5/3(月) 晴・駿府

 ふぉ~,久々の日記更新である。2月以来,4年生が卒業し,1年生が入学し,来賓や保護者の入場制限があったものの,卒業生・入学制は全員一か所に集まっての対面方式の儀式が挙行され,ホットのしたのもつかの間,1期での退任叶わず額縁ょ~2期目の任期が始まり,プライベートでは神さんの入退院のドタバタがあった上に,こともあろうにダメもとで出したIEEE ARITH 2021のConference Paperが通過してしまい,GW前に何とか最低限の手直しをして再投稿する羽目になった。全く,このまま定年までぼよ~んと年月を重ねてTwitter廃人として人生楽しくストレスフルで過ごそうという人生設計がパーになってしまいかねない。まぁせいぜい死なない程度に,少々ここ数年の計画は軌道修正して上積みをしつつ,表舞台からのフェードアウトを狙うことに致しましょうぞ。

 困ったことに,ワシの「Python数値計算入門」が,ワシの本としては桁違いの売れ行きで,本日現在Amazonで品切れ状態である。

人生一度っきりのAmazon品切れ御礼&「ベストセラ1位」の証拠画像

 とはいえ,新刊リアル書店ではひっそりとPython本のコーナーに棚刺しになった在庫があるはずなので(少なくとも静岡の丸善・ジュンク堂にはある),お急ぎの方はデカい本屋で探してみてくださいまし。数カ月経つとKindle本として出ると聞いてますので,自宅のリアル本棚を埋めたくない向きはお待ちいただけると幸いです。出たらワシも買います。どのみち,待てば定価で必ず入手できますので,定価以上の値付けの中古業者からは購入しないように。

 退院後の神さんは絶好調で,モリモリ通常飯を食いつつあるが,退院直後は調子悪かったので,念のため,初カレーは麦ライス先生の簡単トマトキーマカレーのレシピで作ったものをご提供,フレッシュトマトとウスターソースのコクが良く出ておいしゅうございました。ウチは常備しているジャワカレー辛口ルーで作ったけど,すんげぇまろやかになるので胃腸の弱い向きにもお勧めです。

https://twitter.com/HG7654321/status/1386104165705736193
トマトキーマカレーの作成事例

 このGW中にもう一本,ベストセラー1位本(ニッチ分野で取ったくせに自慢する)のレビューっつーか,勝手気ままなエッセイを書きつつ,お仕事に邁進いたしまする。ちなみに,神さんはすっかり元通りで,ワシの頭頂部の禿を通りすがりに刺激する嫌がらせをしながら,家事仕事に専念されておりまする。

2/27(土) 駿府・曇

 薄曇りの穏やかな1日であったが,午後から気温がダダ下がり,明日は平年より寒くなる見込み。首都圏以外の非常事態宣言は月曜日から解除されるらしいが,ワクチン接種計画が予定より後ろにずれ込むこと確実の昨今,油断するとあっという間に元の木阿弥になる。とはいえ,解除せずにいつまでもロックダウン状態にしておくと,補助金がナンボあっても足りんし,経済は回らんし,誰が首相でも難しいんでないかい。ワシら一人一人が飲み会自粛しつつ,マスク常時着用を心掛け,手洗いとうがいを励行する他ないよなぁ。

 いやいや,新年明け以降,死にそうなほど仕事した。額縁ょ〜の仕事はもちろん,卒研発表,「Python数値計算プログラミング」の推敲2回,国際研究集会二本submit,3月のHPC研究会の予稿作成,最後は紀要論文の原稿締め切りをクリアして,本日は腑抜け状態なのである。人生で一番濃密かつギリギリのスケジュールで仕事を遂行した二ヶ月であったと言える。こんなの,ワシの人生設計にはなかったよなぁ。まぁお国から貴重な税金を割いてワシの個人研究に予算を下さったのだから,査読ありの国際研究集会とか論文誌にチャレンジし,acceptさせる努力は最低限の義務である。科研費貰っておきながら,口頭発表だけで済ましている輩はワシから言わせれば税金ドロボーである。一応,昨年は一本通したし,本年も最低一本は大丈夫だと思われるが,できれば二本でも三本でも通したいものである。あー疲れた。

