長田直樹「数値解析 非線形方程式と数値積分」現代数学社

長田直樹「数値解析 非線形方程式と数値積分」現代数学社

[ Amazon ] ISBN 978-4-7687-0626-8, \2800+TAX

 例によって,こういうちゃんとしたテキストは腰据えて読まなきゃいかん所,ざっと目通しした印象論のみで雑駁な感想おば記することにする。

 こりゃまたさっぱりした本を上梓したモンだなァというのが,ワシの偽らざる第一印象である。だって今日日理工学書を書けと言われれば,岩波とかの,大学図書館に配備されて,物好きなごく一部の専門家が買うぐらいが関の山という程度の売り上げで良いと割り切った例外を除いて,「学部レベルの入門書」というスタンスで書け,という意味になるのである。従って解き方をしっかり説明した例題とか簡単な文中問題とか,中間レポートに使えそうな章末問題とか演習問題の類を入れない限りは使ってもらえない=売れないのである。本書にはその手の売らんかな的なギミックが全くない。さっぱりした数値解析のオーソドックスな理論解説と数値例,そして数学史的な説明が入るだけであり,言っちゃ悪いが弱小出版社の屋台骨を支える気が全くない専門書,それが本書の一大特徴である。

 しかも題材として,数値線形代数の解説がバッサリカットされており,必要最低限のベクトルノルムの解説ぐらいで,あとは非線形方程式,代数方程式,数値積分(と漸近展開),常微分方程式の初期値問題といった非線形問題向けのアルゴリズムの解説に終始しており,まさにテキストとしては使えない,と判断されても仕方ない。そのあたりが誠に羨ましく,悪先駆として簡易解答付きの例題や演習問題作りに精出さざるを得なかったワシに言わせりゃ「ズルい」のである。

 現在進行形で非線形問題の土台作りに精題しているワシとしては次の題材の種がここにばらまかれており,卒研や修士向けの研究ネタとしても十分使えるものとして,改めて見直した次第である。とはいえ個人的にな数学史ネタをもちっとがっつり書いて欲しかったなとない物ねだりしたくなるというものである。

T.Kouya

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