7/6(土) 駿府・晴

 梅雨のさなかにも拘らず,今週の半ばからはろくに雨が降らず,ピーカンとはいかないものの晴れ間が続き,駿河湾から熱気が押し寄せて史上最高39℃を記録する始末。日中は屋内作業なので普段は大丈夫なんだが,昨日は学内の安全パトロールで熱いキャンパスを横断する羽目になり,ポカリスエットをがぶ飲みして回復することができた。多分ワシの臨終は,エアコン故障で酷暑の中,介護施設で熱中症で死ぬのであろう。まぁ屋内で死ねればいい方であるが。

夏の定番,CoCo壱番屋の夏野菜カレー,最高である。

 とゆーことで,毎年トラブりながらICCSA2024の講演を終え,SWoPP2024の予稿をアップし,自分の次年度以降の予定を公にした結果,気が抜けて呆けているのである。いやいや,まだまだOpenMP並列化もしなきゃいかんし,複素線形計算対応もしなきゃいかんし,何より行列のリダクションの高速化を頑張らんといかんのである。ということで来週から頑張る(毎回それかい)。

 最近ワシみたいな五十路以上の高齢者によるカスハラが問題になっているが,今に始まったことじゃない。年寄りはいずれ退職するか死ぬから黙ってやり過ごせばよいと優しくお目こぼしされてもらっていたところが,ここんとこの人手不足で若い人材が常にどこでも不足気味で,めんどくさい年寄りに時間や神経を取られる余裕がなくなったという事情が大きいのだろう。そーゆー方々の主張の根幹には変化に対して対応ができないことでイラついている→役に立たないと無視される→さらにイラつく・・・という悪循環がある。自覚して直してもらうしかないんだけど,まぁ五十路過ぎたら修正はほぼ不可能なんで,最近は「平等に扱って言いたいことを言わせて気にせず華麗にスルーする」というスマートな対応策が取られているようである。まぁダメ年寄りのガス抜きぐらいはやらせておいて,内容は受け流す(気にしない),というスタンダードが確立されているようである。・・・ということをSWoPP2024のプログラム構成から読み取れたってのは穿ちすぎかしら? そーいや,なだいなだの晩年は「老人党」とかぶち上げて晩節を大いに汚しておったけど,まぁ「ちくま」のエッセイのネタにはなってたから一種の商売だったのかしらね。にしても,いつから「年寄りは若い奴らに面倒をかけずに日々生きる」という礼節が失われたのかなぁ。やっぱり団塊の世代からかしらね。ワシらバブル世代は後世もっと非難されそう。まぁあと30年ぐらいでみんな死ぬし,せいぜいXとかBlueskyとかThreadsで愚痴るぐらいで無視してくれればさして問題ないだろうから,現役世代の方々におかれましては,もうちょっと我慢していただきたい・・・え,30年も我慢できない?・・・じゃ楢山(以下略)。

 さて,これから夏休みが終わる9月までは大学見学・オープンキャンパス(しかもハシゴだ),合間に研究(あれ?)という楽しい(?)日々が続く。8月下旬にはとっても楽しい(??)交流会とかあるし,まぁ最後なんでいろいろ楽しませていただきますぜ,旦那。おっとプログラムもシャカシャカ書いとかんといかんなぁ。

 意気込みだけ空回りさせつつ,日々過ごします。

6/2(日) 駿府・曇時々雨

 梅雨前の天候不順な日々が続く。長期予報では6月半ばからシベリア寒気が北に交代し,太平洋高気圧の暖気が上がってきて本州が梅雨に突入するとのこと。蒸し蒸した不快な日々があと2週間後にはやってくるわけだ。ちょうどこちらが盛岡に一泊二日の弾丸出張のところらしい。無事に往復できるかどうか見ものである。締め切り数時間前にギリギリ予稿をアップして「To be continued」しちゃったのでその続きを2週間で頑張ってやらんとなぁ。

 盛岡出張といえば,せっかくJR東日本のオンラインチケットサービスである「えきねっと」の会員になったこともあり,SUICAと紐付けたe-ticketサービスを使おうと張り切って予約したら,JR東海エリアは紙チケットでなければならず,故に駅の指定券券売機で取り出す必要があるとのことである。とゆーことで「掛川→東京」と「東京→静岡」の東海道新幹線の紙チケットを受け取るべく静岡駅の券売機に向かったところ,「えきねっと」で予約した分のうち,表示されるのが「東京→盛岡」「盛岡→東京」の分のみ。こっちはe-ticketだから当然紙チケットの発券はできない(必要ない)のでいいとして,肝心の東海道新幹線分の表示がない。JR東海の駅員さんに詰め寄ったところで,えきねっとは当社のサービス外だからJR東日本に聞けとのこと。で,えきねっとのサポートセンターに電話して事情を聞くと

  • e-ticketと紐付けられた紙チケットの発券はJR東日本エリアでなければできない
  • JR東海エリアで発見したければ全区間を紙チケットで予約する必要がある

