朝から雨降り。11月下旬としてはかなり暖かいが,明日にはぐっと冷え込む模様。寒暖の差が激しくて,風邪も流行っているようである。しかし,食事が規則正しく,きちんと自炊もしているせいか,今年のわしは全く風邪を引く気配がない。ちゃんとインフルエンザに罹患したお方とも接触しているというのに,何故だ。これでは「バカは風邪を引かない」を身をもって立証しているようなものではないか。
毎年おなじみとなりつつある,小柳先生のSC2003リポート。マメである。おかげで国内にいながらにして雰囲気がわかるのでありがたい。
O’ReillyのPthread Programming(和訳)が届き,第一章のみ読む。うーむ判りやすい。判りやすいが,やっぱり欧米人の書いた本は「くどい」。これはつまり「出来うる限り判り易く書いているんだから,それで理解できないようなら読者が悪い」という言い訳のためではないか。
今,様々な理由から,日本の大学教員のプレゼンテーション技術はどんどんレベルアップしており(一部取り残されている人もいるけど),平均的に見て,わしが学生の頃よりも格段に分かりやすい講義を行っている。これはつまり欧米流に「くどく」なっている訳で,当然,それと平行して「これで判らなければ学生が悪い」という判定を下す動きも進んでいるのである。世の中,複雑よのう。
SCoreが5.6.1になっていた。Fedora Core 1で動かしたいのだが,ソースからコンパイルし直しかぁ。Kernelもrecompileしなくちゃならないし,面倒よのう(贅沢)。ISO Image中にはomniの新しいコンパイラが入っているのかしらん?まだ単体ではリリースされてないようだけど。
いしいひさいち「ドーナッツブックス いしいひさいち選集37」双葉社
[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-575-96082-9, \429
何か今月は漫画ばっかり紹介しているよーな。まあいいか。ここんと専門書ばっかり読んでいるので,自然と頭が息抜きを要求しているのであろう。
ひさびさのドーナッツブックス新刊。朝日新聞で連載を初めてから刊行がほぼストップしていたとおぼしい。ジャンル別の単行本も良いが,これは忍者もの,戦場シリーズ,小説家広岡先生,ナベツネ,ノンキャリアウーマンとバラエティに富んだ作品が一気に読めてお得。ずーっと愛読していたのだが,このたび再開されて誠に嬉しい。著者のページで発売を知って早速買ってきたという次第。
どれも四コマの天才いしいひさいちの才能が光っていて面白いが,やっぱり白眉は巻頭の「月子」シリーズだろう。わしの記憶では,藤原センセーを書くようになって,「得体の知れない美人」を使い始めるようになった。鼻面が長く,目がデカイキャラは慣れるまで違和感があったが,この月子シリーズはそれを更に増幅させて,不気味さを醸し出している。
デビュー以来,もう何年になるのか? いしいの亜流漫画家が,今は亡き文春漫画賞(いしいも取っている)を受賞するぐらいの大ベテランなのに,まだ新境地を開拓している。誠に恐ろしい,天才とはこーゆー人を言うのであるなぁ,と長年の読者をしてため息をつかせる意欲作である。
11/20(木) 掛川・雨
ぼそぼそと昨今の景気のように雨が降る一日。ちょっと暖かい。
今日は一気呵成に雑用を片づける日となった。まず査読。昨日の内にupしなければいけなかったのだが,ちょっとパジャマに着替えて布団で横になったらあっという間に朝になってしまったのである。いやぁ,おかしいなぁぁぁ? で,慌てて査読報告書を二通もアップ。ACS論文誌とHPCSとの同時投稿なので,こういうことになるのである。しかし論文は一本だ。馬鹿馬鹿しいが,同じ論文にちょっとだけ異なる査読報告をアップすることになる。何とかならんか,この官僚体質。学会も図体がでかくなると小回りが効かなくなるようである。んっとにもう・・・と自身の怠惰をシステムに八つ当たり。
査読が上がれば気が楽。来年度のシラバスやら関連書類を一気に書き上げて提出する。今の職場に五年目もいれば,今までに書き上げたWord/Excelファイルを引っ張り出せば大抵の用事は事足りる。しかしファイルが増えすぎて,収拾がつかなくなっているのも事実。ちゃんと階層フォルダに整理しているから何とか見つかるものの,あと数年もすれば絶対にワケワカになる。Drag&Drop一発でファイルをDB化してくれるシステムはないものか。Plain Textファイルばかりならgrep allという技も使えようが,わしはもうM$の呪縛に填ってしまっており,今更抜け出すことは出来ないのである。
・・・えーっと,大事なことを書き忘れたような気がするが・・・あっ,思い出した。近頃,こーゆーことが多くて困る。あと5年もすれば惚けているやも知れぬ。
このサイトのアクセスログを見ると,一番参照されているのが「ソフトウェアとしての数値計算」として公開している一連のPDFファイルである。んが,大部分はGoogle様からのお導きによって,たまたまキーワードが引っかかったから訪れたという人ばかりで,その後にちょくちょく参照するといった,Potal的な使われ方はしていないようである。恐らくは,一瞥して「けっ,なんじゃこれば」とすぐに立ち去ってしまう人が殆どと思われる。
