January 30, 2005

内田樹「先生はえらい」ちくまプリマ―新書

[ bk1 | Amazon ] ISBN 4-480-68702-5, \760

 ただでさえ過熱気味の新書戦争を更に混迷に陥れるべく刊行が開始された「ちくまプリマ―新書」の,記念すべき第一弾の中の一冊がこれである。ターゲットはどうやら中・高校生であるらしい。確かに本書を見る限り,ページはスカスカに行間が空いているし,オジサンにとってはうざいほど漢字にルビが振ってあるし,文章も改行が多く,大変分かりやすく記述されている(これは内田先生だからなのかもしれないけど)。誠に「正しい中高生向け」新書であると言える。それ故に,本書がターゲットとなる若い彼らに読まれることは,まあまずないであろう。
 大体自分がその頃にそーゆー清く正しいジュブナイル本を読んでいたか,思い出して見るがよい。ワシの場合は,活字ばっかりの本を読むようになったのは中学1, 2年の時に父親から「ええ加減に字の本を読め」と言われて江戸川乱歩の猟奇物を薦められてからである(こんなものを薦める方も薦める方だが)が,読書の大部分は漫画で,たまにSF,当時の御三家である筒井康隆・小松左京・星新一に眉村卓や高千穂遙を読むぐらいであった。高校生になってからは生意気にも寺田寅彦随筆集なんぞに手を出して,「将来,学者になったらこういう落ち付いた文人になりたいものだ」と出来もしないことを夢想していたりしたのである。決して岩波少年少女文学全集やポプラ社の偉人伝なんかを面白く眺めたりはしなかった。むしろ精一杯背伸びをしようと,かなり無茶をして大して理解出来そうもない歴史書を読んだり,逆に高ぶる性欲を満たすべくそーゆーイケナイ方面のものに手を出したりしていたのである。そんなもんじゃないですか,若い頃は。従って,この新書の真のターゲットはもっと上の世代であって,あれこれ経験して痛い目にあった挙句に「ちょっとは初心に返ってみようか」と思い始めるあたりの人間が読むべきものとして企画されたに違いないと,下種の勘繰りをしているのである。

 大体,ワシらは教師が薦めるものをおとなしく読むような世代ではないのである。ちょうど「荒れる中学校」の時代にあって,実際に隣の組の担任教諭が校内暴力を受けたりしていたのを見たとあっては,「先生」は「センセー」あるいは「センコー」と呼ばれるべき無機物でしかなく,世間的な「タテマエ」としてそこに存在していないと面倒なことになるだけの存在であった。そんな世代であるから,一応教師となった現在でも,自分が奉られるエライ存在であるとは全く思えない。今ではどの大学でも受講学生にアンケートを取るのが一般的となったが,導入当時は随分と抵抗があったらしい。確かに厳しく怒鳴ったり指導したりすればアンケートには無茶苦茶に悪口を書かれるが,それに対して個人として「このバカッタレが」とは思うのは仕方がないとして,「そういう評価をされること自体が教師の評価を下げる」とか威厳がどーの指導力がこーのという議論が教師側から出たのを聞くと呆れ返ってしまう。自分の思いや教育的配慮がどうあれ,それを受け取るのは学生であって,アンケートの集計結果が示すものは紛れもなく,学生の反応そのものである。自分が教室で語り動き怒鳴り書いたことに対しての責任ぐらい引き受けたらどうですか,センセー方,いや,センコーどもよ,とワシは思っているのである(下っ端なので公の場では言わないけどさ)。
 
 「センコー」が「先生」に格上げされ,その上に「えらい」という形容詞が付くようになるには,学生さん達に「先生はえらい」と思ってもらうしかなく,それは教師の方があれこれ行う努力の成果だけでは決して得られない・・・ということは,すいません,ワシも教師になって10年経ちますが,ようやく分かってまいりました。従って,本書はワシにとっては少々「くどい」内容であり,まあウチダ節ファンとしては楽しめたが,新しい知見が得られたかどうかははなはだ怪しい。
 逆に,ワシみたいなボンクラ教師が10年経た経験を持って,「本書は正しいことを言っている」ということは保証できるのである。だから,うーん,やっぱり中高生には納得してもらうのは難しいんじゃないのかなぁ,この内容。やっぱり,筑摩書房の真のターゲットはもっと上の若手社会人あたりなんじゃないかと,思えて仕方がないのである。

Posted by tkouya at 12:11 PM

1/30(日) 掛川・晴

 天気晴朗なれども風強し。典型的な冬型で,これから2月3日ぐらいまでは冷え込みがきつくなるらしい。うーむ,まあこっちはいいけど,日本海側は大変である。

 某研究会MLで流された数値解析シンポジウムの案内,相変わらず間違えたままである。今度はきちんとチェックしておこうと,実行委員からの返事を待っていたら痺れを切らした先方がさっさと流してしまったという次第。重大なミスではないが,ちょっと気持ちが悪い。次回流してもらうときにはちゃんと直さなきゃぁ。

 IPSJから査読依頼が来る。ひーん(泣),自分の論文が落っことされてるのに,人様の査読やっている場合かよ,とは思うが,前に査読した縁がある人のものらしいので引き受けることにする。こうして自分の仕事は後へ後へと流されていくのであった。

Posted by tkouya at 11:04 AM

January 27, 2005

1/27(木) 掛川・?

