3/15(水) 掛川->東京・晴

 春爛漫という気温が続いていたところだったのに,ここ二三日は冬に逆戻り。底冷えのする冬型快晴の元,AM 9;:39掛川発の新幹線で東京へ。冬型だけあって,美しい富士山が車窓から眺められた。これから春にかけて,段々と頂上付近の雪が減ってくるともっと格好良くなるぞ。期待しよう。
mt_fuji20060315.jpeg
 定宿に荷物を預け,東京駅へ。東京中央郵便局で書き損じの葉書を一枚につき5円の手数料を払って50円切手に交換してもらい,眼鏡屋で誕生日の記念品を受け取るついでにクリーニングをしてもらい,人間ドックの予約をし,丸善でめぼしい新刊をgetする。お,ブルバキの数学がとうとう文庫に。それも2分冊。単行本はワシも持っているが,こっちの文庫本の方が解説や注が充実していてマル。本文ではなく解説から読み進む軟弱なワシであった。
 一緒に購入した「愛,しりそめし頃」7巻を読みながら休憩し,大手町から千代田線経由で東大武田先端ビルへ。根津駅で降りると近いところにある。まったく東大の敷地は広いや。本日の目的はこれ↓。さすがに顔の広い先生だけあって,盛況であった。
last_lecture_prof_oyanagi.jpeg
 記念パーティは,顔見知りの人,二三人に挨拶して1時間ほどで退散。どーもパーティーってのは苦手だな。人見知りの激しいワシには向いていないようである。でも食べ物はおいしかったです。ごちそーさまでした。
 宿に戻って風呂に入り,メールの返事を打って(こういう時に集中するんだよな,どーゆー訳か),ようやくこのblogの更新ができたという次第。なーんか慌しかったな。
 慌しいといえば,次週のワシの有給休暇は一日を除いて全て潰れてしまった。殺す気かおんどりゃぁ(自分のせいだが)。このままドタバタしつつ,新学期を迎えるのであるなぁ。毎年のことであるが,能無しのワシでも段々余裕がなくなりつつある。能無しだからですかそうですか。まあ仕事があるのはありがたいことである。
 明日こそ,東京でゆっくりさせて頂こう・・・って,大師匠に渡すべく昨日慌てて打った原稿の手直しをして,Kinko’sで出力しなおす必要があったのであった。ああ,定年までワシには安息の日々は戻ってこないのか。悲しい。
 寝ます。

江口寿史「江口寿史の正直日記」河出書房新社

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-309-01741-X, \1900

江口寿史の正直日記
江口 寿史著
河出書房新社 (2005.12)
通常24時間以内に発送します。

 原稿落としの天才漫画家・江口寿史が自身のWebサイトで連載していた日記をまとめた単行本。オマケに,編集長を務めていたComic Cueに掲載された日記と,山上たつひこの復活漫画をアシストした記録漫画である「金沢日記」も収録してあり,その結果,全570ページを越える分厚さとなっている。発行されたのは昨年の12月で,ワシが購入したのもその頃であるが,「毎晩寝る前にでもチビチビ読ん」(あとがき)だ結果,読了したのは,論文下書きに気分が乗らず悶々として過ごしたこの土日にかけてとなった。ま,最後は半分以上一気読みだったが。それもそのはず,面白いんだもん。確かに自身でこれを「クズの日記」と称しているだけあって,飲んだり食べたりしている記述が多いが,そればかりではない。映画評あり,ショッピング評あり,ラーメン評あり,なんつーかこー,人生楽しく生きているということが良く分かる爽やかな空気が全編に漂っている文章なのである。
 おっと,ここで誤解してはいけない。江口寿史は,原稿落としまくっても楽しく生活できる見本,では決してない。
 逆だ。
 江口には,生活レベルをさほど落とさずに妻子を養っていけるだけの画才がある,ということを本書は見事に活写しているのである。
 勿論,江口はそんな露骨なことはストレートには言わない(ギャグでは言うけど)。しかし,「パパリンコ物語」も「うなじ」も「イレギュラー」も,長い連載作品はみーんな中途半端に終わってしまっているのに対し,一ページ漫画「キャラ者」や単発のイラストの注文は,編集者をきりきり舞いさせつつもほぼ完璧にこなしているのである。だからこそ,イラストレータとしての信用は落とさずにやっておれるのであるし,その実績と評価があってこそ,何度落とされても「やっぱり,長い作品にチャレンジして欲しい」という期待が続いているのであろう。
 本人がダメダメクズクズと連発するのは,当人に才能がないわけではなく,自分に対する要求水準が高い証拠(by いしかわじゅん@BSマンガ夜話)という,冷徹な事実を見据える必要がある。本書は決して,ニートやフリーターを甘やかせるための口実には使えない,プロの仕事と厳しさを伝える漢(おとこ)の書なのである。

