7/31(木) 掛川・?

 昨日,千葉からの出張から帰宅。行きは東京駅から特急しおさい号で八街へ。
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 実際には有休を取ったので,帰路ははゆっくり。で,鈴本の昼席で
suzumoto20080730_part1.png
というような恐ろしく「外れなし」のメンバーを堪能できた。あーた,あの紙切りの正楽師匠が一番浅い上がりなんですぜ。トリの喬太郎師匠は円丈作「ぺたりこん」で,年寄りばっかりの客席を湧かせていたから大したモン。ごちそうさまでした。
 青山ブックセンターの親会社,また倒産とのこと。2004年に続いて2度目。今度はブックオフが支援に乗り出すって・・・あーあ,とうとう新古書店の傘下に入っちゃうのか。
 げ,丸善は大日本印刷の子会社に(日経新聞)。うーん,店頭売りだけではやってくのは大変なんだろうなぁ。
 ま,人ごとではないけど。やるだけやって寝ます。

ゆうきまさみ「ゆうきまさみのもっとはてしない物語」角川書店

[ Amazon ] ISBN 978-4-04-854206-7, \1500
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 いやぁ,お互い年は取りたくないものですなぁ,ゆうき先生。前作(上記写真の左)が出た時は1997年,ワシがまだ能登半島でくすぶっていた時代ですよ。「いんたーねっと」とやらがボチボチブームになり出した頃。懐かしいですなぁ。これは後ほど2003年に角川スニーカー文庫本2冊(天の巻地の巻)にまとめ直されましたが,そろそろ視力に衰えが見えてきた三十路後半の身には,ちと読むのが辛かった覚えがあります。だもんで,いまでもこの日に焼けちゃった単行本が手放せないのですよ。
 その単行本が刊行されてから既に11年経ちました。角川書店は角川グループホールディングスを構成する一出版社となり,その社長はあーた,NewTypeの編集長だった井上伸一郎さんですよ。ワシは角川GHDの株主になっちゃうし,全く光陰矢の如し。でもゆうき先生のこのコラムが連載開始以来23年,50才を越えられても未だに続いているのですから,ワシもまだまだ,あと十年は頑張らねば,と,ふんどしを締め直さねばなりません。良き先達は全くありがたいものです。・・・年寄り臭い言い回しに終始しましたが,年のせいと思って聞き流して下さいませ。
 特にアニメオタクではないワシなので,コラムだけは欠かさず立ち読み(買えよ)していたNewTypeともいつしか縁遠くなってしまいました。なので,突っ込みキャラが登場(P.62)していたことも知らず,表紙の女の子を見て,「ああ,ゆうき先生もとうとうご結婚されたのか,羨ましいなぁ」と麗しい誤解をしてしまいました。大変失礼致しました。しかしこのツッコちゃん,可愛いですね。可愛いと言っても既にワシにとっては友人知人のお嬢さん,としか思えなくなっているのが非常に悲しいのですが。
 オールカラーになっても,内容が時事問題から身辺雑記まで節操なく盛り込まれているのは全く変わらず,オールドファンとしては嬉しい限りです。晩年の手塚治虫は丸っこい線を描くと線がふるえてしまうと嘆いていましたが,ゆうき先生はせいぜい目が悪くなった程度(P.98)で,シャープな描線はCGになっても健在ですね。ご健筆,頼もしき限りです。保守復権の先導役・小林よしりんもまだまだやる気のようですから,ゆうき先生には是非とも戦後良識派としての立場を遵守され,ますます議論を深めて頂きたいと願って止みません。
 この調子だと,次の「もっともっとはてしない物語」が出版されるのは10年後ですね。その時,私は50代,ゆうき先生は還暦を迎えるわけで,戦後初の「おたく老人世代」の先鞭役となられるはず。後輩のワシとしては,おたくの老後をどのように描かれるのか,今から大いに楽しみなのです。TVアニメ化が始まったばかりの鉄腕バーディー,掲載誌のヤングサンデーが休刊になってしまって今後の行く末が心配ではありますが,もし連載が中断でもされるのなら,バーディーの次に「ヤマトタケルの冒険」路線が復活するのではないかと,ワシはよからぬ期待を持ってしまっておりますので,それはそれで楽しみです。無粋な輩でどうもすいません。実は初期作品集()が編み直されると知って以来,アニパロコミックス等でゆうき先生の作品を読んでいた時代を思い出してしまっておるのですよ。・・・やっぱし,年ですかねぇ。
 では,これからのゆうき先生のご活躍を祈念して,筆(キーボードですが)を置かせて頂きます。