それだけが理由ではないけれど,次年度に向けて,このテキストを改訂することを考えている。・・・あまり期待されては困るが,Sボスのご助言によれば,教科書たるもの,何度も改訂して改訂して,各章が均等な分量になるように,しかもミスは極力減らすようにしなければならないそうである。むろん,わしがそんな助言を真に受けるはずもなく,受けたとしても実行できる訳もない。でも,さすがに講義を重ねてくると,自分としてもこれを土台にしても喋りづらい部分が出てくる。そこだけでも手直しして,自分の講義ノートとして使えるようにしたい。
つっても,これから年度末に向けてやるべきことが山積していて,果たしてんなことが出来るのかどーか,甚だ怪しい。ま,現段階では気分が向いたら取りかかる,とゆーことにしておこうっと。
そーいや,A Tutorial of BNCpack & MPIBNCpackもそれなりに眺めて頂けているようである。むしろこっちの方に力を向けた方がいいかなあ,とも思案中。どーせなら,今構築中のCS-PCCLUSTER2の話題も入れたいよなあ。P4のHT機能とPthreadの相性も調べたいし(誰か既にやっているとは思うが)。ああもうやりたいことが多くて困るよな。しかもロクに業績にならないものばっかり。困ったモンである。
あそうそう,今度「産学連携フォーラム」に出席しますので,よろしく。パネルの前でぼーっとしている筈なので,話し相手募集中です。
11/18(火) 掛川・晴
今日は,もうすぐcs-pccluster2となる予定のPCの部材を購入して運び入れる作業をして疲れ果てる。さすがにセダンの車体にATXのPC Case8台は無茶であった。それでもトランクにまで詰め込んで無理矢理運んでやった。ざまあみろ(誰に言っている)。
メーカー名は伏せるが,さすが5800円の廉価ケースだけあって軽い軽い。内部の金属板の薄いこと薄いこと。ベコベコ,ではなく,ペコペコ,なのである。マザーボードを取り付けるための板も取り外しが出来ず,側板を除いて,全ての板がリベットで強引に固定されてしまっている。これは工作がしづらいなあ,と嘆息。
とはいえ,次年度はPCをばらしてNICを取り付けるなどという乱暴な実験はやらない(させない)ので,これでもいいのである。電源も350Wとまあまあの容量だし,本体ファンも付いており,ケース前部にはUSBポートも出ている。P4マシンに仕立てることを考えれば,ペコペコケースは冷却には向いていると言える。「計算はケースで実行するんじゃない。CPUとGbEで勝負だ!」ってなもんである。
ぼちぼち価格.comと睨めっこするのも飽きたので,CPU以下の部材一式の相見積もりを取らねば。CPUはMHz単価で最適化して決めることにしようっと。
そーいや,SciCADE05のWebサイト用サーバが届いたって報告が小生御大から来ていたなあ。Xeon DualのDellのPowerEdgeだそーで,やっぱりお金持ち(違うという声が聞こえてきそうだが無視する)は豪儀である。もっとも,高いメーカマシンはユーザが勝手に手を入れられないという欠点があって,致命的な故障が起きるとどうしようもない。前の職場で今は亡きCompaqのNetwareサーバを大枚はたいて導入したが,ものの数年でおかしくなっちゃったモンな。今なら安いRAID突っ込んで組み立てたマシンの方がよっぽど使い勝手がよい(自分で全てをやるなら,の話)。
マジメな話,白崎さんがどっかで発言していたけど,サーバにあるファイルのバックアップだけなら,RAIDだけでなく,ネット経由でもミラーすべきであろう。具体的にはrsyncにsshかませて自動ミラーをしておけば,「そこそこsecure」にはなる訳である。ロクにメンテ費用も出せないのに,一発買い取りの高いハードに頼るってのは・・・ねぇ。
現実逃避てがら,つらつらと多倍長計算環境について考えてみる。前の応用数理の年会でT大学のH先生が講演者に「多倍長の初等関数の精度は大丈夫か?」と噛みついていたのと聞いて,やっぱ,まだまだその基盤は危ういよなあと思いを新たにしたのだった。
で,cygwinに入っているmath.hを見ると,既に
extern double gamma _PARAMS((double));
extern double gamma_r _PARAMS((double, int *));
extern double lgamma _PARAMS((double));
extern double lgamma_r _PARAMS((double, int *));
extern double erf _PARAMS((double));
extern double erfc _PARAMS((double));
extern double y0 _PARAMS((double));
extern double y1 _PARAMS((double));
extern double yn _PARAMS((int, double));
extern double j0 _PARAMS((double));
extern double j1 _PARAMS((double));
