引越予告

 ケツに火がついてしまったので,今週末にこのblogも含めて新しいサイトに引越しをします。つーか,実はすでにコピーはしてあるんだけど,DNS&Mail,そしてMovabletype 4への移行にいまいち自信が持てないので躊躇してました。
 ・・・が,んなゆーちょーなことゆーとられらん時期になっちゃいましたので,土日にかけて作業を行います。もしこのblogが見えなくなったら,「ああ,移行に失敗したんだな」と笑ってくださいませ。
 んでは。

11/29(土) 掛川・徹夜

 うう~,久々の完徹~。もー,とりあえず動くようにはしたからあとは何とかしなさいよね>N君
 さて,次は奴の課題か・・・ちょうどProcessingのVersion 1.0がリリースされたとこなので,これで簡単なのをデモってみるか・・・あ,もうダメ。
 とりあえず寝ます。
 起きました~。午前8時過ぎに帰宅して上の文章をblogに書いたらそのままベッドにばったり。目が覚めたら午後2時でした。あ~,よく寝たこと。とりあえずポイント3倍デーを見逃してはイカンと,食料品の買い出しして,晩飯はカレーを作った際に余ったジャガイモを使って肉じゃが。ちょっと味が薄かったかなぁ。まあ美味しゅうございました。先程風呂に入って,入浴剤を突っ込んで暫く経つと湯垢がバスタブの底に溜まってヌルヌルになっているのに驚いたところであります。風呂掃除は明日に持ち越しってことで人心地付いてます。
 まだ自宅のメインマシン(Athlon64X2 3800+)は使い続ける予定でいたのだが,ここんとこ調子がすこぶるおかしい。まあWindows XP x64という中途半端なOSのせいも多分にあるようなのだが,立ち上がり時に喋るBIOSがうるさくがなって立ち上がらなかったこともあるし,そもそも一度チップセットファンがぶっ飛んだのをそのまま真夏でも構わず使い続けたところに問題があったような気がする。HDDも160GBと,ワシみたいに怪しげなPodcastを沢山聞いている人間には小さすぎる容量になってしまった。
 つーことで,怒濤の師走を乗り切ったらマザーボードやHDDを交換したいと思案中。Core i7のキットが8万程度で買えるようなのだが,職場にゴマンとIntelのQuad-coreマシンを並べているので食傷気味なのである。どーせなら安く売り叩かれているPhenom X4とかの方がいいかな。メモリ8GB載っけても断然安いモンである。これに500GBクラスのSATA HDD入れても5万ぐらいでお釣りが来そう。もうちっと張り込んでディスプレイもチデジ(「血出痔」というのは円丈師匠のネタ)対応の奴にして10万ぐらい出しちゃおうかなぁ。うーん・・・と逃避指向は果てしないモンですね。まあ何にせよ,当今のお誕生日までは死にそうなほどスケジュールが詰まっているので(おかげで毎年恒例の福井行きもお断りしたぐらいだ),それが終わるまではどーにも身動きが取れませんなぁ。サーバの以降作業も12月末がリミットだから,来週にはやっておかねばの娘(古)。頑張りましょう!
 うちの研究室のI君が頑張ってくれたおかげで,トランプ版ソートアルゴリズムの動画教材が完成致しました。以下にリンクを張って,暴言教師の度重なる恫喝にもめげずにリテイクを繰り返してくれたI君の労に報いたいと思います。




 服装の移り変わりに季節感を感じて頂ければ幸いでございます。
 さて,今日はひとまずこれにて。クッキングパパ100巻記念本を買ってきたので,荒岩家の皆様方の幸せをこの不幸なひとりものにも分けて頂きたく,耽読することにいたします。あ~,ここを「マンガブログ」と認識して頂いた方もいらっしゃるようですが,前述なような理由でしばらくまともなぷちめれが書けないかも。すまんこってす。20年遅れて登場したロリマンガ本とか,パチモンとか,いいたいことは山ほどあるのによう。各時間がないんだよう。オリにはよう(ジョージ秋山風に)! 年末にはドカドカ連続アップしますんで,暫くお待ち下さいませ。んでは。