初歩のFFT Version 0.31

初歩のFFT

 13回の講義をまとめたもの。複素解析の立場からFFTを語るという試みに対して力量が足りず,中途半端に終わってます(使い回しもある)。どっかで書き下ろしさせてくんないかしらん?

7/25(金) 掛川->浜松->掛川・晴

 あっちぃ,あっちぃ~。前期最後の非常勤講義・定期試験日である。試験会場に行ってみると,試験週間だというのにワシの前の時間の講義はまだ続いている。どうやら社会調査のための統計データ解析をネッチリ教えているようなのだが,VBAマクロも使ったかなり複雑な内容のようで,学生さんは四苦八苦している。でも楽しそうなのは結構なこと。さすが天下の静○大である。でも一コマでこなせる内容ではないような気がするぞ。
 ワシの定期試験,大分易しくしたので難なく出来るかなと思ったら,結構苦戦していた。6割近くは90分びっちり粘っていましたなぁ。明日には間違いの修正も含めて全部後悔じゃない公開しますぅ。今年度一回こっきりの講義なのに,こんなに気合い入れて準備しなくてもよかったかしらん? ま,勉強の種はつきまじ。
 この講義の収穫は,FFTを複素数の基礎から教えようとすると,半期でちょうどいいぐらい,というのがよく分かったってことだな。それなりに数学の基礎がある学生さん相手でこれなんだから,基礎がないとなると相当苦労するねぇ。つーか,そーゆー学生さんにはこの手の数学を叩き込むより別方面の素養を伸ばしてやった方が幸せではないかと,ワシは思うのだが。
 自宅のデスクトップマシン,起動して30分も経つと勝手にリセットがかかるようになってしまった。以前からチップセットファンの調子がよろしくなかったので,熱暴走を起こしている可能性大。非常勤帰りに放熱ファンを買ってきて,取り付けてみた。・・・このblogの記事もテストのためにそのデスクトップマシンからシコシコ書いてます。今のところは順調そうだが,まだ油断は出来ない。一晩このまま動かしっぱなしにしてみようっと。
 お,3時間経過。まだ行けそうだな。まだくたばってくれては困るのだ。給料はさっぱり上がらないのにインフレだけは進行しそうな世相なんだからな。PCは家電として定着しているのだから,5年以上は持って貰わないと,うん。
 YahooのCrawler,新顔が登場したようだ。従来型は

llf520196.crawl.yahoo.net – – [25/Jul/2008:21:58:42 +0900] “GET /weblog HTTP/1.0” 301 309 “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Yahoo! Slurp; http://help.yahoo.com/help/us/ysearch/slurp)”
llf520196.crawl.yahoo.net – – [25/Jul/2008:21:58:42 +0900] “GET /weblog/ HTTP/1.0” 200 64880 “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Yahoo! Slurp; http://help.yahoo.com/help/us/ysearch/slurp)”

というUAを名乗っていたが,新型は

llf320018.crawl.yahoo.net – – [25/Jul/2008:22:00:45 +0900] “GET /weblog/archives/ HTTP/1.0” 403 294 “-” “Mozilla/5.0 (compatible; Yahoo! Slurp; http://help.yahoo.com/help/us/ysearch/slurp)”
llf320018.crawl.yahoo.net – – [25/Jul/2008:22:01:25 +0900] “GET / HTTP/1.0” 200 7893 “-” “Mozilla/5.0 (X11; U; Linux i686 (x86_64); en-US; rv:1.8.1.4) Gecko/20080721 BonEcho/2.0.0.4”
llf320018.crawl.yahoo.net – – [25/Jul/2008:22:01:25 +0900] “GET /tkouya.css HTTP/1.0” 200 926 “http://na-inet.jp/” “Mozilla/5.0 (X11; U; Linux i686 (x86_64); en-US; rv:1.8.1.4) Gecko/20080721 BonEcho/2.0.0.4”