3/10(金) 掛川・雨後曇

 花曇というにはまだかなり遠い。桜のつぼみも見えないし,今年の開花は遅いのかな。予想によれば,この辺は3/25あたりになるらしい。2週間後。卒業式が終わって一週間後か。あっという間だな。
 本日は職場にて企業ガイダンス。有難くも勿体無くも,企業の人事担当の方々がわざわざ当校に来て新4年生(予定)と懇談して下さるという行事。例年4月上旬1回こっきりの開催だったが,今年からは3月と4月に1回ずつ行われる。今日はその第1回目なのである。ワシは就職推進委員という役回りなので,当学科の学生を取っていただけるという企業を片っ端から訪問し,名刺交換を行う。本日だけで40枚ははけた模様(まだ未集計)。一つよろしくお願いします。ついでにワシが職を失った時にはワシもよろしくお願い致します・・・そう思うと俄然張り切ってしまう,因果な性格。やっぱり自分の身が一番可愛い。ついでに学生さんも可愛い(ついでかよ)。
 どーゆー訳か,卒業してからも7月まではワシの学生実験を手伝ってくれるT君。卒研で作成した管理ツールを試してくれるも,LDAPのトロさを露呈する結果となる。うーむ,Linuxでこれだから,Active Directoryってのはかなり優秀なのかも。結局,ITも資金力なのかしらん? ともかくベンチしてもらって,どのくらいの性能なのかを測定してもらうことに。よろしくね。
 そうそう,M$と言えばOrigamiでしょう。Tablet PCってのはこれの布石だったのね。性能を下げずに,PDA的な使い方の出来るPCってのは,「高くなければ」垂涎の的であったのだが,なかなか実現させるのはコスト的に難しかったようである。プレゼン用のデバイスとしては最高だな,でもRGBはどこだ・・・と思ったらちゃんとあった。偉い。残る問題はバッテリだけだな。日本メーカの強みはここで出せそうである。期待してまっせ。
 第35回数値解析シンポジウム(略称:NAS2006)のFirst Announcementが送付される。どーもご苦労様です>担当の方々。今年は単なる参加者として楽しませて頂きます。おほほ,楽しみ楽しみ。都会開催ってのは近年初めてじゃないかな。交通の便もそこそこよさげである↓。



幹事団も最強の布陣,いやマジで。今年こそ,「君はいつも働いているね」(某大御所談)と言われないようにデレデレ遊んでやろう。ふっふっふ・・・あ,いや,ちゃんと講演予定してますよ。
 寝ます。

