7/27(水) 掛川・晴

 久々の夏らしいピーカン晴れ。九州以南は梅雨明け宣言が出されたようだが,東海地方はまだ。今週末か,来週はじめ辺りらしい。ってことは,ワシが高知に行っている時にようやっと梅雨明けになるのだな。暑いのも嫌だが,冷夏はもっと嫌だ。早く夏が来て欲しい。
 大体,大人物でもないくせに大人物のふりをするから破綻するのである。小心者なら小心者らしくオロオロヒヤヒヤ日々を過ごせばいいのであって,無理に虚飾をまとう必要がどこにあるのだ。小人物である自分が嫌ならば,熟考して熟考して悟りを得るまで熟考して熟考の末に変化が現れるまで熟考すべきなのだ。考えるのが嫌なら,あるがままのダメ人間として人生を送るしかない。しかしそれでもかけがえのない自分だけの人生であることは確かなのである(何言っているんだこの文章)。
 ここ数日は,4月から6月までの鬱期を挽回すべく,バリバリに肩をこらせつつ,テキストの新章執筆に勤しんでいる。現在は計算例をせっせと積み重ね,高知行きの間に文章を完成させる予定。これで何とか大師匠の所に持っていけそうである。
 その合間に企業の方が来訪されたり,職場のメール鯖の移行の相談(怒鳴りあい?)をしたり,卒研指導をしたりとひっきりなしに割り込みが入る。そのうちゾンビプロセスが溜まりだして破綻するのであろう。それまでに何とか今まとめている仕事を完成させねば。9月中にはもう一つのテキストの追加執筆もする必要があるのだ。ワシの貧弱なJob stackは悲鳴を上げているぅ~。
 家に戻ったら,録画予約してあったチャップリンの「独裁者」の終盤,感動的な床屋の演説シーンをやっていた。うーん,やっぱり何度見ても,主張していることが素朴かつストレートでいいなぁ。
 バリバリに肩が凝っているので,風呂入って寝ます。

7/25(火) 掛川・薄曇

 昨日は補講二コマの後,学内研究費報告会のプレゼンをやって,卒研ゼミのダメだしを行って帰宅し,そのまま布団で気絶していた模様。体力なくなったなぁ。三十路にしてこの軟弱ぶりでは余命長くはあるまい。別段そんなに長生きしたいわけではないが,ワシがコツコツ支払ってきた年金や退職金が別の誰かの手に渡るというのはものすごく悔しいので,せめてそれが貰えるまでは生きていたい。なんて消極的な人生なのであろうか。
 あれ? 今朝はセミの鳴き声がうるさいぐらいだったが,セミの声で朝を迎えるってのはこの夏初めてのような気がする。梅雨が長引いているからなぁ。昨日も暑い,というより,ぬるい,という気温だったし,セミもまだ鳴き時ではないと思っていたのだろう。今日は久々の熱帯夜かなぁ。
 朝のゴミ出しをする。掛川では以前,分別がやかましく言われていたのが,ゴミ焼却場がグレードアップしてからは,紙類・生ゴミに加えてプラスチック製品(ビニール袋,卵パック等等)も一緒くたに「燃えるゴミ」としてまとめてよろしいということになった。おかげでゴミ捨てが楽になったものの,何か釈然としない。
 まあおかげで室内にゴミが滞留する時間はかなり少なくなり,机の周りを除けばかなり整頓された(清潔とは言うまい)環境で人生を送ることができている。たとえて言えば,頑固な宿便が一掃されて便秘が治ったようなもんである。
 してみれば,コレクターなんて人種は自覚的にものを便秘しているようなもんである。整理整頓を主張した凡百の本には,大抵「捨てるべきものは捨てましょう」ということしか書いてない。それは当たり前のことで,身の回りの質量・体積を最小限に保つことが,「整理整頓」の定義なのだから,いわば同語反復しているだけのことなのである。
 とゆーことで,これからはコレクターのことを,「人生の便秘者」と呼ぶことにしたい。
 ここんとこ真面目にテキスト執筆に勤しんでいるので書くことがないな。今日も早起きしてパチパチ原稿を打っていたし。突発的にぷちめれを書くことはあるだろうが,面白い話題が出てくることはないだろう。せいぜいバグ報告ぐらいである。
 次週は高知行きの後,Open Campus2連荘。私大の経営は厳しさを増しているから,頑張らねば(何をだ)。なんにせよ,もうちっと体力をつけとかんといかんなぁ。
 では行ってきます。

桂歌丸(山本進・編)「極上 歌丸ばなし」うなぎ書房,三遊亭円楽「円楽 芸談 しゃれ噺」白夜書房

「極上 歌丸ばなし」   [ BK1 | Amazon ] ISBN 4-901174-21-5, \2000
「円楽 芸談 しゃれ噺」 [ BK1 | Amazon ] ISBN 4-86191-187-7, \2800

極上歌丸ばなし
極上歌丸ばなし

posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.23
桂 歌丸著 / 山本 進編
うなぎ書房 (2006.6)
通常24時間以内に発送します。
円楽芸談しゃれ噺
三遊亭 円楽著
白夜書房 (2006.7)
通常24時間以内に発送します。

