1/15(火) 掛川・?

 卒論執筆佳境である。まあ,もうちっとだ,頑張れ>4人
 TBSラジオ・ストリーム1/14(月)タチヨミスト☆SHINGOさんの週刊誌チェックを聞いて気になったので,週刊現代1/26号を買ってみた。あったあった,「総直撃!「ニセ博士」大学教授25人の「実名」と「言い訳」」。所謂,Degree Millから博士号を取ったと称している(いた)大学教員のうち,回答があった25名についての記事である。P.166に25人の一覧表があり,「本人のコメント」が面白い。誰が言っているかは記事を確認してもらうとして,気になるものを挙げてみると・・・
 ・「業績の中身を評価してもらった。付き合いの一つだ。」
 ・・・何のお付き合いなんだか・・・。
 ・「2年で約130本の論文を書いて修士号を取得。確かに日本語で論文を(書いて)提出したが,日本校の教授は日本人だ」
 ・・・いやぁ,130本の論文ってのは凄いなぁ。どうやって2年間でこんなに書けるのか,ワシは是非知りたいぞ。しかし日本語で論文を書くぐらいなら,日本の大学に出せばいいのにね。
 ・「学位を取るのに4年かかって,レポートをきちんと書いた。お金を払ってポンともらえるものではなかった」
 ・・・博士号って,レポートをきちんと書いたら必ず取れるとゆーもんじゃない筈だが。
 ・「日本語の論文を2年がかりで作成して学位を取得した。学内調査でも,問題ないと判断されている」
 ・・・どういう意味で「問題ない」という判断だったのか,知りたいな。
 一番の傑作はコレ。
 ・「日本の大学だって,海外ならば非認定校だ。ディプロマミルと同列視されるのは,とても不愉快だ」

 ・・・ま,いろんな「教授」がいらっしゃるようで。
 ただ看過できないものもある。
 ・「個人情報なので答える必要はない。」
 あーのーなー,Dr.をどこでどういう論文を書いて取ったかってのはきわめて重要な「公開情報」だぜ。非公開の「博士論文」なんてモンはないの!
 そーいや,「数学」には毎年Master/Doctor取得者のリストが出るのだが,最近は名前を公開したくないという輩がいるらしく,名前が出ないものも散見されるようになっている。

バカじゃねーの?
名前が出るのがイヤなら,学位なんか取るな!

と言いたい。安くない税金投じて日本の高等教育は維持されてるんだから,胸張って広報してもらいたいモンである。
 ちょっと気の毒なのは吉村作治先生。「迂闊だった。早稲田大学にも博士論文を同時提出しており,結果的には問題なかったと思う」と言っている通り,確かに早大から博士(工学)を取得しているんだよね。そのことぐらいは書いてあげなきゃ>週刊現代
 しかし,何でまたDegree Millに手を出したのかな。やっぱり文学博士が欲しかったのかな?
 そういや,正月明けに早々と再査読報告書を送って以来,久々に査読を抱えていない日々を送っていたのであった。いやー爽快爽快。しばらく送ってこないでよ>某編集委員様
 某シンポジウム(ワシが言ったら某にならんがな)の主催者の先生から,F先生とワシに名前を貸せ(幹事になれ)というご依頼。断る理由もなし,名前が出るお仕事ならナンボでも引き受け末世((c)高橋留美子)と返信。
 ボチボチやって寝ます。