 卒研,ボチボチ終了気味。約一名,まだ概要が上がっていない。君のことだよ>Kクン。来週早々に発表練習第一回目。もう一息かな。

 Movable Typeに脆弱性が見つかった(Internet Watch),という記事をあちこちで見かける。どーせコメント機能は使っていないし,突っつかれる恐れはないのだが,一応対応パッチをインストールしておく(詳細はこちら)。ちなみに役に立たない検索機能は外して,Googleさんにお任せする修正も行う。

 うーん,やっぱり先方はワシの修正ではお気に召さないらしい -> Try MPFR!。きちんと修正するには,parser部分からきちんと書き直さないと駄目なので,もう少し時間をくれと返事を出す予定。とりあえず,MPFR開発者当人の言うことにはしばらく付き合ってみたいしね。

 Win64 RC1の日本語版リリース(PC Watch)・・・IntelもEM64T enable CPUを出したんだから,せめてRC2ぐらい出して欲しいものである。それとも一気に正式リリース,か?

 寝ます。

Posted by tkouya at 09:16 PM

January 26, 2005

1/26(水) 掛川・?

 げげっ,Smithfieldが第2四半期に前倒し出荷(PC Watch)。しかも安いぞ・・・うーむ,これは楽しみである。あ,やっぱり後藤さんもWin64は正式リリースを故意に遅らせている可能性があると思っているのか・・・まあここへ来てIntelがEM64Tの大攻勢だもんなぁ,なんか繋がりはあるだろうと誰でも考えるだろうて。
 折角,自宅のPCをP4(Northwood)にしたばっかりなのに,また夏には取り替えたくなっちゃう・・・が,Win64次第かなぁ。

 Web学科人気(朝日新聞)。いや,そもそもLivedoorと楽天って,HTML書けるとか,デザインがカッコいいとか,CGIやDBが扱えるからできるってもんじゃないと思うが。大体,経営者の二人って,技術方面というよりはマネージメント面で優れている人ではないかと思うのですが。
 そのあたりは記者も分かっていると見えて,コメントを「希望格差社会」の山田先生に取っている。なんか,ちょっと朝日のエリート臭も感じるのは考えすぎだろうか。

Posted by tkouya at 06:27 AM

January 25, 2005

1/25(火) 掛川・?

 切羽詰ってきたぞ。うーむ。

 EM64T対応P4単体販売開始(PC Watch)。Windowsの64bit版,正式リリースはいつになるのであろうか。Intelの準備は整ったから間近いとは思うのだが。

 突っ込みが入っていた"Try MPFR!",微修正。ものすごーく安易な解決策を取る。突っ込みの張本人にはreplyしておいたが,easy Japと思われたであろうか。だけど区間解析しろって言われてもねぇ。いいじゃん,簡単な方が。

 寝ます。

Posted by tkouya at 08:20 PM

January 23, 2005

1/23(日) 掛川・曇かつ頭痛

 バファリン様のお力にすがって,すこし鈍痛が取れたところである。昨日の昼寝が原因であることははっきりしている。うーっ,HPCSが終わって気が抜けたせいであろう。散髪へ行ったあとイチゴ大福をほおばってもしゃもしゃやっていたら眠くなりつい・・・という次第である。

 自宅のログチェックをしていたら,どうやらMPFRの本家からリンクされたらしいことを知る。んっとに,MPFRの中心人物であるPaul Zimmermannという人,この分野では有名な研究者らしいが,MPFRの評判にもセンシティブなお方であるらしい。お知らせしておこうかなぁ,どうしようかなぁと逡巡しているうちにリンクされてしまった。・・・と本人には読めない文字で書いてもしゃーないから,へたくそ訳をつけておこう。

When I was cheking logs on my website, I found the linking to my traslation of MPFR manual from MPFR developers website. Oh, Paul Zimmermann, the centeral key person of developping MPFR, would be sensitive to information about his MPFR. Probably, he would often use google to search that about MPFR.

・・・最後がちょっと(か?)違うが,まあいいだろう。

 とか気楽に書いていたらご本人からメール届いた~(驚愕)。って翻訳のことではなくて,例のStegun & Abramowitzの件に絡む話・・・いいじゃんかよ,10進二桁ぐらい違っていてもよ・・・ということが許せないらしい。つまり"Correctly Rounded"な結果を返すようにワシの"Try MPFR!"を修正しろということである。彼が例に挙げているのはprec=64bitで,6 * PI - 7 * exp(1)を計算した場合,あんた(つまりワシの"Try MPFR!"は)のプログラムは-1.784168776745572171e-1を返しているが,10進19桁で出力するなら
-0.178416877674557216が正しいという。つまり末尾2桁が違っているので直せっつーことらしい。
 うーん,この切羽詰った時期に―,あんたって人はもー,極東の木っ端研究者が暇に明かせて作ったCGIぐらい大目に見てくれてもいいじゃんかよー・・・などという言い訳は通じそうもないので,2月上旬をめどに何とか直すことにしたい。しかし・・・鬼だね,ホントに。

 少し頭の中の霧が晴れてきたようなので,ボチボチやりますか,計算。

Posted by tkouya at 10:00 AM

January 21, 2005

1/21(金) 掛川->浜松->掛川・曇

 非常勤の講義も残り2回である。ボチボチ○○の準備もせねば。

 LCDが届く。うーむ,明るい・・・が,クリアすぎるせいか,線が細くなりすぎるような気がする。

lcd.JPG

 おかげで今月は早くも金欠である。節制せねば。

 MPFRに参考文献として載っていた"Elementary Functions --- Algorithms and Implementation"が届いたので,浜松への往復中につらつら読む。うーむ,MPFR Teamが参照するだけあって,これはさすがの名著である。この分野でまとまった著作のうち,最近のものは「近似式のプログラミング」(1995年)や"Software Manual for the Elementary Functions"(1980年)があるが,これらは著者の長年に渡る研究成果をまとめたものであるのに対し,本書は入門的なところからやさしく(といっても一通り微分積分や数値計算の知識は必要だが)説き起こし,古い文献から新しい文献まできちんと網羅している。何より英語が端正であり,ワシみたいに英語力のない人間でも文意が取りやすい。これはめっけもんの本であった。"Exact Rounding"の意味もよー分かった。うん。

 おやま,Stegun & Abramowitzの数表にもイマイチ精度が足りないところがあるのであったか。しかし,あの時代(1965年・・・って40年前か)にこれだけの精度を得ているってのはすごいよな,と先人の労作に改めて感動する。

 寝ます。

Posted by tkouya at 09:49 PM

January 20, 2005

1/20(木) 掛川・?