 こんなハードスケジュールでも,何とか完走できたのは,単に神さん用として購入した任天堂Switchリングフィットアドベンチャーのおかげである。かねてより運動不足を指摘されていた神さん用として,昨年11月下旬に前倒しクリスマスプレゼントとしてセットで購入したものを,神さんは取り憑かれたように毎日攻略し,1月には早々に全クリアしてしまったのである。ワシは最初その様子を見るだけにしていたのだが,ムクムクと征服欲が沸き上がり,12月半ばぐらいから恐る恐る開始,1月からは毎日100kcal以上の運動を欠かさず行い,今週木曜日に最終23ステージをクリアしたのである。

クリアした証拠画像

 忙しいとか言いながらも,毎日欠かさず二ヶ月以上に渡り就寝前に運動していたおかげで,特に腹回りがスッキリしてベルトが緩くなり,ハードスケジュールを駆け抜けるスタミナを養えたのだ。誠に任天堂様様であり,神さん共々厚く御礼申し上げたい。コロナ禍のため,昨年長らく品薄状態だったらしいが,ちょうど11月に入った辺りから市中で出回るようになり,地元の家電量販店でも在庫がいつでも購入できるようになっていたのもラッキーであった。まぁつまりは流行からは周回遅れだった訳だが,そんなことはどーでも良い。ゲームが健康増進に役立つようになったのは,ファミコン第一世代として育ったワシらアラフィフには誠に感慨深いものがある。

 明日は大学見学会に半日お付き合いすることになっているが,ちょーどいいので

の宣伝をちょろっとしておくことにする。そんくらいの役得はあってもいいわな。

 明日に備えて寝ます。本日は133kcal消費できました。

1/1 (金・祝) 駿府・晴

駿府城方面から年明け初の富士山

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い致します。

 年越しの後は、ガースカ寝て、雑煮食べて、神さんのご実家で寿司をご馳走になり、年賀状の返事を書いたら投函し、リングフィットアドベンチャーで汗を流して風呂入ってぐっすり寝られたら良いなぁ。まぁ、人生このぐらいの幸せが良い。

 今年もボツボツやっていきます。

12/31(木) 駿府・晴

 シベリア方面からの寒波来襲につき,ピーカン晴れな静岡。富士山は程よく冠雪しており,明日は良い初日の出が拝めそうである。良きかな。

 一方,コロナウイルスは活発に東京23区で猛威を奮っており,本日とうとう1300人に到達。飲食店の時短要請も掛け声だけでは効き目なく,罰則付きのコロナウイルス特別対策措置法は1月下旬になるということだから,これからセンター入試が始まるというのに大混乱ぶりが目に浮かぶようである。クラスタ潰しでは対処できない状況なんだろうな。冗談抜きで,関所がつくられるやも知れぬ。

 昨日で年越しの準備を前倒しで進めていたので,うま煮は準備O.K.,懸案だった自宅書斎の床置き本も一掃できた。

 段ボール7箱は年明けにBook Offに差し出す予定。二束三文だが,まぁ引き取ってくれればそれで良い。これ以外にも同人誌の山を5つほど古紙回収に出した。メルカリや駿河屋にでも出せばそれなりに収益は出そうだが,面倒だしなぁ。ま,歳も歳だし,腰を痛めそうな重いものはなるべく減らして定年を迎えたいものである。

 ということで,年越しはまったり年越し蕎麦を食ってリングフィットアドベンチャーでカロリー消費して校正も手がけて寝る予定。早くワクチン出回って大手を振って東京に遊びに行きたいものである。オリンピック後になるかなぁ。秋口か。それまでは生き延びていたいものである。

 本年も多数の皆様にお世話になりました。
 来年もよろしくお願い致します。

 では良い年越しを。

小梅けいと「戦争は女の顔をしていない」1巻,「同」2巻

小梅けいと「戦争は女の顔をしていない」巻,,「同」

1巻 [ Amazon ] ISBN 978-4-04-912982-3, \1000 + TAX
2巻 [ Amazon ] ISBN 978-4-04-913595-4, \1000 + TAX

