雲が多いが,雨粒は降ってこない。九州以南は梅雨明けとなったようだが,本州の中程にはまだ梅雨前線が停滞している。太平洋高気圧の鯨のしっぽがぐぅううっと勢力を増せば一気に梅雨明けとなるのだが,まだジメジメ気候は続きそうだ。
都議会選挙速報を見ながらこれを書いている。最近はすっかりTVを見なくなっちゃって,たまに見るのは大ニュースがあったときのみ。しかしまぁ,選挙っての大変だよなぁ・・・政治家も大変だ。
この前の静岡県知事選挙も含めて民主党の勢いが強いようだが,結局,昔の55年体制が復活するだけにならないか心配。官僚支配打破とか,地方分権とか,高校教育無償化とか,高速道路無料化とか,ほんとに実現したら面白そうなことが目白押しだが,肝心の社会保障の長期安定のための財源問題をほったらかしてもらっては困る。細川内閣の時の国民福祉税構想は出し方を間違ったせいもあって頓挫したけど,今度はちゃんと根回しして,しっかり国民から広く薄く(金持ちをぶち殺して財産ぶんどっても高がしれている)浄財を取るようなシステムを作ってもらいたいものである。
さて,今週から来月上旬の仙台出張まで気合いを入れて計算せねば。がんばりマース。それが終わったらぷちめれ祭りとしゃれ込もうぞ。
7/8(水) 掛川・?
ムシムシする夏がやってきた・・・訳ではなくて,梅雨のジメジメ天候のまま,南から太平洋高気圧が熱気だけ送ってくるモンだから,不快指数100%。どうせ暑いならカラッと晴れて欲しいもの。日本の夏,キンチョウの夏である。カートリッジ式の電熱式蚊取り機に取り替えてから,我が家には蚊取り線香の香りがしなくなってしまったが,ああ,早く梅雨が明けて欲しい。
何かここんとこ体力がなくなってきたようで,講義した日は自宅に辿り着いてさぁもう一仕事・・・と思ったらベッドで失神してこんな時間に目が覚めてしまうということを繰り返している。夏が苦手ということもあるんだけど,やっぱり運動してないからなぁ。婚活でもしようかしらん?(違)
9月の研究発表会への参加をそそのかしていたT君,やっぱり現状では満足できないということで今回はナシ。どーせならさぁ,ワシが2回も予稿原稿を書き直す前にきっぱり「イヤです」っていって欲しかったよねぇ。先週一週間のワシの時間を返せ>T君。まぁ,3月にはちゃんと落とし前はつけてもらうけどね。頑張って欲しいものである・・・と丸投げ。ああ,小泉は偉大だった。
本年も物好きな3年生がワシの所にも4人配属されてきた。事前にワシんとこに質問に来た時にやめとけと忠告した奴も来るというのが困ったものだが,まぁワシみたいな奴と1年半つき合うのも何かの縁であろう。人生経験を豊かにするために辛抱して頂きたいものである。
今年もScilab Toolboxコンテストが開催される・・・のだが,全然宣伝がされてないな。NIIのページからはリンクができているんだけど。今年からは一般の部が設けられたので,研究者の方々も応募できます。よろしくお願いします~。
うひぃ~,再投稿していた論文,みっともない間違いが発覚して再々投稿を求められてしまったぁ~。ごめんなさ~い,すいませ~ん,やっぱり出張移動中にやっつけ仕事をしてしまった罰があたったぁ~。もう手直しは済んだけど,もっときっちり直すために今日一日かけて頑張ってチェックします~。
つーことでもう一眠りしてから仕事します。頑張ります。今週中にもう一本,原稿書かなくっちゃ・・・。
で,案の定終わってません。Google Chrome OSを待ちながら~,とくらぁ。しかし,タダでさえ増えすぎたLinux Distribution,そろそろRHEL(+CentOS), Debian(+Ubuntu),そしてGoogle Chrome OSに集約されるのかなあ。まぁ,エンドユーザからしてみれば,大して実りのないニューバージョンを出されるよりも古いまんまで安定して動いてくれるのが一番良いんですけどね。
くらたまが第二子出産とのこと(スポーツ報知)。相手がだめんずだとかどうとか記事では書いてあったけど,くらたまぐらい稼いでいるなら相手がダメだろうがバカだろうが関係ないだろ。少子化の昨今,少しは褒めてやってほしいもの。結局,女性が経済力をつけるか,子供への教育・医療の補助を手厚くすることしか,少子化食い止め策はないわけだな。今の日本は「ブレーメン2」みたいなことになってて,外国人労働者を安く使っていこうという考えしかないようだが,ジジイ・ババア共は少しは若い奴に銭を回してやれよ。そうすりゃ,人種差別問題なんてこともなく,何とかジリ貧なれど少しは長持ちする社会を作れるだろうて。男なんて精子銀行の役割さえ担っておけば,後は女だけでこの世は回るってモンなのさ。
つーことで,描いているものや主張していることは全然興味が持てないが,子供を作ったことに対してはくらたまを大いに褒めてやりました。
ブレーメン2で思い出したが,川原泉教授,ここんとことんと作品が出ないなぁ。またぞろ神経を病んでいるのであろうか・・・ちと心配。
ボチボチやって寝ます。
7/5(日) 掛川・曇
完璧なまでの曇天曇天。午後には雨粒が降ってきそうだ。梅雨明けはまだ先かな。
静岡県知事選挙,忘れないうちに起き抜け早々に投票へ行く。ワシんちの投票所は近所の小学校の体育館なのだが,玄関口が急坂になっていて運動不足気味なワシにはちょっときつい。まぁこのぐらいの坂を上がれないような有権者は不要というフィルタも・・・考え過ぎか。さて今回の知事選の結果は如何?