3/9(木) 掛川・曇

 春らしい陽気になってきた。あとは桜が咲くだけである。我が家の灯油が使い果たせるかどうか,微妙なところである。
 ほほう,M$が同志社大学(正確には三木研究室と,か)とWindows HPCコンソシアムを作るそうな(Enterprise Watch, Microsoftのプレスリリース)。ふーん,MPICH2がいち早くWindows対応になったのは,そーゆー訳か,と納得。ユーザとしては,統合環境をパッケージングにしてくれた方がうれしい。MSDNユーザならクライアント数制限なしで使用可ならもっと言うことなし。CCSで遊んでみたいけど,今それどころじゃないんだよねぇ・・・。暫くはFC4とそろそろ出そうなFC5だけで手一杯。一応,昔やった代物はこちらにあるんで,ご参考までに。
 官僚答弁というものがある。よく言われるのは「前向き」「善処」「さまざまなご意見を伺う」という言葉はちりばめてあるものの,具体的に何をどうするといったことは何も見えてこない,当たり障りのない応答のことである。
 ワシも一応は税金で飯を食わせてもらっていた身であるから,本物の官僚答弁を少しは読みかじったことがある。実際の答弁はそんなに抽象的でもなく,割とできることできないことをハッキリ述べているものが多く,巷間伝えられるほどヒドイものではない。むしろ,官僚ではない方々の方が,中身のない空疎な,それでいて相手をうまく持ち上げ,自分は低姿勢を保つ,という言葉のレトリックを使う機会が多いのではないか。
 先ほど,某MLで流れた文章はまさしくそれであった。いろいろ言っているが,煎じ詰めれば
 ・まだ予定の段階であり,具体的なことはこれから詰める
 ・要望があったので一応の応対はしたが,何をどうするかはこれから詰める
 ・全ては事後に公表する(つまり,事前には何も知らせるつもりはない)
ということである。文章の最後は「皆様方のおかげで云々,当方は非力で云々」と締め括って持ち上げるところなんぞは,実に心憎い。こうやって,世の中うまく渡っていくんだなぁ,この人は,と感心,とゆーか,呆れさせて頂いた。
 春は異動の季節である。ほほう,あの人も,あの人もこの人も動くのか,と,静岡に根が生えちゃった中年はのんびり眺めるのみ。昔と違って,業績があって雑用もこなせて将来性のありそうな人がキチンと出世していくシステムが出来上がっているから,「あ,やっぱし」と思うこと多し(ね?>このページを見ている該当する先生方)。良いことである。・・・という漠然とした話しかできないところが,この話題の難点である。漠然といえば・・・ああ,近頃,「ヲトナの話」が増えてきちゃってねぇ。おっほっほ(何を言いたい)。
 次年度は4年生の就職担当なので,さまざまな情報が集まってくる。へぇ~,ほぉ~,と言うようなことも多いのだが,それ以上はヲトナの話になるのであることもまた多い。しかしこれは言ってよかろう。「てめぇら,もっと動け」。
 しこしこと某論文の原稿の下書きの下書きを藁半紙に書き付ける。暫く真面目なアルゴリズムの話を書いてなかったから,勘がなかなか戻らない。来週,ワシの大師匠の所に持参せねばらならない奴なので,今日明日中に下書きを完成させて,土日には形にする予定。う~,全然春休みじゃないよ~。しかしこれ,重要な論文なので,rejectされました,では撤退,とは行かないんだよねぇ。とゆーことで,保険をかけておかねばならないから,仕事量が2倍になる予定。ああ,計算しているのは楽しいのに,まとめる作業はどーしてこーシンドイのであろうか。それはね,ワシにプレゼン能力が欠けているから。納得。
 風呂入ってちょっとやっつけて寝ます。

小林よしのり「目の玉日記」小学館

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-09-389056-0, \1000

目の玉日記
目の玉日記

posted with 簡単リンクくん at 2006. 3. 8
小林 よしのり著
小学館 (2006.4)
通常24時間以内に発送します。

 ここんとこ,ゴー宣ことゴーマニズム宣言とはご無沙汰である。ここでも何度か書いてきたが,主張がマンネリ化したため,エンターテインメントとしての面白みが薄れてきたからである。同じことは,愛読していた藤原正彦の著作にも言える。「国家の品格」がベストセラーに入ったのは,その筆力と主張の見事さ(正しさ,ではないよ為念)から当然と言えるが,ワシは一見して購読するのを止めてしまった。「情緒」と「国語力」の主張のないエッセイなら喜んで読んだであろうが,それの連呼ばかりでは「あーあー分かった分かった」と言いたくもなるのである。藤原といい,小林といい,どうして保守論者の主張はこうも同語反復が多いのであろうか・・・おっと,これはサヨクにも言えるね。兎も角,己の思想信条を声高に連呼し続けられれば,どうしたって飽きられてしまうのである。もう勘弁してくれと言いたくもなるのである。
 かようにして,ワシとよしりんは倦怠期の夫婦関係の如く疎遠になっていたのであるが,ゴー宣掲載誌をチラと眺める習慣だけは続いていたのだ。そんな折である。よしりんが目の病気になり,ゴー宣が休載となったのだ。
 ありゃぁ,こりゃ大変だ。復帰できるかな?・・・と心配していたのは杞憂も杞憂。転んでもただでは起きないエネルギーの持ち主であるからして,重度の白内障に罹って入院し手術,そして退院して短期休養,という一連の事件を作品にしてしまったのである。それも書き下ろし160ページ! ホントに病み上がりか?というぐらい,充実したテンションの高い作品に仕上がっており,しかも殆ど「いつものアレ」的主張がない。これはうれしい,国家主義者ではない,純粋なエンターテナーよしりんを楽しめるではないか。ワシが本書を購入してから小一時間で一気に読了してしまったのも無理はないのである。
 「えー,小林よしのりぃ~?右翼だろ~?」という向きにもお勧めの,無難かつ楽しめるエッセイ漫画本である。損はしない。どーせ年寄りになればみんな白内障になるんだから,予行想定演習のつもりで読んでおくと,いざ目が白くなっても,「白内障の手術?軽い軽い,わっはっは」と笑い飛ばせること請け合いである。