数学ソフトウェアとその周辺の年表

 UNIXの系列をまとめたモンがあって,ワシも重宝に使わせてもらっている。んで,数値計算ソフトウェアとかその周辺のモンを集めた年表というか相関表というか,そーゆーモンが欲しいと思って,知っている知識だけでざっと書いてみた。
history_nasoft_20081119.png
 LAPACKからBLASを分離するのはどーかとか色々ツッコミどころ満載のシロモノだが,誰も作ってないようなので,頭の整理のためにまとめたという次第。西暦・日付が入っていないのはその辺の裏が取れてないから。あくまで感覚で書いてます。
 今度のHPCSのポスターセッションでこの相関表だけ貼っておいて皆さんからツッコミを入れてもらうということも考えたんだが,恐ろしいことになりそうなので思案中。うーん,どうしようかなぁ・・・。

11/24(月・祝) 掛川・晴後雨

 文科省のご指導に従い,15週の講義時間を確保すべく,ハッピーマンデーもなんのその,本日は講義日でございます。卒研も佳境だから都合がいいっちゃいいんだが,何か腑に落ちないものを感じる。国民の祝日に休めなくしておいて,何がハッピーマンデー何だか。実効性のない休日を増やすより,有給休暇の消化率を上げるとか,講義時間を13週~15週とある程度弾力的に取るとか考えてもらたいモンである。学力が低下しているのはお役人の頭の方じゃないのか?
 メンドくせー,作る気が起こらん~,とグダグダ言っていたバーチャルモールのスクリプト,E君があっという間に作ってくれた。優秀な学生さんに恵まれて,ワシは幸せです。ありがとうございますぅ~。ってことで,ワシは趣味の数値計算に邁進するのであった。
 おおっ,LAPACK 3.2が出たか~(ソースはこれ)。単精度・倍精度混合反復改良法のルーチン([DZ]SGESV, [DZ]SPOSV)も入ってます。ん~,LAPACK 3.1で間に合わせ的に作ったワシのプログラムと比較してみると・・・全く一緒じゃん。当たり前だけど。しかしまぁ安全パイをしまくりのコードだなこれ。悪条件問題にぶち込んだらてきめんに遅くなるぞ。使用に当たってはあらかじめ条件数を計算しておきましょう>使用したい人
 4倍精度(double-double)が使いたい人も,XBLASが入ったので使用する価値がありそうですね。誰か解説を書いてくれんかのう。
 ふーん,TrobjornさんはDr.取りに行っている訳ね。つーか,今まで持ってなかったってのが不思議なぐらい。GMPつーよりmpnカーネルに依存している多倍長ライブラリがどんだけあるか,全くこういうCPU毎のチューニングって超職人仕事は頭では簡単だと思っても,実際やるのは大変なんだよねぇ。まあちょっとぐらいGMP 4.3のリリースが遅れるぐらいは当然ですな。頑張ってDr.を取って下さいませ。ついでにGMPのAcademic Paperが出るのも楽しみにしてますぜ。しかしまあこのチューニングぶり藤原さん以外の追随を許しませんね,ホント。
 ボチボチやって寝ます。