昨日は先月下旬にオープンしたてのららぽーと磐田に行ってきた。
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遠景を撮るとどうしても茶畑が混入するのは遠州名物ということでお許し頂きたい。
混雑しているかなぁと思ったが,やたらに遠い臨時駐車場に誘導された割に,店内は広大なせいもあってスムーズに移動できる程度の人口密度だった。
しかしまさか静岡にきてまでららぽーととお付き合いすることができるとは思わなかったなぁ。昔,船橋にあったころはワシには縁遠いショッピングセンターだと遠目でザウスを眺めるだけだったが,今回来てみたら単なる普通の規模のジャスコだったので安心。ワシもとうとうジャスコに溶け込める歳になったのだなぁ(意味不明)。掛川にはジャスコはないし,袋井のジャスコはワシの定義によるとジャスコじゃなくて単なるスーパーである。遠州部と浜松東部の客が見込めると踏んで東海地方初の出店となったのだろう。目論見が当たると良いが。
さて,本日もボツボツ過ごします。あ,Twitter,ボソッと一言書き込むには便利です。いつまで続くやら。
William J.Cody, Jr & William Waite, “Software Manual for the Elementary Functions”, Prentice Hall
[ Amazon ] ISBN 0-13-822064-6, \?
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ワシの手元にあるものは1992年に御茶ノ水の丸善で購入したもので,当時でも14790円だった。Amazonを検索してみると,古本でも万単位の値が付いているから,結構貴重なものなのかも知れない。もちろん,購入当時は「珍しい本があるもんだ」ぐらいにしか思ってなかった。本書のFirst authorが数値計算ソフトウェアの大御所であるとはこの度の訃報を見るまでは殆ど知らずに過ごしてきたのである。詳細はC.Molerの記事中にあるインタビュー記事を参照されたい。以下,この記事中にある情報はそれを斜め読みして得た知識が殆どである。
オープンソースの源流というのを辿っていくと,これは殆ど誰も言及していないようなのだが,数値計算ソフトウェアの配布という「習慣」に行き着くことが多い。1990年代までは,日本でも数値解析シンポジウムとかでソフトを配布するということが普通に行われていた。その大本を辿っていくと,どうやらこのCodyが行ってきた研究活動に行き着くようなのである。
朝鮮戦争から戻ってきたCodyはオクラホマ大学の数学科で修士号を,ノースウェスタン大学でPh.Dを取得して,原水爆の研究で有名なロス・アラモス研究所で仕事をした後,1991年に引退するまでアルゴンヌの国立研究所で研究者として過ごした。1960年代から,シュレジンガー方程式の計算をするうちに既存の初等関数に問題が多いことを知り,1964年に論文「CDC-3600向け倍精度平方根計算」(“Double Precision Square Root for the CDC-3600″, ACM Vol.7, 1964, pp.715-718)を掲載,ここから初等関数・特殊関数の計算法の研究を本格的に開始することになる。CDCやIBMのマシンを使いつつサポートもする必要があったため,互換性を重視しつつ性能を落とすことがないよう,マシンごとの特性を事前にチェックするサブルーチン”MACHAR” (Machine Characteristicの略?)を作成したりと,地味だが重要な仕事をしてきた。後にEISPACK(行列固有値計算サブルーチン集)の開発も手伝い(というよりコードはかなり書いたみたい),これが連立一次方程式解法ライブラリLINPACKと統合されてLAPACKとなる。で,今もMACHARはBLASに残ってたりする。
Cody自身の仕事として誇れるものは,このMACHARと特殊関数ライブラリSPECFUN,実数関数ライブラリELEFUNT, 複素関数テスト用プログラムCELEFUNTということだそうだ。IEEE754-1985や854の規格制定では議長として場を仕切っているが,W.Kahanの発想を生かしただけと控えめな感想を述べている。
話が横道に逸れてしまったが,SPECFUN, CELEFUNTは論文のページからソースコードが今でも無料でダウンロードできるし,LAPACKは言わずもがな。この源泉は,Codyが計算センターでサポート業務の一環としてプログラムを配布していたことにあるようだ。本人曰く,「税金で造ったものはpublic domainにすべき」というポリシーだそうな。これは本人の性格もさることながら,Abramowitz & Stegunの”Handbook of Mathematical Functions“がそうであるように,アメリカ合衆国の理念に通じるところがあるように思える。国家が造ったものはpublic domainにすべきって考え方,USA発祥・・・なんでしょうか? この辺になるとワシもよく分らないが,どうも本人の意志によるというよりごく当たり前の常識ということなんじゃないかと思える。もちろん,数学理論には特許が降りないためにビジネスとしては成り立たなかったから,という事情も手伝っているとは思うんだけど,どーもソフトウェアは望む人にタダで配るという伝統はこのあたりから始まっているんじゃないのかなーと思えるのだ。山形浩生さんとか八田真之さんあたりが調べてくれないかしらん?
