PAW Laboratory (HMOとかの中の人×くぅ) 「HMO AND WORKS」同人CD

[ 本家 | とらのあな通販(絶賛品切れ中) ] \2000 (イベント頒布価格\1400)
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 多くの演歌歌手が公演を行ってきた新宿コマ劇場が2008年12月31日をもって閉館した。施設の老朽化による建て替えの必要性,地域の再開発によるものだが,二千人のキャパを持つ観客席を,演歌歌手の公演で埋めるのは難しくなってきたことも閉館の理由であるらしい。年末のNHKラジオ番組を聞いていたら,たまたま劇場関係者が証言をしているところに出くわしたのだが,「若い人も年を取ったら演歌を聴くようになると思っていた」と語っていたのが印象的だった。つまりは,演歌を聴くファン層が固定化し,そのまま高齢化していったことが集客に苦しんだ一番の要因だったのだ。実際,還暦を迎えつつある団塊の世代ですら,演歌よりはフォーク,GS,ビートルズ,演歌でない歌謡曲を今でも主として聞いている訳で,演歌は一部のヒット曲を除けば,彼らの好む音楽カテゴリにはついに食い込めなかったのである。多分,音楽的センスは団塊の世代と今のワシら中年世代とではそう変わらないのではないか。まあ1980年代アイドルとかはさておき,沢田研二,小田和正(オフコース時代も含む),サザン,大瀧詠一等のアーティストの曲は普通に咀嚼してきた最初の世代ではないかと思うのである。
 もし今の60代と40代の境に断絶があるとすれば,シンセサイザーの音に対する感性の違いではないか。コンピュータが曲がりなりにも市井の人々の目に触れるようになったのは1970年代以降で,パーソナルコンピュータが16bit化して普及するのは1980年代後半である。シンセサイザーが音楽業界で使われ出すのも,このコンピュータの普及と軌を一にしており,それ故に1970年代の終わりに最初のコンピュータミュージックのメガヒットがYMOによって生み出されたのだ。以降,コンピュータの指令によって奏でられる音楽は大なり小なりYMOの影響下にあり,小室哲哉,電気グルーヴを好む奴らは正確無比な打ち込みリズムをYMOによって骨の髄まで叩き込まれたが故に,そうなってしまったのである。あなおそろしやYMO,キリンビールがCMに還暦を迎えてもなおカッコイイ3人を据えてアンビエント化したRydeenを演奏させたのも,広告代理店の中核メンバーがワシら電子音楽ジャンキー世代に占領されてしまった証左であろう。
 そのようなジャンキー世代は,とうとうシンセに細かくサンプリングした人間の声を取り込み,滑らかに歌わせる新たな「楽器」を作り上げた。それがVocaloidと呼ばれる一連のソフトウェアであり,初音ミクはその中で最も商業的に成功したものである。どーせシンセの一種なんだから,みくみくしてあげたりIevan Polkkaに合わせてネギ振らせるだけでなく,電子音楽の中に埋め込んでしまえ!・・・と思ったかどうかは定かでないが,HMOとかの中の人たち(言いづらいなこれ)は初音ミクのルーツであるYMOの楽曲を選択したのである。しかも,原曲を親しみやすいテンポと打ち込み音によって再編し,元々備わっていたアーティスト臭を一掃,ライトに楽しめる大衆的なものに仕上げたのである。21世紀のYMOが到達した精密な音作りとは逆方向のベクトルを持つ,(電子音楽ジャンキー世代にとっては)大衆的な音楽を,ニコ動やコミケ,とらのあなを通じて広めたHMOとかの中の人らの功績に,ワシらオッサンは深く首を垂れるのみである。初音ミクから「どうもありがと」と言われても,「どうも結構なものを聞かせて頂きまして」と敬服するだけなのである。
