西UKO「Collectors(コレクターズ) 1」白泉社,大沢あまね「彼女×彼女(カノカノ)」新書館

「Collectors 1」[ Amazon ] ISBN 978-4-592-71047-9, \838
「彼女×彼女」[ Amazon ] ISBN 978-4-403-67133-3, \950

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 百合というジャンルは正直よく分かっていない。いや,今やBLと称するやおい漫画(死語か?)も把握し切れていないので,つまりは同性愛ファンタジー分野全般が分かっていない。
 従って,印象論でしかないのだが,BL分野は竹宮惠子が切り開いてから既に40年近い年月を経て様式化が進んでしまい,差別化のために敢えてエロ漫画化することで顧客を引き付けようというのが最近のトレンドなのかなぁ,という気がしている。性描写にうるさい向きがBLっぽいイラストに反応して図書館での閲覧に抗議が寄せられたりするのも無理もないと思う昨今なのである。
 反面,いくつか読んだ百合漫画はそこまでエロくない。つーか,全然エロさのかけらもなく,単なる女の友情漫画なのでは?,と思ってしまう作品が多かった。ま,ワシの好みで選んだものがたまたまそーだっただけで,もっと過激なエロ化が百合でも進んでたりするのかもしれないが,ワシの印象としてはそうなのである。
 にしても,BLに引きずられる形ではあるが,一ジャンルとして商業的にも定着してきた分,この先どういう方向に向かうのか,ちと楽しみである。飯の食えるジャンルは新人作家の苗床として機能するので,この分野からも,BL同様よしながふみのような才能が育ってくることを期待できるのだから。

 とはいえ,ちと首をかしげる作品が多かったのは事実。面白いものが出ないなー,と思っていたら,今年になってようやくお勧めできる作家が現れた。それが,西UKOと大沢あまねである。

 まずは西UKO「Collectors」から。白泉社のムック「楽園」第一号から連載が続いている四コマ形式の短い漫画をまとめたものである。主人公は本を買いまくる大学院生・仁藤忍と,着道楽の関埼貴子のカップル。繊細かつ優美な絵柄で,結構リアリティのある忍の研究生活と,貴子のおシャレっぷりが軽やかなギャグを交えて描かれている。本書では世話焼きの忍の友人,大江(結婚後は志賀)直巳が紡いだ二人の馴れ初めエピソードも収録されており,重層的なキャラクターの描写が心地よい。ちなみに西UKOは人物作画担当で,絵コンテは北条KOZが担当しているとのこと。インテリっぽい上質な作風は,百合漫画というジャンルとは無縁の読者も掴むこと間違いない。短い作品なので,単行本に纏まるには相当の時間が必要であるが,2巻が出る3年後(?)を楽しみに待ちたい。

 次は大沢あまね「彼女×彼女(カノカノ)」。これもまた四コマ漫画である。主として新書館の媒体に掲載された作品を纏めたもので,シチュエーションは様々。共通しているのは百合漫画,ということだけである。
 しかし,大沢の画風は艶めかしい肉感的なもので,「裸でベタベタ」なところが多い。それでいて上品さを保っているところが素晴らしい。言い方は悪いが,女の子は大概「大根足,鳩胸」の,いわゆる「ぼんきゅっぼん」である(昭和テイストな言い方)。失恋あり,成就した恋ありで,ストーリー漫画を四コマで区切ってあるだけの,いわゆる「いしいひさいち形式」。西の作品といい,この大沢の作品といい,この形式は今の「面白い」百合漫画には多いんだろうか? この辺り,識者(いるのか?)の意見を伺いたいものである。

 どちらも百合かどうかということは抜きにして,魅力的な絵と面白いギャグ,そしてしんみりした恋愛感情の描写に優れた良作である。百合漫画ジャンルはこういう才能育成の土壌として,しっかり機能して貰いたいものである。