11/2(土) 駿府・晴

 朝晩は薄手のコートが必要になるが、日中は夏日が続く。地球温暖化もここまでくると不安になってくるなぁ。冬が暑くある以上に夏の酷暑っぷりがどこまでエスカレートするやら。凍死する可能性は限りなく低いが,エアコン故障による熱中症死は大いにありそうである。

 自宅のMacBook Air 2011モデル,ボチボチ買い替えたいなぁと思っていたところに,macOS Catalinaが出たので,AirPlay displayをやってみたくなったのである。で,10月末日にApple経由でAir 2019を注文,本日それが届いた。

 ということで,神さんの冷たい視線を感じつつ,家事の合間にセッティングを行ったのだが,思ったより使い勝手が良くならないなぁと,大枚払った割にはガッカリしているのである。以下雑感。

  • キーボードの打鍵感がイマイチである。「ポコポコ」という音がするのはまだ許すとしても,2011モデルより安っぽいタッチが気に食わない。
  • ストレージの速度が思っていたより遅い。OSのクリーンインストールすると応答性が良くなるという解説ページもあったがメンドくさい。まぁ一番ストレージを読み書きするアプリのインストール作業さえ終えてしまえば,応答性の悪さを感じる機会は激減するのだけれども。
  • Retinaディスプレイの解像度の高さは易々として,13インチでは宝の持ち腐れっぽい。

 それでも全体的には8年前モデルよりは使い勝手が良くはなったので,とりあえずこれでよしとする。あと10年は使い続けたいなぁ。

 寝ます。

Python数値計算入門まえがきの下書き

 次年度の「数値解析1」のテキストを新たに作る予定なので,「まえがき」っぽいものを書いてみた。ろくすっぽ書いてもいないくせに完成稿を目の前にしたかのような文章を書くのは自分にプレッシャーをかけるためである。年内には下書き終了,完成は来年2月の予定だが,さてどうなることやら。


 本書はPython 3のNumPyおよびSciPyを利用することを前提に,数値計算の基本を解説したテキストである。浮動小数点演算の基礎から,偏微分方程式の数値解法まで,Pythonスクリプトを動かしながら理解するというコンセプトで執筆したつもりだが,果たしてその目的が達成できているかどうか,その判断は読者に委ねたい。
 ベースとなっているのは「ソフトウェアとしての数値計算」(https://na-inet.jp/nasoft/)で,2009年までに積み上げてきた講義資料に基づく公開Web教材である。完成以来10年経つと,さすがに記述が古びてくるので,書き足すなり書き直すなりする必要を感じていたところ,奇特な方から「Python本を書きませんか?」というお誘いがあり,自分としても近年最も勢いのある動的言語を本格的に使ってみたい欲求があったので,ホイホイと誘いに乗って古い講義ノートの虫干し作業がてら,書き出し始めたのである。
 実は著者の勤めている大学ではMATLABという,高価だが信頼性の高い数値計算ソフトウェアのサイトライセンスを導入しており,ここ数年はExcelとMATLABを使いながら講義を行っていた。しかし,MATLABのライセンスは卒業すると消滅してしまう。何より,高価なソフトウェアの癖に更に銭を取られる有料パッケージが存在していたりするのが気にくわない。Pythonならば基本,著名なパッケージは無料で使える。これは大きい。
 何より,PythonではDeep Learning用のTensorFlowやPyTorchすら無料で使えるのだし,これらの下支えとしてNumPyやSciPy,Autograd等の基本数値計算パッケージが存在している。今の時代向きの「ソフトウェアとしての数値計算」はこれらの基本数値計算パッケージを前提として語るべきであろう。
 ということで書き出したのはいいのだが,内容的に古い所があり過ぎて,全面改稿したりバッサリ削除した章が続出し,当初の予定通りにはなかなか進まなかった。著者の個人的な事情もあり,遅れに遅れて何とか次年度のテキスト印刷期限に間に合ったという次第である。それでも,不慣れな言語に四苦八苦しながら,良く出来た数値計算パッケージと戯れるのは楽しい作業であり,関数を呼び出すだけで面倒な処理がスイスイできるようになったのを体験するにつけ,時代は進んでいるなぁと,スクラッチから自分の数値計算ライブラリを構築してきた年寄としては感慨深い。その分,数値計算の初心者にとっては敷居が高いと感じるかもしれないが,折角先人が積み上げてきたソフトウェアの上に立つことができている状況を楽しむためには,その高みに親しむことも必要であると,あえて手加減せずに具体的な問題を提示してみたのである。実際に動かせるスクリプトを目の前に突き出しているのだから,大いにチャレンジして頂きたいものである。

