佐々木俊尚「グーグル Google」文春新書

[ BK1 | Amazon ] ISBN 4-16-660501-1, \760

 梅田望夫の「ウェブ進化論」が,すこぅし能天気な楽観的未来を展望(期待?)している感があるのに対し,本書は現実に起きている事象のいい面と悪い面をきちんと包含した記述があり,好感が持てる。著者の名前はしばしばInternet Watchでお見かけしていたが,もともとInternetが関係した事件について興味を持って追いかけていただけあって,単純な楽観論には組せず,常に懐疑的な立場で技術の移り変わりを眺めているという立場を守っている,貴重なジャーナリストである。

 本書はGoogleという進化の著しい企業について記述したものだが,梅田が持ち上げるロングテール論の具体例(羽田空港の駐車場ビジネス)を,実地に当事者に取材して取り上げたかと思えば,Google八分(検索結果からの締め出し)が現実にあるということも,悪徳商法マニアックスを例に挙げて示している。

 日本に,いや,世界に広がるInternetが1990年代,急速発展してきたのは確かにWIDE的楽観主義の力があったからであるが,さて,ここまで一般に普及してきた昨今,一部の技術者だけが巨大なネットワークを主導できる筈もなく,ボチボチ真剣に社会制度の一部としてInternetを捉えなおす必要が出てきて来ているのではないか。そう考えるのが普通であろう。

 その材料として,一番ビビットに「使える」資料が本書である。ちえっ,もっと早く読んでおくんだったワイ。