鹿島茂「乳房とサルトル」光文社知恵の森文庫,同「神田村通信」清流出版

「乳房とサルトル」[ Amazon ] ISBN 978-4-334-78496-6, ¥619
「神田村通信」[ Amazon ] ISBN 978-4-86029-218-8, ¥1600
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 この年末から正月にかけては鹿島茂の本を楽しませて貰った。日本では希有な体力と人気を誇る書き手についてワシが今更あれこれ言う必要はないのだが,自分用のメモとしてこの2冊を読んで感心したところをワシなりにまとめておかねばと思ったので,このエントリを立てた次第である。鹿島茂の読者である方にとっては役に立たない文章になるのは間違いないので,ま,適当に読み流して頂きたい。
 一応,大学教員という世界に身を置いてぼちぼち10年になろうかという経験から言うと,学者として優れている教員は,教育者としても優れているし,学内の雑用(と呼ばれているが,組織としては不可欠な手続きが大部分)においても手腕を発揮することが多い。逆に言えば,学生から総スカンを食らうような講義しかできない教員は,学者としても疑問符を付けられることが多く,組織人としての仕事もろくすっぽ出来ない,ということである。ワシ自身はもちろん後者に属するダメ教員であるが,鹿島茂は間違いなく前者の代表格なんだろうと思える。ま,こんだけ各種媒体に文章を発表していてどこに組織人としての仕事をする暇があるのかな,とは思うが,そういう仕事をやらねばならないとなれば,馬車馬のように片付けてしまう筈である。
 これはつまり,体力の違いという奴である。古谷三敏の傑作漫画「寄席芸人伝」では,体力のない落語家がマラソンに勤しんで芸を立て直すという話が出てくるが,これを基礎付けるものとして,ベテラン落語家がある日本の小説家(誰かは不明)から「ロシアの小説に長ぇのが多いのは,体力が違うからだ」という話を聞いた,ということが紹介されている。人間の脳は他の哺乳類と比較してもダントツにエネルギーを費やす部位になっているために,それを下支えする他の器官が丈夫でないと旺盛な頭脳活動を維持できない,ということは,言われてみれば当たり前のことである。そして,活発な頭脳活動が出来れば体力もあり,体力があれば他の肉体活動もこなすことが出来る訳である。
 「乳房とサルトル」は文藝春秋の「オール読物」に連載されていたエッセイをまとめたものだが,これは単なる雑学エッセイではなく,知識の正しい使い方を踏まえたプチ論文集になっている。よくもまぁこんだけ大量の本を読み,その内容を正しく把握した上で,既存の知識をくみ上げて一つの仮説を惜しみなく開陳できるものだと感心する。
 例えばタイトルに挙げられている「乳房」は巻頭のエッセイ「巨乳 vs. 小乳」から来ているが,このエッセイでは,現在日本の巨乳ブームというものを長い歴史的スパンから俯瞰してみると,これも一つの文化現象として位置づけられるという事実を知らしめてくれるし,「サルトル」については,「マロニエの木の根っこの会」(P.196〜204)において,有名な「嘔吐」というものがサルトルの植物嫌悪に由来するものではないか,という仮説を多くの事実を踏まえて論証している。トンデモに流れず,具体的な事実を踏まえて確実な論証の道を教えてくれるというエッセイは,優れた学者が持つ凄みを教えてくれるという意味で貴重なものであるが,それを長年続けているのだから呆れてしまう。一体全体どっからその活動を支える「体力」が出てくるのか,不思議というほかない。
 恐らく体力以外の秘訣があるんだろう,と思っていたら,その内実の一端が明かさせるエッセイ集が昨年末に刊行されたのであった。それが「神田村通信」である。
 この「神田村」とは,もちろん,世界にもまれな本の町・神田神保町のことである。鹿島茂の知的活動はこの神保町が支えていたのである。
 まず,職場が共立女子大という,学士会館のすぐ近く,神保町まで歩いて数分という立地であることが大きかったようだ。欲しい資料があれば,普段から目星を付けた古本屋へ飛んで行けるというのは,本好きのワシとしても羨ましい。ワシもかつては駿河台の日大・理工学部に通っていたから,ちょっと研究に疲れると坂を下って靖国通りをウロウロしたものである。鹿島茂の活動は,神保町という知の源泉抜きには存在し得ないものだったのだ。
 しかも現在は神保町に個人事務所を構え,自宅も神保町のマンションに移してしまったと言うではないか。これはもう末期症状という他なく,羨ましいを通り越して呆れてしまう。
 ま,都心に衣食住の拠点を移してしまったことで,副作用というものもあるようだ。それは本書で確認していただくとして,良いことも悪いことも余すところなく書いていて恬淡として諦めていないところは素敵である。出来の悪い学者と言えど口は立つから,ダメ大学教員でも批評だけはいっぱしのことが言えるものである。人をくさすのは簡単なことなのだ(ここでワシもやっているし)。しかし,経済を含めた社会活動を続けて行くには,他人の批判をすることよりも,批判される側に立つ,つまり,自ら飛び込んでいくしかないのだ。
 ワシは,世間の注視や非難を浴びつつも泳ぎ続ける姿に対して感動するタイプである。小林よしりんもそうだし,小谷野敦内田樹もそうだ。他にも無名ながら「泳ぎ続ける」人たちが沢山いて,この先ワシの短い人生ではそういう人間だけを見ていきたいな,と念願しているのである。この2冊の著作を読み,どうやら鹿島茂もその一人としてカウントしていいことが分かったので,これからのご活躍を眺めていきたいと,ワシは正月早々決意した次第である。

