5/30(金) 掛川->浜松->掛川・強風

 晴れているがやたらに風が強い日。梅雨前線が本州の太平洋沖にのへーっと伸びていて,それに沿って低気圧東に移動しているらしい。梅雨本番も間近いか。
 某大学の校門に貼り付けられた張り紙↓。
080530_1303~001.jpg
 だから何なんだ。喫煙者に対するファシズム的圧力って奴かなぁ。取り立てて何かイベントをやらかしているという雰囲気ではなかったけど。
 本日の非常勤講義,Excelで複素拡張した初等関数の計算。すぐ終わるかと思ったら,Excel操作に習熟していないとかで,結構時間がかかる。先週もそうだったが,今週もまた混乱の極みで講義を終える・・・うーむ,どうも難しいなぁ。もっと手抜きをすべきかもしれない。
 そんな混乱講義でも,ワシの意図を正確にくみ取ってバッチリ時間内に課題を終える学生さんがチラホラいるんだから,感心させられる。次回は・・・もっと混乱するかも。何せCardano法をやろうってんだから・・・無謀もいいところである。どうなりますやら。
 JR車中で車両の地べたに座り込んでいる若者がいた。空いている車内,おおらかな雰囲気の田舎ならではの光景である。東京だったら間違いなく怒った誰かが座りこけてる若者の後頭部にケリを入れているところである・・・それ以前に,座り込むスペースがないか。
 Amazonのアフィリエイトで「Javaによるアルゴリズム事典」が一冊売れた・・・のはいいのだけれど,2008年5月30日現在,新刊本が買えず,古本のみの扱いとなっていて,しかも最低価格が4000円台まで高騰していてビックリ。技評さんよぉ,もうちっとうまく商売してくれよぉ。
 ちょっと気になったGooglebotの挙動↓。

crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:19 +0900] “GET /research/equation2006.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:20 +0900] “GET /research/akita2006.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:20 +0900] “GET /research/kiyo04ode.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:21 +0900] “GET /na/na_error_diff.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:21 +0900] “GET /nasoft/chap15.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:22 +0900] “GET /research/infoedu06.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:22 +0900] “GET /research/hpcs05poster.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:23 +0900] “GET /research/blog.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:23 +0900] “GET /tutorial/chap11.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:25 +0900] “GET /research/hpcs05.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:26 +0900] “GET /nasoft/chap16.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:26 +0900] “GET /nasoft/index.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”
crawl-66-249-67-12.googlebot.com – – [29/May/2008:09:07:27 +0900] “GET /nasoft/chap01.pdf HTTP/1.1” 304 – “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)”

 どういう基準でこのPDFファイルをチェックしているのかなぁ。気になる。
 風呂入って明日締め切りの原稿に着手してたぶん未完成のまま寝ます。

5/28(水) 掛川・?

 うう,この期に及んで面倒臭いsambaのセッティングをやらねばならんのか・・・いまちょっと(大分)時間がないので,平野法のコードが動いた後でっつーことで。
 BootCamp下のVistaでTap padが利かない問題,皆さんお怒りのご様子・・・一応Appleには問題を認識してもらったようだから,あとは待つしかないな・・・ってひと月ほど経ちますけどねぇ。いつになったらfixed trackpad driverを出してくれるの~>Apple。
 分散処理バージョンのサーチエンジンを動かすための環境構築の一環で,安くなったCore2Quad 6600と超安いマザーボードでマシンを一台組んでしまう。・・・逃避行動以外の何物でもないが,今までトラぶったことのない3comのNICを認識しないというトラブルに巻き込まれる。Intelのに替えたらあっさり認識するので,これはNIC自身の問題かな? 
 ちなみにon boardのGbEはAttansic(Atherosが買収したらしい)という所の奴。ちょっと試しにベンチマークを・・・使い物にならんや,こりゃ。通信できるだけよしとしよう。昔はASUSでもGigabyteでもIntelのGbEチップを使っていたモンだが・・・年寄りの感慨である。
 風呂入って仕事して寝ます。

5/27(火) 掛川・晴

 色々な〆切が重なってケツかっちん状態。手短にメモ。
 

角川、投稿アニメで広告・ユーチューブと連携」(日経新聞)
自社アニメ作品の映像を使った動画が投稿されると、ユーチューブ経由の配信を認めるかどうかを角川が判断。許諾する場合は動画に広告を付け、その収入を角川、ユーチューブ、投稿者の3者で分配する仕組み。

 角川の不思議な姿勢の意図が判明。こうでなくっちゃなぁ。少しは他の著作権団体も見習え。ダビング10を潰して喜んでいる場合じゃないぞ。自ら将来の飯の種を潰してどうする。
 あ,いつの間にやらFedora 9がリリースされてた。もう追いかける気にもならん。
 寝ます。