extern double jn _PARAMS((int, double));
なんて関数が使えるようになっている。gccは3.2。確か,ANSI C90(だっけか?)で取り入れられたんだっけ。更に
#define M_E 2.7182818284590452354
#define M_LOG2E 1.4426950408889634074
#define M_LOG10E 0.43429448190325182765
#define M_LN2 0.69314718055994530942
#define M_LN10 2.30258509299404568402
#define M_PI 3.14159265358979323846
#define M_TWOPI (M_PI * 2.0)
#define M_PI_2 1.57079632679489661923
#define M_PI_4 0.78539816339744830962
#define M_3PI_4 2.3561944901923448370E0
#define M_SQRTPI 1.77245385090551602792981
#define M_1_PI 0.31830988618379067154
#define M_2_PI 0.63661977236758134308
#define M_2_SQRTPI 1.12837916709551257390
#define M_SQRT2 1.41421356237309504880
#define M_SQRT1_2 0.70710678118654752440
#define M_LN2LO 1.9082149292705877000E-10
#define M_LN2HI 6.9314718036912381649E-1
#define M_SQRT3 1.73205080756887719000
#define M_IVLN10 0.43429448190325182765
/* 1 / log(10) */
#define M_LOG2_E 0.693147180559945309417
#define M_INVLN2 1.4426950408889633870E0
/* 1 / log(2) */
なんて定数も必須だよな。精度が可変になると,Machine epsilonも違ってくるし,NANの範囲も変わってくる。その辺り,きっちり出来ている多倍長ライブラリってそんなにないよな。一応,MPFRはその辺りを少しは意識して作ってあるので,BNCpack/MPIBNCpackはそちらを採用したのだが,まだ足りない。
もっと現実的なことでは,多倍長の初等(に限らないけど)関数はやたらに遅い。遅いのは無限級数に頼っているせいで,多分,MPPACKでも採用しているように,精度毎に最良近似多項式を導出して使った方がよっぽどマシなのではないか,と思える。わしの大師匠の経験によれば,sin/cos, expあたりは,Maclaurinでもかなり収束が早いので,多倍長ではあまり差が付かないのでは?という意見であったが,桁が増えるとやっぱり最良近似の方がマシになるよーな気がする・・・のだが?
と,math.hにはこんな所もあった。
#ifdef __FAST_MATH__
#include <machine/fastmath.h>
#endif
へぇー,と数値計算トリビア。探すとちゃんとmachine/fastmath.hってのがあって,
#define sin(x) fast_sin(x)
#define cos(x) fast_cos(x)
#define tan(x) fast_tan(x)
#define asin(x) fast_asin(x)
なんてのが並んでいる。ここでは特定の(_sysvnecv70_target)マシンだけの設定のようだが,これ,そのまんま多倍長で使えそうじゃん。通常のsinは無限級数に基づくルーチンにしておいて,速い関数が欲しければfast_sinを使う,とかね。ちょっと勉強になりました。
ということで,寝ます(久々のフレーズ)。
11/17(月) 掛川・?
朝からずーっと仕事でアセアセしていたせいで,天気全く判らず。出勤時にはちゃんと見ているはずなのだが,今こうして日記を書き出してみると全く覚えていない。マジメに仕事してますってな証拠にはなるが,ちと情けない。
Producer 2003を使って遠隔講義バックアップ用のストリーミング教材を作ってみた。これがやたらに簡単で,嘘みたい。うーん,さすが天下のM$,伊達に金使って買収しまくっているだけのことはある。
文章じゃなくてこっちを公開しちゃおうかなあ,とも考えたが,自分の間抜け面を晒すのは公害であると判断し,思いとどまる。そういう意味では情報処理学会論文誌に掲載される著者紹介写真もヒドイものである。大体,学者・研究者ってのは総じてヲタクなんだから,顔なんて見たって仕方がない。沢山のヲタクを見るのは秋葉原とコミケだけで十分である。
/.を見て気が付いたのだが,今はSC2003の真っ最中なのね。日本からの参加者が帰ってきたら,omni compilerとかがVer.up.されるのかしらん? 楽しみ。