菅谷明子「未来を作る図書館 -ニューヨークからの報告-」岩波新書

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-00-430837-2, \700
 前著「メディア・リテラシー」に続いての第二弾。New York Public Libraryの先進的機能の紹介に留まらず,図書館関係者や実際の利用者へのインタビューがふんだんに盛り込まれており,近年の不況によって財政的に苦しい(Public LibraryではあるがNPO法人)という実情もちゃんと報告してある辺り,何事も過不足なく調査する著者の誠実さが際立つ。
 利用者の望む「本」を無料で貸し出すだけではなく,利用者の望む「情報」を,書籍やThe Internetを介して提供する,という先進的機能は,日本でも浦安市立図書館が実践していることで知られつつあるが,まだまだ全国の行政の認識は甘く,経験を積んだ司書も足りない現状では,そう簡単に普及するとは思えない。しかし,本書で示された「知のインフラ」としての機能は,間違いなくこれから必須のものとなるだろう。
 The Internetが飽和状態にある今,Googleを検索すれば望みのものは何でも見つかる,という夢物語は胡散霧消し,無数の二次的情報の中から信頼のおける数少ない「情報」を求めるリテラシーが求められるようになった。そして,結局,未だに信頼の置ける情報源は,人間である著者が情報をまとめ上げ,人間である編集者が意見を述べて改良した「紙の本」であることが多い。そしてまた,あまたの本から,利用者の望む情報をすくい上げる手助けは,人間である司書に頼る他ないのである。
 図書館よ永遠なれ,と,本書読了後には願わずにはいられない。ああ,著者のマジメさに引きずられて,わしの文までマジメになってしまった。

10/18(土) 掛川・曇時々雨

 ○○行列の論文,大師匠と電話会談を行い,まずは周囲の意見を聞いてから投稿することにする。こと「論文を量産する(という量ではないが)」ということに関しては,大師匠とわしとではπ(radian)意見が異なる。以前にも書いた通り,大師匠はPublish or Perishを卑下する流れを受けており,わしも内心はそうなのだが,長いものには巻かれたい欲望もあって,こういう時には対立することになっている。ま,以前ちと悶着のあった内容であるだけに,大師匠も慎重になるのは致し方ない。わたしゃ「載ればラッキー」と考えているので,このお気楽な態度がまた気にくわないのであろう。
 おやまあ,昨日Threadの話題を扱ったら,後藤さんの記事(PC Watch)が。そうかあ,CPUメーカは一斉にSMT化するのか。またアルファベットのabbreviationが増加するのであるなあ。
 わしが使っているGMPは,ここに挙がった例外を除けばThread safeではある。わしのBNCpackも,大概は引数の精度を貰ってmpf_init2しているから,そのままThread safeを言っていいだろう。となれば,あとは実行効率が問題となる。・・・むむむ,これは実験せねばなるまいぞ。
 早速,日本一の接客態度を目指しながら未だ発展途上の店に行って,CSA直結Intel GbEをサポートしているGA-8IPE1000Pro2の値段を調べる。うーむ,これなら何とかなるな・・・。早速,週明けにでも一台でっち上げて調べてみようっと。
 学生さんから下らない質問が来る。
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ところで質問なのですが、
C:\DOS
C:\RUN
RUN:\DOS:\RUN
とは何を意味するのでしょうか
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以下回答。
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 あまりにもくだらなそうなネタなので調べてみました。Tシャツもあるんですな。
 ザ・シンプソンズにもこれを着用した人物が登場したみたい。
 解説はここを参照。そーゆー歌がアチラさんにはあるんでしょうね。
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10/17(金) 掛川->浜松->掛川・晴

 この日記を書くのはもう3回目である。たまにはIEも使ってみようと始めたのがいけなかった。わしは日本語変換にATOKを使っているのだが,それ故にESCを押す機会が多い。が,IEでそれをやると,今まで書いたForm全部内容が消えてしまうのである。ということで,全部書き直す気にもならないので,簡単に要約する。
 ダブルヘッダー構成の静大非常勤後,コンプマートに寄って,「Rによる統計解析の基礎」(ピアソン)を購入。Octaveのようなヘタレ本かと思っていたら,どうしてどうして役に立ちそうな実用的な解析例が載っている上に,統計の基礎事項の解説もしっかりしている。理工学書は著者の力量によって雲泥の差が出る。同じシリーズなのにねぇ。
 自宅に帰宅後,ボチボチおニューのPC Cluster構成に思いを巡らせつつ,POSIX Thread関係の資料をgoogleで漁る。台数はまだ未確定だが,P4 HT対応マシンになることは確実なので,Pthread化しておけばちったぁSMPマシンもどきのことはできるのかと,虫の良いことを考えているのである。
 ということで,Pthread Programmingの素敵なサイトを見つける。MPIとの連携例まで載っていて,勉強になる。わしにピッタリの内容だなあ,と感心してたら,当たり前であった。HPCでは有名なローレンス・リバモア研究所のサイトであった。

10/16(木) 掛川->東京

 今日はこれからHPC研究会。たまたま講義のない日に当たったので出席するのである。ヘタレ研究者であるわしは,常に他人から刺激を受けていないと仕事をしないのであるからして,スケジュールにちょっとでも空きがあればいそいそと出かけることにしている。逆に,平日のみ数日間の泊まり込み研究会なんてのは,よほどのことがない限り出席しなくなってしまった。多分,来年以降も数値解析シンポジウムには出席しない。・・・他にも原因はあるけど,ね。
 藤田香織さんの新刊は,早くても今月末の出版だそーで,ちょっとがっかり。でも,買っちゃったらその日一日は仕事にならないだろうから,ちょーどテンパってるこの時期に出なくて幸いかもしれない。
 その代わりというわけでもないだろうが,山田ズーニーさんの新刊が筑摩書房から出版されるようだ。毎回,自分の感情の動きを偽ることなく表現し続けてきた人だから,ほぼ日のコラムも大概読むようにしている。どーも自分が感情多寡の人間なので,「わし」の出てこない論理一辺倒の文は好きになれないのだ。その点,ズーニーさんのはちゃんと自我が出ていて,それでいて合理的な結論を導いている,その思考の過程が素晴らしいと毎回感心しているのである。
 今回の新刊の装丁は,ちくまではおなじみの南伸坊さん。江口寿史は湯村輝彦から「センス」というものを学んだと言っていたが,わしの場合は伸坊さんからそれを教わった。確か日下潤一だったかが「南さんの装丁は,何もしていないような印象を与える」と言っていたが,全くその通りである。それでいて,「あ,これは伸坊かな?」とすぐにピンとくるデザインになっているのが「センス」なんだよね。このレベルになると,真似しようという気には全くならず,脱帽する他ない。
 おお,うだうだ書いているうちに新幹線の始発の時間が近づいているぞ。ではこの辺で。

10/15(水) 掛川・晴

 朝からピーカン晴れ。でも日中はせいぜい20℃程度しか気温が上がらないとのこと。秋深し。
 ふーん,BOINC(ボインク?)ってのがあるんだ。これは使えそうな・・・。某が来れば,真面目に考えてみよう。
 ○○行列の論文,下書きをなんとかでっちあげる。明日,大師匠と相談。
 寝ます。