[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-06-212344-4, \1800
昨年(2004年)の講談社ノンフィクション賞受賞作だし,かなり話題になった本なので「あ,それ読んだ」という人も多いだろう。それでもあえて取り上げるのは,今年も仕事三昧の日々を送ろうという決意に拍車をかけるべく,まずは惚れ惚れするような力作にあやかろうという魂胆だからである。
同和問題について語ろうとするとどうしても冷や汗が首筋に滲んでくる。そんな小心者はワシ一人ではあるまい。血筋や生まれで差別するなんて,する側が100%悪いに決まっているのだが,厄介な問題に触りたくないという小市民根性からどうしても避けて通りたいと考えてしまう。この記事も一度破棄して書き直したものである。本書が話題を呼んだのは,野中広務という有名な政治家を取り上げたことと共に,同和問題を扱っているからという一種の「怖いもの見たさ」があったのではないだろうか。
しかし,本書を読めば,何故この厄介な問題を取り上げたかがはっきりする。それは野中広務という政治家が持つ,強面する恫喝v.s.社会的弱者に対する率直な思いやり,という2面性を理解するにはこの問題は避けて通れなかったからである。虐げられた経験を持つが故に,同じような状況にある者には限りない慈愛を注ぎ,自らがそのような状況にある時は怒りを持って跳ね除ける・・・人間ならば誰しもそうであろう。野中は特に後者の面で才能があり,政治家としての出発が遅かったにもかかわらず,ついには首相候補に擬せられるまでに上り詰めた,それだけのことである。
佐野眞一に見られるような文学的な比喩は皆無で,怜悧かつ静謐なジャーナリスティック文体が秀逸な,優れた人物評伝である。取材された方は迷惑この上なかったろうが,三流どころのゴーストライターに”My Life”なんて表題で執筆させるより,魚住さんに書いてもらって良かったんではないだろうか。これを読んで野中さんの評判が上がりこそすれ,下がることはない筈である。
1/1(土) 掛川・晴
天気晴朗なれども風強し。典型的な冬型の気圧配置で,こっちは雲ひとつないピーカン晴れ。
見逃していたが,JR東海が3月ダイヤ改正の概要を発表していた(PDFファイル)。ふーん,のぞみが12本増発か。こだまは運行していない季節ダイヤがなくなっただけで,ひかりと共に現状維持。これ以上弄くりようがないよな。21:40東京発の浜松行きこだま,もうちっと遅くなってくれるとありがたいんだがなぁ。
餅三つを突っ込んだ雑煮をすすって年賀状の返事を書く。今年は10枚。家族の写真付の年賀状が多いのは良いことである。勝ち犬が「勝ち!」を堂々と宣言するのはこの機会を逃して他にはないからである。我々負け犬はこれを見て年明け早々に反省させられることになり,勝ちを目指すようになる・・・かもしれない。
Wordでこれを張り込んでぺぺっとファイルを作って印刷。今時モノクロプリンタを使っているのはワシぐらいのものであろう。来年までにカラープリンタも一台ぐらいそろえておこうかなぁ。安くなったし,Canonの奴はなかなかスタイリッシュである。
さて,これから書いた返事をポストに放り込むとするか。
ただいま。掛川郵便局はワシと同じく年賀状を投函する人でごった返しておった。ずぼらなのはワシだけではないようである。デニーズやマクドナルドも人でいっぱい。何だよ,みんな正月は自宅でのんびり・・・ではないのか? 元旦営業が増えるのもわかる気がする。
先立つものがないので(またかよ),Acrobatの代わりにPrimoPDFをインストールしてみる。で,Copyrightを見ると,ん?,Aladin?,でインストールフォルダを見ると・・・なんだこりゃ,高性能なRMon+GS8.13じゃぁないか。
こういうビジネスもありなんだろうか。ちょっと解せない気がするが。
スケジュールを更新。こうしてみると,2月から3月中旬までのスケジュールはかなりタイトである。やんなきゃいけないプロジェクトが二つも走っていて,大丈夫なんだろうか? かなり不安。こりゃまたスポーツクラブ通いをしなくちゃ駄目かしらん?
