11/7(月) 掛川・晴

 うわ~,久々に日記を書くので緊張する~,ってのは嘘だが,しばらく「何でもいいから何かを書く」という行為から遠ざかっていたので,ちとキーボードを操る手が戸惑っているようである。まぁ,ボツボツ復活していこうっと。
 11月に入ったというのに,日中は結構暑い日が続く。今日も講義では汗だらだら。エアコン付けて講義してたら,座ってのんべんだらりと寝ている聞いている学生さんには寒かったようで,いつの間にか切られていたりする。
 講義終了後に,学生証を忘れた学生様向けの書類にはんこを押す羽目になる。まぁそれはいいのだが,サインをサラサラっと書いて欲しい旨気楽に言ってくるので怒髪天をつく。学生証を忘れたなら「すいません」の一言があってしかるべきものを,何を悪びれる風情もなくさっさとサインをよこせという。しかも午後に講義がないので早めのバスに乗りたいから,とのこと。・・・こんなのばっかりだと就職も決まらんよな,そりゃ。企業訪問して先方を怒らすケースもしばしばあるが,この「悪気のないバカさ加減」が原因なのだろう。
 で,サインをしてやるのも業腹なので,はんこを取りに行くべく研究室まで全力疾走。アシが弱っているせいで死ぬかと思った。多分ワシらの世代は学生様にサービスし尽くしてどっかで心臓麻痺で死ぬとともに,社会に対してはスポイルしまくって使い物にならない人間を大量に輩出することになるのであろう。まぁそれも又良し(どこが?)
 先週で新カリキュラムのシラバス登録が締め切られた。課題の微分積分についても特段問題なく登録できそうである。良きかな。
 で,自分がこれから担当する「応用線型代数」だの「関数論」は個人的趣味満載のものになってしまった。特に前者,書きかけのテキストの前書きの嫌みっぷりには磨きがかかっている。「低レベル学生向けの低レベルテキストは書き飽きた」だからな。まぁ「書き飽きた」と言うほど書いているわけじゃないので,「見飽きた」というのが正しいかな。
 実際,手取り足取り懇切丁寧,ってなものは巷に溢れているので,今更ワシが書かんでも,という気がする。つーか,そーゆーのって,石村園子先生のように親切が服着て歩いているような情熱溢れた方じゃないと,いいものが出来てこない気がする。ワシみたいに「あーたるー,何でこんな一言で終わるような定義にねちねち解説を書かなきゃイカンのだ」と思いながらやっていると,その読者を馬鹿にした態度が透けて見られてしまうのだ。商品として,それはイカンでしょう。
 だもんで,今度は趣味全開,学生のレベルなんか知ったことか,とゆーものにしたいなぁと念願しているのである。もちろん予防線は張ってあって,「訳が分からんでも打ち込めば動くプログラム」を課題にしておけば,うちの学生さんでも何とかやり遂げてくれるモノなのである。その点,従順さでは申し分ないんだが,いざ「考えろ」となると,途端に失速するのが最大の欠点。卒研やってても,いいレベルになってくると,その先の一番売りになりそうなところで力尽きる,というケースが多いんだよなぁ。このあたり,「体力」∝「知力」問題が絡んでいそうな感じである。いずれ,「できない,とはどういことか?」という論考を書きたいなぁ。世の中の方々は,戸塚ヨットスクール並のスパルタで解決すると考えているようだが,それは統計的にも教育的にも間違っているのである。
 そろそろ12月上旬の研究集会向けの予稿を書かねばならんのだが,先方からはまだ講演のスケジュールが送られてこない。どうやら初日に申し込む人が多くてプログラム作成に苦慮している様子。つーても,移動も入れると日曜日午後までのんびりつきあうことはとても無理だし,早めにやってさっさと帰らないといけないのだ。ことに,新幹線しかアシのない静岡県民としては辛いところ。さてどーなりますやら。
 ・・・おお,結構書くことあるなぁ。Twitterばかりにかまけてないで,なるべく更新は頻繁にしたいものである(あくまで努力目標)。
 シャワー浴びて寝ます。

