[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-575-83236-7, \552
買い物に出かけたショッピングセンター内の書店で本書が出ているのを発見した。おお久々,では早速レジへ・・・と思いきや,先ほどなけなしの金を煮干と本だしと詰め替え用シャンプーと3足セット靴下に費やしてしまったばかり。ATMから金を引き出そうにも今は土曜日の午後6時過ぎで,とうに閉まっている。うう悔しい,これから家に帰って金を取って戻るのも面倒だし,今日は諦め・・・いやいや待て待て。BARレモンハートと言えば・・・そうだ,そうだ。自宅に飛んで帰り,すぐ隣のコンビニに飛び込んで新刊漫画の棚をざっと見ると・・・あったあった,ありましたよ。
そんな訳で,無事本書を見つけたその日にgetすることができたのであった。
そう,BARレモンハートの単行本は,全国ネットのコンビニには必ず数冊配本されているのである。うろ覚えだが,これは十数巻に達した頃からの現象だったと思う。年単位で出版されるかされないかという頻度であるから,ワシは大抵,どこかの店頭に並んでいるのを見て気がついた時に買う,というやり方でgetしていたのだが,いつの間にやらコンビニで出会う確率が増えていったのである。ジャンプ・サンデー・マガジンコミックスのヒット漫画なら兎も角,大手とは呼べない双葉社の,しかも一度は休刊したアクション連載のコミックスとしては,クレしん・じゃりチエ・三丁目の夕日に次ぐ配本数ではなかろうか。実際,この最新刊の帯には「600万部突破記念フェア」の文字が大きく踊っている。一巻分だけでも30万部近い部数が出ている漫画単行本は,双葉社レベルでなくとも大ヒット作であることは間違いない。
作風はどう見ても派手とは言えない漫画作品がどうしてこれまでの大ヒットを記録するまでに至ったのか。そこで語られている酒に関する薀蓄の深さと愛情もさることながら,やはり前回も述べたようにBARレモンハートに集う常連達の魅力と,そこに登場する多彩なゲストキャラクター,その三位一体がなす力が大きいと思われる。しかし何より,掲載雑誌の危機に際しても本連載を絶やさなかった双葉社の頑張りが大きい。連載がストップしていれば,このような大ヒットに繋がることはなかっただろう。
松っちゃんの独身生活は相変わらずだが,振られても振られてもチャレンジし続ける姿勢は寅さんを思わせる。どんなに時代が変わろうとも,ギネスブック級のシリーズ映画の味わいに近づきつつあるこの作品が続くことを願わずにはいられないのである。