とり・みき「冷食捜査官1」モーニングKC

[ Amazon ] ISBN 978-4-06-372756-2, \619
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 金で金を動かしていた連中の化けの皮がはがれる前から,この国の出版界は沈滞気味になっていた。竹熊健太郎という日の本一の饒舌な男は既に死んでいる状態であると主張していたが,そのいくぶん楽しんでいるような高いトーンのおしゃべりの内容を頭で理解するより先に,敏感なこの国の連中は差し込むような懐の痛みを感じるようになっていた。
 自分を支える地面がカズフサ共々ゴゴゴゴゴという地響きを立てて沈んでいく気分が蔓延してたのは間違いない。しかし,沈むものがあれば浮かぶものもある,ということを,抜け目のない奴らは察知していた。日本が海に沈んだら奈良の大仏は浮かぶだろう,ということを指摘していたトニーたけざきは折角の慧眼をギャグにしか生かさなかったが,講談社には沈む漫画界においても決して沈まないコアなファンの付いているマンガ家を商売に結びつけようとした編集者が,少なくとも一人は在籍しているらしい。ミステリー雑誌「メフィスト」にとり・みきの作品が登場したのも驚かされたが,旧作も含めて「猫田一金五郎の冒険」として一冊にまとまったのを掛川の本屋で見た時には,枯れた涙腺に刺激を感じた程だ。そして看板青年雑誌「モーニング」に登場した時にはあのジャーナリスト・武田徹も日記で言及(2008-09-21)するほどの事件となり,今回遂に講談社モーニングコミックスの一冊として本書が上梓された。
 俺は予言というものを信じないが,蓋然性の高い合理的な論というものには一定の信頼を置いている。この東洋の片隅の国には「とり・みき」という5文字に反応する輩が,少なく見積もっても数万単位で存在していて,そいつらはこの先こぞってUTF-8やShift JISで記述された検索可能な本書に関する電子情報を砂漠のデータセンターへ送り出すことになる,というのは予言ではなく後者に該当するものだ。コアなファンが存在することは,1979年の週刊少年チャンピオンに「ぼくの宇宙人」が掲載されて以来実証され続けてきたのだから。
 ハードボイルドという形式に,俺は全く親しんでこなかった。谷口ジロー&関川夏央の「事件屋稼業」がそれだというなら,それしか知らない,という程度だ。この冷食捜査官シリーズがハードボイルドのパロディであるという言説には,肯定も否定もする資格が俺にはない。パロディではないオマージュだ,いや,とり・みきにとってのハードボイルドそのものが本作なのだ,と言われても同じだ。
 もう一度言っておく。本作と「ハードボイルド」という表現形式との関連について,判断をする資格が俺にはない。関心もない。そんなものを議論して欲しがる奴らの気持ちが,俺には分からない。
 本作は面白い。俺にとってはそれだけで十分だ。遺影のように黒縁で塗りつぶされたA6版の一ページ一ページは重苦しい雰囲気を漂わせると同時に,この黒縁の中だけに俺たちの視線を釘付けにする。コマの一つ一つに詰め込まれた細かい物言わぬギャグの読みとりにマニアを熱中させて止まない。マニアではない俺でも,しょうゆ豚弁当のパッケージ(P.170 2コマ目)を見つけて心が浮き立つのを抑えることが出来なかった程だ。この弁当については吉田戦車が言及してたのをたまたま知っていたからだ。恐らく,他にも俺が気づかないギミックが本書には大量に詰め込まれているのだろう。あと2,3回は再読して未発見のそれを見つけていくつもりだ。
 とり・みきのマンガ家としての活動が少なかったミレニアム前後の時代,彼はSF作家クラブで事務局長を務め,歯槽膿漏のタコ(イカ?)を各種のマンガに登場させる手伝いをし,吉田保や江口寿史とクラブで円盤を回して若い男女を恍惚とさせつつ,吉田戦車と伊藤理佐を山登りに連行して結婚させてしまった。いわば,マンガ・SF業界における黒幕として暗躍してきたのだ。黒幕というには目立ち過ぎだと思うが。
 その一方で,「遠くへ行きたい」をひっさげてフランスに殴り込みをかけ,国際的にもこのサイレントな笑いを届ける努力を惜しんでいない。「わしズム」には重苦しい不安だけを抜き出した作品を掲載させ,気が付くとどこかに「遠くへ行きたい」の9コマが載っていたりする。国内的にも寡作ではあるが静かにマンガ家としての営みを続けていたのを時折目にし,デビュー作以来ストーカーのように後を付けていた俺もそのしぶとさには感心させられた。それもこれも,俺のようなとり・みきストーカーが万単位で存在していたからこそ可能な活動だったことは,とり・みき自身も自著で言及している。
 その結果として,沈滞するこの国の漫画界においてその沈まぬ存在がクローズアップされてきたのも当然のことだ。俺としては逆にモーニングのようなメジャー青年誌までもが,とり・みきという碇にすがってきたことに驚きを感じる。ファンとしてはめでたいことだが,冷食捜査官が農林水産省の事務次官に昇進しても,一流新聞の三面記事になることは期待できない。初芝ホールディングスの新社長のような大衆的人気を得るとは思えない。とり・みきは,秋田書店から出ると決意した時から,そのような路線を自分から忌避してきたマンガ家だからだ。そんなマンガ家にまですがらざるを得なくなったこの日本の漫画業界の行く末が,俺としては少し心配になる。
 しかし,業界がどうなろうと,とり・みきは変わらずマンガ家を組織し,バツイチカップルを誕生させつつ,サイレントな笑いを書き続けるに違いない。
 俺はもう業界の心配するのを止めて,冷食捜査官の旧作が収録された「犬家の一族」(徳間書店)との比較対照作業に入った。そして,本書P.73のセリフ(4コマ目)にある誤植が取り除かれた次の増刷本が刊行されるのを静かに待つことにした。
(注)誤植は他にもあるようだ・・・みんな細かいよな。