1/13(日) 掛川->浜松->掛川・晴

 昨日は雨がシトシト降る冬らしくない日であった。こんな日に限ってマンションの入居説明会。土地と部屋の登記手続き,電力会社からのオール電化設備と電力使用量についての説明,管理会社と引越業者からの説明等があったのだが,肝心の建物が
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この状態である。これで2週間後には銭を振り込まねばならず,しかもそれが内覧会の前と来た。支払ったら最後,トンズラされてしまうのではないかと気が気でないのである。あと2週間は入念にストーカー行為に勤しまねばならぬ。せめて入金時にはホロぐらい取ってもらいたいものだ。
 説明会の後,完成間近のモデルルームを全員で見学。思っていたより綺麗だし広いなぁ,と思う。思うが自分の部屋ではないし,こんなに沢山の家具を置く予定もないし,ワシの部屋はもっと狭いのである。早く自分の所がどうなるかを確認したいんだよなぁ。こんだけ待ったんだから,しっかりやって頂きたい。
 本日は浜松にて桂南光独演会。
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 会場で配られた静岡県内落語会のスケジュールを見ると,前日は静岡市で一席こなしてきたらしい。そのせいか,ちょっと口が回らないところがあったが,全体としてはよく客席を沸かせていた。ワシも満足である。演題は「質屋蔵」(かな?)と「胴切り」。他には雀五郎・千朝。こちらも楽しめました。
 次回は3/26(水)のたい平独演会である。これが終わるとしばらくフォルテホールでの落語会はないらしい。落語のような動きの少ない話芸はこぢんまりしたこの会場が向いていると思うので,再開を強く期待したい。
 余韻に浸りながら寝ます。

1/10(木) 掛川・?

 ふ〜,やっと精神が始動してきた感じ。徐々に復活していこうっと。
 へ〜,草思社が民事再生法適用申請とのこと。ストール本(10/22の記事)が研究室に埋まってたかな?
 最近は売り上げが減っていたそうだが,翻訳書や評論本だけでは,文芸書やタレント本で業績を伸ばしてきた幻冬舎のようにいかないものなのかなぁ。まぁ筑摩も一度潰れているし,助力を申し出ている企業もあるそうなので,そんなに心配することはないかな。
 本日は出勤前に金貸の算段をしてきた。1時間程でワシは××××万円の借金持ちになることが確定したわけである。完済まで20年の猶予を貰っているが,××の状況を考えると,半分の10年で満額返すつもりで働かねばならぬ。早くブラック師匠の借金よりも減らしたいものだ。
 これで全ての書類に記入は終わったが,手続きを完了させるためには,先に転居手続きが必要とのことである(転居後の住所が入った書類が要るのだ)。自分の持ち物になる前の家なのに,掛川市役所で「もう引っ越しちゃいました〜」という真っ赤な嘘をつかねばならないのだ。これは家を買う人間が必ず直面する法制上の矛盾という奴らしい。まあ先方もその辺の事情はよく分かっているので,大概は問題なく嘘の転居手続きが行えるのだが,ワシの家の場合は「嘘をつくにも程がある」状態なので(号泣),2月上旬ぐらいまでは待った方がいいとのこと。何せ,駅前商店街のど真ん中の建物なので,「未完成なのが丸わかり」(担当H女史談)なんだそうである。・・・そんな有名な所とは露知らず,困ったモノである。ワシの予測では,さらに完成は一月程遅れるな,きっと。
 8月には恒例の(身内では「高齢の」と称している)集まりをワシの家でやることになりそうなので,ま,いくらなんでもそれまでには出来てる・・・よな。本来なら昨年の8月下旬には入居予定だったんだからさぁ。
 日本の科学技術の綻びが垣間見えたニュースである。

