8/8(木) 駿府->掛川->岡山->駿府・晴

 このクソ暑い時に,更に熱い西国に行こうというのだから,それも自費だってんだから酔狂にもホドがあるというものである。いつものように仕事疲れで身も心もブンむくれている神さんに静岡駅まで送ってもらい,一旦掛川で降りて職場の完全閉鎖前のマシン再チェックをしてから改めて新幹線に乗り直し,すっかり夏休み気分のご家族の間に潜りこむように座って岡山まで移動,路線バスで岡山理科大にたどり着く。


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ここに来たのは二度目だが,こんな険しい山を切り開いてよくもまぁこんな規模の理系総合私大を作ったものである。アンタさんはホンマに偉いお人やわぁ。
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 本日はXeon Phiのレクチャーを受けに来たのである。ハードウェアを売りたいユニットコムさんとソフトウェアを売りたいエクセルソフトさんと,間を取り持って暗躍しているIntelさんが共同で岡山理科大総合情報学部にてXeon SMP+Xeon Phi 2枚刺しマシンで実演しつつ,Intel MICのパワーを見せつけるという集会である。
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 メインはエクセルソフトさんの解説&デモンストレーション。これがワシ的には大いにツボで,CUDAプログラミングに疲れたワシの脳みそには魅了的な商品に見えたのである。
 基本的に,今売っているXeon Phiカードは約60コア搭載のSMPマシン単体と考えるべきもので,Linuxがカード上で動くようになっており,2枚刺しにすると,非同期でSPMDするか,MPIを使うかして動かさないといけないとのこと。性能は1GHzということだが,今のCPUはせいぜい3GHzぐらいの動作スピードだから,倍精度計算の性能は1/3程度とのこと。確かにデモを見る限りはほぼそうなっていて,大量のコアを並列に使うことで,結果的に早くなる,という点ではGPGPUと同じである。
 だた,CUDAにしろOpenCLにしろ,GPU上で動作させるためのコードは書きなおさねばならず,至極面倒くさい。OpenACCっつーものもあって,#pragmaだけでGPU上で動くコードを吐き出してくれるコンパイラもあるが,まだ高価である。
 反面,Xeon Phiはx86_64コードがネイティブに走るので互換性は高いが,並列化したいのならやはり書き換えは必要で,しかも現状ではIntelコンパイラでないとイカンらしい。#pragma命令だけでXeon Phiカード上で動作するプログラムは書けることは書けるが,やっぱり高価な環境である。アカデミック用のフリー版だとどーなんだろうと思ったが,基本的には購入して使って欲しいということらしい(当然だ)。
 1コアあたりの性能で比べると明らかにCUDAよりXeon Phiだが,そもそもカードの価格が違いすぎる。しかも後者は出たてで単体販売はしていないのに対し,CUDA 5.5仕様のカードが10万円程度で単体で購入できるのと比べると,気軽に試す,という訳にもいかん。魅力的ではあるのだが,HPC用途のアクセラレータとして使い物にならなくても,GPUならグラフィックス用途として役に立つのに対し,Xeon Phiは完全に計算専用カードなので使い回しも効かない。まぁ,Intel Math Kernelを使っているプログラムは多いから,全く無駄になることはないだろうが,う~ん・・・。
 でもまぁ,色々魅力的な機能満載のようなので,今年度後半か来年度前半ぐらいには予算申請したいな。勿論CUDAも当面はGTX780でシコシコ触ることにするのである。
 さて明日から完全休暇なので,頑張って論文書こうっと。