とのこと。結局はワシの解釈違いで,一部紙チケットもJR東海エリアで取れるモンだと思っていたことが間違いということであった。だったら予約自体できないようにして欲しいモンである。とゆーことで,予約はキャンセル料なしで取り消してもらい,JR東海の指定券発券機でフツーに紙チケット予約に切り替え,難なく出張用のチケットがゲットできたという次第である。

JRグループでオンライン予約ぐらいは統一システムでやってくれ

と言いたい。まぁ,みどりの窓口が減らされた分,自動発券機が賢くなってて便利ではあるけどね。静岡駅だから並ぶことなくスムーズに買えるが,外国人観光客でごった返す京都駅なんぞ券売機自体少なくて買えたモンじゃない。まぁ今後お世話になるEX予約は東海道新幹線エリアであれば問題なく使えるからいいけどさ,インバウンド消費して欲しいんだったらもうちっとオンラインシステムぐらい便利にできんもんかしらね。

 さて,今週からは管理職業務と並行して××準備が本格化する。この辺の事情は体験してみないことには分からんが,なーるほどねと目から鱗なことばかりで,しょっちゅうxx受けて難なく通過しているxx大の先生方には何てことないことでも地方××大学勤続26年目のワシには初体験なことばかりで,まっことハラハラする日々であった。
 それも先週でおしまい,次は25年間溜め込んだ物資を整理整理整頓する身支度が待っているのである。さてLanczos法経由の固有値計算とともに頑張って準備するぞい。

 忙しくなってきたので無理せず適度に更新しますです。

4/7(日) 駿府・曇時々晴

 コロナ禍明け初の静岡まつり二日目。毎年,大御所と称して芸能人が練り歩くが,松潤を期待していたワシとしては残念なメンツのようである。まぁ賑やかしだから誰でもいいっちゃいいいんだろうけど,にしても大御所演じた役者が駿府に来ないのは市民感情として解せん。
 ソメイヨシノはちょうど満開。ここのところ,温暖化の影響か静岡まつり当日は葉桜めいていることが多かったが,今年は開花直前に寒気が押し寄せて蕾を固くさせたせいか,タイミングがピッタリとなった。良きかな。

 いよいよ本年度の講義開始が明日となった。毎年のことではあるけど,今回は特に感慨深いモンがある。私的Python入門書のデビューだが,さて受講生が増えるやらどうやら。例年,専門の選択科目は受講生が減っており,昨年度末まで使っていた数値計算本は取りやめ,一応はプログラミングと理工系の素養があることを前提とした入門書に切り替えたのである。さてどーなることやら。

 受講生が減るのはひとえに教師の力不足で,そこんとこ何とかするのが令和の教師力とゆーモンであるが,いかんせんこちらの趣向と本学学生の趣向が合わん以上は,大人が譲るところは譲らんといかんわな。とゆーことで書いてはみたもののまだ完成に至らず。昨年度のコンピュータネットワーク同様,やりながら完成を目指していくことになる。頑張りましょう。

 とまれ,これで新年度向けに書くべきものは全部書いた55歳の春。四捨五入して還暦に突入した以上はまごう事なきアラカンである。5年経てば赤いちゃんちゃんこが待っているのだ。厚生年金満額支給年齢まで10年である。一人仕事がマトモにできるのもあと5〜6年というところ。反面教師連中は放置プレイ,やれることやって最終講義(あるのかしら?)を迎えたいモンである。

 激動の年度の初め,さて気合い入れて頑張らねば。風呂入って寝ます。

3/24(日) 駿府・曇

 この冬は暖冬という予想通り,なんとなく生ぬるい日が多かったように感じているものの,時折は「これこそ冬!」という寒気団がシベリアから降りてくる。3月半ば過ぎだというのに,最後の冬将軍が先週末から来襲してきたようで,北国は雪模様,温暖な駿府の地もUltra Warmなヒートテックが必要なほどの寒さとなったが,それも本日までらしい。月曜日からはソメイヨシノの固いつぼみが緩んでくる陽気になる模様。もう少しで春爛漫の気分が味わえようというものである。

 とゆーことで,1月末からこの方,計算してはデータ化してグラフ化して文章化してまとめて投稿,みたいな日々が続いていたが,本日最後の一本が何とか形になった。これから推敲して火曜日に提出(三日遅れ)すれば,あとは新学期の準備に取り掛かりつつ,ようやく次の研究テーマ(実装)に取り組めようというものである。いやぁ長かった長かった。とゆーことで今更ながら,望洋Python本などをつらつら眺めつつ,いつもの山下達郎サンデーソングブックを自室のHomePod miniから流れる良いサウンドを慈しみつつ,マル二月ぶりぐらいのBlog更新記事を書いているという次第なのである。

 2か月ぶりとなれば,アレも書こう,コレも書いておかなきゃとなる筈なのであるが,いざログインしてキーボードから昨今の時候を書き出して本題となると,不思議なことに,途端に霧散霧消してしまうのである。「アレ?何だっけ?」状態になるのである。痴呆かという程なのである。・・・ま,6秒待てば怒りは静まるというし,忘れるぐらいなら大したことではなかったということで一つよろしいのではないか。我ながら老成したモンである。