 ワシがYouTube,ニコ動にハマって最初にやったことは,古き良き懐かし音楽ビデオを漁ることであった。当然,YMO関連の動画も集め,散開コンサート,ことに最後のTokioとRydeenなぞはPower Playしまくっていた。そんなジャンキーにふさわしい生活に明け暮れるなかで,HMOとかの中の人(言いづらいよやっぱこれ)の作品を知り,ハマってしまったのである。その彼らがコミケで,未公開の曲も含めてCDに収録し販売すると知ったワシは居ても立ってもいられなかったのだが,金がなくてあえなく参加は断念。しかしとらのあなで通販すると告知されたのを知ったワシは発売開始と同時に購入ボタンをポチっとなしたのである。販売後,間もなくCDは評判となりすぐに売り切れとなってしまった。まあCDに収められたYMOの曲はたいがいこっちで聴けるので,買えなかった人はしばらくこれで我慢してほしい。
 彼らの作るYMOの曲は当然全てCD購入前からPower Playしまくり,特に「希望の河」は原曲より早めたテンポがツボにはまって心地よかった(これ書いているちょうど今,かかっているぞ)。CDにはニコ動未公開の「東風」がおまけとして入っているが,これも好みである。しかし,今回のCDの中で一番気に入っているのはオリジナル曲の「Aschel Overdrive」(未公開曲)である。流行に疎いオッサンなのでよく知らないのですが,この曲名,何か意味があるんでしょうね? それはともかく,この曲はアンニュイな低音が響く北欧的サウンド(ワシの世代ではa-haの”Hunting High and Low”に通じるものを感じるのでは?)みたいで,ワシ好みなのである。うーん,この時代に生きててよかった,と感じているのである。
 学力低下論争(実際には学力2分化論争というべきものだが)の過程で,既存の科目を学ぶ意欲は下がっているが,その分他に学ぶエネルギーは回っているはずだ,という意見があった。実際,マンガ・アニメ・音楽・デザインといったアーティスティックな分野には人材が集中していて,挫折する割合も多かろうが,育つ人材も確かにいて,しかも平均値は断然上がっていると感じる。マンガの新人賞を見ると,「ホントにこれ新人か?」と思うこと多々。オリジナリティはともかく,クオリティは恐ろしいほど上がっていることを実感するのである。
 音楽においても同じことが言える。投稿サイトが充実したこともあって,技巧の切磋琢磨も盛んに行われているから,普通にうまい,というレベルは格段に上がっている。初音ミクという楽器を使うことで,ヴォーカルも含めた楽曲が作れるようになった今,「君に胸キュン」はYMOのおっさん3人が「キュン」と歌うよりミクたんが「キュン」する方が断然相応しい,などということだけではなく,電子音にマッチする若干舌足らずな音声を使って何を奏でさせるべきか,その判断のセンスが問われているのだ。それこそ,技術的な障壁を乗り越えてしまった日本の音楽の世界が,もう一段高いステップに上った証なのである。