5/24(土) 掛川・曇

 どんてんどんてんどんてん。曇天。綾小路きみまろ並みのベタダジャレでした。
 昨日いきなり水漏れしだしたエアコンを朝一で業者さんに診てもらう。特に異常はないとのことで,ホースの水はけを良くしてもらって様子を見ることになった。どーもお手数掛けました。
 Leopardに上げたMacBookのBootCamp環境,ようやく人心地つく。プログラミングの講義などではMacOS環境が便利なことも多いが,世の圧倒的多数はやっぱりWindowsなのでVistaの環境も必須なのである。で,自宅のデスクトップPCよか便利な環境が出来上がり,J-Waveのガジェットもインストールしてエンターテインメント面でもばっちりである。Visual C++ Expressを入れると漏れなくどでかい.NETも突っ込まれてしまうのは気に食わんが,ゲイツ様のご意向に逆らってはこのWindows世界を生き抜くことはできないのである。
 ただ,細かい使い勝手が悪いのは困ったもので,いちばんイラつくのがMacOSだと可能なTap pad操作(パッドを叩いてクリック替わりにすること)ができないこと。でかいボタンがあるだろうがっ,という文句が某BBSには上がっていたが,こちとら長年Windows Note PCのTap pad操作に慣れ親しんでいた人間であるから,いちいちボタン操作をするのは面倒なのである。まあ,本家の環境より少しでも貶めてやろうというジョブズらしい精神の現れであろう。そのうち奇特な方がツールかノウハウを公開してくれるまで,これは諦めることに。
 次はPrintScreen問題。BootCampのヘルプではF11キーがPrintScreenに割り当たっているというのだが,これが全く効かない。Fn+F11, Option+F11, Option+Fn+F11も全く効かず。これは困った。ちょろっと画面をメモって置こうとするときにいちいちUSBキーボードをくっつけるのかと思うと気が重くなる。
 ググってみると,いくつかキャプチャソフトが出回っているようだが,Vistaの場合は標準でSnipping Toolが入っているので,それを使うの吉と判明。アクセサリにあるそれを起動してさっそく出来上がったばかりのデスクトップを切り取ってみる。
vista_on_macbook_with_bootcamp_leopard.PNG
 しばらくはこの環境で過ごしてみようっと。
 代数方程式を解くにはCompanion行列の固有値問題として解くのがよろしいという言説はどっから出てきたんじゃい,と思っていたら,どうも1994年のEdelman & 村上論文からではないか,という感触を得た。これはそーゆーことを主張する論文じゃないんだけど, 初期誤差(もちろん後退誤差解析によるものも含めて)の影響は線形だよ,ということを述べ,実際にMatlabで数値実験を行っているので,この実験の結果を受けて,「あ,固有値問題として解いた方がよさげだな」という意識が高まっていった・・・と思うんだけど,どうなんでしょうねぇ。
 さて買い物に行ってレッスンの予習して平野法を勉強してから寝ます。