 げんなり。今日はワシの事務処理に関する無能さを日本中の研究者に露呈した記念すべき日となったのであった。つまり,予定通り,某シンポジウムのFirst Announcementを発送したのであるが,大失敗を2連発やらかしてしまったのである。
 まず,日時を間違えた。これは当然ご指摘を受けた(A県のO先生と,学会ML担当のF先生から)。
 そして,昨年度の書式をそのまんま使ったことが思いっきりばれてしまうようなミスもやらかしている。傑作なのは,これらのミスについてワシも含めて実行委員の誰一人として気がつかなかったことである。うーん,大丈夫か,このメンバーで。
 まあ利点としては,今後,ワシに事務処理を任せようという人物が現れることはないであろうということが挙げられる。も,金輪際やらん,やっても責任は取れん,と明言しておくことにする。

 地元のPC小売店から,頼んでいたLCDが届いたという連絡が入っていた。明日早速取りに行くことにする。職場では19inch Dual(LCDとCRT)Displayの環境だが,翻訳をやりだしてからは自宅でもその環境を欲するようになっていたのである。TexinfoやTeXソースの翻訳作業が殆どであるから,訳した端からコンパイルしてプレビューし・・・といった作業を繰り返すことになる。こうなるといちいち全部プリントアウトして・・・などとはやっていられない。原文,翻訳文を見比べつつ,バリバリと訳していかないと作業がぜんぜんはかどらないのである。
 というわけで買ったのは三菱のLCDである。テカテカ画面は性に合わないのでこれになった。4.5万円という値段,一昔前を考えれば安くなったものである。

 どっと気疲れしたので,ボチボチ寝ます。

Posted by tkouya at 09:05 PM

January 19, 2005

1/19(水) 東京->掛川(予定)・?

hpcs2005-poster.JPG

 ふー,一番暇なポスター(原版はこちら)になるであろうと予想したポスターセッションでも,結構来客があって喋りまくり,懇親会は30分ほどでさっさと切り上げて宿に戻り,風呂に入って昨日は終了した。これで今年最初のお仕事はおしまいである。今日はボーっと人の話を聞いていればよい。
 第34回数値解析シンポジウムのWebページもH先生にuploadして頂いた。ありあとやんした。明日中にFirst Announcementを発送してしまう予定。これで2月下旬までは仕事がない。CGIのチェックは毎日必要だが,その程度である。formmail spammerの来襲がちと怖いが,どうなりますやら。

 さて,朝飯食って出発しよーっと。

 ただいま。久々にうまいもん食ってきたので今夜はぐっすり眠れそうである。という訳で寝ます。

Posted by tkouya at 11:47 PM

January 17, 2005

1/17(月) 掛川・?

 昨日から今朝にかけて,CGIやら何やらでドタバタしっぱなし。卒論指導をしながら午後に突入し,3年生のゼミを終えて,卒研で作ってもらったCluster操作用CGIをsudoコマンドを利用して動作するようにする。はーっ,疲れた。

 Cluster用CGIは今のところこんな感じである↓。

cs-pccluster2-cgi.gif

 ID, passwordを入力してloginすると,Edit Frameが現れてTextareaにソースコードが書き込める。この画面では隠れているが,あらかじめユーザ側で作ってあったソースコードファイルをuploadすることもできるようになっている。
 使ってみるとこれが便利なのである。わざわざ実習用のIDをUNIX accountとして発行する必要がないので,実習準備がかなり楽。排他処理にイマイチ難点はあるが,ボチボチ直していけばいいか。

 卒研はなるべく学生さんの自由意志に任せようと思ってきたが,そろそろ考え直すべき時期にきているようだ。ということで,次期卒研生には限定的なテーマを与えておくことにした。

 Webのアクセスログを見ると。ndl-japan-research-robot-1.1などという輩が日記からWeblogからすべて掻っ攫っている。国会図書館が計画しているデジタルアーカイブの準備作業のために動作しているRobotだということである。詳細は「デジタルアーカイブのための日本のウェブサイトの実態調査」をご覧頂きたい。
 ま,収集はいいとして,公開はどういう手順を取るのかなぁ。まあ公開しているコンテンツであるから,それほど文句は出ないにしても,古い情報をいつまでもcacheされても困る人もいるだろう。結果が楽しみである。

 さて,HPCSの資料を作って風呂入って寝ますか。明日は早いし。

Posted by tkouya at 08:13 PM

January 15, 2005

1/15(土) 掛川・曇時々雨

 関東の方では雪が降ったそうだが,静岡では雨で済んだようだ。暖かい土地に住んでいて良かった。

 ながーい監督業務が終わってから某CGIを設置する。よく出来ているので設定はあっさり済んでしまう。メール発送元は全部幹事の名義にしておくという邪悪な設定する。このぐらいのことは引き受けてもらわないとイケナイ。とりあえずひと段落してホッとする。あんがとやんした>H先生

