11/16(日) 掛川・曇

 どんよりドヨドヨの日曜日。寒さはちょっと和らいだ。冬になると,ピーカン晴れが朝方の地上の熱を奪い,日中にどかっとその借りを太陽の熱として返却するので寒暖の差が激しくなる。空に雲が満ちると,暖かくならない代わりに極端に寒くなることもない。雲が地球の気温のスタビライザーの役割を担っていることがよく分かる。ミランカの「博士の知らないニッポンのウラ」第39回のゲストの話を聞いていてそのことを思い出したのであった。池田清彦のブレーンはこの人か,ということも。
 池田清彦で思い出したのだが,専門家という人種の言い回しのテンプレートとして,「常に悲観的な予測を述べる」というものがある。怪しげな占い師の予言もこれと同じたぐいの物で,見通しが暗いことを言っておくと,当たれば予測の確かさを誇れるし,外れてもまあ大目に見て貰える。逆に,楽観的なことを語ると外れた時の反応が激烈になる上に,当たっても人々の期待がふくれてインフレーションを起こしがちになるので「なんだ期待値よか全然低いじゃん」と舌打ちされてしまうのだな。
 大体,未来のことなんぞ分からない(by 内田樹)のである。理論たって過去の経験の蓄積から導き出された物だから,未知の突発的・乱数的な事象を言い当てることなんてできっこない。せいぜい常識的な専門家の予測に乗っかった未知パラメータに基づいて過去のデータから外挿されたものを差し出すぐらいが関の山である。今回の金融崩壊だって,過去のバブルの経験から「そのうち弾ける」ということは予測できていたけど,それが「いつ起こるのか」ということを正確に予測できたエコノミストは皆無だったでしょ? まあ,崩壊してから「ほら見たことか」という輩はイッパイいたけどさぁ,それって正に悲観論のテンプレートに乗っかっただけじゃんよ,とワシなんかは言いたくなる。
 しかしまぁ,言論という口先だけで商売する人間にとっては,悲観論テンプレートという安全パイを使うのもまあ仕方がないという事情もあらぁね。基本的には芸人,タイコ持ちと同じ人種なのであるから,お客様に媚びるのは当然。真に信頼の置ける専門家を見分けたいなら,
 1.過去の言動の傾向
 2.具体的な打開策を提示してきたか?
 3.2の成功率と失敗した時の言い訳(責任を他に押しつけてないか?分析が出来ているか?)
の分析ぐらい,自己責任としてやっておくべきだよね。大店の主人はこのぐらいのことは江戸時代からやってきた訳だし。してみれば,これから先,重要になるのは専門家を見分けるリテラシーってことになるのか。
 専門家繋がりで思い出したので引用しておこう。内田麻理香による「変人不等式」(P.57)なのだが
 数学者 > 物理学者 > 化学者 > 生物学者
という順なのだそうな。提案者は自分の「偏見」と言っているけど,実情をご存じの方々はかなりの割合で肯定されること間違いない。ワシも認めるし。あ,ちなみに「応用」が冠に付くと大分マイルドになるらしいです。ちなみにワシは自他共に「いい性格の奴」と認められておりますので誤解なきよう。
 今日もボチボチ過ごします。