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大島弓子「グーグーだって猫である 3」角川書店

[ BK1 | Amazon ] ISBN 978-4-04-854097-1, \1100


 大塚英志がプロデュースしていたComic新現実 Vol.6(2005年8月26日発行)の編集後記「なにもしない日記 完結編」に次の記述がある。

×月×日 仕事場近くのマンションが売りに出ていたのでちょっと気になって見に行く。表札に「大島」とある。やっぱり、大島弓子先生が「サバ」とくらした部屋だ。内装はすっかり直してあって今は不動産屋の持ち物だとか。柱にサバの爪あとでも残っていれば引っ越したのにねぇ、と思う。

 これを読んだ時,ふーん,大島弓子はあのマンションを売り払ったんだ,と,少し感傷的になったのを覚えている。
 ひとりものが,引越をする。
 どんな事情によるものなのか,興味が湧くのはゲスの根性を持っている人間ならば当然であるが,大島弓子の場合,大抵見当が付く。名作「サバタイム」「サバの夏が来た」を読んでいた古手の読者でも,現在も角川書店の広報誌「本の旅人」で連載中の本作「グーグーだって猫である」から入ったおにゅーな読者でもきっと,「理由は猫だな」と思うに違いないのだ。そして引っ越したからには,「猫に何かあったのか・・・?」と,少し心配になってくる筈なのである。
 「グーグーだって猫である」の1巻は2000年12月,2巻は2002年11月にそれぞれ発行されていたが,このマンション売却の経緯はまだ単行本収録分には描かれていなかった。そのため,ワシはこの引越を大塚から始めて知らされたのである。そしてこの度,遅れに遅れてようやく敢行された3巻において,その理由が初めて著者本人から明かされることになったのである。理由はもちろん・・・であるけれど,詳細は単行本をお読み頂きたいのである。
 ひとりものの女性マンガ家の自宅 or 仕事場が猫ハウスになっている,という事例は何も大島に限ったことではなく,枚挙に暇がないくらいあるようだ。しかし,そうなってしまった理由,「猫が好き」になってしまった,その奥底にある本当の動機については,恐らく千差万別なのだろうと想像する。
 大島がマンションを引き払って一戸建てに引っ越してまで手に入れた猫との共同生活。その本当の動機は,未だよく分からないし,そこを蕩々と語ってくれるような作品ではない。ではないが,ちょっとおサボり気味のお手伝いさんであるNさんと大島との関係と,猫たちとの関係の二つは,随分違うなと感じる。その違いに,多分,本当の動機の確信があるのだとは思うが・・・ま,詮索はよそう。
 ワシとしては,ともかく,4匹(グーグー,ビー,クロ,タマ)が9匹になり,また4匹に戻って,今は再び9匹になってしまった猫たちとの共同生活が東京の西側で続いていることを知って,一安心しているのである。
 それで十分,なのだ。

T.Kouya

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