 さて,明日は頑張って今度こそ計算しなきゃ~。

Posted by tkouya at 09:24 PM

January 14, 2005

1/14(金) 掛川->浜松->掛川・曇

 ここんとこ久しぶりに寒い日が続いている。静岡に来てからはたるんだ冬が多く,「しばれる」ことは殆どない。不幸にして,明日は雪が降るらしい。どーなることやら。JRが止まらないことを祈るばかりである。明日・明後日はは全国の大学の教師がピリピリするイベントがある。ワシの担当も明日。しんどいなーっ。

 巨大な陰謀がワシを包囲しつつあるようである。んっとに,ワシは性的じゃない静的コンテンツを作れば終わるはずだった某シンポジウムの仕事が,何故かCGIやらMail発送やら郵送までやらされる羽目になりそうである。CGIは幸い某(ばっかりやな)H先生からご提供頂いたのでそれを使うことになるのだが,こっち側のサーバに仕込まねばならないのが面倒である。明日か明後日にはやっちまわないと。くわーっ,大体その手の仕事は幹事の先生のお知り合いの会社にやらせるんじゃなかったんかいっ!メール発送やFirst Announcementの文面とかはS大(うちもS大だがうちよりも格段に○○な所)メンバーでこなすんじゃなかったんかいっ。話が違うっ。泣き言をメールしても,その話題だけは全員申し合わせたように沈黙しやがるし。絶対これは陰謀だ。CIAかKGB(まだあるのか?)かMI6か内閣情報調査室がよってたかってワシを落としいれようとしているのである。うーっ,HOKKEの準備が~,これはHPCS2005の最中にシコシコプログラミングしなければならないではないかっ。

 そーいや,杉田かおるが結婚するってんで,さんざんTVのワイドショーで「負け犬」という言葉が飛び交っている。しかしなーんか,杉田かおるに「負け犬」って言葉を使うのは違うよーな気がするんだけどなー。酒井順子の定義だと「バリバリに仕事している未婚キャリアウーマン」なんだが,ワイドショーの使い方では「過去にいろいろ合って落ちぶれたが今はそれなりに順調な生活を送っている訳あり未婚女」というニュアンスである。「負け犬」が「玉の輿」に乗ったという言葉遣いだと,そーゆー意味に取れてしまうのである。キャリアウーマンが玉の輿に乗る,ってのはあんまし言わないだろーしな。

 っと,明日早いので寝ます。長いんだよな~,監督業務ぅ~。

Posted by tkouya at 09:12 PM

January 12, 2005

1/12(水) 掛川・?

 さて,懸案の翻訳ができたので,次の翻訳に取り掛かることにする(ちょっと手をつけたところだ)。前に一度挫折しているので,以降ここに報告が上がらなければ,また放り投げたと思いねぇ。MPFRの翻訳が実質2週間程度で上がったので,今度の翻訳の完成は順調に行って2ヶ月はかかる。これからあれこれと用事が入るので,そう時間は取れないだろうから,おそらく完成は早くても5月下旬と予想される。ま,そんなもんでしょ。真面目に取り組めば修論レベルかなぁとは思うが,はて,出来上がりはどんなモンやら。誰か他にやっている人がいないのかと思ったが,Googleってワシの原稿が最初に出るようでは話にならない。使っている連中はゴマンといるはずだが,ね。ほーんと,Freeっていいように搾取されてるよなーっ。Opensourceって叫び声の大きい連中の,一体どれほどcontributeしているのやら。

 しかし,エーゴってほんとに使ってないとさび付くわい。ちまちまとでもいいから,毎日少しずつ作業しなきゃいかんわねぇ。

 さて,HOKKEの準備もしなくちゃ。

Posted by tkouya at 09:15 PM

MPFR 2.1.0 Manual

 でけたので公開します。オリジナルはMPFR 2.1.0のマニュアルです。GFDLの日本語訳は八田氏のものをそのまま利用しました。また,コンパイルに際しては角藤氏のpTeX for Win32とtexinfo.texを利用しました。
 
 [ Sources, DVI, PDF, HTML ]

 翻訳のバグ報告はマニュアル内のメールアドレスまでお送り下さい。

Posted by tkouya at 09:04 PM

January 11, 2005

1/11(火) 掛川・?

 こんなにメールを書いたのは初めてというゴタついた日。というわけで順調には行きませんで,半分しか最終修正作業ができてないでやんの。翻訳uploadは明日を予定。では。

Posted by tkouya at 09:19 PM

January 10, 2005

1/10(月) 掛川・?

 半日うだうだした後,MPFR(おっ,ロゴがカッコよくなっている)のマニュアルの下訳を完成させる。2/3をチェックし終わったところでいやんなってこの日記を書いている。
 しかし,せいぜいA4用紙30ページの文書なのに,翻訳するとなるとなかなかに面倒である。面倒の理由の多くは英語力がないせいなのだが,texinfo文書に日本語を挿入してコンパイルするのも詰まらんところで引っかかったりして厄介である。だが,一番厄介なのは,IEEE754互換にするための仕組みの解説で,そのほとんどがNaNと+Inf/-Inf, +0/-0をどう扱うか,という説明なのである。実際に数値計算する上ではこんなもんどーでもいいことなのだが,規格として整合性を持たせるにはこういう特殊数の扱いをびしっと決めておかねばならんのである。ああもぉ,勉強にはなったけど,あんまし研究の役には立たないよぉ~・・・訳したあとでわめいてもしゃーないのだが。
 順調に行けば,明日の夜にはupすることができるでありましょう。upしてなかったら順調でないと思いねぇ。

