6/24(金) 掛川・曇

 ここ二三日,えらく蒸し暑い日が続く。東電エリアでは供給力目一杯まであと9%まで消費電力が増えたそうだが,まぁ停電したところで日中の数時間だから,停電になったらシエスタでも取ればいいわな。
 記念すべき40回目の数値解析シンポジウムについてきちんと書き付けておきたいのだが,明日も早出なのでちと時間が無い。Twitterなら逃避がてら色々書けるんだがな。
 とりあえず,ワシの大師匠のバインダーが映っている表紙写真の記念誌(左)と予稿集(右)の写真だけ掲載しておく。
the_40th_anniversary_nas.JPG
 続きはまた明日以降っつーことで一つ。論文書きが始まるとテンパっちゃってイカン。インド人から校正が帰ってくる水曜日までにあれこれもやっつけておかないとな。
 では今日はこの辺で。明日は5時起きだ!

6/18(土) 掛川・?

 梅雨時なので,ジトジト・・・していたかどうか定かでない。していたような気がするが,結局一日原稿の前で(正しくは,原稿TeXファイルを開いた秀丸の前で)うーうー言いつつ,Twitterに逃避するという惰弱ぶりを晒すだけだったので,良く覚えていないのであった。
 つーことで現実逃避がてら,思いついたことをだらだらと書き連ねてみる。
 福島第一原発事故以来,あちこちのメディア(主としてネットが多いが)から引っ張りだこの小出裕章先生について,トンデモだという声が少し聞こえてくる。
 まぁ,万年助手(助教)ということについては,ご本人があの年で博士号を持ってないってところに一番の理由がありそうだし,査読論文が少ない(つーか,寄稿する雑誌が問題視されてるみたいね)ということも原因だろうし,大体,旧帝大では「肩叩き」っつーのが日常茶飯事で,拒否すると出世できないということはざらである。それが非道ともワシは思わない。だから,万年助手=「トンデモ」という証拠にはならないし(トンデモな万年助手さんってのは実在はするけど),ワシが聞いている限り,videonews.comの解説,結構いいところ付いていると感じている。圧力容器破損の可能性をいち早く指摘していたのは小出先生だったし。
 確かに技術論に徹するべきとされる分野で政治的主張を織り交ぜる論(これのIV以降とか)を展開するってのはどうかという気はするけど,核に関しては多分に政治的なお話になるし,そこを含めて考えないと論にならないという主張は理解できる。しかし,単に左翼的な主義主張だからといってトンデモ扱いされるってのはどうかという気はするし,大体,じゃぁ右翼的ならいいかというとそういうモンじゃないだろう。政治的な主義主張を除いた技術論の部分の合理性だけ見ると,特におかしな主張をしているという感じはしない,てのがワシの意見。主張してきたことには一貫性があるし,と学会的な定義で言うところの「トンデモ」な方ではない。むしろ定見のなさで言えば武田先生の方が・・・という感じ。
 さて,Linux用にはIntel CompilerがMath Kernel付きで無料で使えるってことで,DGEMM(倍精度行列積)計算でFlops値を測ってみた。比較対象は,「単純な3重ループ実装(simple)」,ATLAS(Scientific Linux 6用標準パッケージ),Math Kernel(IMKL)である。環境はCore i7 860 + Scientific Linux 6 x86_64 + ATLAS + icc + IMKL。
dgemm.PNG
 順当に,IMLK(12GFlops) > ATLAS(10GFlops) > Simple(0.7~3GFlops)という結果になった。中々面白い。特に小さい次元数だと,IMKLもATLASも結構ぶれがあって,下手すりゃ3重ループで書いた方がマシ,という所も例外的に存在する。この辺,突っ込んだら結構面白い使い道がありそうだ。
 さて,明日,じゃない今日も出勤なので,ボチボチ寝ます。