春日太一(聴き手・構成)「黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄」文藝春秋

春日太一(聴き手・構成)「黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄」文藝春秋

[ Amazon ] ISBN 978-4-16-391108-3, ¥1900 + TAX

 いやぁ,他ならぬ春日太一の著作だし期待外れになることはない,とは思っていたけれど,書店で手にとって驚いたのはその分厚さ。本文419ページ! もちろん,全く映画ファンではない一般ピーポーであるワシでも「奥山和由」という名前は知っていたし,著者がまえがきで述べているように,その電撃的な松竹からの解任劇についても,TVや新聞を通じての報道はワシもリアルタイムで見聞きはしていたが,そこに至るまでの狂気的な映画への奉仕者・プロデューサーとしての仕事っぷりがこれほど凄まじいものだとは,想像の範囲を超えていたのである。分厚いことは分厚いが,その熱量と読みやすさに当てられて,即位礼の儀を横目に一日で読んでしまったぜよ。しかしまぁ,解任される直前に自分から辞めることを考えていたというのは本書を通じて初めて知り,そこまで思い悩むまでの入れ込み具合が放逐される原因なんだろうなぁと,奥山の主観に満ち溢れた本書の記述を通じてボンヤリ浮かんでくるあたりが,聴き手・構成を通じてしっかり春日太一の著作になっているという証にもなっているのである。

 ワシは大変下世話な性格なので,成功者の自慢話より挫折経験者の失敗談の方を好む。組織に馴染めず辞めてしまったり,放逐されたりした経験が自分にとって一番身になる知識だと感じているのである。奥山和由という人の絶頂期,バブルの勃興期から崩壊して失われた数十年に入りかけのプロデュースした映画の本数は60本を超えているが,直接見た映画は少ないにもかかわらず,恐らくはTVを通じてだろうが,そのタイトルは結構覚えている。TV番組にも露出するし,派手なプロデューサーだなという印象は持っていたが,その分,世間,というより松竹という古い体質を持つ大会社内部からの風当たりは相当強かったようで,アゲンストの風に向かいながらグングン上昇していく凧のような存在だったのだろう。才能はあってもそれ以上に癖の強い映画監督や俳優と議論したり宥めすかしたりしつつ,身内からの足の引っ張り合いにも揉まれながら,それらのゴタゴタをエネルギーに変換して疾走する様は凄まじいの一言に尽きる。語りっぷりに熱がこもっているのはもちろんだが,どのぐらい春日の手が入って整理されているのかは定かではないけれど,かなり映画に対する審美眼が一貫していて,作品の善し悪しを客観的に評価しているし,それでいて興行師としての仕事もおろそかにしておらず,ヒットを飛ばすことでしか,やりたい仕事ができないということも「ハチ公物語」の大当たりを通じて学んでいる。ワシはこういう体験を通じての学習というものしか信用していないので,毀誉褒貶はあるにしても,この奥山和由の経験談はかなりワシ自身の身になるものになると確信しているのである。

 ・・・という本書の語りの面白さはピカイチで申し分ないけれど,ワシの下衆根性は奥山の松竹放逐の原因にやっぱり興味があり,その辺りをズバリ知りたい向きには不満が残るのかなぁと感じる。奥山当人はあまりに変わらない松竹の体質に嫌気が差して放逐される前に辞めることも考えていたようだが,さて額面通り取っていいものかどうか。組織人として生きていれば,辞めたいと考えることは当然ありがちではあるし,父親が最初から重役として,最後は社長として君臨している会社で,自分も重役として引き立てられている立場であったことを考えると,その立場を生かしての活躍ができているメリットも大いにあったわけで,何となく言い訳めいているとも感じる。しかしその点を追求することは本書の目的ではない。組織人であれば,放逐する方もされる方もそれぞれ言い分があり,片方が一方的に悪いというキレイな話にはならないということも承知していることである。そんなことより,奥山という稀代のプロデューサーの持つ危うさと熱量,そしてその疾走してきた歩みを本人に語らせることで生きた日本の映画史を読者に提示することにあり,映画のプロデュース業というものの過酷さと面白さが生み出すダイナミズムを体感させることにある。ワシはすっかり本書に当てられ,この浮かれた休日に熱くなってしまったのである。

