1/30(木) 駿府・雨後曇

 ふ~,色々な締切が押し寄せてきて,しかもそれぞれ適当にサボっているから,ケツカッチンになったものから順次処理していくしかない今日この頃,皆様いかがお過ごしでしょうか?

 今日は朝晴れていたものの,午前中から雨が降り出し,午後からは土砂降りざんざかざんざか。体育館で外部の方々を招いての行事があったんで,○普請な屋根に雨が当たる音がけたたましいことであることよ。

 つーことで,明日で研究集会の参加・公園申し込み締め切りとなるので,我こそ輪と思う方々は是非とも講演をしてくださいまし。懇親会への参加者は前回以上になりそうなんだが,肝心の講演が少ないのである。まぁ頑張ってプログラムを考えてみるが,一日目,三日目は短縮して誤魔化すしかないかなぁという感じ。人望のない奴が幹事役などやるもんじゃないなぁとつくづく思う。もうやらんぞ。

 さて,明後日までに査読レポートあげて,二週間でテキストを2冊仕上げて,頑張ってCUDAに親しみつつチャレンジングなことをしたいなぁと念願だけはしているのであるが,さてどーなりますやら。何せ,HPCS2014でXeon Phiの悪い噂を散々吹き込まれたでなぁ。まず先に安定的にどーにかなりそうなCUDAでやっておこうということなのである。Xeon Phi入手が来年になりそうってのもあるけどね。

 ぱっつんぱっつんのまま寝ます。

1/6(月) 駿府・晴

 新年あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願いいたします。

・・・という挨拶も6日目となると気分が出ないな。正月が長いのも考え物である。

 つーことで2014年になった。懸案のWordpress移行だが,どうやら既存のWeb構造そのままでPDFやらzipファイルやらを今の位置に置いたままのサイト再構築は,Wordpressを使う以上は面倒というか無理みたいなので断念。もうちっと他のCMSを漁りつつ,blogのみ使い続けることにする。

 それ以上に,もう少しコスト削減を行いたく,サーバの移行を検討中。卒研制作物展示用に,MySQL使用可のレンタルサーバもしくはクラウド環境が必要なのだが,sakuraにするか現状のWebarenaにするか,まだ結論が出ていない。とりあえず,ストレージ容量のデカい前者にしておいて様子を見るというのがいいのかな。独自ドメインも使いたいし,回線品質も気になるし,使い勝手は実際に試してみないと何とも言えないからなぁ。

 さて,明日はHPCS2014のポスターセッションで東京行き。その後は怒涛の講義最終日都市圏とレポートと卒研発表準備と新学期のテキスト準備に忙殺される・・・かな? 今年もつらつらやってきますのでお付き合いの程よろしくお願い致しまする~。

 では行ってきます。
 

高橋しん「あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。」白泉社

[ Amazon ] ISBN 978-4-592-21714-5, \638

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 本年最後の一冊はどれにしようかなぁと候補作を並べた結果,この年末に出たばかりの本書を取り上げることにした。高橋しんといえば大御所であるので,今更ワシがあれこれ言って新たな知見を付け加える必要のない作家ではあるが,年末を飾るふさわしい「優良ファンタジー作品」であることは間違いない。ちゃんと高橋しんの単行本を読むのが初めてという初心者である故の蛇足ということでお許し頂きたい。

 高橋しんと言えば「キラキラ」「テカテカ」眩しい画面構成とベタベタの感情表現が際立っていて,ワシはイマイチ触手が動かなかった。長編を全部追っかけるほど根気がないということもあって,短編シリーズを一冊にまとめた本書が出てようやくきちんと読んでみようかと思ったのである。もちろん,主人公がド田舎から出てきた(売り飛ばされたようであるが)ちんまい書店主ということも読書意欲を掻き立てた一因である。やっぱり読書が癖になっている人間としては,本がテーマとなればそれだけでも気になるもんだよなぁ。

 で本作だが,戦後まもなく,まだ日本が貧しい時代に田舎から都会に追い出されるように嫁に出された田舎の田吾作娘が主人公だ。文字がようやく読めるだけの教養しかなかった彼女が嫁いだ途端に夫の書店主が死去して書店を引き継ぎ,書店主の友人であった隣の八百屋の次男坊の助力を得つつ,残された蔵書を読み漁ってどんどん知識を身につけ,商店街に顧客を増やしていくというストーリーだ。

