6/15(金) 掛川・晴時々曇

 昨日,関東甲信越地方以南が梅雨入りしたと気象庁が宣言。ふー,やっと宣言してくれたか,やれやれ,という感じ。どーもワシは典型的な付和雷同日本人であるらしく,お上があれこれ指示してくれないと安心できないようなのだ。ま,これで安眠できそうで何よりです・・・不思議。
 唐沢俊一さんの新刊について,盗作疑惑が持ち上がっている・・・らしいが,本人は素直に認めているし,まあこの一件だけなら単なる引用ミスということなんだろうと思っていたが,他にもあるという指摘が出てきた。まあこの二つだけなら引用ミスということなんだろうと思っていたが,三つ目もあるという指摘が・・・出ないことを祈る。
 ついでに。阪大医学部の某(記事には名前も出ていますが,一応ね)教授の論文を取り下げろと教授会が要請とのこと。信用ならない内容である,ということらしい。
 以前,NHKで東大で起こった論文ねつ造問題の当事者達のやりとりを流していたが,淡々としたやりとりでありながら異常な緊迫感が出ていて,見ていて冷や汗たらたらモンでしたな。
 どうも唐沢さんの件も含めて,これらの事件ってのは,自分の地位保全,社会的ステータスを維持しようとするあまり,一時的な悪評を引き受けることを恐れすぎて,合理的な判断ができずに誤った方向に走ってしまったという共通項があるように思える。大体,ちゃんとした本と書くとか,レベルの高い雑誌向けに査読論文を書くとかという仕事が,そうそう短期間で乱造できれば苦労しない訳で,それができる一握りの人を一流と呼ぶのだ。大多数の二流レベルの人間にはそれをするだけの体力も知力も,どこかしら欠けているから,それなりのまとまった仕事をしようとすれば,どうしたって準備期間がいる。その期間は,「あいつは怠けている」「給料を下げてしまえ」「昔は良い仕事していたのに,今はおとなしくなったねぇ」などと言われる。ことに,生意気な態度で世の中を渡ってきた人間はことにそう言われてしまうので(例・ワシ),それはまさしく「自己責任」として引き受けるしかないものなのである。そこを無理して不正に走ると,まあタチドコロに転落する人生が待っている,と,こうなる訳だ。・・・これは自戒を込めて言っている。ま,ワシもそうなるとも限らないので,まあ転落したら笑って下さいませ。
 唐沢さんのケースはそんなに無茶しなくても良かったのでは,と思うし(忙しすぎた?),阪大や東大のケースも,たぶん研究業績へのプレッシャーがかなりあったのかなぁ(もちろん責任者の資質も大きいのだろうが)と思うが,そうはいっても多少サボったところですぐにクビになるような立場ではないだろうから(転籍は求められるかもしらんが),多少の悪評があったところで恬淡とやり過ごすことはできたはずである。なんで不正してまで論文稼ぎをする必要があったのかなぁ,とそーゆーエリートな仕事場を知らない三流研究者のワシとしては不思議で仕方がない。ワシが知る限り,不正してまで論文を稼げ,などという標語を掲げている大学・研究所は,少なくとも日本の公的な所ではないはずだ(あったらお知らせ下さいませ)。
 うろ覚えだが,確か慶応の富田先生の所だったと思うのだが(違ったらすいません),研究分野を変更した初期の頃,ある研究会のポスターセッションで,別の研究者からボロカスに研究内容を批判され,説明役の院生さんが泣いてしまったという。
 これは辛い。そういう研究の指導を行った教師としては立つ瀬がない。院生は教師の指導通りに一生懸命プログラムを作りきれいなポスターを作り,おそらくは事前に説明の練習もして臨んだはずだ(そうでなければ泣くほど悔しい思いをするもんか)。プレゼンテーションではなく,内容に関しての批判は,院生より教師が責任を負わなくてはならず,まー富田先生とすれば胃が痛いどころではなかったと思う。
 しかしそれで撤退することなく現在の業績を作ってきたのだから,やはりこれは批判を受けることに対して逃げてはいけない,ということに他ならない。受けた時には腹も立つし言った奴をぶっ殺してやろうかとも思うが,しかしそこに自分の過失が全くないということは案外少ないのではないか。一瞬ムカツイタとしても,時間をおいて冷静になった後は真面目に反省する態度,これは世間に対してお役に立とうという立場の人間にとっては絶対に必要なものなのだ。・・・ま,それがワシにできているかと言われれば,内心忸怩たるものがありますが,そーゆー態度を身につけるべく精進中です,ということにさせて頂きたい(あっ,逃げた)。
 でまあよく言われることですが,こーゆー事件を見るたびに,自分は大丈夫か?と振り返る姿勢は大事ですな。いやホント。ネットだから何でも書けるけど,安全な批判者の立場に「逃げ込んで」,やいのやいのと多勢に回るのは,たまーにやりたくなるけど(実際やっているけど),なるべく控えるべきですなぁ。そう思う今日この頃であります。

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