1/30(金) 掛川・雨

 生暖かい日。これで雨降りでなければもっとよかったのだが,世の中早々うまくはいかない。なんか年明け以降暖かい日が多いような気がするのだが,暖冬なのかな?
 卒研,何とか全員概要と卒論が上がった。後はデモシステムの完成と,発表練習のみ。まー発表当日どうなってもワシは見ないふり聞かないふりをするので,頑張って質疑応答終了までこぎつけて頂きたいものである。
 筑摩書房の広報誌「ちくま」2月号に気になる記事があった。不動産投資の本らしいのだが,その著者がこう書いている。

 私の不動産投資の資金の大半は借金で,その総額は5億円にもなります。でも,ここまでやってきたなかで,投資のために「借金をすること」自体にサラリーマンが資産を増やす鍵があると気づいたのです。「金持ちになる借金とはなにか」「そのためのポイントはなにか」について自分の考えをまとめてみました。借金というとマイナスのイメージですが,そうではない借金もあるのだということに気づいていただけたらと思っています。(P.19)

 この主張はまともな投資の本のものではないことを指摘しておく。「まともな投資の本」とは,投資の本質が,元本保証のない博打であることを最初に述べ,投資は余裕資金で行えと説くものである(たとえばソニー銀行の広告マンガとかね)。借金して投資するというのは,レバレッジを効かせるためなんだろうが,それで失敗して破たんしまくったのはどこの金融業者でしたっけねぇ?
 いや,そりゃ,うまく時期を見計らってすり抜けた奴もいるんだろうさ。不動産投資でもたんまり儲ける奴がいるのも当然だろう。しかし,失敗した時の傷の深さは,余裕資金でやっていた場合と,借金して回していた場合でどれだけ違ってくるか,まともな思考ができる奴なら理解できるはずだ。
 つーても,人間そうそういつもまともでいられるとも限らず,つげ義春が「カメラを売る」で描いたように全てをつぎ込んで大コケすることも,ままある。端的に言っちゃえば「業」という奴なんだろうが,この資本主義が浸透しまくった世の中,ある程度は業に取りつかれた人間もいないと回っていかないのも事実である。その結果,成功した人間はいいとして,失敗した人間をどう「救済」していくのか,今求められているのはその方策だ。今のところワシはいい手を思いつかないのだが,少なくとも,失敗した人間がこのつげ作品が収められたちくま文庫を読めば,いい具合にシミジミできる筈である。
 ・・・はっ,そうか,筑摩書房は不動産投資に真面目なサラリーマンを引きずり込んで,成功した奴には「金持ち父さん」を,失敗した奴には「つげ義春コレクション」を買わせるつもりなのだ! 何という,何という見事なマッチポンプ的営業活動であろうか。愚かなワシは,ちっぽけな正義感で借金による不動産投資本に嫌味を言ってしまったが,晋遊舎と同じ周到なビジネス戦略の一環であることに,今の今まで気がつかなかったのだ。恐るべし,筑摩書房! 伊達に一度倒産してないよな。
 事実無根であることを祈りますが,事実だったらその旨お知らせください。>筑摩書房様

1/29(木) 掛川・?

 ん~,昨日で非常勤講義終了。Runge-Kutta法に関して,係数の決め方の説明を求められたので久々に計算してみた。
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 忘れてなかったのは我ながらエライが,今時こんな古典的なやり方で解説するのはワシぐらい・・・と思ったら,これがそれやってましたな(P.177-178)。rooted tree使ってカッコよくやりたい方はワシらの翻訳書を買って下さいませ。ちょっと(相当?)難しいけどね,情報屋さんのセンスも身に付くし,陰的・陽的どちらでも新しい公式も作れるしで一挙両得よん。以上宣伝でした~。
 貧窮シフト体制につき,日本数学会を退会。本日退会届受理の通知を受け取る。
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 これで年間約2万円の節約。唯一,「数学」と「数学通信」が読めなくなるのが残念だが,まあそのためだけに会費を払うのもねぇ。数学会に入ってなきゃ,数学関係の講義をもっちゃダメなんてこともないわけだし。
 つーことでワシが所属しているのは,日本応用数理学会(JSIAM),情報処理学会(IPSJ),日本情報科教育学会(JAIES),Society for Industrial and Applied Mathematics(SIAM)の4つとなった。当分この体制で行くことにしよう。
 あ,MPFR 2.4.0がリリースされてたんでした。ちっと便利な関数が追加されたってぐらいかなぁ。
 お,ReduceがOpen Sourceになってたんだ(from おごちゃん)。うーん,数式処理も商売としては難しいところだからなぁ。Mathematica/Matlabの独走態勢もどこまで続くのやら。
 丸井さん,民事再生法適用申請とのこと(毎日新聞)。う~ん,既にでは丸井今井の苦境は伝えられていたから,やっぱりという感想しかないな。創業者一族出身社長の乱費で傾いた上に,消費者不況の長期化が続き,大規模郊外店が中心市街地から,札幌駅が大改装して大丸を誘致して大通地区から客をごっそり引き抜いてしまった。ここまで悪条件が重なると,どうにも仕様がない・・・と思えるのだが。まあ頑張って再建してもらいたい。2月下旬には「おやき」ぐらいは買いに行かせもらいますので。
 注文していたHMOさんのCDがやっと届いた。安さにつられて飛脚ゆうメール便を使ったのだが,発想の通知があって1週間経ってしまっている。急ぎの用事で使うもんじゃないね。


これ聞きながらちみっと計算してみます。

1/27(火) 掛川・?