 それだけであればありきたりの物語と大差ないが,高橋とアシスタント群(最後に多数のスタッフリストが掲載されている)は,光線と陰影で読者を飽きさせない絵を構成しており,それが登場人物たちの感情をブローアップさせているのである。この優れた画面構成力がなければ,かなり気の抜けた物語に堕してしまうだろう。

 もう一つ,本作の重要な要素は,この田吾作娘の書店主が顧客個人単位の嗜好に基づいた棚を作っていくというものである。まるでAmazonのおすすめリストのようなパーソナルな棚作りによって売り上げを伸ばしていくというのは現代でこそ当たり前のものだが,この時代設定の中でそれを実行してしまうことである種の齟齬を顕在化させてしまう。そこがストーリーの核心になっているという仕掛けがワシには面白く感じられたのである。

 悪人が出てこない本作はまさしくファンタジーの王道であるが,華麗な画面構成と,練られたストーリー展開があってこそ,凡百のファンタジー作品とは一線を画した作品になっている。漫画表現の王道をバカ正直に歩んでいる本作を作り上げた高橋しんを表現するには,やはり「大御所」というのが正しいとワシは勝手に思っているのである。

 とゆーことで,この記事をもって,年末ギリギリに書き散らしたぷちめれ祭りを終えることにする。来年はもう少し定期的にぷちめれを書いていきたいな~と思うのだが,定番の作家やライターのものばかり読むようになっていて,改めて記事として取り上げる本が少なくなってしまっていてよろしくないのである。ラ異変はもう少し活力のあるぷちめれを展開したく,知的活動(という程のものか?)展開したいものである。

 本年もありがとうございました。
 来年もよろしくお願い致します。

小山慶太「若き物理学徒たちのケンブリッジ」新潮文庫

[ Amazon ] ISBN 978-4-10-125381-7, \520

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 小山慶太に外れなし,とは思っていたが,本書は今まで読んできた著作の中で一番面白く読めた。それはニュージーランド移民の子孫,Rutherfordが率いたCavendish Laboratoryの黄金期を描いた作品というだけではなく,小山自身の若い日の留学時代を重ねているように感じられるからだ。何だか文章そのものがとても大切な宝物を慈しむように流れており,全く今年はいいものを読ませてもらったワイと,新潮新書を文庫化して低価格で出し直してくれた新潮社に感謝したいのである。

 イギリスという国は,国王を抱く貴族社会でありながら,産業革命以前から低い身分の成り上がり学者も能力に応じてうまく使ってきた伝統がある。もちろんインテリの多くは豊かな貴族階級が中心ではあるけれど,NewtonやFaradayといった自然科学の大立者はそのような土壌がなければ歴史に名を残す活躍はできなかったろう。Rutherfordも植民地出身ながらニュージーランド,カナダの大学を渡り歩いて本国イギリスのマンチェスター大学を経てケンブリッジに招かれるに至る訳だが,19世紀末から20世紀初頭ということを考えても,そのような土壌がなければCavendish Labの責任者に着くことはできなったであろう。その結果,弟子筋から大量のノーベル賞受賞者が輩出されるのだから,イギリスの国力最盛期の黄金期の一角を担っていただけのことはあるなぁとつくづく感心させられる。

 19世紀から20世紀前半までの物理学が煌めいていた時代,結果として原子力エネルギー時代を開くことになって科学の発展の陰影が濃くなる直前の「古き良き時代」を描いている,ということも本書が宝石のような著作になっている所以であろう。物理学の門外漢でも良き時代の良い雰囲気が感じられる本書は,科学史の入門書としてお勧めしたい。

12/28(土) 駿府・晴

 日本海側は大雪ということなので,当然太平洋側は寒風が吹きすさぶことになる。昼間はさほどでもなかったが,夜になってぐっと冷え込む。自宅でもガスストーブがフル回転。光熱費が高くつきそうである。

 つーことで本年はこれにて店じまい。毎年恒例の卒研追い込み怒鳴り倒しが終了し,最後は放棄した格好になったけど,全員まぁ何とか形にはなったかなぁというところ。これについての感想はまた別の所でまとめて書くことにする。

 本日は神さんが忘年会につき,一人PSBを流しながらこれを更新しているのである。明日以降,馬車馬のようにぷちめれ祭りといきたいが,そんな暇あるのかどうか?

 さて,ボツボツやって寝ます。