 ではボチボチ寝ます。

Posted by tkouya at 09:25 PM

January 07, 2005

1/7(金) 掛川->東京・晴

 うむうむ,ボチボチこのWeblogのPageRankも微妙に上がったようで,「数学力をどうつけるか」,「夢路行」,「評論家入門」などで検索すると大体トップのページか,2ページ目には登場するようになっている。さすがにメジャーどころは厳しいけど。継続すりゃ,そこそこの所までは行く,という見本であろう。

 さて,そろそろ始発の新幹線が出るので,出発します。帰宅は明日の終電を予定。んでは。

Posted by tkouya at 06:04 AM

January 06, 2005

1/6(木) 掛川・曇

 仕事始め早々,正月休みにこなせなかった仕事に苦しめられている>ヲレ。早速HOKKE2005の準備を始める。確かもう締め切ったはずだが,今回は何人ぐらい参加するのかなぁ。

 Dual Opteronマザー搭載のCubeタイプベアボーンキット(Akiba PC Hotline)。うーん,そんだけのCPUパワーがありながら100BASEどまりってのは解せないぞ。ギガニぐらい乗せたらどうだ? いいんだ,ワシにはSmithfieldがあるもん(予定通り出るんだろうなぁ>Intel)。

 では行って来ます。

Posted by tkouya at 08:00 AM

January 05, 2005

1/5(水) 掛川・晴

 ああ,正月休みも終わってしまった。今日は会議があり,明日はセミナーがある。明後日からは東京である。
 今回の年の瀬から正月を振り返ってみると,テキスト執筆は前半ちみっとやっただけでストップ,最後の最後にGladmanさんに連絡を取ったぐらいで,ろくな仕事はしていない。それでも例年に比べれば体調も悪くならず,TVもロクに見ず(録画分は良く見たが),この日記もぷちめれも一杯書けた,特に後者は約束通り一日も欠かさず7冊紹介できた。よって,1勝1敗,まあまあといったところであろうか。

 これから先も,間が空いたり,と思ったら毎日書き込んだりと,不定期にボチボチこのWeblog(すっかりBlogという言い方が定着しているが)を続けていく予定である。今年も宜しくお願いいたします。

 ではそろそろ職場に行きますか。

Posted by tkouya at 07:37 AM

January 04, 2005

1/4(火) 掛川・晴

 普通なら今日は仕事始めなのだが,うちの職場は明日からである。ちょうどいい機会なので,今日は銀行やら買い物やら雑事を済ませておくことにする。今週末には忘年会転じて新年会が東京であり(オスの負け犬脱却予定者1名とオスの負け犬2名しか集まらんが),HPCS2005(HPC研究会のトップページ,いつになったら直るのか),HOKKE2005,FIT2005・・・と,これから年度末にかけてのドタバタを乗り越える前哨戦として,まずは資金(学会年会費+自動車税)と当座の食料を確保しておこうという作戦である。

 燃えるゴミの初回収日なので,年末から正月にかけて溜まった生ゴミ二袋を抱えて徒歩10秒のゴミ集積所へオスの負け犬は歩いていたと思いねぇ。折悪しく,「クリーン推進委員」なる蛍光色の帽子をかぶったおじさんが自転車で到着し,わしに話しかけてきたのである。「(地響きのような低周波で)むーん,まーったく困った奴があるもんだ・・・(集積所の外に放り出してあったゴミ袋を指して)時間前に出す奴がある・・・」と恨めしそうに言うのであった。この台詞,ワシには次のように聞こえたのである。「大体,こういう礼儀知らずはあんたのアパートに住んでいる奴に決まっているんだ。いい加減,何とかしてもらいたいが,出入りの激しい所だし,住民同士の連携なんて全く期待できないから,あんたに言っても詮無いけどね・・・何とかならんかね・・・」。
 どーもすいません,その通りでございます・・・と内心ヘコヘコしつつ,クリーン推進員のおじさんから解放してもらってこれを書いているという次第である。

 うーん,(NHK朝のニュースを見ながら)吉永小百合も還暦かぁ・・・どう見ても40代にしか見えんがなぁ・・・壇ふみ言うところの「化け物」の見本みたいな人である。

 Gladmanさんからすぐさま返事が来る。おーし,オーケーが出たぞ。さて明日にはWebページにアップするか。

 正月休みの最後は,ゆとり教育批判への嫌味で締めることにする。

Posted by tkouya at 09:20 PM

戸瀬信之「数学力をどうつけるか」ちくま新書

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-480-06190-8, \700

 本書は二つの意味で失敗作である。長年,数学力低下を憂い,率先してその危険性を訴えてきたグループの強力な一員が書いた本であるだけに,そしてその内容の多くに首肯できるだけに,誠に残念である。筑摩書房はどうしてこのような本を出版してしまったのだろうか,もしかして,本書で批判されている,同じちくま新書から一足先に本を出している市川伸一の援護射撃になることを見越した上で,編集者はこの本を出したのではないか・・・そんな下種の勘繰りをしたくなるぐらいの失敗作である。