石原繁・浅野重初「理工系入門 微分積分」裳華房,石村園子「すぐわかる微分積分」東京図書

「理工系入門 微分積分」 [ Amazon ] ISBN 978-4-7853-1518-4, \1900
「すぐわかる微分積分」 [ Amazon ] ISBN 978-4-489-00406-3, \2200
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 あーめんどくさ。複数の教員が担当する「微分積分/演習」のテキストを統一するための会合があり,何だか知らないけれどワシが議長役をしろということになった。
 で,大もめ。
 元々,ワシ自身がリーダーシップを取るつもりもなく,現状,テキストが統一されていない状況を理解するためのご意見拝聴に相務めようという態度で臨んだせいなのだが,その煮え切らない態度に怒った方がいらっしゃるのは当然として,そもそも今まで培ってきた教育手法も考慮せずに統一なんて乱暴極まりないというご意見の方もいらっしゃって,面白かった・・・のだが,正直疲れた。政府の審議会で喧々囂々の議論を纏めるなんて良くやるよなぁ・・・ホント,議論ってのはタフじゃないとやってられないなぁとつくづく感じた次第である。
 で,そこで出たテキストの候補がここで取り上げる2冊なのである。石原・浅野の「理工系入門 微分積分」(以下,「石原・浅野本」と称する)は,矢野健太郎の流れをくむ正統派テキストの簡易バージョン,石村園子の「すぐわかる微分積分」(以下,「石村本」)は,共立出版の「やさしく学べる」シリーズ(ここでも離散数学テキストを取り上げたことがある)と双璧をなす,「すぐわかる」シリーズの一冊で,穴埋め形式の演習問題の解答法まで教授してくれるバカ学生向けテキストである。両者とも,一変数関数の微分積分から二変数関数の微分積分までフォローしており,石原・浅野本が常微分方程式まで扱っている点を除けば,ほぼ守備範囲は一致している。
 また,どちらもロングセラーで版数・刷数が半端じゃない。石原・浅野本は1999年初版で,2011年2月に第16版第4刷,石村本はその6年前,1993年に初版,ワシが貰った2008年のものは第37刷である。理工系大学生向けのテキストとしては間違いなくベストセラーと言える。両者とも,主たる使用者の大学教員に支持されているからこそこれだけ売れているわけで,それぞれのテキストに惚れるという合理的理由もちゃんとあるのだ。だから,この両者のどっちかを選べと言われると揉めるわけである。いいじゃんテキストなんて好きなもの使って,結果として微分積分が理解できれば問題なし,とワシ自身はそう考えるのだが,世の中そー考えない方もいらっしゃって,まぁめんどくさいことになってしまうのである。
 「やさしく学べる離散数学」でも述べたが,偏差値40前半以下の学生さんを相手にしていると,「数学」というものを根本的に勘違いしたまま教えられてきた,という事実に気がつく。彼らの多くは単なる記号操作(=計算手法)の暗記と訓練を数学と思っているのだ。まぁ,彼らを相手にしてきた高校の先生方にしてみれば,それで十分と割り切ってのことなんだろう。実際,二次方程式の解の導出方法なんかすっかり忘れ,解の公式だけ覚えている,なんてのが日本の標準的高校生の実態なのだから,標準以下の生徒は計算方法を習得しただけマシ,と割り切るのも無理もないことなのである。
 とはいえ,これだけフツーにコンピューターが氾濫し,スマホですらDual-core CPUを積んでいる時代になると,少々重たい記号処理操作でもソフトで易々と実行できてしまう。計算方法の裏に潜む理論体系を知り,理論に基づいた真の「数学」の運用こそが人間本来の仕事であり,ICT社会になった今こそ,計算は機械に任せて本来の仕事に勤しむべきなのだ。その点,日本の高校生(に限らないけど)の数学力は世界最低レベルと言えよう。何せ,計算機械の方が何万倍(どころじゃないか)も優れている操作を,超低速な人力で再現しておしまいってんだから。最低でも,所謂「応用問題」が出来なきゃ数学を勉強する意味が無い時代になったということは認識して欲しいものである。
 だもんで,大学教師は躍起になって本来の「数学」を教えさせられる羽目になる。いや,数学以前の国語も含めて,全部やり直しになるのだ。答案の書き方,論述の仕方,「式」が単なる記号ではなく,意味を持った「文章」なのだということ・・・,まぁメンドクサイったりゃありゃしない。しかし,これが重要,かつ,専門科目への登竜門となる学習内容なのである。理論体系の存在に気づき,「体系」に基づいた記述方法を習得できないと,彼らは「数学」を学んだことにはならず,コンピューターに取って代わられる存在に留まるのだ。
 で,その本来の「数学」を教えるための教材開発をせっせせっせと行ってきたのが,「大綱化」がなされて教養課程が崩壊した1990年代からの歴史なのである。同時に,大学も山ほど作られた結果,本来なら大学生とは呼べないレベルの人達も受け入れざるを得ない状況になった(大学もある,ということ)。そうなれば,ますます教材としてのテキストは多種多様なものが必要となり,それこそ「微分積分」と「線形代数」の入門書は佃煮に出来るほど出版されることになった。結果として,教員の教授法にあったテキストが選ばれて,熱心な教員ほどテキストに依存したノウハウが増えて執着度が増す,ということになるのである。そのような事情を無視し,十分なFD的議論もせずに無理して統一を求めれば,揉めるのも当然のことなのだ。石原・浅野本を好む向きは,説明が不足している分を埋める講義を熱心に行い,石村本を好む向きは,自学自習の共として演習問題の解答をこのテキストに従って書かせるのだ。どっちがどう優れているかなんて決めようがないではないか。学生の理解度に違いが出るとすれば,それはテキストのせいではない,教員の資質の問題なのである。
 ・・・とゆーことを全部報告書に書いたのでは字数がいくらあっても足りないので,オミットした歴史的経緯とテキストの紹介文についてはこちらに書いておくことにしたのである。