 本書の元となる連載が始まったと聞いた時,ワシは「おっ!」と思ったのである。

 ノーベル文学賞を取った原作を「小梅けいと」が描き,監修に「速水螺旋人」が付くというではないか。前者は「くじ引きアンバランス」以来だが,ワシの好きな漫画家だし,後者はここでも何作か紹介したことで分かる通り,身悶えするほどのファンである。正直,原作に関しては関心の埒外であるので,どういう作品かもTVニュース報道以上のことは全く知らなかったが,本年最初に1巻,そして本年末に2巻が出た本作を一気読みし,ワシは久々に原作も紐解いてみようかという気になっている。つまりこれは,このコミカライズ作品がそれだけのパワーを持っている傑作であることの証なのである。つ〜ても原作を未読である故に,以降の記述は純粋に本コミカライズ作品についてのみのものなので,その点は弁えて頂きたい。

 戦争を描いた作品については,ここでも何度か引用しているいしかわじゅんの意見をワシは一つの基準としている。

 いしかわじゅんは「いわゆる反戦漫画とか戦争漫画を」「あまり読まない」と言う。その理由はこうだ。

その多くが,苦しいと描いてしまうからだ。痛いと,辛いと,悲しいと描いてしまうからだ。現実の大きさに甘えて寄りかかり,表現することから逃げてしまっているものが多いからだ。
 大きな事件があって,それを克明に描いていけば物語の形にはなる。傷を負って痛いと描けば,痛みはわかる。愛する人を失って悲しいと描けば,もちろんそれは伝わる。しかし,それは表現ではない。

「秘密の本棚」小学館,P.369

 この基準に照らし,本作はというと,及第点は楽にクリアしていると言える。ボブ・ディランがそうであるように,直接的な戦争を描いた作品ではなく,その周辺から,つまり,戦争というものが主として男同士の殺し合いであることを逆手に取り,女性側,それも実際に志願して戦争に参加した女性兵士の視点から描いた「大祖国戦争」のドキュメンタリーになっているあたり,伊達にノーベル賞をとっていないなと感心させられた。「戦争は女の顔をしていない」とは,まさにこのことを指し示しているタイトルであるのだなと,改めてその言葉選びのセンスにも嘆息してしまう。

 ナチス・ドイツとコミンテルンの親玉たるソビエト連邦(現・ロシア連邦)との,真反対のイデオロギーのぶつかり合いとして,起きるべきして起きてしまった壮絶な総力戦,それが大祖国戦争である。もちろんこれはソ連側の言い方であるが,それだけ激しい祖国愛をぶち込んだ激しいものであったということでもある。本作では巻末にいつものごとく螺旋人の異様に細かいコラム2ページが付録に入っているが,これをきちんと読むとそのあらましがよく分かる。もちろん螺旋人の愛読者たるワシには周知のことではあるが,改めて戦争ってのは,始める時よりも辞め時が難しいモンだなと感じる。まして,男女同権を高らかに宣言した共産党としては,意欲の高い女性を活用しないわけにはいかず,戦闘機の操縦士として,スナイパーとして,看護師として,時には将校の慰み者として,祖国に準じていくのである。総力戦の行き着くところ,講和などという妥協の産物は役に立たない。ヒトラーも追い込まれて米英との交渉を考えたようだが,東西より押し込まれてガソリンを炊き付けとして消えてしまった。ヒトラーの頭を銃で撃ち抜かせた原動力は,ベルリンに突入した赤軍(ソ連軍)を構成した,この女性たちであったこと,間違いないのである。

 一つ一つのエピソードは戦争から帰還した女性兵士からの聞き書きであるが,それ故に具体的で,懐かしさと苦しさと,自分だけが生き残って原作者に語るという罪悪感に満ちている。小梅けいとの白く,それでいて色気のある描線がその内容の真摯さを担保しており,ソ連時代のロシア人の独白は,人種に関わらず突き刺さってくるものばかりである。なるほど,これがノーベル賞かと,改めて感心し,原作に手を出そうという気にもなってくるというものである。

 コロナ禍の最中,引きこもりのついでに,「女の顔をしていない」極限状況に思いを馳せるのも悪くない。この日の本だって,平和ではあるけれど「女の顔をしていない」社会情勢であるという共通点があるのだし。