 まず,本書はタイトルで失敗している。本書の大部分は「ゆとり教育批判」であり,もちろんその結果として「(これから成人となる日本人の)数学力」をつけることになる訳なので,読了した後にはタイトルの深遠さが理解できるのであるが,営業的には如何なものか。ワシが本書を買ったのは,著者名ではなくタイトルに惹かれたからである。それは,ハウツーものとしての「数学力のつけ方」を伝授する本だと思っていたからである。日々教育に悩む同業人として何か参考になるところがあるかな・・・と軽く考えて買ってしまったのである。装丁で分かるような単行本ならともかく,装丁はちくま新書全体で統一されたものであり,腰巻に「日本の学力を立てなおす!」と書いてあったって,それはいつもの営業的壮語だな,と一顧だにしない訳で,こんなに壮大な数学教育論ならもっとふさわしいタイトルを付けるべきであった。この点,分かりやすい単刀直入なタイトルである「学力低下論争」に負けている。

 そしてこれが肝心なところだが,市川伸一の批判をするならもっと敵を知ってからやるべきであった,ということが挙げられる。まあ,市川が討論会での戸瀬の発言を捻じ曲げた,なんていうレベルのことに終始しているのなら別段構わなかったのだが,ゆとり教育論者,というより,日和見主義者として批判(P.184~191)しているのである。そうなると,本書より先に「学力低下論争」を読んでいたものとしては,市川のこの文章がどうしても思い出されるのである(「学力低下論争」P.190から)。

 「人が論争に多大なエネルギーをかけるときというのは,一つには何らかの利害意識がからんでいるとき,そしてもう一つは,「自分がこれを主張しなければ,だれが言うのか」という使命感にも似た役割意識をもっているときではないかと思われる。その両方がある場合には,論者は惜しみないエネルギーを論争に注ぐ。しかし,それらは議論の表に「論点」としてあがってこない。そんなことを直接的に言ってしまえば,「あの人は自分のために議論しているのか」と言われるだけである。
 学力低下論の場合も,これらの意識が入り混じっているように思える。ここで,利害というのは,けっして経済的利害ばかりでなく,自らの学問の繁栄,自分の存在価値といったような心理的なものも含まれる。理数系の研究者の場合,本書でもすでに述べてきたが,そうした利害があるのは明らかである。」

 さて,本書には,もう戸瀬の怒りというか憂いというか,そういう感情の発露が散見されて,それはルサンチマン人間のワシにとっては程よいユーモアとなって誠に気持ちがいいのであるが,上記の市川の文を念頭において読むと,その感情の発露部分は全て市川の言う「利害関係」を証明する証になってしまうのである。勿論,この「利害」には,情報処理の,特にアルゴリズムを考え,プログラミングを行う,真の意味での情報技術リテラシーを普及させるという大義名分があるのだが(戸瀬もその点は軽く触れてはいる),そこを理解していない人に,「語学だけで大丈夫?」(P.128~131)にあるような他分野を攻撃する所を見せてしまったら,「ああ,戸瀬は自分の職場を確保したいだけなのだ」と冷ややかに突き放されてしまうに違いない。これは致命的な失敗である。
 これはあたかも,学力低下論争という舞台で,戸瀬という武士が大剣を振り回して市川という曲者の悪代官に切りかかったら,返す刀でばっさりやられてしまったというところであろうか。舞台には上がれないが,戸瀬に共感して客席から見ているワシとしては,この語学教育批判を読んで,「ああ切られてしまった・・・」とガッカリさせられたのである。まあ幸い,PISAの学力テストの結果が出て,日本の子供の学力低下は完全に認知され,文部科学省も見直し作業に入ったようだから良かったものの,論争を吹っかけるのならもっとやり方を考えて欲しかった,というのがワシの正直な感想である。
 例を挙げれば,志賀浩二のように教科書を作ってみせる,つまりもっと具体的な,ハウツー的なところから積み上げていって,いかに数学が現代の科学技術を習得するには必要な知識であり鍛錬になるかを示す,といったやり方がある。人文的な論争をするよりもそっちの方が,ずっと世間に対するアピールができるはずである。そして,失われた学力を取り戻す手立ては,もはやそれしか方法がないのである。
 一連の学力低下論争で気に食わなかったのは,その点である。なんか論争ばっかりやっていて,「これから先,必要となる数学知識とは何か」という具体論の話が全然聞こえてこなかったのだ,少なくとも観客たるワシには。小学校での算数には,特に低学年においては公文式の如く,ある程度の反復的計算練習が必要なことは異論はないが,じゃあ,高校生・大学生初年度に教えるべき数学は今のままでいいのか?という根本的な疑問については,あまりきちんと答えてくれていない。論争は敵を倒す,即ち十数年前までの世論をひっくり返すために必要なものであったことは認めるが,数学そのものの見直しは必要はなかったのだろうか? この問いに答えが出ない限り,やはり学力低下論争は利害関係の絡んだ単なる喧嘩であったと見られても仕方がない。そしてその問いに対して,本書が十分に答えているとはとても思えないのである。

Posted by tkouya at 09:18 PM

January 03, 2005

1/3(月) 掛川・晴

 がーん,訳のわからないメモリリーク問題があっさり解決する。馬鹿^\infinity おでのばがぁ~~(Echo)。あんなに悩んだのにぃ~,mpfrのソースを見たらあっさり解決してしまったぁ~。

 でもまあ,これでデモの準備も出来たからいいやね。デモ用のでかい液晶NotePCは先立つものの関係上,用意できなかったから,Let's Note Rで我慢するしかないけど。
 さて,GladmanさんにWingmpのバイナリ公開をお願いしよっかなぁ。