 とゆーことで,またボツボツ更新したいモンであります。

 

川村稲造「新・大学序列」中公新書ラクレ

[ Amazon ] ISBN 978-4-12-150734-1, \840 + TAX

 色々と大学業界のことを語る書籍,YouTube,ネット記事を読んできたが,どれもこれも「一理ある」のは当然としても,客観的に情勢を分析した上で今後への現実的な処方箋を示したものは相当限られる,ということがようやっと会得できた昨今である。一時期流行った「潰れる(淘汰される)大学リストアップ」を得々と語るジャーナリストが一番信用ならず,そもそも学校法人や大学の内実を殆ど知らない門外漢であることが,昨今の予言大外れで露呈した。ワシが見てきた限り,物言わぬ大学関係者が一番状況を理解しており,あとはせいぜい長年この業界を見聞きし,今も丹念な取材を重ねている二人のジャーナリストぐらいだろう。一口に「Fラン私立大学」と言ってもその内情は千差万別,バタバタと店じまいするわけでもなく,案外,割と盤石と思われるところが火の車,ということもある。規模の大きいところが有利なのは確かだけど,小規模女子大だったところが共学化して急拡大,ということも随所で起こっており,結局のところ,予測不能な未来のことを軽率に決めつけるモンじゃないなと思う今日この頃である。

 とはいえ,本書の第1章でも示されている通り,この日の本の18歳人口は急速に細っており,若年者の入学者に頼る大学業界が構造不況であることは間違いない。だから各大学が生き残りをかけて必死に改革を進めている・・・と言いたいところだが,第2章で示されている通り,一番必死なのは2番手中規模大学。トップクラスの大学は常時変革し続ける体制を整えており,行政から縛りをかけられるほど定員を拡大し続けており,2番手集団はトップから振り落とされないように必死こいて最大のステークホルダーたる高校生の人気を確保しようと超拡大路線を取り続けている。逆に小規模大学は精一杯やっても現状維持が関の山,学部再編にしても,文科省大学設置・学校法人審議会から「既存学部の定員充足に努めるべし」=「人気のないところを削らんと再編認可しないからね」と釘を刺されてしまうのだ。つまりは学生募集状況が上々のところほど追加の学部・学科新設に有利,定員拡大も容易に認可されてしまうわけである。
 んじゃぁ,小さいところは何やっても無駄かと諦めて良い訳はなく,退学率を減らしつつ,学生の実力を上げてより良いキャリア形成に繋げるための教育力の向上に努めねばならず,そのためにも第4章に述べられている通り,教員の研究力を上げる必要がある。「え?大学のセンセーって自分の研究するために勤めているんじゃないの?」と思ったあなた,それはそうなのだけれどそーでもないという事情もあるのである。フツーの会社なら人事評価で働きの悪い社員はケツを叩かれるが,大学の場合,評価項目が多岐に渡って難しいこと,屁理屈こねることにかけては人生賭けている人種が多いこともあって教員の個人評価が進んでいないということも本書では述べられている。まぁ評価される方からすればたまったモンじゃないというのは理解できるんだけど,組織としては「これこれはキチンとやってくんないと困る」という項目については評価の上で人事や給与に反映させないと,マジメにやっている教員のやる気を削いでしまって存続が危うくなる訳で,マトモなところはちゃんと個人評価をやっているハズ。少数の例外はあれど,研究力が上がれば教育力も上がり,パワフルな教員が増えて,意欲ある職員とのタッグがうまくいっているところほど将来の展望も明るくなろうというものである。
 ・・・ということをしっかり認識している経営者が長期視点を持って舵を取っているなら大学も安心なんだけど,第5章に示されている通り,肝心の経営者の年齢層が高すぎて,アクティブな40〜50代の理事が少ないという事情を見ると,その場しのぎで任期を全うするだけの経営になってやしないかと不安になってくる。
 結局のところ,教職員と経営層が,高校生と大学生のニーズを最大限汲み取り,日々の教育と研究活動をうまくリンクさせながら活性化させつつ,数年単位での組織改革と設備更新を怠らず,SNSも最大限活用した対外宣伝活動を積極的に行っていくしかない。これが口で言うほど簡単でないことは本書で随所に示されている統計資料で裏付けられており,それを罵って開き直るような無責任な非当事者「ではない」著者によって,説得力のある現状分析と明るい未来のための処方箋が示されているのが本書なのである。

 とかく大学教員の書いたものは文科省批判が多く,首肯するところは多いんだけど,文科省や財務省がそういう締上げ政策を行わざるを得ない社会情勢・政治状況生じている根本原因に照らしての自己反省が皆無なところ,全く世間的な支持が得られないだろうと嘆息せざるを得ない。本書の著者は,社会人,大学教員,大学経営全て経験しており,客観的な社会情勢を見失わない視座を崩さないから,社会にも学生にも教員にも経営層にも是々非々の論を張ることができている。惜しむらくは出版されたのが2021年と古く,期待された文科省による全国大学生アンケートが大コケしてしまったというハズレもあるけど,今のところ,本書は申し分のない大学業界の啓蒙的指南書となっていること間違い無いのである。