小谷野敦「友達がいないということ」ちくまプリマーブックス

[ Amazon ] ISBN 978-4-480-68860-6, \780
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 いやぁ,痛快痛快。「プリマーブックス」だから少しは手加減するかと危惧したが,全くの杞憂であった。いつもの小谷野節全開,少し枯淡の味わいが出てきたのがファンとしては気がかりではあるが,「真実はこうなのだ」ということを遠慮なくぶちまけている。やっぱり感性としては立川談志と相通じるところがあるんだろうな,と思わせる怒りと哀切の行きつ戻りつがワシにはとても好ましく思える。新書としては薄めの187ページ,一気に読ませてもらった。「友達がいなくて(少なくて)さびしい」という人にとっての福音・・・となるかどうかは保証しないが,少なくともその寂しさの依って来る理由については,著者の博識に教えられることが多いだろう。変な「解決策」の安売りをしないところがとても好ましい一冊である。
 村上たかしの「星守る犬」が大ベストセラーになり,映画化されて2011年6月現在公開中であるらしい。らしい,というのは映画も原作も見ていないし読んでもいないので,詳細を知らないからである。特に原作だが,ワシは最初の発端の部分読んで全然共感できなかったので,結局読まずにいる。もともと村上作品とは相性が悪いので,そのせいも多分にある。しかしいい年こいてロクすっぽ家庭を顧みてこなかったこのおっさんが三行半突きつけられて野垂れ死にするのは当然だと思ったことによることが大きい。多分,この作品をストレートに読んで感動した人とは友達になれない。
 そんな酷薄なワシなので,友達はごく少ない。そもそも中学校ではイジメにあったし(おかげで十二指腸潰瘍になってしまった),高校では便所飯ならぬ便所勉強(個室に籠って英単語カードを繰っていたのだ)してたら頭から洗剤をぶちまけられて往生したし,大体,学校というものが嫌いなのである。大学生になって妙な同調圧力から解放され,親元から離れたことも手伝って,ようやく一人で好き勝手に動けるようになったことを心底喜んだのである。友達がいなかったわけではないが,たくさん作ろうとは全く思わなかった。
 その分,常に寂しさに付きまとわれていたことも事実である。一人さびしい夜に電話をかけて飲みに行ったり駄弁ったりする友人が欲しいなぁ・・・と思ったこともあるが,反面,そーゆー付き合いが煩わしい,と思うことも多々あった。人並みに女性と付き合うようになってから,四六時中いつでも自分のことを見てほしい構ってほしい,という要求に辟易したこともあって,人付き合いより自分の仕事を優先しないと人生の甲斐がない,と開き直るようになったのは三十路以降である。
 以来,寂しさが張り付いてしまって日常化している。平気だとも思わないが,煩わしいよりマシ,という感情もある。阿刀田高がエッセイで,結婚式の際,秒単位だが独身生活への別れを意識した,と書いているのを見て,ちょっとホッとしたものである。男女問わず,実は皆,大なり小なり「寂しさ」と「煩わしさ」を天秤にかけて日々暮らしているのだ,と分かったからである。
 本書では友達がいない,ということに伴う寂しさを様々な著者の知識の引き出しから取り出して見せてくれるのだが,その奥底には「人間の真実はこうである」という,著者のメッセージが込められている。
 例えば,「恋愛というのは差別的」(P.129)ということをさらっと書いていたりする。よしながふみの寓話的漫画集「愛すべき娘たち」(白泉社)には,この「恋愛=差別」という事実を悟った主人公が出家してしまうという短編が収められていて,この事実をシチュエーション的に解説しており,事例の一つとしてお勧めである。
 そして著者は友達関係においても差別が伴う,ということを続けて述べる。

 たとえば人は,自分を慕うものをかわいがる。教師が学生に対するのなど特にそうである。あるいは,自分の競争相手になりそうな者より,そうならない者の方に,情愛を注ぎがちである。実際私は,高校生の頃,中学時代の友人の間で「Pはいいやつだと」とXに言ったところ,Xが「そりゃ,Pはお前にとって下の人間だから,そう言うんだろう」と言われたことがある。なるほどPは学力の面では,低い男だった。ぎくりとしたものだが,やむをえない。