 NTV系列で40年に渡って放送されている長寿番組「笑点」,その司会者を,今は亡き三波伸介の後を受け,昭和57年(1982年)から担当してきた三遊亭円楽が,今年平成18年(2006年)に引退,後をレギュラー回答者の最長老(だったかな?)・桂歌丸に託したことは,ニュースとしても取り上げられた。で,話題が出ると黙っていないのが出版社,なんせ世の中ショーバイショーバイ,オマンマ食ってクソして寝るにはおゼゼが必要,ならば売れると踏んだ本の企画を立て,せっせと売っていかねばならない。そこで新旧の笑点司会者の半生をまとめた本を出版した・・・訳なのだろうが,どっちも出版社が弱小であり,まー,それなりにでかい書店では平積みになっているものの,地方都市のベストセラーと雑誌しか置けないような小さい書店ではまず見かけない。ワシみたいに,本を買うために往復一万数千円も交通費を費やして丸善丸の内本店にのこのこ出かけていく酔狂な輩はそうはいまい。貴重な本であるから,この場を借りて,ど田舎に住む笑点ファンに紹介しておく次第である。
 出版された日付としては,歌丸本の方が先である。こちらは編者が名うての演芸評論家であるから,文章はかっちりまとめてあって,資料写真も豊富である。対して円楽本の方は,たぶん聞き書きなんだろうが,本のサイズがでかい割には文章が改行だらけのスカスカ,なんだか上げ底のうな丼を頼んでしまったようで,損した気分になる。しかし内容はめっぽう面白く,どちらも一気に読んでしまった。
 歌丸師と言えば円朝噺に熱心に取り組んでいることで知られているが,かつては新作で著名な噺家の弟子であった関係もあり,新作を語ることも多かったようである。それがどうして円朝噺へ転向していったのか,というあたりが歌丸本の中核主題である。ワシにとってはそれよか実家の廓,遊郭についての記述が興味深く,実際に身売りの場面を見た,という歴史的事実に出くわして,ああ本当にあったんだなぁ,と嘆息したのであった。
 円楽師は,ワシにとっては人情話の噺家で,本書でも取り上げられている「浜野矩随」なんかは絶品だったのを覚えている。ただ,ワシの両親はどちらも円楽が嫌いで,ことに説教臭い話し方がお気に召さないらしい。うーん,ワシが教師になったはこの説教臭さに魅せられたせいかしらん?
 円楽本で一番面白かったのは,今でもよくさまざまな噺家から語られる落語協会分裂事件についてである。何せ,協会を飛び出した張本人である円生の筆頭弟子が円楽であるから,一番身近で事件を見,その結果を背負ったことになる。その記述を読んでみると,なるほどなぁ,師匠筋の仲たがいのみが原因であって,弟子には迷惑この上ない事件であったことが良く分かる。ことに,円生が怒った「真打大量生産」なぞは,もともと円楽師が言い出したことであったそうな。してみれば円楽師には協会を飛び出す理由はなく,師匠についていかざるを得ない,という義理人情だけで,文字通りの貧乏くじを引いたことになるのだ。うーん,これについては歌丸本でも,「やっぱり一番苦しい思いをしたのは,円楽さんじゃないかと思いますね」(P.134)と言及されている。浮世のしがらみ,なんてもんじゃなく,昔ながらの師弟の繋がりってのが強い世界なんだなぁ,と感嘆することしきりである。ワシなんぞは談志さながら,「じゃ俺はやめる」とばかりにさっさと袂を分かつに違いないのである。
 全体的に,歌丸師は現在,落語芸術協会会長を務めるだけあって,協会内部の変遷が語られているのに対し,円楽師は一人,一門を背負うべく寄席を作って借金をこさえたために無理をして,という苦労話が語られており,歌丸本に比べて円楽本はちと人生に対する後悔の念が強いように思われる。しかし両者とも笑点を土台に人気を獲得していった売れっ子であるから,無用の同情は必要なかろう。噺家も,浮世の波間にどんぶりこ,なんだなぁ,ということがよく分かる2冊,笑点ファンならキチンと常備しておきませう。

7/23(日) 掛川・土砂降り

 ここんとこ,やたらに涼しい,というより寒い。先週までは,台風に引きずられた梅雨前線がそのまま日本列島を上昇し,北に消えるかと思っていたのだが,今週に入ってからは一気に南下,今は九州から和歌山のラインに停滞しているようだ。どーりで,今日は日中平年並みの真夏日となったものの,夜に入って一気に冷え込む訳だ。静岡辺りで,夏の暖気と春(秋?)の寒気がせめぎあっている感じ。今年のオホーツク高気圧の勢力はしぶといのう。明日は,じゃない今日はOpen Campusなんだが,こりゃ人出も少なそうだなぁ。折角いろいろ準備したんだが,無駄にならなきゃいいが。
 何とか,テキスト改変作業開始。まずは簡単なところから。毎年この時期の恒例行事と化しているが,手直しすればするほどアラが見えてくるのはどーしよーもないな。高知行きから帰ったら,次のテキスト改変作業にも着手せねば。今年の盆休みも忙しいのう(って,仕事できたためしがないのだが)。
 寝ます。
 ただいま。事前には随分心配させられたが,本日はそこそこ天気も持ち,人出もほぼ昨年並みだった。この調子で,8月も乗り切りたいものである。
 ボチボチやってまた寝ます。