成果は後ほどお送りします。
つーことで,負けっぱなしでも困るので,本日は掃除して(洗濯は終わっている)買い物行ってから企画書を書いて頑張ることにする。あ,ぷちめれも忘れずに,ね。
TOBI「眼鏡とメイドの不文律」フレックスコミックス,アサミ・マート「木造迷宮」リュウコミックス
* 眼鏡とメイドの不文律 [ [Amazon](http://www.amazon.co.jp/gp/product/4797351640?ie=UTF8&tag=pasnet-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4797351640) ] ISBN 978-4-7973-5164-4, \560
* 木造迷宮 [ [Amazon](http://www.amazon.co.jp/gp/product/4199500766?ie=UTF8&tag=pasnet-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4199500766) ] ISBN 978-4-19-950076-3, \552
他愛もないラブコメは今でも好きである。読者としては「ああ,これはいつぞや読んだラブコメと同じだな」と思って安心してしまうので,逆に著者としてはその「期待」を裏切りやすい。その逆に,ストーリーが類型的であればあるほど,そこに埋め込まれているディテールの読み取りが容易くなる。著者が意識していようといまいと,それは個性という奴に他ならない。よって,こうしたblogのネタにしやすいのであるな。もっとも時間の無い時には「そんなコマけーこと,書いていられっかいっ!」となってしまうから,あくまで暇な時専用のネタではある。
つーことで,純然たる「他愛もないラブコメ」2冊をまとめて紹介することにする。といっても,ストーリーがありきたりであることは面白くないということと同義ではないので,その辺誤解なきように。
この2冊を取り上げたのは,どちらもデビュー間もない新人の作品であるということもある。何せワシは齢四十路を越えようという兼業マンガ読みであるから,近頃は新人を発掘している暇がなく,どうしても既読の作家のものばかり読んでしまう。だもんで,なるべく銭に余裕があればジャケ買い,ペラ買い(めくってみて自分との相性のみをチェックする)もするようにしている。といっても出版不況の昨今,少部数で膨大な点数の新刊書が出ているわけで,とてもじゃないが新人に限っても無作為抽出レベルのチェックもできやしない。従って,この2冊が選択されたのはホントに偶然,しかし殆どの漫画単行本はたぶん,どれをとっても数万単位の方々に気に入られるレベルのものばかりなのだ。それだけ,日本の漫画文化は古びてきたとはいえ,相当な厚みをもっているのである。
まず,「眼鏡とメイドの不文律」から行こう。単行本はこれで2冊目,初単行本は「[眼鏡な彼女](http://www.amazon.co.jp/gp/product/4797347058?ie=UTF8&tag=pasnet-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4797347058)」であるらしい。・・・前作はまだ読んでないけど,このベタベタなタイトル・・・いや,著者の眼鏡っ子に対する愛は分かる,分かるが,ふつー,もう少しひねるもんだろう。そして2冊目が「眼鏡っ子」と「メイドさん」である。ベタにも程があろうというものである。でも可愛いから許す。ま,著者も「いい加減にしろと言われそうですが」(著者挨拶)と自覚はあるようだし。
この単行本の大部分を占める「MAID DE NIGHT! — メイドでないと!」を強引に一言で言うと,「押しかけラブコメ」という奴である。短く収めた「ああっ女神さま!」みたいなもんか。早い話が,オクテかつモテナイ男が抱きがちのファンタジーである。そのせいか,どーも男の子が無個性過ぎて物足りない。絵のトーンがまだ固まりきっていないのか線がへろへろで,緩やかな雰囲気作りには役立っているが,全体的に軽い感じがする。まあそれを言うと「ヘタリア」なんて鉛筆書きだから尚更なんだけど,今風ではあるんだろうが,オッサンマンガ読みにはちと感情が込めづらいトーンではある。でも可愛いから許す(そればっかりや)。
画風で言うと,真逆なのが,アサミ・マートの「木造迷宮」である。筆で描いたような,くっきりしたタッチの一本線で,画力は相当ある。コミティアからコミックリュウ編集部が引っこ抜いてきた新人の一人で,中野晴行さんお気に入りの坂木原レムも同様の経緯でデビューしたようだ。二人ともゲーム会社に勤務していた経験があるようなので,ひょっとして顔見知りなのかな? 社会人経験がある分,年齢はTOBIよりワシに近いぐらいであろう。ワシには大変しっくりなじむ描線は,古い木造建屋の表現とマッチしており,ストーリーより絵に興味のある人なのかな,という感じがする。一人暮らしの冴えない中年物書きオヤジのところに割烹着の可愛い女中さんがいて,あれこれ世話を焼いてくれるというストーリーは,もう独身男の妄想でなくてなんであろう。ワシはメイド喫茶ブームに対して,何故日本のよき伝統である女中(もう差別語ではなくなったのか?)を置かないのか!,と憤りを感じていたので,なおさら共感して読んでしまった。ヤエさん,可愛いです(バカ)。
ということで,メイドと女中という和洋の違い,画風も正反対な新人作家の作品ではあるが,末永くご活躍して頂きたいものである。
12/26(金) 掛川->東京・?