550億円の陸域観測衛星、誤差やノイズで地図作れず」(読売新聞)
 さらに、画像のノイズがひどいこともわかった。衛星画像は地上送信時に圧縮されるが、撮影した地表面の様子が予想以上に多種多様だったため、元の画像データに戻すことができなかった。宇宙機構は「事前に地上試験を行ったが、見抜けなかった」としている。

 これ,ノイズじゃなく,圧縮しすぎで元に戻せないっていう話だから,ソフトウェアの問題だろう。どういうハードウェアを使ってんのか不明だが,地上から更新できない・・・んだろうな,きっと。国費注ぎ込んだプロジェクトの割には杜撰な仕様だったんだろう。
 らき☆すた効果で,かがみとつかさ(双子)の住んでいる神社のモデルとなった所の参拝客が増えたという記事(毎日新聞)。主題歌のRemix版も売り上げ好調らしい。ふーん。
 一体このアニメのどこが面白かったのか,といぶかる向きはこちらの記事を読むと良い。ワシが嵌っちゃった勘所は全部網羅してあるので,これ以上何か付け加える必要もないぐらいである。
 それにしても不思議なのは,明らかな違法uploadなのに全話がYouTubeで視聴できること。熱心な輩は全世界にいるようで,ワシが見た範囲では英語とスペイン語の字幕バージョンまであった。角川がこのことを知らないはずもないから,模様眺めってことなのかな。三崎さんのレポートを読むと,角川のこの不思議な姿勢が少しは理解できそうである。
 Interval Arithmeticにはどんなライブラリがいいのかなぁ〜と探ってみたが,やっぱり多倍長だとMPFIぐらいしか使えそうなモノがない。倍精度用にとINTLABを使おうとしてもMatlabなんて高いソフトは買えないから,Scilab用のInt4Sciでも使おうか,とやってみたが,buildでこけてしまう。うーん,何が悪いんだか。nmake用のMakefileがおかしいのかな? ちょっと見ても原因がよく分からん。つーことで,当分はMPFIで頑張るしかなさそうである。
 ボチボチやって寝ます。

1/7(月) 掛川・曇時々雨

 ふ〜,年明け一発目の講義と卒論チェックと3年生ゼミ。やっぱり無理矢理でも体を動かさないと何も進まないね。
 ちょっと気になるコラム。

牧太郎の大きな声では言えないが…:結婚する結婚詐欺師?

「大好きです。あなたの子供が欲しい」と言われて結婚したら、専業主婦とは名ばかり。掃除、洗濯、料理はまるでダメ。亭主が出勤するとエステ、三つ星レストラン、ブランドショップ。果てはパチンコ。夜はホストクラブに入り浸って午前様。不倫も時々。亭主とはセックスレス。子供ができるハズもない。
 家計は独占。亭主の小遣いはスズメの涙。もちろん、高額の生命保険をかけているから、亭主が抵抗すれば病気と見せかけて……ああ「結婚する結婚詐欺師」は恐ろしい。

 一体全体誰がモデルなんだ,これ。そういう旦那の方はどれほどご立派な方なのかって言いたくなる。まずは女性を見る目がなかったと自己反省し,更に掃除・洗濯・料理を相手に頼り切ろうとした己の態度を改めるべきではないかな。同情するのはそのあとだね。
 おお,著者の方からダイレクトに反応があった。
 ん〜,ワシの読みづらい文章をきちんと読み取っているところはさすがです。直リンクと的確な引用ありがとうございます。しっかしこんなマイナーなblogまで,よくチェックしてるよなぁ。
 自費出版の新風舎が倒産とのこと。ビブロスの親会社もこのビジネスがうまくいかず,巻き込まれて潰れちゃったんだよなぁ。
 以前にも書いたけど,ワシはこの自費出版の被害者には全く同情していない。自分で可能な営業努力もせずに金で解決しようという根性がいけ好かないからだ。宣伝だけならWebもblogもあるし,販売場所ならコミケだって文学フリマだってあるし,版下さえ作ることが出来れば同人誌印刷でかなり安く本を作ることだって可能なのである。その上でどうしても自費出版に頼るのなら,SF作家の堀晃さんの記事を読んでおくぐらいのことはすべきだよね。
 ボチボチやって寝ます。