10/10(月・祝) 掛川・晴

 天高く馬肥ゆる秋~,である。ワシにとっては全然ハッピーではないマンデーを祝日にする法案が自民党によって成立させられてからこのかた,袋井でも掛川でもこの週末は必ずお祭りをぶつけるようになっている。ワシは部外者扱いしてもらっているのでいいのだが,参加される方々は一日中御神輿を引き回して夜中までお付き合いせねばならないらしい。昨日の夜中には人気の無い道をはっぴを着た方々がぞろぞろ歩いていて驚愕した。もう日が変わっている深夜なのに大変なご苦労である。さぞかし大層な神のご加護があるのだろうが,そんなモンワシは要らないから仕事させてと言いたい罰当たりな野郎なのである。
 つーことで,今年GW前に四の五の言うてた総論が掲載された。
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 誰が読むんだ「応用数理」なんて,等と言ってはいけないのである。ありがたいことである。
 しかし・・・なんつーか,こういう「自分のやってきたことを振り返る総論」みたいな文章を書いちゃうと,一気に棺桶が近づいた感じがする。ちくま学芸文庫は死人の著作ばかりであるが,「応用数理」とか「数学」とかに文を寄せるのは引退間近の死に損ない年寄り学者ばかり・・・というのがワシの印象であったが,最近はそーでもないのかな? ま,10年以上細々やってきたことのまとめを書く機会を頂いたことは素直に感謝したい。どーもありがとーございましたー>編集委員の方々
 久々の日記であるが,どーもここんとこ論文執筆準備に忙しくて更新の意欲がそがれているのである。順調にいけば今月中に一本上げ,来月中には2本目を書き,12月早々に一本目の論文を投稿,2本目は12月下旬に投稿,と考えているのだがそーうまくいくのやら? ボチボチ日本語で書くのも飽きたから,Elsevierの雑誌に投稿しちまおうという算段なのだが,載るのかどうか?
 何にせよ,ワシも大厄を越えて後厄を迎えた訳なので,ボチボチ人生のラストスパートをかけねばならない。体力的にも世間的にもあと10年程度が勝負,この間に書けるネタがあればドンドン論文を書いて投稿していかねばならない。60越えたら思い出話と愚痴とマンガ(まだあるのか?)の感想を書き付けつつ,余生を楽しもうと計画しているので,それまでに言いたいことを言っておかねば。単著論文を生涯20本も書けばワシ的には上出来だろうと思っているので(志が低い奴),その辺が目標ですな。
 つーことで,更新頻度は落ちますが,ガシガシ仕事はしてます~,という報告でした。
 風呂入って寝ます。