 う~,寒いんだか暑いんだか分かんなくなってきたな。少なくとも日中は暖房不要なほど日が照っていたようだが,朝・夕方は寒い。風邪も流行っているようだが,ワシは流行に乗り損ねた模様。
 出勤がてら,税務署に立ち寄って還付金申請&確定申告書類をポストに投函。これですんなり受け付けて貰えれば当分税務署とは縁のない生活ができるはずだ。面倒な書類作成はこれっきりにしてほしいものである。
 午前中,MSDN事務局から連絡ありと伝言。何事かと思って連絡してみると,先日申し込んだ際に使用したクレジットカードでの支払いができないので,別のカード番号を教えてくれという。その無慈悲かつ無礼な申し出にワシは怒髪天を突いた。なななな何だとこのこここのこのこのこのクソM$が。てめぇ,散々儲けているくせに顧客サービスも満足にできないのかこの腐れ外資系野郎。いいかこのクレジットカードでワシは先週買い物したばっかりなんだよ。支払いを滞らせたことは契約以来一度もねぇんだこの馬鹿ソフト会社。何が何でもこのクレジットカードで手続きをしろ,できなければもう二度と契約しないっ!
 電話を叩き切って,MSDN事務局にFAXした申込書を再度確認。クレジット番号も使用期限も名前のローマ字表記も間違いはない。事務局に言わせると理由が分からないので詳細はクレジット会社に聞いてくれと言うので○ヨタファイナンスに連絡(ガソリンスタンドのカードだったので)。散々待たされてやっと繋がるや,大統領がchangeした筈のど腐れ外資系独占契約違反すれすれソフト会社がワシのクレジットカードで支払いができませんとぬかしているのだがどないしたらいいのんと聞く。調べて貰うと,そもそも支払の受け付けもしておらず,カードも問題なく使えるはずだということであった。
 そこでワシの頭は再度沸騰。大バカMSDN事務局に連絡し,担当者出せ担当者っ! クレジット会社は問題ないと言っているしかも天下の(不況で苦しんでいるとはいえ)○ヨタ系列の会社がだ。てめえがなんと言おうともう一度先日送ったFAXを再送するから目ん玉ひんむいてよっく見やがれこのインキンタムシM$金銭に目がくらんだ阿呆どもがっ,と相手をビビらせつつ無理やり同意を取るやいなやワシの研究室のNEC製造FAXはガーコーガーコとMSDN申込書を埼玉のMSDN事務局に送り込んだのである。
 着信したのを見届けるや,すぐさまMSDN事務局に連絡。さぁどうだ届いたか今度こそ受け付けろ受付ねぇと出るとこ出るぞ,さぁ確認しろ今すぐチェックしろ直ちにチェックしろどうだクレジットカード番号を復唱しやがれこの外資系たんまりボーナスもらってやがる(最近はそうでもないか?)クソ社員っ! と迫ったら,電話口でそれはできないが,下四ケタだけ読ませて頂きますとその番号を言う。問題ない。ではもう一度手続きをせよ,いいかくれぐれも言っておくがこのクレジットカード以外ではぜぇっっったい手続きしないからなっ!
 午後になって,今度は先方から電話。以前送ったFAX用紙を探し出してきたらしく,今回送ったものと比較してみたらカード番号の一部が読み取りづらくなっていて間違えてしまったとのこと。そらいわんこっちゃない,ミスはそっちがやらかしたんだろうっ,ワシのこの貴重な時間を無駄に使わせやがってどうしてくれる,大体てめぇんとこのCEOの経営判断は間違っているPS3にさえ勝てないXboxに金つぎ込む余裕があるんなら顧客サービスぐらいきちんとやったらどうだ!・・・とさんざん罵倒しまくって溜飲を下げたところでワシは矛を収めたのであった。
 さて問題です。

  1. ワシが電話をした回数を答えなさい(文中の「連絡」とは,FAX送信以外はすべて電話連絡のことを意味する)
  2. M$に対するワシの悪口雑言のバリエーションについて,論評しなさい(例:「ボキャブラリーが貧困」「ベタなものばかりでインパクトに欠ける」など)

 罵倒しすぎて疲れたので寝ます。