と,x86_64 Linux上で動いているらしい。良きかな。
 またリセットがかかる前に,シャワーを浴びて今日はもう寝ます。

長谷川武光・吉田俊之・細田陽介「工学のための数値計算」数理工学社

[ Amazon, 出版社のWebページ ] ISBN 978-4-901683-58-6, \2500
numerical_computation_for_engineers.png
 うはー,やりづれー。というのも本書は献本なのである。つーても献本してもらった癖にイヤミっぽいことを書いたという前例が既にあるので,貰いモンだから筆先が鈍るなんてことはあり得ないことは証明済みである。我ながらなんて「いい性格」なんでしょうねぇ。
 やりづらい理由はもう一つあって,よく知っている内容の,しかも初学者向け(かどうか?)のものであるから,ワシと著者らとの主観の相違が際立ってしまう,ということが挙げられる。つまりは学問論争に繋がってしまうので,本格的に論じ始めたら果てしなく続いてしまいキリがない。これについては著者(ら?)とダイレクトにやりたいと考えているので,ここでは割愛する(でもちょっと混じってしまったか?)。
 なので,ここではワシが個人的に数学を主専攻としない大学学部生向け教科書に必要不可欠と考えている以下の点についてのみ,考えていくことにしたい。
 1) 現代的な内容になっているか?
 2) 抽象的な議論に終始することなく,具体的事例を盛り込んでいるか?
 3) 学習して欲しい基本的内容・記法は本書内の記述で自己完結しているか?
 4) より深い知識を知るための参考文献は明示してあるか?
 5) アフターサービス用のWebページが用意してあるか?
 まず1)について。本書については掛け値なしに合格である。感心したのは
 第2章のIEEE754浮動小数点数の解説(丸めモードの解説も欲しかったけど)
 第3章のLU分解の解説(初学者向けの分かりやすいモノかどうかはともかく)
 第8章のClenshow-Curtis公式の解説(翻訳でない邦書初?)
 第10章の偏微分方程式の解説(詰め込みすぎのきらいもあるけど)
など。特に2章は現代の線型計算が,主として計算性能を上げるためにblock単位で行われていることを意識して記述してあるので,邦書としてはかなり「異色」,でも「現代的」であることは間違いない。LU分解の分かりやすい証明(P.34~36)はワシも使わせ頂くつもりである。
 2)については文句なしに合格。ただ,地方国立大学工学部で教えたワシの経験ではちと高度すぎる事例が多いかなぁと感じた。特に第10章については,これだけで半期を費やすぐらいの時間を掛けないと身に付かないのではないか。本書を使った講義がどのぐらいの時間でどのように行われているのか,興味深い。
 3)について。及第点ではあるが,3人の共著ということもあって,記法に不統一なところが散見されたのは残念。まあでも講義でフォローできる程度だから,大した問題ではない。
 4)はまあ妥当・・・ではあるけれど,古くて絶版になったもの(特に邦文書)が多いのは初学者向けとしてはどんなものだろう。[2], [a]は新版が出ているので,そっちを勧めた方がいい。文献の並び順がどうなっているかも不明なので(「数値計算のつぼ」「同わざ」が離れているのは何でだろう?),も少し気遣いが欲しかったところ。
 5)については,演習問題の解答もある親切なものができつつあるようなので合格。販売時には完成・・・しますよね?
 つーことで,全体としてはちょっと高度な数値計算入門書として,理系のまともな大学生にはお勧めできる内容と言える。これを使って学習した学生さんの中から優秀な研究者が輩出されれば,更に本書の価値が上がろうというモノである。今後大いに期待したい・・・と,著者らにプレッシャーをかけて,やりづらいぷちめれを締めることにする。