 誰しも思い当たることがあるだろう。自分はそんなことはない,と言い切れるとすれば,ペテン師か自己内省能力に致命的な欠陥がある人間かのどちらかである。
 本書には随所にチクリとくる真実の指摘がある。高校生には逆にまだピンとこない所も多いかもしれないが,なるべく若いうちに「少々口の悪いおじさんの直言」と「過去において友達がいなくてさびしかった人の言」には触れておいた方がいいだろう。筑摩書房のシリーズ本の一冊だから,全国の中・高校の図書館に本書が常備されるだろう。なるべく多くの「さびしい」若人の目に留まって欲しいものである。

6/10(金) 掛川・曇時々雨

 梅雨らしく,どよどよした天気が続く。こういう時こそ研究研究,である。つーことで,チマチマとIntel コンパイラとIntel Math Kernel Library(IMKL)で遊んでみた。とりあえずBLASとLAPACKを使えるようにするのが目的である。おおざっぱな手順は下記の通り。
1.Linux用のIntel C++コンパイラ(IMKLも入っている)をNon-commercial Software Developmentのページ経由でダウンロード→インストール(ライセンス認証もここで)→Pathを通しておく
2. BLAS/cblas,LAPACK/LAPACKEのプログラム例はLAPACK Examplesを見ながら作成。コンパイルオプションはLink Line Advisorから探索すればよい。
 BLAS/LAPACKライブラリ中の高速性では
 オリジナルBLAS(cblas)/LAPACK(LAPACKE) < ATLAS < GotoBLAS2 =? IMKL
つーことらしいが,どうなのかしらね? 後で試してみようっと。とりあえずBLAS1,BLAS3, DGESVのサンプルプログラムはできたので,パフォーマンステストを楽しみながらやってみたい。これを土台にLAPACKベースの数値計算テキスト書けたら嬉しいなぁ(人ごと)。MAGMAってのはまだRC5か。OpenCLに対応したら使ってみたいなぁ。
 さて,明日に備えて寝ます。

6/7(火) 掛川・曇時々雨

 暑くもないが寒くもなく,太陽が出るわけでもないが,雨が長続きするわけでもない,という典型的な梅雨のぐずぐずな天候。ハッキリしないところがいかにもこの時期らしいが,気分的によろしくない・・・というのは全てワシのぐずぐずな仕事ぶりによるものであって,天候のせいではないのである。
 次年度からカリキュラムが改訂されるのに合わせて,講義科目担当者の割り振りと調整が始まった。今のところワシは数学の先生として専念する,ということになる見込み。微分積分なんて何年ぶりだろう,線型代数に至ってはいつやったかも定かでない。複素関数論(何でみんな「複素」を省いて科目名とするのだろう?)は3年前にテキスト書いたこともあってブランクは少ないが,しかし,UNIXとWebとDBの教師から数学教師っつーのも変化が激しいような。ま,希望した科目ではあるから,特に不満は無いのだけれど。
 つーことで,ちょろっと心づもりのためにLAPACKの機能とかIntel Math KernelとかMaximaなどを調べてみた。ワシが数学をやるとなれば必ず計算がらみになるわけで,演習用ソフトにふさわしいものはどれかなぁ,と考えるためである。ちなみにLAPACKの解説はこの電通大の院生さん(もうDr.取られたらしい)のが一番新しくて詳しい。ワシがやるとなれば,もっと大味なものになるのだろうなぁ。
 あんまし逃避しててもアレなので,ボツボツ自分の仕事もきちんとやっておかないとなぁ。懸案の翻訳も今月中めどに片付けたいものである。
 明日中に特急で自分の書いた原稿を手直しする必要が出てきた。つーてもやる気にならず,ちらと修正項目を眺めたのみ。全ては明日だ,明日なのだ~・・・っと逃避しているから段々首が絞まってきて自分で欝の穴に陥ってしまうのである。気をつけねば。
 気をつけるのは明日にして,ボツボツ寝ます。