10/6(日) 駿府・晴後曇

 10月超えてもまだ日中の気温が30℃を超える日が続く。台風は19号が発生し,次週の三連休には九州・沖縄近海に近づいてきて,その影響が出てくるという予報。最近は週末引きこもっているので,世間的な休日が荒れようがどうしようがどうでもいいが,収穫期に入った米などの農作物に被害が出るのは困る。全世界的に温暖化がじわじわ進んで16歳の少女まで大演説を国連でブッこく時代,ワシが死ぬまでにどんだけ強力なモンスター台風が発生するのか,楽しみでもあり,怖いようでもあり。せめて自宅リビングのガラスに保護シートでも貼らなきゃなぁとツラツラ思う。

 「多倍長精度数値計算」(森北出版),Amazonにページができてた。

 画像の背景のプログラムが本文で説明しているものと違うなどというツッコミは聞かなかったことにする。10月発売予定と言いまくっていたのだが,消費税増税前の駆け込み需要で印刷所が混んでおり,11月22日発売に遅延してしまったのは当方の不徳の致すところではないので謝らないよ。しかし8%に据え置かれた新聞じゃないので10%の消費税丸かぶりで¥4620っつーのは高いよなぁ。まぁGNU MPの一部とQDとMPFRとfloat128リファレンス込の,部数の見込めない本なので致し方ないところです。草稿送りつけた多倍長精度関係者には問答無用でお配りしたいところではありますが,何せ部数が部数なもので(って聞いてないけどせいぜいコミケ島角サークルの新刊ぐらいと想像),届かなかったらすいません。サポートページはすでに作ってあるんだけど,発売日と同時にリンク貼って公開予定。・・・しかしシンドかったので,MPACKの解説が欲しかったとか抜かすと丑の刻参りするぞコラ。無い物ねだりするより自分で書いてみてはと言っておく。ご本人の英語解説はこっちにあるので買うとよろしい。

 Pythonプログラム,ぼちぼち追加しつつあり,Autogradパッケージを使って遊んでみた。額縁ょ〜などというものの宿命で,あれこれ余計な事務作業と書類作業が無限に割り込んでくるので,Jacobi行列で遊ぶまでには至ってないけど,接線引きまくって元の関数をイメージするグラフを書くところまではたどり着いた。

 次は多段法・・・など言い出したら全然終わらないので,先に偏微分方程式の計算事例を2,3積み重ねてケリにしたい。10月いっぱいの予定,忘れてませんのでしばしお待ち下さい・・・って何度目だこの言い訳。

 さて,神さんから委託されている明日の朝ごはんの準備をしよう。

9/23(月・祝)京都→駿府・曇

 台風17号が,北九州をかすめて日本海に駆け抜けていったおかげで,京都は蒸し暑い空気が淀んだ嫌な気候になったものの,風が強いが雨は降らず,昨日から開催されていたODE-JP 2019は無事閉幕したのであった。来年も無事開催できると良いが,何せ人手と場所がねぇ。

ODE-JP2019@同志社大学今出川キャンパス

 さて,明日から本格的に後期が始まる。今週の目標は
・「多倍長精度数値計算」(「入門」が外れました)の最終推敲
・再査読レポート執筆
なんだけど,当然のことながらPythonスクリプトも書かねばならぬ。今の所,

とゆーよーなグラフは書いたりしているのであります。とりあえず,次年度向けテキストはなんとかなりそうなので,どこまでPython的な課題を盛り込めるかが勝負。ま,前期にそこそこスクリプトは揃ったので,何とかなるでしょ。

 ボツボツ,ブログもできる範囲でチマチマ書いていきまする。

 風呂入って寝ます。