ほれではこれから東京に行ってきまーす・・・って,その前に,職場に忘れ物しちゃったので取りに行かないと~。んでは。
西原理恵子「毎日かあさん 5巻 黒潮家族編」毎日新聞社
[ Amazon ] ISBN 978-4-620-77058-1, \838
今更サイバラ漫画,しかもベストセラー(2008-12-24現在 Amazonで4位)になったものを褒めちぎっても,Webの海にゴミを増やすモンだと思ってから本書についてはスルーするつもりでいた。いや,もちろん今まで以上に面白いのであるけれど,サイバラ漫画の新展開がっ!・・・というものでは決してないので,お勧めの言葉は今まで書いた記事で尽きているのである。
しかし,一つだけ,これはワシにとって,いや,日本男児の根幹にかかわる重大トピックが本書に取り上げられていたを見つけたので,以下,そこに焦点を絞って本書のぷちめれに代えたい。
それは,「洋式トイレ問題」である。まずはこの読売新聞の記事をご覧頂きたい。ワシはこれを読んでウヨクな頭が沸騰してしまったのである。
便器は西洋列強に倣えども,日本の侍の魂はすっくと立ち上がって尿をジョロジョロと排出する行為に宿るのである。それを世の女どもは分かっとらんっ! 男児が座りションベンするためには,ペニスを股に挟んで下に向けねばならんのだ。これは
のと同じ屈辱感を覚えるポーズに他ならない。いや,大の時は必然性があるからいいのである。大便をひりだす必要がないにもかかわらず,女どもはワシらに自分らと同じ行為を強要する,これが日本男児の魂を破壊する行為でなくてなんであろう。
・・・と,ワシは確信していたのである。自分の家の新品のトイレが臭くなるまでは・・・。
さて,ここでもう一つ,産経新聞の記事を読んで頂こう。右翼ポーズで有名な産経であるからさぞかしワシの気持ちを代弁してくれるんだろうと思っていたらさに非ず。文句の言いようもないぐらい合理的な研究結果に基づいて,男子の立ちションがトイレの悪臭の根源であることを語っているではないか。
ああ,これだったのだ。ワシの全財産を叩いて購入した新築マンションのトイレが臭くなってしまったのは・・・。いや,ワシはちゃんと掃除はしていたのだ。どこが汚れているんだか分らない便器をピカピカに磨き,床には掃除機をかけていたのだ。
しかし死角があったのだ。
壁である。
壁をふき取ることなぞ,想定外だったのだ。新品の洋式水洗トイレからアンモニアの臭気が発せられるようになったのは,実は壁に飛び散った尿の飛沫によるものだったのだ。それも,ワシが日本男児の根幹と信じる行為によってもたらされたものだったのだ。
毎日かあさんは世の女性を代表してこうのたまうのである(P.45)。
以上
と。
日本男児の伝統を守るには,風呂掃除の他に,毎日の便所掃除を男の仕事に追加する他ないのである。サイバラにまた一つ大事なことを教えて頂いたことに謝し,深く首を垂れ,臭いトイレを何とかしようとワシは心に誓ったのであった。