四方田犬彦「先生とわたし」新潮社

[ Amazon ] ISBN 978-4-10-367106-0, \1500
master_and_me.png
 昨年(2007年)に出た単行本だが,先日風邪で寝込む前まで積ん読状態だった。人文系の素養が乏しいワシにはちょっと重いかな・・・と,最初の数ページを読んだだけでうっちゃらかしていたのである。それを熱が引いて小康状態になった時にたまたま手にとってベッドで読み始めたら,一気果敢,殆ど徹夜で読みふけってしまったのであった。文筆の才には定評のある四方田の書いたものであるから面白いのは当然だが,一応今でも師と呼ぶ人を持つ身であると同時に師と呼ばれる人間でもあるワシとしては,我が身に照らして考えさせられることが多かった,と言う事情も手伝っているのだろう。本書で言うところの「先生」つまり英文学者・由良君美と四方田の出会いと(由良側からの)決別,東大定年直後の由良の死去による永遠の別れまでの経緯が,四方田の博識と徹底した資料調査によってアカデミックな面白さを伴ったドキュメンタリーとして描かれている本書は,「師と弟子」という古来からのテーゼにまた一つ,貴重な材料を加えたものとして記憶されるべき読み物である。
 学者世界における「師と弟子」という関係は,小中高における「先生と生徒」という木訥なものとは全く異なる一面を持つ。基本的にはアカデミックな競争社会なので,スポーツにおける先輩後輩同様,時間の経過と共に,師は弟子に乗り越えられてしまう運命にある。容易に乗り越えられないような偉大な師を持つことは,弟子にとって,そしてその偉大な師にとってももあまり好ましいことではない。お友達じゃあるまいし,関係性の停滞というのは学問の停滞を意味するもので,ハッキリ言えば,目上の人間に気兼ねしてモノが言えなくなるぐらいだったら学者なんて止めた方がいいのである。
 もちろん人に出し抜かれるというのは,センシティブな人間であればあるほど不快なものだ。ましてや自分が格下に思っていた弟子から思わぬ反撃を受けたりすれば,なおのこと平静ではいるのは難しい。難しいが,そこを何とかやり過ごすのが大人の態度いうモノであろう。・・・とエラそーに言っているワシがそれを実践できているかと言えば,甚だ怪しい。最近はマシになってきたと思うが,昨年まとまった査読論文が出るまで悶々としていた数年は,ハッキリ言って八つ当たりに近い言動が多くて酷かった。酷いという自覚がありながらも当たらずにはいられない精神状態が更に自己嫌悪を催し,更に深みに嵌っていくという悪循環。ワシが酒飲みであったら,間違いなくアル中手前まで行っただろう。これであの論文がrejectされていたらと思うと,心底ぞっとする経験であった。
 東大受験に失敗し,心ならずも学習院大学へ進んだ由良は才能を認められ,慶応大学院へ進学し学者の道に進む。そして東大駒場の助教授として,かつて入学に失敗した大学へ招かれるに至った。・・・と,学者としては出世の頂点に上り詰めた感のある由良だが,同時に,深刻な悩みも抱えてしまったようなのである。この辺りの四方田の洞察は当たっていると思う反面,もうちょっとハッキリ書いてもいいように思い,もどかしさを感じた。多分,純粋東大出身者の四方田としては書きづらいところがあるんだろう。
 つまり,由良には外様モノにはありがちの劣等感がつきまとうようになっていた,ということなのである。単に東大受験に失敗したというだけのことではなく,本業の英語能力においても実際弱いところがあった・・・という証言を四方田は得ている。批評眼においては図抜けたセンスを持っていた由良が,自身持つこうした傷に鈍感でいられたはずがない。まして,そのセンスを最も受け継いたとおぼしき弟子の四方田が,軽やかに国際的な場で活躍するようになっていったのを平静に見ることが出来るか・・・となると,由良先生に同情する点がないではない。
 結果として定年間近に至るまで由良は,講義にも支障を来す程のアル中状態に陥ってしまう。最後は回復するものの,恐らくはその深酒がたたって,まとまった著作も出せないまま,定年直後に死去することになるのである。
 商売柄,東大出身の方々と接する機会は多いが,つき合いが深くなると,内に秘めた「エリート意識」というものが垣間見えてきて興味深い。これを害と見るか益と見るかは人によるだろうが,競争というものをベースとした社会に生きている以上,その頂点を極めたという高揚感は,人間であれば当然持ってしまうものだろう。エリート意識なるものに敵意を持つのは勝手だが,それは恐らく誰しもが持ち得る「エリート意識」そのものの作用によるモノだ,ということを自覚している人は恐ろしく少ない。ハッキリ言えばジェラ心であって,適度になだめて,人の持つ真の実力を見極める眼力を磨いた方が得策である。
 しかしその東大において内部抗争が発生したりすると,エリート同士のぶつかり合いに,少数ながらも外様部隊も混じってきたりして話がややこしくなる。中沢新一の登用で教授会がもめたなんてのは最近の話だが,古いところだと牧野富太郎の「事件」がある。括弧付きで書いたのは,これはあくまで牧野の自己申告によるものであって,ワシから言わせれば,万年講師だった牧野が東大植物学教室から定年を言い渡された,というだけのことに過ぎない。講師にとどめ置かれたのだって,つまるところは牧野の業績が問題だったというだけのことであろう。いくらエリート意識の高い所だとは言え,周囲にぐぅと言わせぬ程の業績があれば万年講師にしておくはずがない。周囲の目が活動を鈍らせたという意見もあろうが,その程度で萎縮して活動できなくなるようなら,それもまた実力の内,その程度の学者だったというだけのことである。
 四方田によると,由良のような貴族精神の持ち主にはドショッコツ的生き方は無理だったということである。それでも曲がりなりに東大教授として定年が迎えられたのだから,日本社会の人生偏差値としては相当高い部類に入るのは間違いないだろう。ましてや,嫉妬と劣等感の狭間でアルコールに浸った時期もあったにせよ,四方田のような文筆家の愛情溢れる文章で評伝が紡がれたのだから,ちょっと,いや相当羨ましいなぁと,思ってしまったのであった。