 気が抜けたので寝ます。

Posted by tkouya at 09:43 PM

ease [ イーズ] Vol.1

[ BK1(リンク見つからず) | Amazon ] ISBN 4-7767-1455-8, \667

 雑誌大不況時代である。出版大不況時代という言い方もあるが,単行本に関しては「売れない→多品種生産→一冊あたりの売れ行きが落ちる→ミリオンセラーを狙って更に多品種生産→・・・」という悪循環に陥っているが故の,いわば自業自得であるからあんまし深刻とも思えず,しかも多品種生産だから,ワシ好みの,あんまし一般受けしない作家や漫画家の本が沢山出るようになって,かえって嬉しい悲鳴を上げたいぐらいであるが,雑誌に関しては相当深刻らしい。まあねぇ,これだけWebや携帯(Free contents through the Internet)が普及して情報がそこから得られるとなれば,読んだら捨てるだけの紙媒体を買おうとは思わんでしょう。大体,これだけゴミ収集が厳しくなっている状況ではおいそれと分厚い雑誌を買うわけにはいかない。掛川市では古雑誌・古新聞回収は月イチしかなく,しかも雨天延期である。新聞なんてとんでもない,雑誌も月刊誌どまりであり,ジャンプだのマガジンだの新潮だの現代だのといった週刊雑誌なんぞ,ゴミ出しを考えたら定期購読する気には,とてもならない。昔はアエラを読んでいたが,静岡に来る際に購読を止めてしまった。

 そんな時代であり,有能な編集者の多い出版界であるから,あの手この手で既存雑誌の目減りを食い止めようとしているようだ。一時期目に付いたのは,カリスマ的な個人を編集長にして雑誌を作るという動きで,青木雄二,さくらももこ,松山千春,桃井かおり,小林よしのり,大塚英志(編集者だから意味合いがちょっと違うかな)・・・が引っ張り出されていたが,「頓知」にさっさと見切りをつけた筑摩書房が太田垣晴子を連れてきて「O(オー)」を発行させたあたりで,そろそろ種が尽きた感がある。で,次は何が出るのかなぁ,と思っていた所に出てきたのが本書である。
 ISBN番号が付与されているので区分としては単行本だが,「まあ,売れなきゃすぐに止めるし・・・」的なムック形式の雑誌と見て差し支えないだろう。表紙は志村貴子の描くモノクロの女性のアップで,「女性のための雑誌」とはどこを見ても書いていないが,まぎれもなく二十代から三十代にかけての女性向け(負け犬予備軍向け?)の内容になっている。第一特集が「見栄(みえ)」であり,第二特集が「ペット」,そのテーマに沿ったショートコミックとエッセイ(ツチケンや藤田香織さんまで!)がてんこ盛りである。谷島屋でこれを見て「新しい百合雑誌かぁ?」と思い,手にとってパラパラとページをめくったエッセイ好きのワシが反射的にレジに持っていったのは無理もないのであった。
 しかし,ワシは一抹の不安を禁じえないのである。かつて同じような体裁のムックが何冊か出版されているが,どれもこれも長く続いたためしがないのである。たとえばコミックaria(光風社出版・成美堂出版)しかり,Short Stories(白泉社)しかり,である。このease(イーズ)は前者のようにエッセイも載せ,後者と同じ版形である。なんか「いつか来た道」を歩んでいるように思え,ワシとしては絶対に末期の水を取るまで付き合おうと決心しているのである。さて,「O」と「ease」,どっちが長く続くのか? 8:2のオッズで誰かワシと勝負しませんか?

Posted by tkouya at 05:43 PM

January 02, 2005

小谷野敦「評論家入門」平凡社新書

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-582-85247-5, \760

 某先生から聞いた話である。ある旧帝大を定年退職した老先生が,文系主体の私大へ移った。が,教授会の長さに閉口して,程なく今度は理工系の私大へ異動したそうである。その某先生曰く,「文系の人たちとは文化が違いすぎる」。
 文系理系という区分はかなりいい加減なもので,その間には広大なグレーゾーンが広がっている。国立N大学工学部の助教授ミステリ作家によれば,「数学に畏敬の念を持っているのが理系」ということになるそうだから,それ以外の学者は全部文系ということになってしまう。しかし,経済学なんてのは確率微分方程式を扱ったりするから,これでは理系になってしまう。しかし経済学部を「理系」に区分している受験資料をワシは見たことがない。まあ,その程度の区分なんであろう・・・と,この業界に来るまではそう思っていたのである。
 しかし,今となってはやはり文系と理系では明確に文化が違うものであると確信している。前者は「研究者自身の人生哲学も含めた議論がなされ,そこには感情的対立が当たり前のように混入している」学問分野であり,後者は「明確な目的を持ち,そこへ達成するための方法論を客観的データを土台として打ち出す」学問分野である。勿論かなりの割合でどちらも例外を含むので,あくまで個人的な概要であるが,前者が感情論も一つの議論の土台になっているのに対し,後者にはそれがあまり見られない,少なくとも感情論が議論の中にむき出しになることは殆どない,という意味での「大雑把な文化の違い」はあるように思えるのである。故に,「文系」の学者の多い教授会は議論百出で時間が長引くのに対し,「理系」の学者の多い教授会では大多数が客観的データを得るべく「早く終わんねーかな,プログラミングの続きをしたいのにな」と内心思っているために(ワシだけか?),自分に直接降りかからない限りはシャンシャン会議を黙認,というか積極的に後押しして早く終了することになるのであろう。