9/30(金) 掛川・曇

 ん~,なんなんだこの暑さ。もう秋になったと思ってたのに,今日一日だけちみっとぶり返したようである。半休取って車に乗り込む時には汗だらだら。暑いったらありゃしない。とはいえ,それも今日まで。明日以降はぐっと秋が深まるようである。真夏日は今日でさよなら,夏日もそれほど頻繁ではなくなるだろう。明日にはさっさと衣替えをしておこう。
 案の定,パソコン講座テキスト全然進まず。現実逃避だけで半日潰してしまった。とはいえ,逃避している時にこそ情報収集にはいそしめるというもので,今日はSourceForgeの記事で知った,JavaScriptからOpenCLが体験できるRiver Trailで遊んでしまった。
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 デモを動かすには,まずIntel OpenCL SDKのインストールが必須。Core2Duo以降のIntel CPUが載ってないとダメである。我が家のPhenom II マシンはお呼びでないのである。上記のデモ画面はMacBook Air (Core2Duo)で動かしたもの。
 その後,Firefox 7をインストールし,Firefox用のextention(rivertrail-ff7.xpi)をインストールして再起動。後はデモ(これとかこれとか)をFirefox上で動かせば良い。それが上の絵である。
 なーるほど,確かに並列性能は出ているし,何より,JavaScriptから体験できるのはありがたい。デモ用にはぴったりだ。来週末には研究室紹介の時間があるので,これでも動かして時間稼ぎをしよう(人のふんどし講演)。
 テキストは放置して寝ます。

9/27(火) 掛川・晴

 キュー劇に寒くなりましたな~。朝晩の冷やっこさたるや,もうすっかり秋。9月下旬だから当たり前ではあるが,気分的にはまだ夏感覚が残ってしまっている。モードチェンジしなきゃ・・・とは分かっているのだが,日中の暑さはまだきついので,半袖が手放せないなーと思っちゃうのである。今週末は思い切って衣替えするか。
 Y博士文書,当初の予定からずっとスモールサイズにしてA4用紙10ページに荒っぽい履歴と業績をメモった程度にして,とりあえずワシの大師匠と,一松信・神にお送りしたのであるが,さすが神様仏様,さっそくお葉書でお返事を頂いたぜよ。
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 ・・・たっ,宝物ですぅ~。とはいえ,ド貧乏学会年会でお見かけした時には,話すのも大儀そうな感じだったので,ご挨拶も遠領したのだが,書いたものを読むと,全くピンシャンされている。直接インタビューをお願いしていたのだが,この調子でメール,じゃない,郵便でやりとりした方がいいのかしら? まぁ,後は大師匠のご意見を来月お伺いして,その成果を受けて,ご遺族のご許可とH山先生・H野先生のご意見を拝聴した上で,も少しまともなボリュームに近づけていこう。つーことで,関数近似の勉強もしなきゃなぁ。
 さて,来週から看護学校のパソコン先生としてのノルマがかかってくるのであるからして,その準備が佳境。Word, Excel, PowerPointの使い方を15回かけておせーてやって欲しいというご依頼だが,まー,今時,Office未体験とゆー奴は殆どいなかろうて。あとはドンだけ実習時間をサボらせずに有意義なものにできるか,課題設定をきちんと考えるだけだな~。つーことで,今まで貯めてきた自作教材を纏めてテキストに使用と無謀な計画を実行中なのである。概略は出来たから,明日はがーっと書き始めてしまおう。そろそろパソコンの先生に飽き飽きしているし,需要もなさそうだから(バカでも出来る仕事なのだしな),最後のまとめとしてはいい機会かな~。
 来年3月に開催予定の研究集会のページ,とりあえずアップ。ホントは昨年やるはずだったものだが,流石に言い逃れが出来なくなったので,関係各所を回って何とかできそうだという所までこぎ着けた。日程がまだ流動的だが,是非とも近隣の数値解析関係の方々,微分方程式界隈の方々,応用数理関係の方々のご参集をお待ちしております~。
 つーことで寝るのである。