で,本書である。あの気むずかしなKahan先生もテキストとしてご愛用したという本書は,ELEFUNTの解説本という位置づけになっている。初等関数の計算法は様々なものがあるが,本書で述べられているのは最良近似多項式に基づくものが殆どである。最新の研究結果はMullerの本にコンパクトにまとめられているが,そこでomitした近似多項式の係数表はCodyの本とかに譲るとしている。本書では平方根から始まって,log, exp, power, sin/cos/tan, asin/acos/atan/atan2, sinh/cosh/tanhの計算法が章ごとにフローチャート付きで解説されている。最良近似多項式は固定小数点数,浮動小数点数,10進,10進以外の場合と細かく分類されて提示されており,もー細かい細かいノウハウがぎっちり書き込まれていて,とうてい自分で造ろうという気分にはさせてくれない代物である。使用する固定・浮動小数点数の桁数に応じて近似多項式の係数も2~3パターンで提示されていて,全てHorner法を使って最小の計算量で済むよう計算せよと書いてある。・・・お見それしましたとしか言いようがない。和書でも山下真一郎によるものとか浜田穂積によるものもあって,まー,細かい細かい。その細かさの源泉はCodyにあるんだなとよく分ろうというものである。
何でこんなに厳密かつ多項式計算一つにもこだわんなきゃいかんのかというと,プログラムによる計算の正確さと計算速度が初等関数のそれに大きく依存しているからである。角度計算一つとっても逆三角関数が不正確ではどうしようもない。呼び出し回数も多いから高速であることが重要。現在のCPUではハードウェア内部でマイクロコードによって初等関数は計算されるが,Intel CPUですら普通の四則演算より数十倍の計算時間がかかるのが普通である。高速性と精度維持が必須の機能を担っている初等関数の計算とCodyが格闘せざるを得なかったのは,コンピュータ黎明期においては必然だったのかもしれない。本書では関数のチェック方法についても細かく記述があり,これは類書では見あたらない貴重なものである。カシオさんとこのチップはちゃんとこのテストはクリアしているのかしらん? 10進ベースの係数表はホント,貴重ですから揃えておいた方が良いですぜ。
墓石には「Family man」と刻んで欲しい,と言い残して世を去った穏和な研究者に,哀悼の意味を込めてこのぷちめれを東洋の片隅からお送りしたい。
7/2(木) 掛川・雨
朝から雨。そろそろ梅雨末期だと思うんだが,まだ本格的に梅雨前線が北上を始めたわけではないらしい。ジメジメな天候はまだ続きそう。暑いよりは過ごしやすくていいけどね。
MPIRの中核,Bill Hartさんが書いているFAQの下書きから。
Q. MPIRが”Developper Friendly”とはどういう意味ですか?
A. 私たちは,MPIRに関心を持ってくれそうな開発者やユーザに無礼な(rude)振る舞いをすることを許さないという方針を取っています。回答できる質問には全て礼儀正しく回答します。ソフトウェアを開発すべきでないユーザというのも存在しますが,そういう人たちが最終的には協力的なファンになってくれたり,あなたにとって一番価値のある貢献をしてくれたりすることもよくあることです。人々がMPIRに貢献をしやすくすること,これを最優先事項としています。
「タコを大事にしよう」というおごちゃんの標語を思い出してしまった。同じことを穏当に言っているだけである。ま,”rude”だったのを改めようってことで。
Q. GMPのWebサイトにはMPIRを”怒りの分岐ソフト(angry fork)”としており,”アンチGMP的対抗心(anti-GMP sentiments)”を持った”不満を抱えた開発者(frustrated developers)”による分派だと書いてありますが,どういうことでしょうか?
A. 彼らに聞いて下さい。 大体,我々がアンチGMPだったら,MPIRの土台のコードにGMPを使うなんてねぇ・・・あり得ないでしょ?
まぁねぇ・・・。徹底して理性的に書くって方が良かったかも。
では行ってきます。