 本書は文字通り評論家になるための入門書を目指して執筆されたものであるが,多くは小谷野の個人的体験談である。勿論,「一般向けに書かれていて,学問を踏まえていながらアカデミズムの世界では言えないようなことを,少しはみ出す形で言う,これが評論の基本的な姿だと思ってもらえばいい」(P.39)とか,「評論とは,あくまで,カネになる文章のことなのである」(P.40)とか,「全面的に間違っているような論争を,勝てると思って始めたとすれば,それは勉強が足りない。しかしそれでも間違っていたと気づいたら,それは謝るしかない」(P.179)とか,ちゃんと読者をして「うんうん,そーだよな」と納得せしめる胸のすく小谷野節が随所に見られるので,ファンは迷わず購読すべきである。しかし,やっぱりもっと面白いのはその個人的体験談で,それを読むと,「ああ文系って,なんて神経をすり減らす学問分野なんだ」と嘆息してしまうのである。涙なくして読めないのは第五章の「評論家修行」で,著者の半生が語られるのであるが,まー東大出てカナダに留学して博士号を取って著書を出しても中々認められずといった苦労が語られ,大変な世界であるなあと人事ながら同情してしまう。ま,あくまで自己申告であるから,どこまで信用できるかは微妙であるが,少なくとも著者自身としてはこういう「苦労」を味わったということは紛れもない事実なんであろう。
 ああ,ワシは理系でよかった,一人でシコシコプログラミングしていればいいんだから真に気の弱いひ弱なワシ向きの学問分野である。売れなくてもいいから,暫くはインターネットで好き勝手に書いていようと,本書の目的とは逆向きの決意をした次第である。

Posted by tkouya at 09:39 PM

January 01, 2005

魚住昭「野中広務 差別と権力」講談社

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-06-212344-4, \1800

 昨年(2004年)の講談社ノンフィクション賞受賞作だし,かなり話題になった本なので「あ,それ読んだ」という人も多いだろう。それでもあえて取り上げるのは,今年も仕事三昧の日々を送ろうという決意に拍車をかけるべく,まずは惚れ惚れするような力作にあやかろうという魂胆だからである。

 同和問題について語ろうとするとどうしても冷や汗が首筋に滲んでくる。そんな小心者はワシ一人ではあるまい。血筋や生まれで差別するなんて,する側が100%悪いに決まっているのだが,厄介な問題に触りたくないという小市民根性からどうしても避けて通りたいと考えてしまう。この記事も一度破棄して書き直したものである。本書が話題を呼んだのは,野中広務という有名な政治家を取り上げたことと共に,同和問題を扱っているからという一種の「怖いもの見たさ」があったのではないだろうか。
 しかし,本書を読めば,何故この厄介な問題を取り上げたかがはっきりする。それは野中広務という政治家が持つ,強面する恫喝v.s.社会的弱者に対する率直な思いやり,という2面性を理解するにはこの問題は避けて通れなかったからである。虐げられた経験を持つが故に,同じような状況にある者には限りない慈愛を注ぎ,自らがそのような状況にある時は怒りを持って跳ね除ける・・・人間ならば誰しもそうであろう。野中は特に後者の面で才能があり,政治家としての出発が遅かったにもかかわらず,ついには首相候補に擬せられるまでに上り詰めた,それだけのことである。

 佐野眞一に見られるような文学的な比喩は皆無で,怜悧かつ静謐なジャーナリスティック文体が秀逸な,優れた人物評伝である。取材された方は迷惑この上なかったろうが,三流どころのゴーストライターに"My Life"なんて表題で執筆させるより,魚住さんに書いてもらって良かったんではないだろうか。これを読んで野中さんの評判が上がりこそすれ,下がることはない筈である。

Posted by tkouya at 08:47 PM

1/1(土) 掛川・晴

 天気晴朗なれども風強し。典型的な冬型の気圧配置で,こっちは雲ひとつないピーカン晴れ。

 見逃していたが,JR東海が3月ダイヤ改正の概要を発表していた(PDFファイル)。ふーん,のぞみが12本増発か。こだまは運行していない季節ダイヤがなくなっただけで,ひかりと共に現状維持。これ以上弄くりようがないよな。21:40東京発の浜松行きこだま,もうちっと遅くなってくれるとありがたいんだがなぁ。

 餅三つを突っ込んだ雑煮をすすって年賀状の返事を書く。今年は10枚。家族の写真付の年賀状が多いのは良いことである。勝ち犬が「勝ち!」を堂々と宣言するのはこの機会を逃して他にはないからである。我々負け犬はこれを見て年明け早々に反省させられることになり,勝ちを目指すようになる・・・かもしれない。
 Wordでこれを張り込んでぺぺっとファイルを作って印刷。今時モノクロプリンタを使っているのはワシぐらいのものであろう。来年までにカラープリンタも一台ぐらいそろえておこうかなぁ。安くなったし,Canonの奴はなかなかスタイリッシュである。
 さて,これから書いた返事をポストに放り込むとするか。
 ただいま。掛川郵便局はワシと同じく年賀状を投函する人でごった返しておった。ずぼらなのはワシだけではないようである。デニーズやマクドナルドも人でいっぱい。何だよ,みんな正月は自宅でのんびり・・・ではないのか? 元旦営業が増えるのもわかる気がする。

 先立つものがないので(またかよ),Acrobatの代わりにPrimoPDFをインストールしてみる。で,Copyrightを見ると,ん?,Aladin?,でインストールフォルダを見ると・・・なんだこりゃ,高性能なRMon+GS8.13じゃぁないか。

primo_pdf.gif

 こういうビジネスもありなんだろうか。ちょっと解せない気がするが。

 スケジュールを更新。こうしてみると,2月から3月中旬までのスケジュールはかなりタイトである。やんなきゃいけないプロジェクトが二つも走っていて,大丈夫なんだろうか? かなり不安。こりゃまたスポーツクラブ通いをしなくちゃ駄目かしらん?

 ・・・とよしなしごとを考えつつ,元旦の夜は更けていくのであった。

Posted by tkouya at 05:25 PM