・・・とよしなしごとを考えつつ,元旦の夜は更けていくのであった。
12/31(金) 掛川・雨後曇
九州から関東,東北にかけて,太平洋側は押しなべて雪景色となる。静岡のこのあたりだけが例外のようである。こちらは午後まで単なる氷雨が降るばかり。つくづく温暖なんだなぁと感じる。
予定通り,順調に教科書執筆作業は遅れております。気張って書きすぎたせいか,2章まだ終わらず。これからIEEE754と桁落ちの解説を書かねばならない。しかしすでに年越しそばを2杯も食って腹いっぱい。もうだめであろう。また仕事は越年越しである。
何はともあれ,大過なく今年も過ごすことができた。来年もこの調子で過ごせますようにと祈念しつつ,毎年恒例の挨拶でこのWeblogを締めさせて頂くことにする。
来年も一つよろしくお願い致します。
「夢路行全集12 鈴が鳴る」一賽舎
[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-7580-5108-9, \552
今年の最後を飾る本は何にしようかな~,やっぱりゆとり教育批判への嫌味かなぁ,それとも好きなマンガで締めるか・・・と10秒ほど考えて後者にしたのであった。やっぱり楽しいのがいいよね。
イマドキ,全集が出る漫画家というのはかなり限られる。手塚治虫並のネームバリューがあって,なおかつコンテンポラリーな作家はもはや24年組ぐらいじゃないのか。人気作家が難しいとすれば,コアなマニアを捕まえている作家しかいないが,それなりにマスを持たないといくらなんでもペイするだけの販売部数すら稼げないだろう。夢路行はそのあたりのボーダーラインに乗っている数少ない作家(何せ「初版絶版作家」を続けて20年である)であり,しかもかなりのベテランでちゃんとコンテンポラリー・・・というより,今の方がかえってメジャーではないかといういうぐらいの大器晩成なお方である。この機会を逃して全集を出す機会はない・・・と弱小出版社たる一賽舎の社長が思ったかどうかは知らないが,とにかく全25巻を目指して現在出版中である。2ヶ月に一度,3冊づつ発売されるのだが,出す度に取り扱い書店が少なくなっているような気がするのはファンの心配しすぎであろうか? 何はともあれ,やっと半分出たところである。全集完結まで潰れるな,一賽舎!
という訳で本書である。12冊もある全集の中から何故これをとりあげるかとゆーと,現在秋田書店の雑誌にて連載中の「あの山越えて」の設定とよく似ているからである。まず主人公は学校の先生(「あの山越えて」では小学校の,本書は中学校の)であり,ド田舎(山奥と離島)が舞台での恋愛もの(夫婦でも恋愛しているよーにしか見えない>「あの山越えて」)というところも共通している。しかしやっぱり本書の方がストーリーとしては短い分まとまりが良く,主人公の境遇に著者の体験が生かされていると見えて人物に厚みがあると思えるのである。「あの山・・・」を人から薦められて「ちょっとたりー」と感じた人にはぜひ本書の方をお勧めする。著者が五島列島育ちということもあって,やっぱり海の自然の描写,特に海岸の小さな穴掘り温泉のリアリティは,そんじょそこらのイマドキの都会育ちの作家には描けないだろう。
この主人公については,全集を続けて読んでいると「あ,あの入鹿さん・・・」と気がつく(著者もセルフパロディと言っているが)という楽しみもある。最近,夢路行を知った方は是非とも本書を読んで,気に入ったら最寄の書店で全集を全部予約して頂きたい。そうすることで取り扱い書店が増えることが期待される。営業力が皆無なんではないかと思われる一賽舎が全集完結まで潰れないためには,それしか方法はないと思いつめる,今日この頃なのである。
12/30(木) 掛川・晴
昨日は魚介類の水炊きなどという,オスの負け犬にあるまじき贅沢をしたせいか,午後からはいつもの偏頭痛が起こり,そのため今日の午後までずーっと寝床でうーうーうなる羽目となった。おかげで予告していたぷちめれどころか日記すら書けない状態であった。もちろん仕事は一行も進まず。
これはいかんと午後からはまだ少し痛む頭を抱えて大晦日に備えた買い物へ出かける。鶏肉・ごぼう・乾燥シイタケ・三つ葉・刻みねぎ(一本では多すぎるので)・かまぼこ・ちくわ・料理酒とそばを買い込んで,明日の年越しそばと正月以降の雑煮用汁を作るのである。さすがに大晦日一日前のスーパーはそれほど人ごみもなく,明日の大騒乱に備えてか,新入りバイトのレジ打ち研修がのんびりと行われていた。
帰りがけにガススタンドへ寄ってガソリンと灯油を買い込んで帰宅。さすがに腹が減ったので作りおきのご飯と味噌汁をがーっとかきこむ。それでも足りないため,数時間後には最後の稲庭うどんをゆでて年越しイブうどんを作ってすする。美味なり。
昨日のブランクを埋めるべくぷちめれ2本をあげ,教科書の続きを執筆するも,2章の途中でダウンする。うーん,コンピュータの説明に来ると面倒である。今日はここまでとし,明日がんばることにしよう。どうせ紅白も見ないしな。
昨年は何をしていたのかなぁと,見てみると,WindowsにGMPを移植していたようだ。進歩してないなあ。来年早々にはわしのMPIBNCpackのWindows移植版についてポスターセッションをすることになっている。一年経ってこの程度かよ・・・という気がしないでもない。ま,ゆるゆるやりましょう。・・・あ,トップページのカウンタが20000を超えている。
では寝ます。明日こそはバリバリ書くぞ~。年内に半分は終わらせてやる~。